【立平葺き】工事費用の安い屋根材-そのリフォーム方法

屋根のリフォーム工事費用は高額です。
屋根の葺き替え費用は100万円以上かかります。
できる限り工事費用を抑えたいお客様には、テイガク屋根修理では「立平葺き」によるリフォームをお勧めしています。
今回の記事では最近人気が高まりつつある「立平葺き」について詳しく解説します。

立平葺き(たてひらふき)とは

立平葺きとは板金だけで構成された屋根のことです。
立平葺きは「立平板金」「縦平」「縦葺き」「縦ハゼ葺き」「竪ハゼ」「長尺屋根」「嵌合(かんごう)式立平」とも呼ばれています。
名前の通り、一枚ものの長尺板金を縦に流して葺きます。
メーカーでは三晃金属工業株式会社が有名で、「三晃式」と呼ばれることもあります。
主に屋根の素材はガルバリウム鋼板を用います。

昔は立平葺きというと、大型建築物を対象とした屋根の施工方法として認知されていました。
しかし、現在ではモダンな意匠性も評価され、戸建て住宅で使用されるケースが増えています。
屋根と外壁に金属素材を用いたオールメタル住宅の関心も高まり、屋根だけではなく外壁にも使用されつつあります。

テイガク屋根修理の工事実績では「成型ガルバリウム鋼板」「瓦棒葺き」に次いで3番目に多い屋根です。
2位の「瓦棒葺き」と3位の「立平葺き」が入れ替わる勢いで「立平葺き」の現場が増えています。

立平葺き 縦平

「立平葺き」と「瓦棒葺き」の違い

「立平葺き」とよく比較される屋根に「瓦棒葺き(トタン葺き)」があります。
トタン瓦棒屋根について詳しくはこちら
瓦棒葺きは「棒にあたる垂木(たるき)」と「板金」で構成された屋根です。
立平葺きは垂木を使用しないため、瓦棒葺きよりもシンプルな屋根です。

立平屋根と瓦棒屋根の違い

立平葺きは他の屋根(瓦棒/陶器瓦/コロニアル/成型ガルバリウム鋼板)と注目すべき異なる点があります。
それは材料の持ち出し方法です。

立平葺きはお施主様の屋根のサイズにあわせて、あらかじめ板金工場で加工されたものを現場に持ち出します。
他の屋根材は一定の長さに決まった製品を屋根職人が現場で切り張りして、お施主様の屋根に張り合わせます。

立平葺きは事前に加工された板金を張る作業だけで済むため、他の屋根と比べて驚くほど短時間で工事が終わります。
職人さんの手間は限られている上(※板金技術や経験は必須)、廃材もほとんど発生しません。
しかし、その一方で複雑な形状をした屋根(複合屋根)には適していません。
また、瓦棒葺きは垂木とコイル状の板金さえあれば狭い場所でも工事ができますが、立平葺きは屋根を持ち出すための交通や保管敷地に条件があります。
したがって、立平葺きはシンプルな切妻屋根や面積のある工場や倉庫などの大型屋根の施工に適しています。

立平葺きのメリット

立平葺きのメリットをまとめました。

3-1.カバー工法ができる

既存の屋根がコロニアル屋根の場合、立平葺きによるカバー工法ができます。

3-2.工期が短い

立平葺きは他の屋根材と比べて、短時間で工事ができます。
面積のある大型屋根やシンプルな切妻屋根では特に有効です。

3-3.ドーム型に加工できる

ドーム型(曲線型/R型/アーチ型)の屋根で使用できます。

ドーム型 R型 曲線屋根

3-4.緩勾配(かんこうばい)で葺くことができる

勾配とは屋根の角度のことです。
屋根の勾配は急であるほど水はけが良くなるため、屋根材が劣化するスピードが遅れ、雨漏りも発生しにくくなります。
一般的な屋根は最低でも2寸の勾配が求められていますが、立平葺きは0.2寸や0.5寸などの緩勾配に対応した製品が販売されています。
屋根勾配が原因で雨漏りが発生する住宅の改修工事に立平葺きは有効です。

3-5.軽量で耐震性に優れている

立平葺きの重量は㎡当たり4kgで、全ての屋根材の中で最も軽量です。

3-6.シンプルモダンな意匠性

シンプルですきっりとしたデザインが好評で、近年、立平葺きを希望されるお施主様が増えています。
大手のハウスメーカーの標準屋根としても採用され、外壁材としても取り入れられています。

立平 外壁

3-7.木材を使用しない(メンテナンス性に優れている)

瓦棒葺きと異なり、立平葺きでは垂木(たるき)を使用しません。
瓦棒の垂木は雨水の浸水や湿気などの影響で腐食し、屋根全体の寿命を縮める原因になります。
金属だけで構成された立平葺きはメンテナンス性にも優れています。

3-8.太陽光や室外機を設置できる

太陽光や室外機、バルコニーなどを屋根面に設置できます。

3-9.工事費用が安い

立平葺きは他の屋根材と比べて、工事費用が安いです。
以下はテイガク屋根修理の立平葺きの工事価格です。
テイガク屋根修理の工事時価格は最大価格を示しています。
大型の屋根では表記価格より安い見積もり金額で工事がご提供できます。
お見積りは無料なので、お気軽にお問い合わせください。

