台風による住宅被害が年々、増加しています。
台風で被害を受ける最も多い部位は屋根です。
屋根瓦や棟板金(むねばんきん)が飛ばされる被害がとにかく多いです。
大型の台風が毎年くることを考えたうえで事前対策をおこなうことを強くおすすめします。
「被害にあったら修理を依頼すればいい」と安易に考えている人もいます。
台風通過後に修理を頼んでも、屋根工事会社が混雑してすぐに対応してもらえないことを覚悟しなければなりません。
この記事では、台風前にできる事前対策や、台風後に必要となるかもしれない確認事項についてお伝えします。
台風発生時期
危険な台風は9月にくる
過去の気象データから見ると、日本では8~9月あたりの時期、夏から秋ごろの季節に台風がたくさん発生します。
規模が大きく、被害が多い台風は9月に集中しています。
10月の初旬まで大きな台風がきます。
過去に被害が大きかった台風一覧
西暦 | 台風 | 日付 |
---|---|---|
2000年 | 台風14号(東海豪雨) | 9月11日 |
2004年 | 台風23号 | 10月19日 |
2005年 | 台風14号 | 9月5日 |
2011年 | 台風12号 | 9月2日 |
2018年 | 台風21号 | 9月4日 |
2019年 | 台風15号(令和元年房総半島台風) | 9月9日 |
2019年 | 台風19号(令和元年東日本台風) | 10月12日 |
最大の課題は雨漏り
台風による被害が最も多い住宅部位は屋根です。
風速30mを超える大きな台風がくると「屋根が剥がれる」「屋根が飛ばされる」などが起こりやすくなります。
さらに台風は「大量の雨」をもたらします。
屋根が剥がれた後にも強い雨がどんどん降り注ぎ、雨漏りが引き起こされます。
雨漏りは生活に関わる重要事項です。
台風の部位別事前対策
台風は、数日前から天気予報で予測できる自然災害です。
起こるタイミングの予測ができない地震災害とは違います。
台風が来るまでに心の準備もある程度できますし、被害を少しでも小さくするための対策ができる時間があります。
家の部位別に事前対策を詳しく見ていきましょう。
屋根の対策
屋根材の一部に「めくれ」や「割れ」「欠け」があると、強風ではがれて落ちてしまいます。
屋根の状態が悪いほど、台風被害が大きくなる可能性が高まります。
しかし、屋根は下から見えにくい部分です。
どれほど傷んでいるか分からないことが多いです。
その場合はお隣にお邪魔し、お隣の2階の窓から自宅の屋根を目視点検しましょう。
2階の窓やベランダから屋根を見ると、私たちが思っている以上に屋根の状態がよくわかります。
もしくは集合住宅の2階の廊下をお借りして屋根の目視点検をおこなうのもよいでしょう。
屋根が剥がれて迷惑をかける恐れがあるので、受け入れてくれるはずです。
窓ガラスの対策
最近は雨戸やシャッターを窓に取り付けていない住宅が増えています。
簡単に取り付けられる窓用シャッター(YKKAP/かんたんマドリモシャッター)があるので、台風が来る前に取り付けを検討して欲しいです。
屋根が飛ばされる原因に、窓ガラスの割れがあります。
窓が割れると室内の気圧が変わるため、屋根がめくれて飛ばされるといった被害が起こります。
これは、あまり知られていない事実です。
もちろん、割れた窓ガラスが飛散しないように、テープを貼って対策をすることもおすすめです。
雨戸の対策
ガラスが割れてしまうと大変です。
台風の予報が出たら、早めに閉めておきましょう。
ただし、日常的につかっていない古い雨戸の場合、スムーズに動かないこともあります。
レールに石やゴミがあって動きを制限している場合もあるでしょう。
ガタガタと締まりにくい雨戸は、台風によって扉が外れたり、飛んだりする可能性もあるので注意してください。
外壁の対策
モルタル外壁やサイディング外壁にひびや穴などの隙間がある場合は、雨漏り原因になる箇所です。
サイディングが歪んでいたり沿っていたりしている場合は、サイディングをビス留めして風ではがれないように固定させましょう。
ベランダの対策
ベランダにある物干しや植木鉢は、室内もしくはベランダの下に移設しておきましょう。
雨どいの対策
雨どいに歪みや金具の外れ箇所があれば台風前に修理をしておきましょう。
雨どいは屋根の棟板金の次に風による不具合が生じやすい箇所です。
また、落ち葉や砂などが溜まっていると、水の流れが悪くなります。
ゴミの溜まりについても対策を講じて欲しいです。
プロパンガスの対策
屋外に設置されるプロパンガスは、基本的にはチェーンで固定されています。
しかし、台風が来る前には、今一度「しっかり固定されているかどうか」を確認しましょう。
ブロック塀・擁壁の対策
ぐらぐらしている不安定なブロック塀は、強風で倒れやすいです。
台風の時期が来る前に、補強やひび割れ補修をしておくとよいでしょう。
外れかかったフェンスは外しておくほうが無難です。
がけ地などの擁壁のそばに住まわれている人は土砂災害のリスクがあるため、大型台風発生時はホテルなどの仮住まいに避難してください。
建物周りの対策
家の周りに植木鉢や自転車を置いている場合、屋内に入れておきましょう。
