目 次
閉じる立平葺き(たてひらふき)とは?
立平葺きとは
立平葺きとは、長い一枚の屋根材を縦方向(屋根の頂点から軒先)に並べて仕上げる金属屋根のことです。
屋根の頂点から軒先まで一枚の長い金属板で構成されるため、継ぎ目がほとんどなく、雨水が侵入するリスクが低いのが特徴です。
立平葺きは「縦葺き金属屋根」に分類され、別名「立平板金(たてひらばんきん)」や「縦平(たてひら)」とも呼ばれます。
屋根材は主にガルバリウム鋼板を使用します。
テイガクの工事実績では「横葺き金属屋根(断熱材一体型)」に次いで2番目に多い屋根です。
ちなみに3位は、同じ縦葺き金属屋根の「瓦棒葺き」になります。

新築で人気が急上昇
各屋根材ごとの比較評価
価格 | 耐久性 | 耐震性 | 施工性 |
太陽光 発電 |
カバー工法 で採用 |
複雑な屋根 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
立平葺き | ◯ | ◯ | ◎ | × | ◎ | × | △ |
横葺き金属屋根 | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ |
スレート屋根 | ◎ | △ | ◯ | △ | △ | × | ◎ |
瓦屋根 | × | ◎ | △ | ◯ | × | × | ◯ |
近年、新築住宅で立平葺きの屋根が人気を集めています。
その最大の理由は、工事費用を削減できるからです。
立平葺きは緩い勾配でも施工が可能です。勾配が緩い屋根は、屋根の面積を少なくすることができ、その結果工事費用を抑えることができます。
このメリットこそが、立平葺きが選ばれる大きな理由となっています。
立平葺きはこれまで主に注文住宅やリフォームなど、付加価値の高い住宅で採用されてきました。
しかし近年では、価格面のメリットから建売住宅にも積極的に取り入れられるようになりました。

その他に、シンプルな見た目で、オシャレな雰囲気の家にすることができる点も人気の理由です。
特に片流れ屋根などの直線的な屋根と相性が良く、スタイリッシュで洗練された雰囲気の家にすることができます。
また、デザイン性だけでなく、機能面も優れています。
軽量な金属屋根のため、建物の総重量を抑え、地震の際の耐震性を高めることができます。
さらに、屋根材の継ぎ目が少なく、特殊な方法でしっかりと固定されるため、雨漏りのリスクも抑えられます。
また、立平葺きは太陽光発電を取り付ける際にも適しています。
屋根材に穴を開けずに太陽光パネルを設置できたり、発電量が多くなる位置に自由に配置することができます。
シンプルながらも機能性に優れた立平葺きは、デザイン性と実用性どちらも欲しい方に最適な屋根です。
「立平葺き」と「瓦棒葺き(かわらぼうぶき)」の違い
立平葺きと外観が似ている屋根に「瓦棒葺き(かわらぼうぶき)」があります。
昔は縦葺き金属屋根といえば、瓦棒葺きが主流でした。
トタン屋根の多くが瓦棒葺きです。
どちらも屋根材を縦方向に設置する工事方法ですが、構造に違いがあります。
瓦棒葺きについて

瓦棒葺きは、縦に並べた屋根材のつなぎ目部分に芯木(しんぎ)と呼ばれる木の棒を入れて仕上げる工事方法のことです。
築年数が経過したトタン屋根で採用されている工事方法です。
現場で金属板を加工しやすいため、比較的狭い場所でも施工できます。
しかし、芯木が木材であるため経年劣化で腐食する可能性があり、そこから雨漏りや屋根材の剥がれに繋がる可能性があります。

芯木があると木と金属が触れ合う電蝕(でんしょく)による錆びを引き起こすため、最近は芯木を入れない縦葺き金属屋根、立平葺きを選択する機会が多いです。
立平葺きと瓦棒葺きの断面
立平葺きは芯木を使わず、屋根材の端の部分を互いに重ね合わせるように固定する工事方法です。
立平葺きと瓦棒葺きの違いは断面を比べることで分かります。


瓦棒葺きが適している現場も
立平葺きと瓦棒葺きは、どちらも屋根の頂点から軒先まで一枚の長い金属板を使用するため、継ぎ目が少なく、防水性が非常に高いという特徴があります。
ただし、立平葺きの場合は、あらかじめ工場で屋根材を加工し、そのまま現場に搬入します。
そのため、建物の敷地や道路の幅など、運搬や施工に関する外部環境の制約を受ける場合があります。
つまり、立平葺きは施工現場に広めのスペースが必要になります。

一方、瓦棒葺きは、現場で加工と施工が可能です。
板金コイルを現地に持ち込み、その場で職人が金属を切断・加工しながら屋根に取り付けていきます。
そのため瓦棒葺きは駐車場のような狭いスペースであっても問題なく施工を進められることが多いです。
テイガクでは、立平葺きで仕上げることが圧倒的に増えていますが、建物の環境によっては瓦棒葺きで屋根を仕上げることもあります。
立平葺きのメリット
立平葺きには、他の屋根工法にはない多くのメリットがあります。
以下でひとつずつ解説していきます。
価格が安い

