屋根の雨漏り原因について【雨仕舞と板金工事】

全記事 一覧 | 2017.09.12

目次

1.屋根の雨仕舞と板金工事について
2.雨漏りの原因を3つに分けて考える
3.雨漏り発生部位別ランキング
4.雨仕舞板金の問題点
5.板金からの雨漏りのの解決策
6.屋根の「工事業者」は3つに分かれる
7.板金からの雨漏りは板金工事会社へ

– 「屋根がボロボロなので、雨漏りが生じる前に屋根をリフォームしましょう!」 –
リフォーム業者からこのような説明を受けることが多いです。
しかし、実際は屋根本体の劣化が起因となる雨漏りより、屋根を構成する板金部位からの雨漏りの方が多いです。
なぜ板金部位からの雨漏り頻度が高いのか、その原因と対策ついて解説します。
※なお、このページは屋根からの雨漏りに関する記事です。外壁やサッシ、ベランダからの雨漏りに関しては記載がありません。
天井裏の雨漏り

1.屋根の雨仕舞と板金工事について

雨仕舞(あまじまい)という言葉があります。
建物内部に雨水が浸水しないための防水施工を意味します。
屋根における雨仕舞部分は、主に谷部や棟部、天窓まわり、下屋根と外壁の取り合い部などが該当し、雨仕舞板金と防水紙(下葺き材/ルーフィングシート)を用いて防水施工をします。
谷どい板金の雨漏りの詳細はこちら
天窓の雨漏りの詳細はこちら
板金は水が浸入する部位だけではなく、雨水を建物外に逃がす排水する部位にも取り付けられます。
一般に私たちは屋根といえば屋根瓦のことを思い浮かべますが、雨漏りの観点からは雨仕舞板金が極めて重要な役割を果たしています。

建築における板金工事業は専門性が高く特殊な工事であるため、全28種類ある建設業の許可の一つとして分類されています。
建設業の許可一覧はこちら
屋根瓦葺き工事は「屋根工事業」、雨仕舞板金や金属屋根葺き工事は「板金工事業」に分類して考えられることに注目してください。

谷どい板金棟板金

天窓下屋根板金

2.雨漏りの原因を3つに分けて考える

屋根からの雨漏りには主に3つの原因があります。

2-1.屋根本体の経年劣化による雨漏り

言うまでもないことですが、屋根材には寿命があります。
古いコロニアルは水を吸収し湿潤状態となり、最終的に水を透すようになります。
古い日本瓦は年月が経過することで割れやすくなります。
金属屋根の場合は錆が生じ穴があき始めます。
寿命が過ぎた屋根材は雨漏りリスクを高めます。

劣化した屋根

2-2.施工不良による雨漏り

二つ目の原因は経験不足・知識不足による施工不良や手抜き工事がもたらす雨漏りです。
代表的な施工不良の雨漏りを2つご紹介します。

2-2-1.屋根と外壁部の納まり

連続性が損なった屋根と外壁下地の取り合い部で雨漏りがよく発生します。
雨仕舞の納まり上、屋根下葺き材は外壁まで余分に出し(捨て張りと言います)、外壁で使う透湿シートは屋根まで余分に出して相互に重ね合わせ、屋根と外壁の連続性を確保することが適切な施工方法です。
しかし、屋根と外壁は異なる職人さんが手がけるため、 各職人さんのコミュニケーション不足(もしくは現場監督の管理不足)により、屋根と外壁の取り合い部の施工がおろそかになることが多いです。

2-2-2.コロニアルの縁切り

屋根の塗装後に、雨漏りが突然発生することがあります。
屋根瓦と屋根瓦の隙間部分は、屋根内部に浸水した雨水を排水するための役割を担っています。
屋根を塗装した際、屋根瓦と屋根瓦の重なり部を塗膜で覆った状態にしておくと、かなり高い確率で雨漏りが発生します。
塗装後は縁切り(えんぎり)と呼ばれる、屋根瓦の重なり部分の塗膜に切れ目を入れる作業を行います。
しかし、この縁切り作業を行わない業者さんが存在します。
塗装職人さんの知識不足や経験不足が起因する雨漏りの代表例です。

その他、棟板金の打つ釘を垂直に打ったり(脳天打ち)、下葺き材を水上から水下に向けて逆張りする、ありとあらゆる箇所をコーキング材で埋めて誤魔化すなど、たくさんの施工不良があります。

施工不良の雨漏り

2-3.雨仕舞板金からの雨漏り

三つ目の原因が、雨仕舞板金からの雨漏りです。
雨仕舞板金の経年劣化が進行すことによる板金の錆び、凹み、穴あきの雨漏りです。
近年では耐久性の高いガルバリウム鋼板を使用しますが、昔の戸建て住宅はトタンであることが多いです。
トタンは錆びやすく穴が開きやすい素材です。

