ガルバリウム鋼板とは?ガルバリウム鋼板を改良したSGLもご紹介

全記事 一覧 | 2019.03.07

このページでわかること

  • ガルバリウム鋼板のメリット・デメリット
  • ガルバリウム鋼板が人気の理由
  • ガルバリウム鋼板の寿命やメンテナンス方法
  • ガルバリウム鋼板をさらに改良したSGL鋼板について
18年目のガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板の屋根や外壁が人気です。
ガルバリウム鋼板は決してパーフェクトな建材ではありません。
それでも人気なのは、他の建材と比べて優れている点が多いからです。
さらに最近はガルバリウム鋼板を改良させたSGL鋼板が登場し、金属建材の耐久性能はさらに向上しています。
このページではガルバリウム鋼板のデメリットや寿命、メンテナンス方法についても詳しく解説します。

ガルバリウム鋼板を含む「メッキ製品」の比較

メッキ製品 ブリキ トタン ガルバリウム SGL クロム
メッキの素材 スズ 亜鉛 亜鉛+アルミ+シリコン 亜鉛+アルミ+シリコン+マグネシウム クロム
現代における主な用途 ダクト 屋根と外壁 屋根と外壁(将来の主流) 蛇口

1.ガルバリウム鋼板とは

1-1.ガルバリウム鋼板とはメッキされた鉄のこと

ガルバリウムとは「アルミニウム」と「亜鉛」「シリコン」の3つを組み合わせた合金のことです。
このガルバリウムで「メッキ」した鉄(鋼板)のことを「ガルバリウム鋼板」とよびます。
JIS規格上のガルバリウム鋼板の正式名称は「55%アルミ・亜鉛合金めっき鋼板」です。

メッキとは金属製の膜(まく)のことです。
電気や熱の力を用いて鉄にメッキ層を作ることができます。
メッキによって鉄は保護されます。
一方、樹脂の成分で覆うことを「塗装」、つまり「ペンキ」といいます。
ガルバリウム鋼板の仕上げ面(表面)はメッキの上にペンキで色付けされています。
そして、ガルバリウム鋼板の裏面は、断熱効果や遮音効果を高めるために断熱材やアルミ箔が敷かれていることが多いです。
ガルバリウム鋼板とは?なお、亜鉛だけでメッキした鉄を「トタン」とよび、スズでメッキした鉄を「ブリキ」とよびます
つまり、ガルバリウムもトタンもブリキも中心となる素材は鉄に違いありません。
しかし、メッキ成分によって、鉄の寿命が大きく左右されます

1-2.販売開始から30年以上が経過

ガルバリウム層(メッキ層)で覆われた「鉄板」をガルバリウム鋼板とよびます。
ちなみに、ガルバリウムは「ガルバ」や「GL」とも略されます。

わが国でガルバリウム鋼板の商用生産がはじまったのは1982年のことです。
すでに流通開始から30年以上が経過しています。
現在では屋根や外壁などの建築物にガルバリウム鋼板はよく使われています。
一般住宅で使用されているガルバリウム鋼板の厚みは0.35㎜~0.5㎜厚の商品が多いです。
もちろん厚みがある方が耐久性が高いです。
ガルバリウム鋼板は加工がしやすいため、表面にエンボス模様の付いたデザイン商品もあります。
鋼板だけの状態であると断熱性や遮音性に劣るため、鋼板の裏側に断熱材を張り付けた「断熱材一体型ガルバリウム鋼板」などの商品も販売されています。
参考:ガルバリウム鋼板屋根の特徴とメーカー比較
断熱材一体型ガルバリウム鋼板

2.ガルバリウム鋼板の工事をする会社と人

2-1.板金工事会社と板金職人とは

ガルバリウム鋼板は主に「屋根」と「外壁」の建材として用いらます。
ガルバリウム鋼板のような金属建材を専門に扱う会社を「板金工事会社」とよび、職人さんを「板金工」とよびます。
国土交通省が定める建設業の29種類ある許可分類にも「板金工事業」とよばれる専門工事業があります。
なお、テイガク屋根修理は「板金工事会社」にあたります。

