


屋根の葺き替え工事は、おおよそ200万円前後の費用がかかります。
人生において住宅購入の次にかかる出費と表現してもよいでしょう。
そのため、消費者は適正な葺き替え工事や業者選びの方法を抑えてくおく必要があります。
この記事では屋根工事のプロであるテイガクが、一生で一度で済ませるための屋根の葺き替え工事について詳しく解説します。
目 次
閉じる屋根の葺き替え工事は7種類

屋根葺き替えの工事のパターンは7つあります。
どのような屋根材を葺き替えるか、そして新しくする屋根材は何を用いるかによって、工事費用が大きく変わります。
屋根の葺き替え工事の種類 | 費用 |
① 瓦屋根(葺き土なし)の葺き替え | 180~220万円 |
② 瓦屋根(土葺き屋根)の葺き替え | 230~270万円 |
③ スレート屋根(アスベストあり)の葺き替え | 200~250万円 |
④ スレート屋根(アスベストなし)の葺き替え | 175~215万円 |
⑤ トタン屋根(縦葺き金属屋根)の葺き替え | 170~200万円 |
⑥ 横葺き金属屋根の葺き替え | 170~200万円 |
⑦ アスファルトシングルの葺き替え | 170~200万円 |
瓦の葺き替えの場合は、土葺き屋根であるかどうかで大きく費用が変わります。
土葺き屋根の場合、屋根の歪みが大きいため、下地調整とよばれる屋根面をフラットにする工事が必要です。
スレート屋根はアスベストが含まれている屋根であるかどうかで大きく費用が変わります。
まれにアスベストが含まれている瓦の屋根(セメント瓦)があります。
トタン屋根などの金属屋根は処分費用がかからず、比較的コストを抑えた工事ができます。
金属屋根の葺き替えは屋根カバー工法と大きく費用が変わらないため、葺き替え工事がおすすめです。
葺き替え工事のメリットとデメリット
-
屋根の耐久性が40年以上に
-
屋根が軽くなり耐震性能が改善
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屋根からの雨漏り原因を解明
-
屋根カバー工法の1.4~1.8倍の費用負担
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平均の工事日数は約7日~10日と長め
-
音やほこり、振動が発生

葺き替え工事はこんな人におすすめ

「葺き替えとカバー工法、どっちが良いですか?」と尋ねてくるお客様は多いです。
「葺き替え工事の方が良い」。がテイガクの回答です。
新築時と同じ状態に戻す「葺き替え工事」が本来、屋根のリフォームでは望ましい工事です。
下記に当てはまる人は、是非、葺き替えを検討してほしいです。
葺き替えの工事を検討してほしい人
ノンアスベスト屋根でこの先25年以上、自宅で過ごす可能性がある人
築15年以上の中古住宅を購入した子育て世代
築40年以上のアスベスト入りのスレート屋根にお住まいの人
屋根の耐震性能や耐風性能に対して不安を感じている人
雨漏りの発生から1年以上経過している建物にお住まいの人
葺き替えでおすすめの屋根材は?
昔はガルバ、今はエスジーエル

基本的に屋根の葺き替え工事では、耐久性と耐震性に優れた金属屋根を用います。
従来はガルバリウム鋼板を用いることが多かったです。
しかし、最近は改良型ガルバリウム鋼板であるエスジーエル鋼板を用いることが増えています。
耐久性はエスジーエルなどの金属に比べると劣りますが、価格ではアスファルトシングルが最も安いです。
下の表は、2023年現在、一番安い韓国製のアスファルトシングルを基準価格(0円)とした場合、各屋根材とアスファルトシングルの価格差(参考価格)を示したのものです。
80㎡の屋根面積を想定しています。
アスファルトシングルとの価格差
屋根材 | 価格差 |
---|---|
アスファルトシングル(韓国製) | 0円 |
アスファルトシングル(日本製) | +50,000円 |
コロニアルクァッド | +60,000円 |
コロニアルグラッサ | +80,000円 |
石粒付き金属屋根(韓国製) | +150,000円 |
石粒付き金属屋根(ニュージーランド製) | +200,000円 |
断熱材一体型ガルバリウム鋼板(日本製) | +210,000円 |
断熱材一体型エスジーエル鋼板(日本製) | +220,000円 |
断熱材一体型エスジーエル鋼板・フッ素(日本製) | +320,000円 |
ルーガ | +400,000円 |
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1位:断熱材一体型エスジーエル鋼板(改良型ガルバリウム鋼板)

