パミールに塗装はできない
パミールとは?
![アスベストを含んでいないニチハのパミール](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2023/01/IMG_0558-1-1-768x432.jpg)
ニチハのパミールはアスベストが含まれていない、1996~2008年に製造されたスレート屋根です。
スレート屋根にアスベストを含めることが禁止され始めた時期と製造開始日が重なります。
アスベストが含まれていない次世代の屋根材として日本全国に普及しました。
しかし、建築後10年程度過ぎると、著しい屋根表面の劣化や、留め具の錆びが現れるといった不良問題が発覚しました。
現在はリコールにまで発展し、製造中止にいたっています。
パミールに屋根塗装ができない理由
屋根塗装は屋根表面の保護をおこなうものであり、屋根内部までを保護できる処置ではありません。
したがって、屋根塗装をおこなっても、屋根本来の機能を回復させることは難しいです。
お金が無駄になってしまうので、パミールの塗装は控えてほしいです。
パミールを含めたスレート屋根材はセメントを固めた素材です。
時間の経過と共に固まったセメントが崩れ始めたり、屋根の表面がはがれ始めます。
屋根の表面が砂のようにボロボロに進行していることも少なくありません。
塗装でさらに屋根の劣化が促進
![塗装により劣化したパミール屋根](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2023/01/IMG_3731-1-768x432.jpg)
最悪のケースは、パミールに塗装をしてしまったことで、屋根の劣化がさらに進行したケースです。
屋根塗装の際、高圧洗浄とよばれる屋根表面の汚れを取り除く作業をおこないます。
高圧洗浄による汚れの除去は、洗い流すイメージではなく削り落とすイメージです。
高圧洗浄の圧力で屋根にダメージを与えてしまう可能性があります。
ボロボロになったパミールに更に負荷を与えてしまう結果は、容易に想像ができます。
パミールの塗装は屋根の寿命を短くさせてしまう可能性があります。
屋根に良いことと思っていた工事が、まったくの逆効果になるのはとても残念なことです。
パミールの屋根に塗装をする理由は?
なぜパミールに塗装をしてしまったのか?
塗装会社の屋根についての理解不足が原因と思われます。
パミールの屋根材の特徴を把握していれば、塗装はおこなわなかったはずです。
言うまでもないことですが、塗装会社は”屋根材を張る工事”を専門ではなく、”塗装”が専門です。
もちろん、屋根について詳しい塗装会社は存在するはずです。
しかし、普段から多くの屋根材と触れる機会は少ないです。
屋根の状態を適切に判断できない会社少なくないはずです。
読者の方が思っている以上に屋根というのは奥が深く、難解な分野の工事です。
スレート屋根の塗装は意味がない?
美観目的のための屋根塗装は意味があります。
屋根の汚れが目立つ建物は、屋根塗装をおこなう価値があります。
一方で屋根を長持ちさせるための塗装の機能維持は意味がないです。
そもそも、パミールに限らずスレート屋根は2枚重ねの構造になっています。
1枚目の表面塗装をしたところで、2枚目の下に敷かれているスレート屋根は塗装はできません。
なによりも、1枚目の屋根に下に敷かれているスレート屋根は保護されています。
スレート屋根のメーカーであるケイミューも屋根塗装は”美観上必要に応じて”とカタログに明記しています。
屋根の塗装は機能維持を目的におこなうものではありません。
「スレート屋根は塗装するべきもの」といった宣伝が刷り込まれているように筆者は思います。
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パミールの正しいリフォームは?
基本は葺き替えがおすすめ
![パミールの屋根材](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2023/01/IMG_7700-1-768x432.jpg)
これからも長く安心して過ごすのであれば、パミール屋根のリフォームは葺き替え工事による改修が賢明です。
特に劣化がボロボロに進んだ水分を含んだパミールはルーフィングがしっかりと密着しないので、葺き替え工事を選択してほしいです。
葺き替え工事には下記の2つの方法があります。
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パミールをはがして野地板とルーフィング、金属屋根を張る工事
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パミールをはがしてルーフィングと金属屋根を張る工事(換気棟の取り付けは必須)
パミールの建物は築後20年に満たない建物が多いため、野地板の状態が良好であることが多いです。
そのため、野地板の張り直しをおこなわずに葺き替えができる場合があります。
屋根カバー工法の場合は耐用年数を考慮しよう
パミールの屋根の状態によりますが、屋根カバー工法をおこなうこともできます。
しかし、屋根カバー工法は25~30年程度が屋根の期待耐用年数です。
築後20年に満たない建物の施主様は、40~50代の人が多いです。
人生100年時代と言われています。
これから20年、30年と長く今のご自宅で生活を続けられる世代の人たちです。
カバー工法では将来、もう一度屋根を改修する機会が訪れるかもしれません。
どれぐらいの屋根の耐用年数を維持したいのか、よく検討した上で葺き替えとカバー工法のどちらかを選択してほしいです。
![【YouTube動画】カバー工法がダメなパミールの状態](https://img.youtube.com/vi/8DzhCOr2w4o/mqdefault.jpg)
【YouTube動画】カバー工法がダメなパミールの状態
板金役物の止水性能が高い金属屋根
![板金役物の止水性能が高い金属屋根](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2023/01/10-7-768x432.jpg)
パミールについて悩まれた人は、「もう二度と屋根について悩みたくない」という気持ちがとりわけ強いのではないでしょうか。
そのような方には是非、金属屋根の性能にこだわってほしいです。
屋根の性能は「屋根材の組成」と「板金役物の構造」の2つが大きく関わります。
屋根材ではアイジー工業のスーパーガルテクトがおすすめです。
スーパーガルテクトはガルバリウム鋼板の3倍超の耐久性があるエスジーエル鋼板が採用されています。
ケラバ板金や谷樋板金などの板金役物は止水性能に優れており、とてもよく設計された安心安全に用いることができる屋根材です。