「板金」の仕事は「塗装」や「大工」「瓦」とは全く異なる専門職です。
したがって、塗装を本業とする会社は板金工事を直接おこなうことができません。
金属屋根や金属サイディング(金属外壁)の工事ができる会社や人は限られているということです。
しかし、世の中の人はこの事実を知らないため、多くの塗装会社や瓦工事会社が板金工事を請け負う営業活動をしています。
塗装会社や瓦工事会社を通した板金工事は外注工事になることは理解しておきましょう。
参考:板金工とは?
板金工職人

2-2.ガルバリウム鋼板を使った代表的な工事

屋根の施工

金属屋根金属屋根は瓦職人ではなく、板金工が携わる工事です。

外壁の施工

金属サイディングサイディング(外壁パネル)の分野で金属サイディングは板金工が携わる工事です。
参考:金属サイディングとは?

2-3.昔の板金といえばブリキ

昔、板金工は「ブリキ屋さん」とよばれていました。
金属が建材として使用される部位も限定的で、「ブリキ」は雨どいでよく使われていました。
そのため、お年を召した方は私たちのことを「雨どい屋さん」とよぶ方もいます。

その後、ブリキの代わりに鉄のメッキ層に「亜鉛」を用いた「トタン」が登場します。
トタンは「亜鉛メッキ鋼板」や「ナマコ」ともよばれます。
しかし、トタンが登場しても「瓦屋根」や「モルタル外壁」の耐久性にはかないませんでした
さらに、屋根材市場では「スレート」が登場し、外壁材市場では「窯業(ようぎょう)サイディング」が登場します。
「スレート」も「窯業サイディング」も安く、施工しやすい建材であり、トタンよりも耐久性があります。
現在でも新築市場ではスレートと窯業サイディングが占有しています。
高度経済成長期の真っただ中のわが国の戸建て住宅業界において、結局、トタンが選択されることはほとんどありませんでした。
スレート屋根

しかし、ガルバリウム鋼板が登場することで外装業界が大きく変わります。
特にリフォーム分野でガルバリウム鋼板が注目されることになります。
窯業サイディング

3.リフォームとガルバリウム鋼板

3-1.トタンからガルバリウムへ

従来の金属建材はトタンがよく使われていました。
トタンのメッキ成分である亜鉛にはサビによる穴あき拡大を抑えてくれる「防食作用」があります。
この防食作用は亜鉛が溶けることで発揮します。
しかし、亜鉛が溶けてなくなってしまうと、「防食作用」もなくなってしまいます。
そこで、「亜鉛とアルミニウム」を組み合わせたガルバリウムが開発されます。
ガルバリウムはアルミニウムと亜鉛が網目状に結合して形成されています。
アルミニウムの生成物には、亜鉛がとけた穴を埋めてくれる「保護作用」があります。
つまり、亜鉛の「防食作用」とアルミニウムの「保護作用」がサイクルする「自己修復作用」がガルバリウムには備わっています。
この自己修復作用が従来の金属建材の問題であるサビからの穴あき進行を防いでくれます。
例をあげると、傷口を保護する”かさぶたをつくって浸食を食い止める人体のメカニズム”に似ています。
その結果、板金工事で用いる素材はトタンからガルバリウムへ完全移行します。
画像参照:日鉄住金株式会社アルミリッチ層

3-2.リフォームとガルバリウム鋼板

現在、ガルバリウム鋼板は主要な建材のひとつとして認められています。
主要な建材のひとつになった理由は「優れた耐久性」「優れた耐震性」「優れた費用対効果」「優れた断熱性」などがあげられます
しかし、これらが一番の理由ではありません。
ガルバリウム鋼板が最も普及した一番の理由は「優れた施工性」です。
ここでいう優れた施工性とは「カバー工法」のことです。