雨漏り発生を前提とする
天気予報で非常に大きい台風が直撃することがわかっていたら、雨漏りは避けられないとみなしてください。
そして、雨漏り対策に役立つ道具をあらかじめ購入してください。
なぜなら、地域一体が同時に被災した場合、被害を受けている家が急増し、どの家も同じ境遇になるからです。
コロナマスクのような奪い合いに近いことが起こりやすいです。
以下の6つの点は台風が直撃する前に購入もしくは確認しておきましょう。
ブルーシートや防水テープの購入
台風の対策や応急処置で必要になるブルーシートや防水テープなどは、その時期になると買い求める人が急増します。
そのため、台風が過ぎてから買いに行っても品切れになっていることが多いです。
在庫がないと応急処置さえできない状況が続きます。
被害が起こらなければ不要なものになるかもしれませんが、万が一の保険的な意味合いも込めて、購入しておくと安心です。
ブルーシートや防水テープの他、はしごやヘルメット、滑りにくい靴も用意しておきましょう。
屋根修理会社の確認
世の中にはたくさんの屋根工事会社が存在します。
ホームセンターにいっても屋根リフォームコーナーがあります。
厳密に屋根修理会社とは、板金工事会社と瓦葺工事会社の2社です。
両者は屋根材を張る作業を日常的におこなっている会社です。
応急処置もこの2社にお願いをしたほうが良いです。
ただし、台風直後は被害にあっている家が増えるので、屋根工事会社は大忙しになります。
電話をかけてもパンク状態になります。
早い者勝ちの世界になります。
雨漏りなどの被害が起こったらすぐに連絡できるよう、日頃からホームページなどをチェックしておくといいでしょう。
火災保険会社の確認
雨漏りの被害が起こると「お金はどのくらいかかるの?」と費用負担が心配になります。
そんな緊急時に活用したいのが火災保険です。
“火災”とついていますが、風災や水災の被害もカバーしてくれる保険のため、台風による災害で屋根の修理をおこなうときにも利用ができます。
ただし、台風直後は保険会社の対応が混雑します。
1保険会社への連絡、2屋根修理会社の見積り入手、3申請書類の提出、4審査、5着金の順番になります。
混み合っているため、審査自体が3カ月待ちというように、保険金が入金されるまでかなり待たされることもあります。
いつ被害が発生してもいいように火災保険の証書を手元におき、内容に目を通しておいてください。
避難場所や仮住まいの確認
雨漏り被害が大きければ、避難場所もしくは仮住まいに避難することになります。
自治体の広報やウェブサイトでは、過去の被災事例でどのような対策を講じたか確認できます。
最悪の場合を想定し、避難場所や仮住まいについてもあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
国や自治体の補助の確認
台風による災害が大きいと、国や自治体からの補助が受けられることがあります。
自治体の広報やウェブサイトに補助金や助成金の情報が掲載されるはずです。
ただし、受付順で早いもの勝ちの補助制度、申請期間が短い補助制度もあります。
2019年には、補助金制度の申請のページが公開から2カ月後には完全に削除されて、見れなくなっていた自治体もあったので注意してください。
補助金や助成金の申請には屋根修理会社の協力も必要になるので、信頼できる屋根修理会社を見つけることも大切です。
台風で雨漏り被害が起こると、自治体職員も忙しくなります。
り災証明などの取得も申請が遅れるとかなり待たされてしまいます。
早め早めの行動が大切です。
ボランティアの確認
被害状況が大きいと身近な人だけで対応することが難しくなります。
雨漏り被害だけでなく、浸水被害なども重ねて起こると、自分達だけでは何もできなくなるはずです。
台風の被害を受けた後で最も厳しい作業は落ちた屋根瓦を収集場所に持ち運ぶ作業です。
高齢の方や女性、筋力の弱い方、ふだん重いものを運び慣れていない方の場合、持ち運べる瓦の数は4枚程度です。
台風が起こるのは、夏が多いです。
炎天下で何十往復も崩れた瓦を持ち運ぶ作業はかなりの重労働です。
消防団などの地域の団体だけではなく、地域外からのボランティアが手助けしてくれることもあります。
最近はウェブサイトだけではなく、SNS(ツイッターやフェイスブックなど)を通して、SOSのよびかけに応じてくれるボランティアが増えています。
インターネットも積極的に活用してください。
まとめ
台風は毎年のようにやってくる自然災害です。
去年は被害を受けなかったわが家でも、今年は被害を受けるかもしれません。
被害を想定した事前対策の知識をもつことが大切です。
とくに台風被害で多いのは屋根です。
これは紛れもない事実です。
屋根の被害を受けてから「どうしよう」「対策しておけばよかった」と困る人が本当に多いです。
屋根修理会社が見つからず、半年以上ブルーシートで過ごすといったことに陥ってしまいす。
屋根の老朽化に不安がある人は8月までに屋根工事を終わらせることをおすすめします。
災害時は知識だけはなく初期段階の判断スピードも大事になります。
日頃から緊急時の対策や方法などを決めておくとよいでしょう。