葺き替えの工事には、断熱材一体型のエスジーエル鋼板をおすすめします。
エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えた高耐久鋼板です。
日本の技術によって発明された次世代の鋼板で、ガルバリウム鋼板の3倍超の耐久性が認められています。
断熱材が付着した商品は、高い断熱効果があり、真夏の屋根裏温度を大幅に下げることができます。
屋根本体を立ち上げたり折り曲げたりすることができるため、金属屋根本来の高い止水性が実現できます。

2位:ルーガ

セメントに強化繊維と気泡を加えた改良型のセメント系屋根「ルーガ」。見た目は瓦のようなフォルムですが、ハンマーで叩いても割れないほど頑丈です。
瓦と同様の断熱効果も得られます。

3位:石粒付き金属屋根

石粒付き金属屋根は、断熱材一体型の日本製金属屋根よりもリーズナブルな価格でお求めいただけます。
石粒が付いているため、屋根を曲げることによる止水性向上を図ることができない点と屋根と屋根のジョイント部分にすき間が生じやすいのがデメリットです。
価格重視の方におすすめの屋根材です。

葺き替え費用と相場
葺き替えの相場
屋根の葺き替えの費用は、屋根の面積を基に計算します。

下の表は、葺き替えの相場です。
用いる屋根材よって金額は変わります。
屋根葺き替えの見積書(参考)
瓦からガルバリウム鋼板屋根への葺き替え金額
工事項目 | 単価 | 面積 長さ |
小計 税抜 |
---|---|---|---|
仮設工事 | |||
足場工事 | 750円/㎡ | 270㎡ | 202,500円 |
解体・下地工事 | |||
瓦屋根撤去処分 | 3,200円/㎡ | 100㎡ | 320,000円 |
野地板張り | 3,100円/㎡ | 100㎡ | 310,000円 |
屋根工事 | |||
ルーフィング(ゴムアス) | 900円/㎡ | 100㎡ | 90,000円 |
ガルバリウム鋼板(断熱材一体型) | 6,000円/㎡ | 100㎡ | 600,000円 |
軒先板金 | 2,200円/m | 20m | 44,000円 |
ケラバ板金 | 1,700円/m | 17m | 28,900円 |
棟板金交換 | 2,500円/m | 16m | 40,000円 |
雨押え板金 | 2,500円/m | 8m | 20,000円 |
板金下地(木下地) | 800円/m | 24m | 19,200円 |
オプション工事 | |||
換気棟(内部樹脂製/半間) | 25,000円 | 1台 | 25,000円 |
屋根本体鉄ビス留め | 250円/㎡ | 100㎡ | 25,000円 |
諸経費 | |||
資材搬入搬出費 | – | 1式 | 30,000円 |
管理諸経費 | 6% | – | 105,276円 |
消費税 | 185,988円 | ||
端数調整 | -864円 | ||
屋根リフォーム費用合計(参考価格) | 2,045,000円(税込) |
※テイガクオリジナルの施工方法ではなく、一般的な施工方法による工事内容となります。
費用が変わる一番の要因は「業者選び」

屋根の葺き替え費用を求める基準は、屋根面積です。
しかし、工事価格が変わる”要因”は「どこの会社に依頼をするか」になります。
屋根葺き替え工事は、金属屋根に葺き替えることが一般的であるため、適正価格による金属屋根の工事を実現するには建築板金工事会社に直接、依頼されることをおすすめします。
建築板金工事会社であるかどうかは、倉庫の有無によって判別することができます。
金属屋根は大きいため、屋根材保管用の倉庫が不可欠です。
直接工事で屋根工事を提供する会社は、必ず倉庫があります。
屋根材保管用の倉庫がある会社であるかどうかがポイントです。

