外壁リフォームは3種類!イラストをクリックして各リフォームの特徴をおさえましょう




はじめての外壁リフォーム
抑えておきたいポイント
※このページは主に戸建て住宅を対象にした内容です。
外壁リフォームは3種類!イラストをクリックして各リフォームの特徴をおさえましょう
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
テイガクがおこなった外壁塗装のビフォーアフター
”ひび割れ”や”すき間”が生じた外壁に塗装をすることで外壁を保護します。
最もポピュラーな外壁リフォームです。
塗料のグレードによって”色もち”や”工事費用”が変わります。
ひと昔前は、外壁塗料といえば水性シリコン塗料(色もち12年前後)一択でした。
最近は、価格差がほとんどないシリコンより2~3年ほど色もちするラジカル制御型の塗料が主流です。
一方で、フッ素や無機などの”超”高耐候塗料を推す会社や、外国製の塗料を推す会社も増えています。
背景として外壁塗装業界の競争が激化していることがあげられます。
塗料のグレードは塗料の耐候性(色あせにくさ)を示すに過ぎないことは、抑えて欲しいポイントです。
外壁の耐久性の維持を保証するものではありません。
高額な塗料を用いたからといって、外壁の長寿命化が約束されるわけではありません。
過度な期待をかけすぎないようにしょうましょう。
塗料 | ㎡単価 | 期待耐候年数 |
ウレタン(3回塗) | 2,500円 | 10年前後 |
シリコン (3回塗) | 2,700円 | 12年前後 |
ラジカル (3回塗) | 2,800円 | 15年前後 |
フッ素 (3回塗) | 3,500円 | 20年前後 |
無機 (3回塗) | 4,000円 | 25年前後 |
90~110万円(税込・足場代込)
70~90万円(税込・足場代込)
外壁が窯業サイディングである場合、外壁の継ぎ目や窓枠廻りにあるシーリングが外壁の塗膜よりも先行して劣化します。
築後10年で断裂や剥がれなどの症状が現れる耐久性の低いシーリング材が用いられているからです。
窯業サンディングのトップメーカーであるニチハは、2002年から15年保証の高耐久シーリング「プラチナシール」を販売しています。
筆者がニチハの営業担当者に聞いたところ、20年近く経った現在、ニチハの新築現場のプラチナシール普及率はわずか10%程度だということです。
10年程度でボロボロになる質の悪いシーリングが今でも標準的に用いられているということです。
是非、外壁リフォーム時には高耐久シーリングを用いるようにしてください。
テイガクでは「オート化学工業のオートンイクシード」をよく用いています。
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
テイガクがおこなった外壁カバー工法のビフォーアフター
古い外壁のうえに金属サイディング(金属の外壁材)を重ねる工事方法です。
外壁の耐久性と見た目が大幅に改善されます。
古い外壁と新しい外壁に空気層(すき間)を形成させるので雨漏りも解消されます。
特殊な金物を用いて耐震強度をあげられる工事(サポートカバー工法)もできるようになっています。
外壁塗装と違って外壁の耐久性を改善できる工事です。
外壁カバー工法は、”金属サイディングの種類”と”商品”、”張り方”によって工事費用が変わります。
たとえば、30年くらい前は、アルミサイディングを用いた外壁カバー工法がよくおこなわれていました。
アルミは軽量で耐久性もある一方、高額です。
そのため、最近はガルバリウム鋼板の金属サイディングが主流になりつつあります。
金属サイディングの材質 | ㎡単価 | 期待耐久年数 |
アルミサイディング | 13,000円/㎡ | 35年~45年 |
サポートカバー工法 (横張り/単色洋風レンガ調) | 10,000円/㎡ | 30年~40年 |
ガルバリウム鋼板 (縦張り/スパンサイディング) | 10,000円/㎡ | 30年~40年 |