立平葺きは、ガルバリウム鋼板の屋根の中でも最もシンプルな形状に加工されています。
また、断熱材一体型の製品のような付加価値をすべてそぎ落としています。
そのため、他のガルバリウム鋼板製の屋根に比べて価格が安いです。
また、緩勾配で屋根の面積を少なくすることができるため、屋根材の量を少なくすることができます。
そのため、手間や加工の時間も削減することができます。
板金職人さんに支払う労務の抑制もできる屋根です。
テイガクでは、立平葺きは1㎡あたり5,600円(税込6,160円)で工事をおこなっています。
大型の屋根では上記の価格より安い見積もり金額で工事の提供が可能です。
お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
勾配が緩く屋根面積を少なくできる
屋根材ごとに施工できる勾配(必要勾配)は異なり、一般的な瓦屋根やスレート屋根の場合、最低でも2寸の勾配が求められます。
これに対し、立平葺きは0.2寸や0.5寸といった非常に緩い勾配にも対応できる商品があります。
同じ敷地面積の建物で比較した場合、勾配が緩やかな屋根の方が屋根面積は小さくなります。
屋根面積は直接的に建築コストに影響するため、緩い勾配でも施工可能な立平葺きは、工事費用を抑える上で非常に有利な屋根材です。
また、勾配が緩い屋根は比較的安全にのぼりやすく、メンテナンスや修理がしやすいメリットもあります。
施工が楽で工期が短い

立平葺きは、工場であらかじめ屋根材が加工されているため、現場での切断や成型などの手間が大幅に軽減できます。
また、瓦やスレート屋根のように、小さな屋根材を一枚ずつ敷き詰める作業は必要ありません。
屋根の頂点から軒先まで、一枚の長い金属板を敷くだけで施工が完了します。
立平葺きの屋根材は「嵌合(かんごう)式」という接合方式を採用しており、隣り合った屋根材同士をカチッとはめ込むだけでしっかり固定できます。
他の屋根材に比べて施工スピードが速く、板金職人の作業負担を減らしてスムーズに工事を進めることが可能です。
雨漏りしにくい

立平葺きは、屋根の頂点から軒先まで一枚の長い金属板で施工されるため、継ぎ目が極めて少なく、雨水が侵入するリスクを大幅に低減できます。
また、立平葺きの接合部には、板金を折り曲げてしっかりと噛み合わせる「ハゼ締め工法」や、部材をはめ込んで固定する「嵌合(かんごう)式」が採用されています。
いずれも釘やビスが表面に露出しないため、サビや腐食などのトラブルも防ぐことができます。
このような点から立平葺きは、防水性に優れた屋根材として高く評価されています。
屋根リフォームを専門とするテイガクは、勾配不足が原因の雨漏り現場にしばしば遭遇します。
適切な勾配でスレート屋根や横葺き金属屋根が施工されていない現場は、意外と多いです。
そのような緩すぎる勾配が原因で雨漏りに至った現場には立平葺をおすすめしています。
太陽光パネルが安全に取り付けられる

スレート屋根に太陽光パネルを設置する際は、通常、屋根材に穴を開けて金具を取り付けます。
しかしこの方法では、穴を開けた部分から雨漏りが起こるリスクが高まります。
一方で立平葺きの場合は、太陽光パネルを固定する金具を立平葺きのつなぎ目に挟み込んで設置できるため、屋根材に穴を開ける必要がありません。
これにより、雨漏りのリスクを大幅に抑え、より安全で確実に太陽光パネルを取り付けることができます。
また、太陽光パネルの発電効率が最大になる位置へ自由に設置場所を選べる点も、立平葺き屋根の大きなメリットです。
立平葺きのデメリット
立平葺きにはたくさんのメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。
古い建物のトタン屋根に共通するデメリットです。
断熱性能がない

立平葺きに使用されるガルバリウム鋼板は、金属であるため熱を伝えやすい性質があります。
そのため夏の強い日差しが屋根に当たると、その熱をすぐに吸収し、屋根材自体が高温になります。
また、冬は室内の暖かい空気が外に逃げやすくなってしまいます。
断熱性能を高めるためには、屋根裏にペフなどの断熱シートを敷いたり、断熱ボードを張るなどの対策を講じる必要があります。
遮音性がない
金属屋根である立平葺きは、雨音や雹(ひょう)の音が響きやすいです。
特に強い雨が降った際には、雨音が室内に大きく聞こえることがあります。
これは、金属板が振動しやすく、音を吸収しにくい性質があるためです。
これらの対策方法は、屋根材の音を抑える効果がある断熱シートや断熱ボードを張るのが効果的です。
通気性がない

立平葺きは金属素材であるため、屋根表面からの熱を受けやすく、温度差によって屋根裏に結露が発生しやすいという特徴があります。
たとえば、トタン屋根などを葺き替える場合、築年数が古い住宅ほど野地板が結露により腐食していることが多いです。
築後30年以上が経過した縦葺き金属屋根の多くは、結露による下地への影響を少なからず受けています。
耐久性に優れたガルバリウム鋼板屋根であっても、結露によるダメージを完全に防ぐことは困難です。
そのため、最近では通気層を設けることで結露対策を強化した立平葺き製品(通気立平)も開発されています。
屋根の耐久性や住宅の長期的な維持をお考えの方には、このような通気立平を採用することをおすすめしています。
複雑な形状の屋根では不可