カバー工法とは古い屋根や壁に軽い建材を重ね張りする工事方法です。
軽いガルバリウム鋼板で作られた金属建材はカバー工法で用いるのに最適です。
カバー工法では古い屋根や外壁を剥がして撤去する手間や処分費などを抑えることができます。
加えて、工事期間も抑えることができます。
そのため、ガルバリウム鋼板の屋根や外壁材が爆発的にリフォームで用いられるようになりました。
今では、リフォーム分野においてガルバリウム鋼板が第一選択の建材として確立しています。
参考:屋根カバー工法について詳しくはこちら
屋根カバー工法
外壁カバー工法

3-3.ガルバリウム鋼板の実績と検証

ガルバリウム鋼板は10年~20年程度しかもたない?」と聞かれることがあります。
そんなことはありません。
適切に施工をすればガルバリウム鋼板は20年~30年以上の耐久性が期待できます。
なぜならガルバリウム鋼板は誕生から30年以上が経過しているからです。
10年~20年程度しかもたない建材であれば、現在ここまで注目されて使用されることはありません。
発売から十分過ぎるほどの検証と実証がなされた建材であり、建築の専門家からの評価も確立しています。
古いガルバリウム鋼板

4.SGL鋼板とは

4-1.さらに耐久性が高まったガルバリウム

最近、さらに新しいタイプのメッキが登場しました。
SGL(エスジーエル)です。
SGL鋼板とは「超高耐久ガルバリウム鋼板」のことで、製鋼会社である新日鉄住金が2013年に開発したメッキ鋼板です。
SGLの「S」は「Super」「Special」「Superior」といった意味が込められており、「GL」はガルバリウムの略です。
SGL鋼板は次世代のガルバリウム鋼板として注目されています。
SGLはガルバリウムに2%のマグネシウムが添加されているのが特徴です。

マグネシウムには亜鉛の消耗を抑えてくれる働きがあります。
そのため、従来のガルバリウムと比べて3倍超の耐食性が認められています。
従来のガルバリウム鋼板は沿岸地域で腐食しやすく、錆びやすい素材でした。
そのため、沿岸地域では製品の保証が設けられていません。
しかし、耐食性の高いSGLは沿岸地域でも安心して使うことができるため、保証制限が大幅に改善されています。
画像参照:日鉄住金株式会社
SGLの構成

4-2.SGL鋼板の製品保証

新日鉄住金は従来のガルバリウム鋼板から穴あき保証を「10年」から「25年」に延長させました。
また、ガルバリウム鋼板は海岸から5キロ以内の建築物は保証対象外でしたが、SGLでは500メートル以内までを対象外にするよう制限が緩和されています。

4-3.これからのメッキ鋼板はSGL鋼板

ちなみに、メッキの種類は「ブリキ」「トタン」「ガルバリウム」「SGL」だけではありません。
蛇口などの水栓は「クロム」、眼鏡やジュエリーでは「チタン」「ニッケル」「金」がメッキに使われています。
しかし、大量の使用が求められる外装分野ではガルバリウムやSGLが費用対効果が高い素材になります。

以下は新日鉄住金による耐食試験の成果です。
新日鉄住金社製品のガルバリウムよりSGLが3倍超の耐食効果が認められました。
これからの外装分野のメッキ鋼板はSGLが最もおすすめです。
画像参照:日鉄住金株式会社
SGLとガルバリウム鋼板

5.ガルバリウム鋼板と他素材の比較

5-1.メッキ鋼板よりも良い素材も

金属建材はメッキ鋼板だけではありません。
メッキ製品ではない素材の建材もたくさんあります。
メッキ鋼板とメッキ鋼板以外の代表的な金属建材とその評価を以下にまとめました。(テイガク調べ)

素材 価格(1~5段階) 耐久性(1~5段階)
トタン(メッキ) 1 1
ガルバリウム(メッキ) 2 3
SGL(メッキ) 2 4
ステンレス 5 5
アルミ 4 5
5 4