板金からの雨漏り

3.雨漏り発生部位別ランキング

雨漏りが発生しやすい部位をランキング形式で示します。(定額屋根修理独自調べ)
谷とい板金からの雨漏りが最も多いです。
谷とい板金とは屋根と屋根の取り合い部に用いられる板金です。
屋根本体の下に板金を敷き込まれる「逆への字」型の板金です。
次に続くのが「屋根本体の経年劣化」です。
雨や紫外線によりダメージを受け続けることで、屋根の防水機能が損われ最終的に雨漏りが発生します。
3位以降に下屋根と外壁との取り合い板金、パラペット板金などが続きます。
グラフが示す通り、板金がらみの雨漏りが全体の7割以上を占めます。
雨仕舞板金からの雨漏りは群を抜いて多いのです。

雨漏りランキング

 

4.雨仕舞板金の問題点

板金は雨水が集中する部位に用いられるため、雨水の漏れが多いのは当然です。
それにもかかわらず、「屋根本体の劣化=雨漏り」が一般的に論じられています。
理由は簡単で、リフォームの必要性を施主側が想像しやすく、リフォーム業者の経済活動がやりやすいからです。
(※ただし、屋根本体がボロボロになって雨漏りが発生する前に屋根本体のリフォームを行うお施主様が多いため、屋根本体の雨漏りが少ないといった見方もあります。)
いずれにしても、雨仕舞板金の状態について継続的にメンテナンスを行うことが大切です。

次に、「板金と雨漏り」について知ってほしいポイントを4点まとめました。

4-1.トタン(亜鉛鋼板)は屋根本体より劣化が早い

日本瓦屋根の寿命は平均で約60年です。
本来であれば日本瓦屋根は60年に1回の改修工事で間に合うはずです。
しかし、悪条件の環境下にあるトタン(亜鉛鋼板)は20年前後で修理もしくは交換を要します。
劣化した板金から浸水した雨水が下地材や構造材を腐食させてしまい、建物全体の寿命を低減させることになります。
また、屋根本体と板金部位の寿命(屋根本体がコロニアルもしくは瓦屋根の場合)にギャップが永続的に生じることになります。

4-2.下葺き材の劣化が早い

下葺き材とは屋根本体や板金の下に敷きこむ防水シートのことです。
屋根材や板金材から漏れた水を最終的に防いでくれるのが下葺き材になります。
屋根本体や板金は下葺き材を保護する役割があるといった側面があります。
雨水などに下葺き材がさらされると下葺き材の耐久性が急速に低減します。

現在、新築住宅分野で主に使用されているのは「アスファルトルーフィング940」です。
940とは重さを表しています。
「アスファルトルーフィング940」は約10年で耐久性能が低下します。

住宅設計施工業者は最低限の品質が確保された(瑕疵担保責任がなくなる10年さえ経過すればよい)下葺き材を使用します。
理由は安いからです。
したがって、施主側から指定がない場合や設計施工業者にこだわりがない場合は、下葺き材には「アスファルトルーフィング940」が用いられています。
しかし、下葺き材取り扱いメーカー最大手の田島ルーフィングでは住宅用の下葺き材が18種類もあります。
中には60年の耐久性能を示す製品もあります。
屋根の耐久性のを向上させるためにはより品質の高い下葺き材を使用するべきです。
下葺き材(ルーフィング)についての詳細はこちら

板金の寿命 メンテナンス 下葺き材の劣化

4-3.板金の雨漏りはジワジワ進行型

板金や下葺き材の劣化はゆっくりと進行するため、雨漏りも同じくゆっくりと生じることになります。
「小さな穴からはじまり、穴が広がり、徐々に雨水が建物内部に浸水し、天井裏に雨水が到達する」といったプロセスです。
屋根本体と異なり、板金の状態は日常的に確認ができません。
ある日突然、天井裏に雨染みができてはじめて屋根の異変に気付くことになります。
何か月もかけて雨水が浸水するケースもあり、気づいた頃には下葺き材が劣化し、下地材や建物の構造材が腐食していることもあります。

板金の雨漏り

4-4.屋根工事業と板金工事業について

建設業の許可が示す通り、屋根に関連する専門技術は、「屋根(葺き)工事業」と「板金工事業」に分類されます。
屋根材では日本瓦葺きが「屋根工事業」で金属屋根葺きでは「板金工事業」が主体となります。
専門にする職人さんや使用する道具も異なります。

複雑な屋根になるほど、板金を使用する頻度が高くなり、より高い板金加工技術による施工が望まれます。
本来であれば、板金職人さんが現場に合わせて板金を切断し、折り曲げ加工を行い雨仕舞板金を取り付けます。
昔は雨といにも板金が用いられており、屋根工事と板金工事はしっかり分業されていました。

しかし、現在では両方の工事職人さんがひとつの現場で手配されることはなく、瓦葺きの場合では屋根葺き職人さんが現場で板金加工することがほとんどです。
もちろん、ベテランの瓦屋根葺き職人さんであれば、高い技術の板金施工が期待できるでしょう。
しかし、本来、板金工事は単独の専門職として認められた工事であり、工事技術に差が生じてしまうリスクが多分に含んでいることにも警戒する必要があります。