業者紹介サイトを利用すると割高に

屋根葺き替え業者を無料で紹介してくれるホームページが存在します。
紹介された屋根工事業者とお客様が契約すると、屋根工事業者は紹介料として工事金額の10~15%をマッチングサイト運営会社に支払います。
そのため、紹介された全てのリフォーム業者は紹介料を上乗せした工事価格で見積書を作成します。
このシステムを理解していれば、業者紹介サイトを経由せずに自ら屋根工事業者を探して直接、葺き替え工事を依頼するほうが工事金額は安く済みます。
葺き替えの補助金

瓦屋根の耐震性能もしくは耐風性能向上を目的にした改修は、補助金事業の対象になる可能性があります。
補助金事業は市区町村が窓口の場合が多いです。
詳細はお住まいの市区町村の担当課にお尋ねください。
地方自治体の補助金を検索できるポータルサイトがあるため、ウェブサイトから確認することも可能です。
葺き替え時期
葺き替えのタイミングの目安
各屋根ごとの葺き替え工事の時期
屋根材 | 葺き替え時期 |
---|---|
瓦屋根(土葺き屋根) | すぐに |
瓦屋根 | 40年以上 |
セメント瓦 | 30~40年 |
スレート(アスベスト入) | 35年以上 |
スレート(アスベスト無/~2000年半ば) | 15年以上 |
スレート(アスベスト無/2000半ば以降) | 30年以上 |
瓦棒(トタン屋根) | 25年以上 |
アスファルトシングル | 30年以上 |
屋根の下地が傷みだす前に葺き替え

葺き替えを検討する時期は、屋根の下地材である「野地板」や構造材である「垂木」などが傷む前におこなってほしいです。
野地板や垂木が腐食してしまうと、費用負担が大きい「野地板の交換」あるいは「垂木の補強」が必要になります。
工事日数も長くなってしまいます。

雨漏り屋根は葺き替えを検討

雨漏りは絶対に放置しないでください。
野地板や垂木の腐食だけではなく、断熱材の機能低下を促進させてしまいます。
カビの増殖による健康被害も心配です。
コストパフォーマンスが高い屋根カバー工法が実施できたにもかかわらず、雨漏りを放置していたため葺き替え工事をおこなうことになったお客様、かなり多いです。
葺き替え方法と手順
以下は、葺き替え工事の手順です。
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屋根をはがす
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野地板を増し張りする
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ルーフィングを貼る
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板金役物を取り付ける
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屋根材を張る
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下り棟部の屋根本体を立ち上げ、またはC型捨て谷を取り付ける
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面戸を取り付ける
-
棟板金を固定する
-
換気棟を取り付けて完成
葺き替え工事の様子

屋根のアスベスト有無の報告を工事前に自治体におこないます。
2023年10月から法律が更に厳しくなっています。
両罰規定のため、工事を依頼する側(お客様側)も工事会社が事前報告を怠っていないか、確認する必要があります。

現地調査の様子です。
築30年のコロニアルです。
一度、屋根塗装を実施しています。

屋根をはがします。

野地板を張ります。
古い野地板の上に新しい野地板を重ねて張ります。
テイガクでは構造用合板特類2級12mmの野地板を使用します。
野地板にも種類があり、ぱっと見では区別がつかないので注意してください。

板金部材を取り付けます。
今回はアイジー工業のスーパーガルテクトを使用しました。
アイジー工業のスーパーガルテクトは、ケラバ板金や軒先板金の止水設計が優れています。
雨漏りリスクが低い板金部材であると評価できます。

