瓦の葺き直し(ふきなおし)とは?葺き替えとの違いと相場について

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葺き直しとは?

古い瓦を再利用して屋根を整え直す工事

瓦の葺き直しをする屋根

葺き直しとは、古い瓦屋根を再利用して屋根を張り直す工事のことです。
瓦屋根の耐用年数は50〜60年です。
築後30年程度の建物の瓦は、まだまだ長持ちします。
一方で、瓦は地震や台風で崩れやすいというデメリットがあります。
築後30年で大きな地震や台風が発生し、瓦が瓦解した場合、古い瓦を再利用して屋根を葺き直します。
割れてしまって再利用ができない瓦は、新しい瓦に交換します。
雨漏りがあった部位だけ部分的に葺き直すこともできます。

葺き替えについて詳しく知りたい人はこちらから

屋根の葺き替え

葺き替えよりも費用が安く済む

瓦の葺き替えをおこなうテイガクの工事現場

瓦屋根のリフォームとして始めに思いつくのが「葺き替え」です。
古い屋根を全てはがしてガルバリウム鋼板などの軽量で耐久性が高い屋根に張り替える工事です。
耐震性の観点から、ガルバリウム鋼板の屋根を選択される機会が増えています。
もちろん、瓦を処分して新しい屋根材を購入す葺き替えの工事価格は、葺き直しより高いです。

葺き直しができるのは陶器瓦だけ

陶器瓦の屋根の現場

原則、葺き直しができるのは陶器瓦だけです。
金属屋根やスレート屋根は、一度はがしてしまうと圧力により、屋根が変形することが多いです。
そのため、再利用して葺き直すことができません。
セメント瓦はすでに製造元が撤退しており、補修用の新しいセメント瓦が入手できないため、葺き直しができないです。

葺き直しで取り入れる工事項目

葺き直しの目的は崩れた屋根を整えるだけではありません。
むしろ、屋根を整えることよりも優先しなければいけない工事項目があります。

野地板張り(雨漏り時)

野地板は瓦屋根を下支えする下地の板材のことです。
基本的に現代は、構造用合板を用いることが多いです。
同じ合板でも普通合板やコンパネはNGです。
耐震性と耐久性を備えた構造用合板を用いてください。

昔の屋根である場合、バラ板とよばれる野地板が採用されていることがあります。
バラ板は長寿命で30年経過しても腐食がない、腐食が限定的であることが多いです。
そのため、腐食があった部位だけを補修して葺き直すこともあります。

ルーフィング貼り直し

ルーフィングを貼り直す

葺き直しをおこなううえで最も重要なのは、ルーフィングの貼り直しです。
雨漏りの原因はルーフィングの破れです。
ルーフィングにも耐用年数があり、およそ20年~30年程度経過すると防水機能が低下します。
新しいルーフィングを貼ることで屋根の防水性能が高まります。

谷樋板金の交換

屋根と屋根の接合部にある谷樋板金

屋根と屋根の接合部に谷樋板金とよばれる板金部材を取り付けます。
瓦の釉薬は、雨水と共に少しずつ流れ落ちます。
その釉薬に触れた板金は電蝕により溶ける性質があります。
20年以上経過した瓦屋根の谷樋板金は、変色穴あきが生じることが少なくありません。
そのため、葺き直しとあわせて谷樋板金を交換することが多いです。

棟の漆喰詰め直しと番線交換

棟瓦に漆喰がある場合は、葺き直しとあわせて漆喰を詰め直します。
棟瓦を固定する番線も同時に交換します。

ガイドライン工法の採用

2022年1月1日から、瓦の固定方法が強化されることが義務化され、建築基準法が改正されました。
具体的には、瓦は全数釘打ちし、棟瓦はビス打ち(ねじで固定)すること(ガイドライン工法)が義務化されました。
従来の瓦の固定方法では、台風などの強風では耐えられない設計です。
したがって、葺き直しでもガイドライン工法に準ずる工事が求められます。

ガイドライン工法の義務化により、既存住宅の改修時に補助金が利用できる可能性があります。
詳しくはお住まいの自治体にご相談ください。

葺き直しの費用と相場

葺き直しと葺き替えの費用と相場について解説します。
足場代は別途約20万円、発生します。

家

建物モデル

屋根面積 80㎡
屋根面 6面

葺き直しと葺き替えの費用と相場

工事項目 相場
葺き替え 130~150万円
葺き直し(野地板張りあり) 90~110万円
葺き直し(野地板張りなし) 70~90万円

葺き直しを依頼する業者

瓦工事会社に直接依頼

屋根の工事会社は大きく3つあります。
塗装工事会社」「板金工事会社」「瓦屋根工事会社」の3つです。
それぞれ、全く異なる職種です。

瓦を専門的に取り扱う会社は、瓦屋根工事会社です。
職人さんは、瓦葺き職人が当てはまります。
言うまでもないことですが、瓦の葺き直しは、瓦を取り扱っている工事会社に直接依頼することで、工事価格を抑えることができます。
適格な工事内容の説明も受けられるはずです。

瓦の工事会社

一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)のウェブサイトから検索

瓦工事会社は、一般社団法人全日本瓦工事業連盟(通称、全瓦連)に加盟していることが多いです。
テイガクは板金工事会社であるため、全日本板金工業組合連合会(全板連)に加盟しています。
全瓦連のウェブサイトで瓦工事会社を検索することができるため、葺き直しを検討されている人は、是非、参考にしてください。

葺き替えも検討

金属屋根の工事は板金工事会社へ

テイガク大阪中央工事センター

葺き替え工事は現在、金属屋根に葺き替えることが一般的です。
適切な工事方法で葺き替えをおこなえば、屋根の耐用年数は40年以上維持させることができます。
耐震性の改善だけではなく、施工方法によっては耐風性に優れた施工が再現できます。
一方、金属屋根の工事は板金工事会社板金工職人が担う工事です。
したがって、葺き替え工事を検討されている人は、板金工事会社にご相談ください。

テイガクは板金工事会社です。
屋根の不具合で最も多い棟板金では、棟板金がはがれる原因の下地対策として、特許を取得したアルミ製の下地を採用した工事をご提供いたしております。
テイガクが対応できる工事エリアで、地震や台風などの影響を心配されている人は、是非、テイガクにご相談ください。
お見積りまでは無料で承っております。

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この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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