5-2.ガルバリウム鋼板がベストの選択ではない

耐久性において、ガルバリウムやSGLより優れたメッキ鋼板があります。
そして、メッキ鋼板以上に優れた金属もあります。
ガルバリウム鋼板よりアルミやステンレスの方が優れているのは事実です。
たとえば、今より約25年前にはアルミのサイディングが流行しました。
今でもアルミのサイディングが張られている住宅をよく目にしますが、アルミサイディングは耐久性が高く、色もちも良いです。
ガルバリウム鋼板よりも高額な点を除けば、外壁材にアルミのサイディングを選ぶ価値は十分にあります。
また、屋根の弱点になりやすい谷どい板金には、最も耐久性に優れたステンレスを使うこともおすすめです。

しかし、大量生産されていて規格も多いガルバリウム鋼板の方が価格は安く、不具合時にも対処がしやすいです。
さらに、今ではガルバリウム鋼板の耐久性が高まったSGLも登場しています。

ガルバリウム鋼板もSGLもパーフェクトな素材ではありませんが、”数ある建材の中でお客様にすすめやすい素材”という位置づけに過ぎません。
アルミサイディング

6.製鋼会社と建材メーカーとの関係

6-1.鋼板の製鋼会社

ガルバリウム鋼板は製鋼会社が生産した鋼板を建材メーカーが加工し、加工されたものは屋根や外壁の商用建材として販売され、世の中に流通します。
製鋼会社は「新日鉄住金」「JFE」「神戸製鋼」「淀川製鋼所」などが有名です。
製鋼会社は鋼板をグルグル巻きのコイル状にして、製造加工メーカーに卸します。
鋼板コイル

6-2.鋼板を加工する建材製造会社

製鋼会社からコイルを買い取った建材メーカーは自社の工場で屋根材や外壁材として加工します。
加工したものを段ボールに詰めて、板金工事会社に販売します。
金属建材メーカーは「アイジー工業」「ニチハ」「ケイミュー」などが有名です。
なお、製鋼会社は製鋼卸だけではなく、自社で屋根材や外壁材の加工、販売もおこなっています。
ガルバリウム鋼板を取り扱う建材メーカーは20社以上に及びます。
ガルバリウム鋼板メーカー製品

6-3.ガルバリウム鋼板建材の輸入会社

ガルバリウム鋼板の建材は国産ではなく輸入品も増えています。
特に最近は韓国製品が急増しています。
屋根材はガルバリウム鋼板の成分と若干異なるため、「ジンカリウム鋼板」として販売されています。
ただし、JIS規格上はガルバリウム鋼板になります。
したがって、ジンカリウム鋼板もガルバリウム鋼板も耐久性に違いはありません。

注意したいことは、輸入品を中心に扱うリフォーム会社は商品の生産国まで伝えないということです。
他国のものであればなおさら伏せるはずです。
生産国が気になる方は、ガルバリウム鋼板の生産国も忘れずに確認しましょう。
ジンカリウム鋼板

6-4.SGLは新日鉄住金製

次世代のガルバリウム鋼板であるSGLは新日鉄住金だけが生産しています。
新日鉄住金以外の会社は生産していないため、流通している金属建材全てがSGLということではありません。
むしろ、従来のガルバリウム鋼板製の屋根や外壁を販売しているメーカーの方が多いです。
SGLを用いている金属屋根と金サイディングのメーカーはテイガクの調べでは、「アイジー工業」「ニチハ」「ケイミュー」の3社です。
SGL鋼板

6-5.鋼板が同じならば建材メーカーはどこでもいいのか?

使用している鋼板の質が同じであれば、どの建材メーカーの商品も変わりはないと思っていたら大きな間違いです。
断熱材の有無や断熱材の種類、保証期間や保証内容、塗膜の質、鋼板の厚みなどが商品ごとに違います。
各商品の特徴とメーカー対応まで深堀して比較検討することが大切です。
製品メーカー保証

7.ガルバリウム鋼板のメンテナンス

7-1.メーカーによる推奨(理想)

どのメーカーのカタログにもガルバリウム鋼板のメンテナンススケジュールは1年に数回(1回から4回)水洗いすることが推奨されてます。
水洗いで汚れがとれない箇所は、中性洗剤で洗い落してから水洗いするよう推奨されています。
そして、5年に1回は板金工事会社に点検してもらい、10年に1度塗装をおこなうよう推奨されています。

