コロニアルとは?
住宅用のスレート屋根の商品名
コロニアルはケイミュー(クボタとパナソニックの合弁会社)が取り扱う戸建て住宅専用の「スレート屋根」の「商品名」です。
スレート屋根の正しい一般名称(正式名称)は「平形屋根用スレート」です。
ただ、そうよぶ人は誰もいません。
コロニアルもしくはスレート屋根とよぶ人が多いです。
その他、「カラーベスト」や「平板(へいばん)スレート」「化粧スレート」「薄型スレート」「石綿スレート」ともよばれています。
テイガクにリフォームを依頼されるお客様の約7割以上がコロニアルのお客様です。
とてもたくさん使われている屋根である一方で、過去を振り返るとたくさんの問題を抱えている屋根です。
このページでは、コロニアルの「寿命」「耐久性」「塗装の必要性」「メンテナンス」中心に詳しく解説します。
コロニアルのサイズ・重さ・厚み・価格
古いコロニアルを差し替え補修することもあるため、コロニアルのサイズは原則規格化されています。
下記は流通量の多いコロニアルクァッドの仕様です。
コロニアルのサイズ | 幅910mm×高さ414mm |
働き寸法 | 幅910mm×高さ182mm |
厚み | 5.2mm |
1㎡あたりの重量 | 約20Kg |
1㎡あたりの必要枚数 | 約6枚 |
梱包入り数 | 8枚 |
1㎡あたりの値段 | 約3,000円 |
上面のみの張り替えの場合は、必要枚数は半分になります。
コロニアルとアスベストの歴史
コロニアルの主成分はセメントです。
セメントを強固に固める素材として昔のコロニアルにはアスベスト(石綿)が含まれていました。
おおむね2000年以前に製造されたコロニアルにはアスベストが含まれています。
第一世代のスレート屋根(コロニアル)で、代表的な商品としてニューコロニアルがあります。
2000年以降はアスベストの代替物として繊維を混ぜて、コロニアルを製造していました。
しかし、2000年初頭から後半にかけて製造されたアスベストの代替物は十分な性能を持ち合わせておらず、これまでのアスベスト入りのコロニアルよりも、ぜい弱でした。
第二世代のスレート屋根(コロニアル)で、商品名ではコロニアルNEOなどがあげられます。
2008年から改良型コロニアルが発売されます。
第三世代のスレート屋根(コロニアル)で、商品名ではコロニアルクァッドなどがあげられます。
世代別・代表的なコロニアル商品とその特徴
第一世代 ニューコロニアル
ニューコロニアルは1979年に発売された屋根です。
アスベスト含有されている代表的なコロニアルです。
コロニアルの中で最も普及しています。
耐久性が高い屋根材です。
多くの場合、塗装をおこなわなくても、築30年以上、屋根機能が維持されます。
製造時期 | メンテナンス時期 |
---|---|
昭和54年から 平成13年 | テイガク屋根修理では建築後30年から35年目に カバー工法によるリフォームを実施するケースが多いです。 |
第二世代 コロニアルNEO(ネオ)
コロニアルNEO(ネオ)はアスベスト規制直後に販売された屋根材で、ニューコロニアルの後継品です。
2001年4月から販売が開始されました。
ニューコロニアルなどのアスベスト含有のコロニアルと比べて、明らかに劣化の進行が早いです。
築10年から15年後、屋根先(1cmから2cm)部分に欠けもしくは、細かなひび割れがが目立ち始めます。
製造時期 | メンテナンス時期 |
---|---|
平成13年~ (現在は製造中止) | テイガク屋根修理では建築後20年目にカバー工法によるリフォームを実施するケースが多いです。 |
こんなにもある!第二世代コロニアルNEOの同等品
当時のスレート屋根はおしなべてコロニアルNEOと同程度の耐久性です。
コロニアルNEOだからとは限りません。
以下は当時発売された商品の一覧です。
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セイバリーNEO
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スペリアルNEO
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ザルフ
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ミュータスNEO
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グリシェイドNEO
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レサス
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エコ・シンプル
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シルバス
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シンフォニー
第二世代 コロニアルNEOの見分け方
コロニアルNEOの見分け方
第三世代 コロニアルクァッド
コロニアルクァッドはコロニアルNEOの後継品です。
現在のコロニアルの主流品です。
2008年に販売が開始されました。
ニューコロニアルと同じ形をしています。
販売して10年程度しか経過していないので、評価は難しいですが、コロニアルNEOよりは丈夫であることは確かです。
製造時期 | メンテナンス時期 |
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現在製造中 | メーカーカタログでは建築後30年が目安 |
第三世代 コロニアルクァッドの見分け方
コロニアルクァッドの見分け方
コロニアルの耐久性
コロニアルの耐久性・寿命は?