ガルバリウム鋼板 (横張り/単色洋風レンガ調) | 9,000円/㎡ | 30年~40年 |
ガルバリウム鋼板 (横張り/スタッコ調) | 8,000円/㎡ | 30年~40年 |
190~210万円(税込・足場代込)
210~230万円(税込・足場代込)
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
外壁カバー工法の施工例
外壁カバー工法の歴史は古く、30年以上前からおこなわれている工事方法です。
ちなみに金属建材トップメーカーのアイジー工業やニチハ(元チューオー)が本格手に屋根材を販売しはじめたのは、ここ20年くらいのはなしです。
事実、アイジー工業の売上は屋根材よりも外壁材のほうがはるかに大きいです。
実はテイガクも創業当初は金属サイディングの工事だけをおこなう板金工事会社でした。
屋根工事の需要が高くなり2012年に会社名を変えました。
しかし、最近、金属サイディングが再注目・再評価されています。
理由はデザイン性です。
シンプルモダンなデザインが若い世代を中心に支持されています。
新築の戸建て住宅やリフォームで金属サイディングを選ぶ消費者が急増しています。
古い外壁を解体して、新しい外壁に張り替える工事方法です。
外壁が新築時のように完全にリフレッシュします。
外壁を剥がせば、雨漏りの原因箇所を特定することができ、外壁からの雨漏りを確実に改善できます。
加えて断熱性能や通気性能向上などの手を加えることもできます。
張り替えで用いる外壁材の商品によって工事費用が変わります。
20年~30年以上昔の窯業サイディングにはアスベストが含まれた商品があります。
アスベストを含んだ外壁材の処分費はかなりの高額です。
既存外壁材 | ㎡単価 | 期待耐久年数 |
モルタル外壁を張り替え | ※施工できない | ー |
窯業サイディングを 窯業サイディングへ | 15,000円/㎡ | 50年以上 |
窯業サイディングを 金属サイディングへ | 16,000円/㎡ | 50年以上 |
ALCを 金属サイディングへ | 16,000円/㎡ | 50年以上 |
300~330万円(税込・足場代込)
320~350万円(税込・足場代込)
外壁塗装のメリットは工事価格の安さです。
工事価格は足場費用と消費税込みで100万円前後です。
苔やほこり、塗膜の色あせなど、見た目が悪くなった外観を改善することができます。
工事前に穴埋めやサイディングの固定などの補修をおこなってから塗装をすることで、外壁機能の延命効果が期待できます。
外壁塗装以上に外壁の外観が変わり、見違える仕上がりになります。
外壁カバー工法をおこなう際、胴縁(どうぶち)とよばれる部材を用いて通気層を新たに設けます。
通気層は、雨漏り解消と断熱効果をもたらせてくれます。
さらに、最近の金額サイディングは断熱一体型が標準品です。
さらなる断熱性能と防音効果向上も期待できます。
遮熱効果ではなく断熱効果なので、夏と冬両方がお過ごしやすくなります。
金属サイディングは焼付塗装によるフッ素塗膜の商品が標準品です。
長期的な美観の維持も期待できます。
外壁に特殊な金物を用いて外壁カバー工法をおこなうことで、耐震性能向上も図ることができます。
(サポートカバー工法)
外壁を新築時の状態に戻すことができます。
金属サイディングだけではなく、窯業サイディングやALC、さらに塗り壁など、好みの外壁材を自由に選ぶことができます。
住宅購入から約35年のローンを完済するまでに2度から3度、工事をおこなう必要があります。
足場組立の準備やご近所さんへの配慮、見知らぬ人が自宅に出入りすることは、とにかくストレスが溜まります。
外壁内部劣化や外壁構造の悪環境から生じる外壁の不具合は、外壁塗装をおこなっても十分な外壁機能維持が期待できません。
特に1980年~2000年に建築された12㎜厚の直張り窯業サイディングは外壁塗装をおこなう価値がほとんどありません。
サイディングの反りやひび割れ、塗膜の剥がれなどの不具合が生じやすく、外壁塗装工事はお金の無駄遣いになる可能性が高いです。
遮熱効果が備わっているような塗料が販売されています。
