パミールは葺き替え工事が第一選択
※この記事は2023年1月22日に書き下ろしました。
(2023年1月22日現在の最新情報)
理由1:釘の腐食
屋根内部でパミールを留めている釘は時間の経過と共に腐食し、釘が屋根を固定する固持力がなくなります。
これは内部結露によるものです。
時間の経過と共にパミールは、はがれていきます。
写真のような状態は、かなりパミールの劣化が進行していると判断できます。
パミールの表面のセメントが粉状になっています。
屋根の防水シートにあたるルーフィングをパミールに密着させらにくい場合があります。
加えて、ルーフィングの粘着力は時間の経過と共に失われていきます。
屋根カバー工法をおこなう際、”固定されていない異物”を挟んで屋根を仕上げることになります。
この状態が具体的にどのような悪影響が及ぼすのかは明らかではないですが、屋根の維持という点ではたしかに不安は残ります。
【動画】パミールの釘の問題を動画で確認
【動画】カバー工法がダメなパミールの状態
理由2:セットバックスターターが使えない
パミールは軒先の劣化が激しく、雨水を適切に排水させる「セットバックスターター」とよばれる軒先板金が使えないことが多いです。
屋根カバー工法をおこなううえで、できればセットバックスターターを使いたいのが私たち屋根工事会社の本音です。
理由3:子育て世代が多い
そもそも、屋根カバー工法の期待耐用年数は25~30年程度です。
パミール屋根にお住いの戸建住宅所有者様は、若い子育て世代の人が多いです。
まだまだ今の住居で生活を続けられる世代の人たちです。
カバー工法ではもう一度、屋根を改修する機会が訪れるはずです。
その時は2つの屋根をはがす大工事になります。
30年以上の屋根の耐久性能が期待できる葺き替え工事に優る判断はありません。
ニチハはカバー工法を提案
ニチハは屋根カバー工法による改修を提案しています。
したがって、メーカーの見解を評価せざるを得ません。
さすがにこれだけ問題になっている状況で、問題が残存する提案をおこなうとはとうてい考えられないからです。
パミールに屋根カバー工法をおこなう際、新しい屋根材を”面”で抑えつけて張るため、屋根にパミールを密着させる点では有効な方策だと評価できます。
また、結露による釘の水濡れ(それによる錆び)は、温度差から生じる結露より、毛細管現象でパミール内部に入り込んだ雨水の蒸発による結露の影響のほうが大きいと筆者は想定しています。
カバー工法をおこなうことでパミールは雨が当たらない環境が整うため、これまでよりは結露による影響は軽微です。
ただし、パミールにカバー工法が有効かどうかはまだ誰も経験しておらず、実証されていないのも事実です。
これから10年後に安全な方法であるかが判明されます。
各屋根工事のメリットとデメリット
葺き替え
メリット
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30年以上の屋根機能の維持が得られる
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屋根が軽くなる(耐震性能向上)
デメリット
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工事価格が屋根カバー工法の1.3~1.5倍程度かかる
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工期日数がかかる
屋根カバー工法
メリット
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工事費用が抑えられる
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断熱効果が高くなる
デメリット
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期待耐用年数は30年以下
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屋根が重くなる
屋根カバー工法でおすすめの屋根材
パミールに屋根カバー工法をおこなう際は、アイジー工業のスーパーガルテクトをステンレス製のビスで留める施工をテイガクではおすすめします。
断熱材一体型の屋根材でパミールを屋根全面で抑えつけて屋根を張ります。
鋼板の素材は錆びに強いガルバリウム鋼板より優れたエスジーエル鋼板製です。
マグネシウムが含まれたメッキで、特に沿岸地域における塩害の錆びに対して強い耐性があります。
ステンレスの留め具で屋根を固定させることで、結露水などの水濡れの錆びの進行を抑制できます。
ビスの長さは50mm以上がおすすめです。
その他、ガルテクトはケラバ板金と軒先板金などの止水性能に優れています。
屋根内部に雨水が入りにくい丁寧な設計がなされています。
これからまだまだ長くお住まいいただくためにも高品質・高耐久の屋根材と施工方法で屋根をリフォームしてください。