工事内容工事価格
瓦棒(トタン)葺き5,200円/㎡
立平葺き5,200円/㎡
立平 安い 屋根

立平葺きのデメリット

立平葺きのデメリットをまとめました。

4-1.断熱性に劣る

立平葺きは金属屋根であるため、太陽の熱が吸収されやすく断熱性能に劣ります。
住み心地の快適性を確保するためには屋根裏に断熱材を敷いたり、遮熱シートを張るなどの対策を講じる必要があります。

4-2.雨音がする

雨音が響きます。
断熱材や遮音シートを敷くことで雨音を抑えられます。

4-3.施工条件がある

立平葺きの屋根はあらかじめ工場で加工されたものを現場に持ち運びます。
継ぎ目のない一枚ものであるため、ほとんどの屋根は大型であり、4tトラックで搬入します。
道路環境や荷降ろしのスペースなどに注意が必要です。

4-4.複雑な屋根には適していない

屋根と屋根が取り合う複合屋根などの複雑な形状をした屋根は、職人さんによる現場加工を行う方が効率的です。
複雑な屋根はフレキシブルに加工ができる瓦棒や成型ガルバリウム鋼板屋根が適しています。

屋根 現場施工の様子

立平葺きで注意すること

今まで立平葺きは工場や倉庫などの大型屋根で使用されることがほとんどでした。
しかし、金属屋根の有効性が広く認められ、立平葺きも再評価されています。
設備投資が昔ほど盛んではないため、立平板金の製造会社も工場などの大型屋根市場から戸建て住宅向け市場へ販売活動をシフトしています。
特に、木材を使用しない優位性があるため、瓦棒葺きのポジションが立平葺きに置き換わっています。
最近では住友不動産の新築戸建て住宅でも屋根の標準施工に取り入れられています。

立平葺きの工事(特にリフォーム工事)には注意するべきポイントがあります。
それは工事業者の選定です。
立平葺きは歴史のある屋根施工方法の一つですが、戸建て住宅などで使用されるようになったのはここ最近の話です。
今でも立平葺きは大型屋根に用いるものと認識している屋根工事業者は少なくありません。

立平葺きで屋根のリフォームを実施する場合、事前にお施主様の屋根を現場管理者が入念に下調べする必要があります。
立平葺きでは事前準備が最も大切な業務となり、一度でも発注方法(採寸・量・保管スペースの確保等)を間違えると取返しの使ないことになります。
このような背景があるため、立平葺きの工事ができる屋根工事会社は少ないのが現状です。
特に総合リフォーム会社(営業会社)に問い合わせをしても、まともな応対は期待できないはずです。
立平葺きは実務経験が豊富な板金工事会社だけができる専門性の高い工事です。

新築 立平屋根

テイガク屋根修理による立平葺き工事

テイガク屋根修理による立平葺きの工事例をご紹介します。
建築後35年経過した屋根で、これまで再塗装は行っていません。
屋根の形は切妻です。
お施主様からは価格を最優先にして欲しいリクエストがありました。
立平葺きで重ね張りするカバー工法で、工事を提案をさせていただきました。

6-1.既存コロニアルの確認

既存のコロニアル屋根です。
棟板金は錆びが目立ち、コロニアル本体の塗装は剥がれ落ち、基材が露出しています。
屋根のリフォームが必要な状態です。

6-2.野地板張り

野地板を張ります

6-3.下葺き材張り

下葺き材(ルーフィングシート)を張ります。
既存屋根の劣化が激しいため、異なる下葺き材を2重に張り増ししました。
初めに改質アスファルトルーフィングシートを張り、次に重ね張り専用の粘着式ルーフィングシートを張りました。
テイガク屋根修理では下葺き材の選定や施工方法にもこだわります。

6-4.立平葺き

立平を葺きます。
今回の現場では工事期間が3日で終わりました。

6-5.完成

立平葺きよる屋根工事が完成です。
屋根のリフォーム方法はたくさんあります。
屋根工事を専門にする会社こそが、お客様のご希望に見合ったリフォーム工事のご提案が可能です。
立平葺きによる工事に関心のあるお施主様は、テイガク屋根修理にご相談ください。

最後に

・立平葺きは板金(主にガルバリウム鋼板)だけで構成された屋根です。
・立平葺きは安い工事費用と短い工事期間で施工ができる屋根です。
・工場で加工された立平葺きの屋根は運搬や保管スペースなどの条件があります。
・立平葺きは面積の広い切妻の住宅屋根や工場に適しています。
・立平葺きは専門性の高い工事であるため、十分な工事実績がある業者に依頼してください。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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  1. 立平葺き(たてひらふき)とは
  2. 「立平葺き」と「瓦棒葺き」の違い
  3. 立平葺きのメリット
    1. 3-1.カバー工法ができる
    2. 3-2.工期が短い
    3. 3-3.ドーム型に加工できる
    4. 3-4.緩勾配(かんこうばい)で葺くことができる
    5. 3-5.軽量で耐震性に優れている
    6. 3-6.シンプルモダンな意匠性
    7. 3-7.木材を使用しない(メンテナンス性に優れている)
    8. 3-8.太陽光や室外機を設置できる
    9. 3-9.工事費用が安い
  4. 立平葺きのデメリット
    1. 4-1.断熱性に劣る
    2. 4-2.雨音がする
    3. 4-3.施工条件がある
    4. 4-4.複雑な屋根には適していない
  5. 立平葺きで注意すること
  6. テイガク屋根修理による立平葺き工事
    1. 6-1.既存コロニアルの確認
    2. 6-2.野地板張り
    3. 6-3.下葺き材張り
    4. 6-4.立平葺き
    5. 6-5.完成
  7. 最後に