屋根職人の道具

 

5.板金からの雨漏りのの解決策

板金からの雨漏りに関する問題点を取り上げました。
次に問題解決の最善策を提案します。

5-1.板金にガルバリウム鋼板を用いること

雨仕舞板金には錆びにくい、穴が開きにくい高耐久性の板金を使用するようにしてください。
トタンから耐久性の高いガルバリウム鋼板に変更しましょう。
更に2016年以降では、ガルバリウム鋼板にマグネシウムを添加させたより耐久性の高い「スーパーガルバリウム鋼板」が使用され始めています。

5-2.下葺き材に高耐久製品を使用すること

下葺き材は耐久性の高い製品を使用しましょう。
最低でも「改質アスファルトルーフィングシート」と同等以上の性能をもつ製品の使用が望まれます。

5-3.屋根本体を改修する際はガルバリウム鋼板屋根材を使用すること

雨仕舞板金の修理に合わせて屋根本体の改修を検討されている場合、板金と同質素材であるガルバリウム鋼板製屋根材を使用しましょう。
これにより、屋根全体が一元的に管理できることになります。
屋根本体と板金に寿命ギャップが生じる問題を解消することができます。
前述の通りガルバリウム鋼板自体の性能も向上しているだけではなく、「フッ素」を使用した塗膜20年保証の製品や、「石粒付き」で再塗装の必要性がないとされている製品も販売されています。
デザインやカラーも豊富にあります。

5-4.金属屋根葺き工事は板金工事会社に依頼すること

金属屋根工事も雨仕舞板金の取り付け工事も板金工事に該当します。
いずれの工事も専門技術をもった板金工職人さんが行うことになります。
金属板金を切り張りする技術だけを培ってきた職人さんです。
つまり、金属屋根へのカバー工法や葺き替え工事は板金専門の工事会社に依頼することが重要ということになります。
また、直接契約・直接工事になることで、価格面でもお施主様は恩恵を受けることになります。
雨漏りをなくすには

 

6. 屋根の「工事業者」は3つに分かれる

「屋根を専門にしている工事業者であればどの会社に依頼しても同じ工事が提供される。」
このような考えは間違いです。
屋根の工事業者は大きく3つに分別することができます。
「コロニアル工事業者」と「瓦屋根工事業者」「金属屋根工事業者」です。
屋根の工事を依頼する際、どの分野に強みがある業者であるのか注意を払う必要があります。

「コロニアル工事業者」は新築分野が専門です。
屋根のリフォームでコロニアルを用いることはほとんどありません。
定額屋根修理でもコロニアルの葺き替えリフォームを行った実績は屋根リフォーム工事全体の1%以下です。
理由はコロニアルによる葺き替えた工事では、メーカーから製品保証が認められていないからです。
コロニアルを葺く実績が多い(勧めてくる)会社は新築屋根工事業者が大半を占めています。

「瓦屋根工事業」は新築の瓦葺きやリフォームによる瓦の葺き直し、瓦の葺き替えが専門になります。
主に陶器製の日本瓦や洋風瓦、セメント瓦を用いた工事が該当します。

「金属屋根工事業者」は金属屋根葺きによるリフォーム工事が専門になります。
金属屋根では「成型ガルバリウム鋼板」「瓦棒」「立平」「折板」などを用います。
リフォーム工事が多い理由は、「コロニアル屋根の上に重ねて張るカバー工法が採用できること」や「瓦屋根に比べて軽量で耐震性に優れていること」、「昔に比べて金属屋根の耐久性能が向上していること」、「雨漏りを改善できる雨仕舞板金の取り付け技術があること」など、たくさんあります。
金属屋根工事

7.板金からの雨漏りは板金工事会社へ

読者の方が検討している工事会社は金属屋根だけではなく、日本瓦屋根の工事も請け負っていませんか?
本質的に、この2つの工事は全く異なります。
日本瓦屋根を専門にしている工事業者の組合を確認してください。
【全日本瓦工事業連盟】ホームページ
この組合のホームページには「金属屋根」や「ガルバリウム鋼板」に関して一文字も触れていません。

日本瓦葺きを専門にしている職人さんは板金の切り張りを専業にはしていません。
もちろんその逆もしかりです。
実際に定額屋根修理でも、日本瓦の葺き替えや葺き直し、漆喰詰めは請け負っておりません。
たしかに、手先が器用で瓦葺きや金属屋根葺きができる職人さんがいるかもしれません。
しかし、それでも金属屋根葺きだけを専業にしている職人さんや会社には知識や経験、技術力に及ぶことはありません。

雨仕舞板金からの雨漏りが明らかな場合はまず「金属屋根の工事業者に依頼する」ことをお勧めします。
金属屋根の施工を専門している会社であれば、板金工事や雨漏り修理工事、リフォーム工事を得意とする会社と言い換えることができます。
雨仕舞板金部位の雨漏りを改善するために、適切な対処を講じてくれるはずです。

雨仕舞板金

 

 

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