7-2.実際のメンテナンス(現実)

しっかり水洗いをするには、外壁全面に足場をかける必要があります。
10年に1回塗装をおこなうことも、なかなか実現できません。
メーカーはクレームを抑えるために、過度なメンテナンスを推奨する傾向があります。
現実的には施工後10年に1回、その後は5年に1回くらいの頻度で点検をしてください。

8.ガルバリウム鋼板の耐久性

8-1.サビと穴あき

陶器瓦、モルタルとは違い、金属建材はクラック(ヒビ)が発生しません。
また、金属建材はスレートのように経年劣化と共に水分を吸い込むこともありません。
ただし、金属建材は「サビ」に注意する必要があります。
サビには大きく「白サビ」と「赤サビ」があります。
白サビは亜鉛やアルミニウムのサビです。
赤サビは鉄のサビです。
ガルバリウム鋼板の場合、白サビ発生後に赤サビ発生し、鋼板に穴があき始めるメカニズムになります。

しかし、ガルバリウム鋼板はサビが進行しにくく、穴があきにくい特性がある素材です。
これまで筆者はサビの影響で3ミリ以上の穴があいたガルバリウム鋼板を見たことがありません。
実際に製鋼会社(建材メーカー)はサビで「20年」、穴あきで「25年」保証しています。
もちろん、これらの数字は品質の最低保証期間を示す数字です。
20年経ったからサビる、25年経ったから穴があくというわけではありません。
また、サビと穴あき保証期間には「5年」の猶予があります。
つまり、サビが発生しても穴がすぐにあくことはないということです。

ガルバリウム鋼板はメーカーのカタログ通りの耐久性があることは十分に期待ができる素材です。

8-2.相対的に比較するとわかるガルバリウム鋼板の良さ

ガルバリウム鋼板の耐久性が優れていることは、各素材の保証期間を比べることでよくわかります。
現在、新築戸建て住宅で最も使用されている屋根材はケイミューの商品「コロニアルクァッド」であり、外壁材はニチハの商品「モエンサイディング」です。
一方、ケイミューは金属屋根材「スマートメタル」、ニチハは金属サイディング「センターサイディング」も取り扱っています。
以下は各製品の保証期間です。

商品名 会社 用途 素材 保証期間
コロニアルクァッド ケイミュー 屋根 スレート 室内の雨漏り10年(割れても保証せず)
スマートメタル ケイミュー 屋根 SGL 穴あき25年
モエンサイディング ニチハ 外壁 窯業 亀裂2年
センターサイディング ニチハ 外壁 ガルバリウムSGL 赤さび10年

上記から同じ会社が扱う用途が同じ商品で、SGLの方が圧倒的に条件が良いことがわかります。

ケイミュー、ニチハはともに自社の主力商品とは別に金属屋根と金属サイディングを販売し続けています。
このことは、SGLが優れた建材であるという証拠にほかなりません。
築12年のスレート屋根

8-3.サビやすい環境

ガルバリウム鋼板はサビが発生し、サビが原因で不具合にいたることもあります。
サビの発生は環境や条件による影響が大きいです。
以下のような環境た条件でガルバリウム鋼板を使用するときは、細目に点検をしてください。

枯れ葉がたまりやすい屋根

木や枯れ葉が水分を含むと酸性の木酢液が発生し、ガルバリウム鋼板がサビやすくなります。

釘やビス穴周り

異種金属の接合部は電食の影響でサビやすくなります。
ガルバリウム鋼板を留める釘やビスなどの穴周りは注意が必要です。
また、ステンレス製の雪止め金具やアンテナの支線は高い確率でサビます。
もらいサビの影響を受けるおそれもあります。

沿岸地域

沿岸地域では塩害の影響を受けやすくサビやすいです。

工業地域

大気中に炭酸ガスを多く含む酸性雨の影響でサビやすくなります。

車の排ガスが多い地域

大気中に炭酸ガスを多く含む酸性雨の影響でサビやすくなります。

物理的な傷

台風などの強風で飛ばされた飛散物がガルバリウム鋼板のメッキ層に傷を付けた場合、傷がついた部分はサビやすくなります。
サビた雪止め金具

8-4.もしサビが発生したら?