効果は極めて限定的です。
さらに、遮熱塗料は冬は寒くなり、一年を通すと光熱費が上がる指摘もあります。
色付きの塗料を用いて外壁塗装をおこなうってしまうと、サイディングの柄が消え、立体感のないのっぺりした仕上がりになります。
外壁塗装工事の2倍から3倍近くの工事費用と工事期間がかかります。
将来、サッシやドアの交換が容易におこなえなくなります。
そのため、予め金額サイディング工事業者さんとの綿密な打ち合わせが必要です。
外壁塗装工事の4倍近くの工事費用と工事期間がかかります。
外壁内部や外壁付属物と関わる工事になるため、思わぬ費用がかかる工事が要することになる可能性があります。
費用対効果を考慮すると、増改築などの大規模リフォームを除いて、おすすめできない工事です。
外壁リフォームには外壁塗装以外の選択肢があるのですが、外壁塗装をおこなうべきといった”べき論”が独り歩きしているように筆者は感じます。
昔はこんなにも外壁塗装を推し進めるリフォームショップや業者の看板、チラシ、書籍、ウェブサイト、を見る機会がありませんでした。
しかし、今では大きな国道の交差点には「外壁塗装の看板」を必ず見かけるようになっています。
幹線道路であれば500もおきに「外壁塗装の看板」を見かけるような時代になっています。
さらに、テレビコマーシャルまで見かけるようにもなっています。
この背景は売上金額でも確認できます。
2010年度の外壁塗装市場は7,010億円でした。
2015年度は7,920億円、2017年度は8,091億円と年々市場は拡大しています。
人口と持ち家比率が減少し、マンションを選ぶ人が増えているにもかかわらず、なぜ外壁塗装の市場だけが急拡大しているのでしょうか?
「お隣さんが塗装したから、私の家も綺麗にしなければならない」という強迫観念が一番の理由ではないかと感じています。
「同調圧力」に近い考え方が浸透しているように思えてなりません。
一方で、戸建て住宅の外壁の品質は年々、向上していることを見逃してはなりません。
2000年以降の戸建て住宅の外壁の造りは、品確法により外壁通気工法が標準化され、飛躍的に窯業サイディングは傷みにくくなりました。
さらに、2008年以降の窯業(ようぎょう)サイディングは、最低厚が12㎜から14㎜になり、割れにくくなっています。
2021年現在、窯業サイディングの厚みはさらに分厚い商品が標準化され、15㎜から16㎜の商品が市場の60%を超えています。
従来の釘打ちから、直接窯業サイディングに釘を打たない引っ掛け工法が主流になっています。
雨漏りしにくく、高品質な外壁構造が確立されている一方で、「10年目に外壁塗装は必ずおこなう」というルールは残ったままです。
背景には外壁業界の利害関係があります。
外壁材の製造会社は、外壁リフォーム会社に製造した外壁材に手を加えてもらえれば、製造責任がその時点でなくなります。
そのため、外壁材の製造会社はメンテナンスは早期であればあるほど、ありがたい話しなのです。
外壁塗装を施工後わずか10年目におこなうことは、外壁塗装会社と外壁材製造会社、塗料会社の3者がWIN・WIN・WINとなる話です。
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
築後25年前後で屋根と外壁を同時にカバー工法で仕上げるという選択肢もある
金属サイディングにかける予算が無い人や、20年以上も何もしないことに抵抗がある人にとって、外壁塗装は有用なリフォーム方法です。
しかし、筆者の意見としては、雨漏りなどの不具合が顕在化していないのであれば、外壁は築後25年程度、何もしないでおいて、金属サイディングによる外壁カバー工法のリフォーム1回で済ませてしまうことが最も賢明な選択肢だと思っています。
なんとなく10年が過ぎたから外壁塗装をおこなうといった思い込みや強迫観念は捨てて欲しいです。
まずは自宅の外壁がどんな外壁かをよく調べましょう。
外壁の特徴をよく理解したうえで外壁塗装をおこなうのが今本当に必要であるか、是非、考え直してみてください。