立平葺きは、屋根材を縦方向へ直線的に設置する工法であるため、複雑な形状の屋根には不向きです。
例えば、複合屋根のように屋根面が多数あり、複雑な交差部分が多い場合、立平葺きでは材料の加工が難しくなります。
屋根材を曲げたり、斜めにカットしたりする作業が増えるため、施工の手間が増え、コストも高くなってしまいます。
また、加工が増えることで、雨漏りのリスクも高まる可能性があります。
そのため、立平葺きは片流れ屋根や切妻屋根といった、比較的シンプルな形状の屋根に最適な工法と言えます。
複雑な屋根は横葺き金属屋根を選択します。
周囲の環境が悪いと施工ができない
立平葺きは、屋根材が長くて大型になるため、一般的には4tトラックでの搬入が必要です。
そのため施工現場には一定のスペースを確保しなければなりません。
住宅が密集している地域や、十分な足場を組むためのスペースを確保できないような敷地条件の場合、立平葺きでの施工は難しくなります。
施工現場の条件が悪く、十分な作業スペースが確保できない場合は、現地で屋根材の加工が可能な瓦棒葺きを選択します。
立平葺きで注意すること
一長一短ある立平葺きですが、実際に施工する前に注意をしなければいけないことがあります。
カバー工法で用いることができない

屋根のリフォーム工事では、既存のスレート屋根の上に新たな屋根材を被せる「屋根カバー工法」がよく採用されています。
しかし、立平葺きはスレート屋根の上にそのまま重ねて施工することができません。
スレート屋根へのカバー工法で金属屋根を採用する場合は、一般的に横葺きタイプの金属屋根を使用します。
また、立平葺きの上にさらに屋根材を重ねて施工することも困難なため、立平葺き屋根をリフォームする際には、既存の屋根材を撤去して新たに屋根材を設置する「葺き替え工法」が基本となります。
立平葺きで40年以上の長期にわたり屋根を維持することは現実的には難しく、長い目で見ると、一度は葺き替え工事を実施する可能性が高い屋根材といえます。
立平葺きの工事は建築板金工事会社へ

立平葺きの工事は、一般的な大工や瓦屋根の業者ではなく、「建築板金業者」によって行われる専門性の高い工事です。
建築板金業者とは、板金加工や金属建材の取り付けなど、金属に関する専門的な知識と技術を持つ業者のことです。
特に立平葺きは、金属屋根材の加工精度や、雨漏りを防ぐための細かな処理において、建築板金特有の技術が不可欠です。
また、立平葺きの施工では、事前の準備作業が極めて重要です。
採寸や発注量、現場での保管スペースの確保など、これらを一つでも誤ると、取り返しのつかない事態を招きます。
立平葺きを用いた屋根工事をご検討されている方の中には、価格を抑えつつ高品質な施工を望まれる方も多いと思います。
そのような方は、ぜひ「建築板金工事会社」に直接ご相談ください。
普段から立平葺き金属屋根の発注・加工を専門的に行っている建築板金工事会社であれば、よりリーズナブルかつ適切な施工プランをご提案できるはずです。
テイガクによる立平葺きの工事例や動画
テイガクが施工した立平葺きの工事例
テイガクが実際に施工した立平葺きの工事例をご紹介します。
ご自宅の屋根リフォームを考える際にぜひ参考にしてみてください。
立平葺き屋根材「デコルーフ(断熱材付き)」を使用した工事例
立平葺きで葺き替え工事を行なった工事例
テイガクによる立平葺きの施工動画
テイガクの公式YouTubeチャンネルでは、実際の施工現場から立平葺きについて詳しく解説しています。
動画もぜひご覧ください。
チャンネル登録者数 1万人
テイガク公式 Youtube はこちらYoutube撮影者 テイガク 代表 前川祐介
立平葺きの工事はテイガクにお任せください
テイガクは、創業25年、年間1,000棟以上の金属屋根工事を手掛ける、建築板金の専門工事会社です。
関東・関西エリアを中心に、豊富な実績と専門的な技術をもとに数多くのお客様の屋根・外壁リフォームをおこなってきました。
特に今回ご紹介した「立平葺き」の工事に関しては、数ある金属屋根の工事のなかでも当社が最も得意とする分野のひとつです。
雨漏りや屋根材の経年劣化にお悩みの方、太陽光発電システムの設置を予定されている方、また、スレート屋根などの老朽化によって葺き替えや改修工事を検討されている方は、ぜひテイガクにご相談ください。
金属屋根の加工・施工技術に精通した自社専属の職人が、お客様それぞれのご要望と建物の状態に合わせた最適なプランをご提案いたします。
ご相談から現地調査、お見積もりまではすべて無料です。
安心して任せられる工事品質と明確な価格設定で、お客様の大切な住まいを長期的にサポートいたします。