8-3でサビの条件を記載しましたが、そもそもガルバリウム鋼板はサビにくく、広がりにくい素材です。
そのため、実際のサビは部分的に発生することが多いです。
下記の画像は築後18年が経過したガルバリウム鋼板の屋根です。
1㎝~2㎝程度のサビ発生か所が数か所みつかりましたが、サビが拡大進行している様子は一切見受けられませんでした。
このような部分的なサビはケレンをして補修塗料を塗ります。
ケレンとは「やすり」や「サンダー(削り器)」を使ってサビを削り取る作業のことです。
もし小さな穴が開いていたらシリコンを打ちます。

サビが全面的に発生している場合は、軽いケレンをして、サビ止めと仕上げ塗料を塗ります。
強度なケレン作業をすすめる人(塗装業者)がいますが、それは大きな間違いです。
ガルバリウム鋼板は「メッキ層」が素材の核心部分になるため、強いケレンによりメッキ層に傷をつけたり、取り除いたりすることは避けましょう
ガルバリウム鋼板のサビ

9.ガルバリウム鋼板の色あせ

9-1.ガルバリウム鋼板と焼付塗装

ガルバリウム鋼板は自動車のボディと同じ「焼付塗装」とよばれる特殊な塗装方法が採用されています。
自動車のボディや調理器具、アルミサッシなどの色も焼付塗装です。
焼付塗装は金属にしか適用できない塗装方法であり、他の塗膜よりも高い耐候性の塗膜が形成できます。
たとえば、現在販売されている外壁の金属サイディングはフッ素樹脂の焼付塗装が標準的に採用されています。
焼付塗装されたフッ素樹脂は20年以上経過しても、大きく色が変わらないことが多いです。
ただし、屋根にはフッ素よりグレードの落ちるポリエステル樹脂が焼付塗装されていることが多いです。
ポリエステル樹脂の場合は10年程度で色があせ始めます。

9-2.ガルバリウム鋼板の色あせ

いつかはガルバリウム鋼板の塗膜は色あせます。
ただし、色あせは屋根の機能や品質には影響しません。
また、塗装をしたことでガルバリウム鋼板の寿命が伸びたという証拠も証明されていません。
つまり、塗装をしなくても屋根の寿命に大きな影響はないということです。
ガルバリウム鋼板の塗り替えは主に美観の問題です。
むしろ、塗り替えのケレン作業でガルバリウム鋼板のメッキ層に傷をつけてしまうことの方が心配です。
ガルバリウム鋼板と色あせ

9-3.フッ素

色あせが気になる屋根はフッ素のガルバリウム鋼板をおすすめします。
屋根の場合、フッ素のガルバリウム鋼板は鋼板会社が20年の変退色保証をしてくれます。
メーカーが保証している通り、焼付塗装されたフッ素の屋根は色があせにくいです。
ガルバリウム鋼板 フッ素

9-4.石粒付ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板の屋根には屋根表面に細かな自然石が付着した商品があります。
石粒が屋根の色を表現しています。
石は色があせらないため、塗り替えの必要性がない屋根材です。
石粒付き鋼板屋根

10.ガルバリウム鋼板のことより大切なこと

10-1.見過ごされていること

ガルバリウム鋼板の耐久性について語ったり、評価したりするホームページがたくさんあります。
しかし、実際のガルバリウム鋼板の耐久性はとても高く経過も良好であるため、弊社はガルバリウム鋼板の耐久性は問題視していません。
むしろ、ガルバリウム鋼板を仕上げるために使う副資材(ふくしざい)や下に敷く下地材の方が問題です。
具体的には貫板(ぬきいた)や胴縁(どうぶち)、野地板(のじいた)などの板金下地、透湿シート、ルーフィング、釘、シリコンなどです。
これら副資材や下地材で注意が必要なポイントを案内します。