第一世代のコロニアルで30年~40年、第二世代のコロニアルで15年~25年です
コロニアルの世代 | 製造時期の目安 | アスベスト有無 | 耐久性 |
第一世代 | 2000年以前 | 〇 | 30年~40年 |
第二世代 | 2000~2008年頃 | × | 15年~25年 |
第三世代 | 2008年以降 | × | 30年? |
棟板金 | - | - | 5年~15年 |
コロニアルの耐久性は上記の表のとおりです。
ただし、コロニアル本体よりもコロニアルてっぺんに取り付けられている棟板金(むねばんきん)が先行して不具合を起こすことが多いです。
棟板金は築後数年で飛ばされるケースが少なくありません。
棟板金が飛ばされる理由は木の下地と鉄くぎの組み合わせの相性が悪いからです。
テイガクでは腐食と変形、そして耐風性に強い金属下地(エスヌキ)を用いた棟板金の施工をおこないます。
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)の強度について
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)は「価格の安いガルバ」と「錆に強いアルミ」の2種類からお選び頂けます。
アルミは、異種金属接触の腐食を考慮した板厚(1.3mm)で設計し、表面にはアルマイト処理(絶縁処理)を施しています。
これまでの数多くの失敗と経験から生まれたテイガクのオリジナルの下地材です。
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そもそもコロニアルが普及した理由は?
高度経済成長期の住宅供給不足と屋根の軽量化の2点が大きな理由です
昭和や平成初期の時代、屋根材といえば瓦屋根でした。
しかし、瓦は生産に時間がかかり、施工の技術力を要し、何よりも高額でした。
そこで、安価で大量生産でき、技術力を求められないコロニアルは急速にシェアを拡大するにいたりました。
決定打は阪神淡路大震災です。
瓦屋根の耐震性の問題が社会問題となり、コロニアルはたちまち市場を独占するようになりました。
耐震性の基準値は屋根材の種類によって決定されます。
コロニアルは軽い屋根材として、瓦屋根よりも緩い基準値が設定されています。
屋根材 | 耐震性の基準値(壁量計算基準) |
コロニアル | 軽い屋根材 |
瓦屋根 | 重い屋根 |
土葺き瓦屋根 | 非常に重い屋根 |
しかし、今現在そのコロニアルに頭を抱えている人が続出しています。
今コロニアルで困っている人が増えている理由は?
第一世代と第二世代の劣化時期が重なってしまったからです
第一世代のコロニアルで家を建てた人は、ちょうど今がコロニアルを改修するタイミングです。
当時のコロニアルはアスベストが含まれているので、葺き替え工事はかなり費用負担となります。
建築面積(建坪)25坪から30坪程度の住宅で、150万円から200万円近くの費用が葺き替えの場合、かかります。
そのため、築後30年前後でカバー工法によるリフォームおこなう人が多いです。
一方で第二世代のコロニアルも、今がリフォームのタイミングです。
築後10年や15年が過ぎる頃にコロニアルの欠けやひび割れが明らかに目立ち始めます。
そのような背景があり、現在、コロニアルのリフォームを検討する人が急増しています。
以下のような思いを多くの人が感じているのではないでしょうか。
まさか屋根の葺き替え工事がそんなに高いなんて思ってもみなかった。。。
まさか築10年足らずで自宅の屋根がボロボロになるなんと思ってもみなかった。。。
雨漏りを放置しておくととどうなる?
屋根構造材を含めた改修を伴う葺き替え工事が必要となります
塗装の有無にかかわらず、コロニアルの屋根は40年以上は持ちません。
35年以上経過すると、雨漏り発生のリスクが高くなります。
雨漏りをそのまま我慢をして放置する人がいます。
一定期間、雨漏りを放置してしまうと、コロニアルを固定して支えている野地板(のじいた)を剥がして、野地板を支えている垂木(たるき)という部材を補強しなければならない事態にまで発展します。
こうなってしまうと、かなり大掛かり工事となり、更に多額の費用が発生することになります。
また、雨漏りを放置したコロニアルは野地板がフニャフニャになっており、屋根にのぼると屋根を突き抜けてしまうことがあります。
命を落とす危険もあるので、素人は絶対に屋根にのぼらないようにしてください。
コロニアルのメンテナンスと塗装の必要性
コロニアルの塗装は必要でしょうか?
美観維持を目的にしない限り必要ではありません
ケイミューが発行しているメンテナンススケジュール表にも屋根塗装は必須ではないということが読み取れます。
あくまでも「屋根塗装は美観上おこなうもの」であるというのが製造会社の公式な見解です。
つまり、屋根品質や機能の観点において、屋根塗装の効果は限定的もしくは効果がないということです。
築後30年経過した無塗装のコロニアルでも全く問題なく屋根がしっかりと機能している建物は、日本国中に数え切れないほど存在していることからも、屋根塗装の価値があまりないことがうかがえます。
それではなぜコロニアルの塗装をする人が多いのでしょうか?