屋根本体を立ち上げます。
金属屋根は棟板金の内部に雨水が入り込みにくい施工方法ができる優位性があります。

面戸を取り付けます。
棟板金内部に雨水が侵入しないよう、面戸の取り付けをテイガクでは推奨しています。

棟板金を取り付けます。
棟部は屋根で最も不具合が多い部位です。
雨漏りや風による飛散リスクを大幅に低減できる工事をテイガクでは心がけています。

棟の頂部に屋根裏の熱を放出させる換気棟を取り付けて、屋根の葺き替え工事、完成です。
テイガクは業界最長の15年保証
テイガクでは、オリジナルのアルミ下地(エスヌキ工法)を用いた葺き替え工事をおこなった場合、15年の工事保証を付保しています。
よりお客様に安心できる屋根葺き替え工事をご提供いたします。

スレート屋根の葺き替え手順と方法
テイガクの葺き替えの施工例
葺き替え工事で抑えておきたい3つのポイント
1:野地板に注意

原則、葺き替え工事の場合は、古い野地板をはがさずに残したまま、新しい野地板を重ね張りします。
用いる野地板は構造用合板です。
ホームセンターにいくと分かりますが、合板はたくさん種類があります。
合板の中でも普通合板は、耐震強度を高めることができないので、屋根の葺き替えでは用いません。
見積書に「構造用合板」であるかどうか、そして「12mm以上」の厚みであるかを必ず確認しましょう。
野地板に適した板
板の種類 | 適正 |
---|---|
構造用合板 | 〇 |
コンパネ(コンクリート型枠合板) | × |
普通合板(ラワン) | × |

古い野地板を再利用する葺き替えの注意点

築後20年未満の住宅の多くは、野地板の劣化はそれほど進んでいないです。
そのため、築浅の住宅で葺き替えをおこなう際、古い野地板を再利用して葺き替えることがあります。
野地板を再利用する場合は、野地板の”長寿命化”を図る必要があります。
野地板の長寿命化には、換気棟が有効です。
野地板の結露による腐食を抑える効果が期待できます。
野地板を再利用する葺き替え工事は、換気棟を必ず、できれば多く取り付けましょう。

古い野地板をはがす葺き替えの注意点

テイガクでは、屋根の劣化がかなり進行している時、あるいは耐震性の向上を図る時、古い野地板をはがして交換する作業をいたします。(野地板はがし)
野地板はがしを伴う屋根工事は、突然の降雨があると、室内が水浸しになる恐れがあります。
かなり高度な屋根工事技術が必要な工事になります。
野地板はがしの工事は、実績がある屋根リフォーム業者に依頼しましょう。
2:アスベストに注意
2022年4月より、100万円を超える全ての改修工事には、アスベスト含有の有無について、行政機関へ事前報告をおこなうことが義務化されました。(石綿事前調査結果報告)
2023年10月からは、有資格者による調査が必要になります。
知見に乏しい屋根リフォーム業者も存在するはずです。
工事依頼者にも責任が課せられる両罰規定としても読み取れる法律です。
必ずリフォーム業者には、アスベストの事前報告を実施してもらいましょう。
3:下地調整に注意

土葺き屋根は、長年の屋根の重みで屋根面が変形しているはずです。
そのため、屋根面を平坦にする“下地調整”とよばれる工事が必要です。
歪んだ屋根に屋根材を張っても、屋根の長期維持は期待できません。
残念ながら、下地調整をおこなわずに屋根の葺き替えがなされている現場、多く見られます。
土葺き屋根の葺き替えは、必ず下地調整をおこなってください。
葺き替え工事でよくある質問
A
株式会社カナメの「カナメルーフ」や中山化学株式会社の「ニュールーフィックス」などがあります。
A
スレート屋根と瓦屋根は野地板よりも重いため、野地板を増し張りする葺き替えは耐震性能を改善させることができます。
用いる野地板は、普通合板やコンパネではなく構造用合板を必ず使用してください。
A
100㎡程度の場合で、およそ10日、かかります。
A
瓦屋根はほこりがたくさん舞います。
屋根裏に貴重品がある場合は、工事前に養生を必ずおこなってください。
瓦をおろして保管するスペースと新しい屋根材を保管するスペースが必要です。
駐車場や庭のスペース確保のご協力をいただくことになります。