10-2.板金下地

コスト削減のため、屋根や外壁の下地には木(木下地)を使うことが多いです。
木下地が腐ってしまうと、板金を固定する釘が抜けやすくなってしまいます。
木下地を使用する場合、約10年~20年で釘が緩み板金が剥がれたりゆがんだりすることがあります。
木の下地はガルバリウム鋼板より耐久性が低いです。
そのため、ガルバリウム鋼板の下地には樹脂製品を用いることをおすすめいたします。
腐った板金下地
外壁木下地

10-3.直接下葺き材張りカバー工法の野地板

ガルバリウム鋼板の外壁を仕上げる際、新築でも改修でも通気工法が採用されます。
通気工法とは仕上げ面の裏に通気層を設ける工法です。
通気工法では断熱効果を高め、内部結露を抑えてくれる効果があります。
住環境を良くするだけではなく、建材の耐久性も高めてくれる合理的な工法です。
ガルバリウム鋼板に限らず、サイディング分野では通気工法は100%用いられています。

一方、屋根では工事費削減のため、通気工法が用いられることがほとんどありません。
さらに、現在は通気工法されていない屋根にガルバリウム鋼板を直接張るカバー工法(直接下葺き材張りカバー工法)が人気です。
本来は新しい野地板を張ってからカバー工法(野地板重ね張りカバー工法)をおこなう方が望ましいです。
しかし、こちらも工事費削減のため、おこなわれることが少ないです。
そのため、ガルバリウム鋼板より先に古い野地板が力尽きてしまうことがあります。
すでに野地板が腐食している状態でカバー工法をおこなってしまうと、屋根をリフォームする意味が全くありません。

カバー工法をおこなうには古い野地板の状態まで確認する必要があります。
なお、カバー工法でも必要応じて野地板を部分的に張り替えるこおとが可能です。
野地板の傷み具合は知識と経験が豊富な板金工事会社へご相談しましょう。
カバー工法について詳しくはこちら
腐った野地板

10-4.シリコン

ガルバリウム鋼板の屋根や外壁の接合部はシリコンを打って仕上げます。
外壁は見切り縁(みきりぶち)とよばれる役物(やくもの)でシリコンは隠されるため、雨や紫外線の影響が少なく長持ちします。
しかし、屋根の場合は外部露出しているため、およそ10年~15年でシリコンが破断するおそれがあります。
破断したシリコン

11.ガルバリウム鋼板のデメリット

11-1.デザイン性

外壁で一番人気のデザインはタイル調です。
タイルのような質感を表現するにはガルバリウム鋼板より窯業サイディングの方が優れています。
また、ガルバリウム鋼板を外壁に用いる場合、窓枠に2㎝程の見切縁(みきりぶち)が周りにつきます。
そのため、外壁分野においてガルバリウム鋼板は窯業よりデザイン性に乏しいといわれています。
しかし、最近のガルバリウム鋼板は意匠に優れた商品が多く、金属らしさを前面に押し出したモダンなデザインも人気です。
また、窯業は見切縁がない代わりにシーリングが外部露出するため、シーリングが傷みやすいなどのデメリットがあります。

デザイン性よりも機能やメンテナンス性を重視し、屋根も外壁もガルバリウム鋼板(オールメタルハウス)にする考えが流行しています。
オールメタルハウスは外装素材が全てガルバリウム鋼板なので、メンテナンススケジュールが図りやすくなります。オールメタルハウス

11-2.価格が高め

窯業サイディングやスレート屋根に比べてガルバリウム鋼板は10~20%程高いです。
しかし、メンテンス性などの費用対効果を考えると、ガルバリウム鋼板は十分な価値が得られる製品です。

11-3.メンテナンスフリーではない

ガルバリウム鋼板をメンテナンスフリーと称して営業する会社や人がいます。
石粒付き鋼板屋根の石粒は色があせらないため、塗装のメンテナンスが必要ありません。
また、メーカーによっては50年の長期保証を設けているメーカーも存在します。
そのため、ガルバリウム鋼板の工事を販売する一部業者はメンテナンスフリーと称して販売促進をしています。
しかし、ガルバリウム鋼板の素材自体がメンテナンスフリーというわけではありません。