外壁塗装会社や塗料会社による宣伝効果です
コロニアルは塗装をしなければいけないというレッテルを貼り、コロニアルの塗装市場が形成されています。
たとえば、苔がぎっしり生えたコロニアルはなんだか傷んで劣化が進んでいるような気になってしまいます。
「苔がたくさん生えているから早く塗装をしなければダメですよ」。
みたいなことを言われたことはありませんか?
しかし、苔の有り無しは屋根の機能と全く関係がありません。
なぜなら、コロニアルは2枚重ねになっていて、コロニアルの下にはもう1枚コロニアルがあるからです。
コロニアルの構造を知っておくと、塗膜形成の価値はあまりないことに気付くはずです。
コロニアルで塗装をおこなってはいけない屋根はありますか?
第二世代のコロニアル塗装はおすすめしません
第二世代のコロニアルに塗装をしたり、太陽光パネルの乗せたりすることは絶対に避けてください。
元がぜい弱な屋根であるので、お金の無駄遣いになるだけではなく、屋根の寿命を縮める最悪の結果を招くおそれがあります。
塗装会社や太陽光パネルの設置会社の多くは、第二世代のコロニアルのぜい弱さに理解が乏しいです。
もしくは目先の利益のために無理矢理工事をおこなう会社もいるかもしれません。
なお、第二世代のコロニアルでなくても、コロニアルの塗装をおこなったことで雨漏りが誘発される結果になる場合があります。
一番多いのがタスペーサー設置や縁切りがおこなわれずに、屋根塗装をおこなうケースです。
コロニアルの塗装の注意点は是非、抑えてください。
コロニアル塗装の失敗例
コロニアル塗装の失敗例
どんなところを注意してメンテナンスした方が良いか?
1番初めに棟板金・2番目にルーフィング・3番目に野地板の状態をチェック
コロニアルのメンテナンスにおいて、何よりも大事なのが棟板金の状態確認です。
屋根塗装をおこなう場合は、棟板金の交換は必ずセットにおこなってください。
その場合、棟板金を取り外して棟板金の下地材を交換しないと意味がありません。
棟板金に釘打ちだけで済ませる人が多いですが、絶対に避けて下さい。
屋根からの雨漏りはコロニアルの下にあるルーフィングの破れが原因です。
汎用的に用いられているルーフィングの寿命は長くて25年から30年です。
コロニアルはコロニアルの下に水が回りやすい構造をしています。
コロニアルに塗装をしたところで、ルーフィングを交換しない限り雨漏りの解消はできません。
屋根の下地である野地板の劣化が進行していると、コロニアルが剥がれやすくなります。
そして、野地板が水を含んで腐ってブヨブヨになると、屋根塗装どころか屋根カバー工法さえもできなくなります。
残された道は、屋根を剥がして張り替える葺き替え工事だけです。
コロニアルの状態を確認する際は、野地板の状態も合わせて確認しましょう。
コロニアルのリフォーム費用 Q&A
コロニアルのカバー工法の費用は?
110~130万円(足場代込)です。
屋根の形と用いる屋根材の種類によって10万円~30万円程度の差が生じます。
コロニアルの塗装費用の費用は?
50~60万円(足場代込)です。
使用する塗料によって10万円程度の差が生じます。
コロニアルの葺き替え費用は?
130~160万円(足場代込)です。
屋根の形と用いる屋根材の種類によって10万円~30万円程度の差が生じます。
アスベストが含まれている場合、更に20~30万円程度、工事費が高くなります。
コロニアルの部分修理や応急処置の費用は?
足場を組み立てないで修理や応急処置を行った場合、5~10万円程度の費用が相場です。
まとめ
コロニアルの寿命はどんなに長くても40年です。
さらに第二世代のコロニアルは更に短く30年です。
この数字は塗装をしてもしなくても変わらない数字です。
なぜなら、コロニアルの下にある一般的な品質のルーフィングの寿命が20年から30年程度だからです。
また、換気棟などの湿気対策をしていない野地板の場合、野地板の寿命はせいぜい40年です。
ハウスメーカーの営業や塗装会社に言われて、言われるがままにコロニアルに塗装をする人が今も多いです。
インターネットでも「屋根塗装は絶対おこなわなければならない」。といった情報であふれています。
屋根塗装にお金をつかうのであれば、いずれ必要になる「屋根カバー工法」や「屋根葺き替え」工事のための資金として塗装をおこなわずに貯金をしておくほうが合理的で賢明だと思います。
具体的には、築後25年まで何もせずに、25年の節目で屋根と外壁カバー工法をおこなって、外装工事を1度で済ませてしまう。
この考え方を筆者は推奨しています。
下記は横浜市の塗装会社さんのブログです。
是非、この記事と合わせてご覧ください。
屋根塗装を猛プッシュしている塗装会社のホームページと、一味も二味も違います。
塗装を主業にしている会社さんによる情報発信なので、より信用ができる情報ではないでしょうか。
是非、多様な意見を参考にして、たくさんの情報からご自身が納得できるリフォーム工事を選択してください。
そして、この記事が少しでも読者の方の利益になることができたならうれしいです。