11-4.凹む

外部から衝撃を受けた際、ガルバリウム鋼板はヒビ割れたり、崩れたりすることはありません。
ただし、凹みやすい素材です。
特に平たい面があるガルバリウム鋼板は凹みやすいです。
ガルバリウム鋼板が0.35mm程度の薄い板であることは忘れないでください。
凹んだガルバリウム鋼板

11-5.嵌合式(かんごうしき)

多くのガルバリウム鋼板の屋根や外壁は嵌合式で、お互い(上の屋根と下の屋根)を引っ掛けあって張ります。
そのため、嵌合式の金属屋根は瓦やスレートに比べて強風で飛ばされにくいです。
しかし、嵌合式にはデメリットもあります。
それは万が一、部分的にはがれたり、凹んだりした場合の対処です。
一度張られたガルバリウム鋼板を一枚剥がすには全部剥がさなければなりません。
つまり、差し替えなどの部分修理が極めて難しいつくりになっています。
腕の良い板金工であれば部分的に剥がして差し替える作業ができます。
しかし、ガルバリウム鋼板の差し替えは大きな労力と技術が求められます。
ガルバリウム鋼板 引っ掛けあい

12.ネガティブな情報の真実

12-1.ガルバリウム鋼板のネガティブな情報

ガルバリウム鋼板が人気になると困る職種があります。
瓦屋さんや塗装屋さんです。
ガルバリウム鋼板の屋根と外壁も取り扱うことができるのは板金工事会社であり、板金工です。

瓦屋さんは自分でできない、もしくは不得意であるガルバリウム鋼板の屋根が人気になると困ります。
もちろん、板金工事会社と相見積もりになったら確実に価格で負けます。
事実として、テイガク屋根修理では金属屋根の工事で他の専門業者と相見積もりの金額で負けることはほぼありません。
テイガク屋根修理の屋根リフォーム価格表はこちら

このような背景があるため、ガルバリウム鋼板のネガティブな情報を瓦屋さんは強調します。
インターネットでもガルバリウム鋼板、特にガルバリウム鋼板を用いたカバー工法のネガティブな情報を目にします
ガルバリウム鋼板のカバー工法について否定的なページは瓦屋さんが運営するホームページであることが多いです。

塗装屋さんも同じです。
金属サイディングの工事がスタンダードになった場合、塗装屋さんは職を失います。
そのため、金属サイディングに否定的なページは塗装屋さんのホームページであることが多いです。
ただし、最近の塗装屋さんは屋根は板金工事会社に外注し、外壁塗装だけを自社で請け負うケースが増えています。
金属屋根の工事については肯定的な塗装屋さんが多い傾向となっています。

ガルバリウム鋼板やカバー工法、金属サイディングについて書かれているネガティブな情報を全面否定するつもりはありません。
しかし、ネガティブな情報の多くはその仕事が直接できない人(瓦屋さんや塗装屋さん)の見解であることは理解してください。
瓦とガルバリウム鋼板

12-2.ガルバリウム鋼板の出荷量

ガルバリウム鋼板は販売から30年以上が経過し、実績と評価は十分積み重ねられています。
検証も十分おこなわれたと言い切ることができます。
下記は屋根素材の出荷数を面積ベースで表したグラフです。
参考:一般社団法人日本金属屋根協会
ガルバリウム鋼板と出荷量
ガルバリウム鋼板のみ右肩上がりに増え続け、その他の素材は低下や停滞をしています。
このページで述べましたように、ガルバリウム鋼板はパーフェクトな素材ではありません。
ただし、他の素材よりも相対的に優れている点が多い素材であることは間違いありません。
これから新築やリフォームで屋根や外壁を検討されている方は、ガルバリウム鋼板を候補に入れてください。
そして、工事についてはガルバリウム鋼板の専門家である板金工事会社にご相談ください。

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