天窓(トップライト)はおしゃれで部屋も明るくなるため検討する方も多いですが、実は雨漏りのトラブルもよくあります。
私どもテイガク屋根修理でも、これまでお客様からご相談を受け、天窓からの雨漏りの修理を数多く担当してきました。
今回は、そのような経験をもとに、天窓の雨漏りに関して注目していただきたいポイントや、リフォームやメンテナンスの時期の目安、最新の天窓情報などについてお話しします。
この記事は2016年10月に加筆いたしました。
天窓のメリット・デメリット
最初に、天窓のメリット・デメリットからお話ししていきます。
光が奥まで届いて、部屋が明るい
天窓の一番の魅力は光が奥まで届き、部屋が明るい点です。
実際、建築基準法でも、天窓は通常の壁面窓に比べ3倍の採光で計算できると定められているほど、採光が期待できます。
そして、天窓があることで、部屋も明るくおしゃれな雰囲気になります。
また、敷地形状や回りの建物との関係上、プランの自由度が上がります。
風通しがいい
また、開けられる天窓の場合、通風量が壁面窓に比べると、2~4倍に向上します。
風通しがいい部屋は、風が吹き抜け、熱がこもらない心地よい室内環境を維持できます。
省エネ効果が高い
天窓は日中の採光が期待できることから、照明器具の使用頻度をおさえられます。
また、風通しがよいため、湿度の低い日には5~6度、湿度の高い日でも2~3度、室温が外気温より低くなります。
そのため、エアコンの稼働時間も短くなります。
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空を感じて贅沢に過ごせる
天窓は部屋に開放感をもたらします。光の演出ができ、夜空を眺められるなど、贅沢な時間を過ごせます。
プライバシーやセキュリティが確保できる
壁面窓に代わり、天窓を取り入れることで、お隣の視線や生活音が気にならなくなります。
また、天窓は壁面窓とは違い、覗き込むことも侵入することもできないため、セキュリティ面でも有効です。
以上のように、天窓にはメリットが多いです。
実際に、屋根をリフォームする際に、天窓を残したいというお客様は全体の9割にも上ります。
天窓の3つのデメリット
一方で、天窓にはデメリットもあります。注意していただきたいのは、現在は天窓のクオリティの向上が著しく、最新の天窓であれば、下で取り上げる項目もすでに改善されていることも多いです。
雨音が響く
普通の雨でしたら、それほど気にはなりませんが、台風や豪雨の時には雨がガラスにあたり大きな雨音がしてしまいます。特に、音が気になる方や寝室などへの取付けの際には注意が必要です。
雨漏りが発生する
屋根は本来、雨を防ぐためのものなので、その屋根に穴を開けて、天窓を設置するというのはどうしても無理があります。昔の造り付けの天窓とは異なり、現在ではメーカーによる既製品が主流になっているため、雨漏りの頻度は大幅に減少しました。それでも、天窓は他の屋根の部位や構造と比べると、雨漏りが多い部位ではあります。
結露が発生する
結露の水滴は雨漏りと同じように、室内に悪影響を及ぼします。まず、結露による水濡れで、室内側の木製の窓枠が腐ると、窓の開閉がしづらくなります。
それ以上に注意が必要なのは、壁面内部の結露です。壁の内部まで水が浸透してしまうと、家を支える大切な構造材である、柱や梁なども腐ってきてしまいます。
また、断熱材にカビが発生すると、断熱性や気密性が落ちてしまいます。
ただ、結露は、換気扇や2重窓、樹脂窓、シートなどを利用することで予防が可能です。
また、天窓は高いところにあるので、窓や窓枠を拭き取るのは難しいですが、継続的に掃除をし、メンテナンスを行うことで、劣化の進行を遅らせられます。
天窓からの雨漏りの3つのポイント
次に、天窓のデメリットでも出てきた雨漏りの3つのポイントについて、詳しくお話をしていきます。
POINT1 雨漏りはシリコンの増し打ちで直るケースが多い
天窓の雨漏りにはいくつかの原因がありますが、全体の半数程度がコーキングと呼ばれる隙間を埋めるための充填剤にあいた穴が原因です。
もう少し詳しくお話をすると、室外側の天窓の窓枠には気密性や防水性を高めるために、ゴム製のパッキンが使われていますが、この部分に穴が開いたり、パッキンが剥がれたりすることで、雨漏りが起こります。
この場合、傷んでいる部分の上からシリコンのコーキングを充填させることで、雨漏りの修理が可能です。下は、実際の雨漏りの修理の様子です。
天窓・トップライトのコーキング 雨漏り修理
このような補修でも、雨漏りが直らない場合は、雨仕舞の板金や屋根瓦の不具合で、雨漏りが発生している可能性が高いです。この場合は、屋根専門の工事会社に相談するのがベストです。
POINT2 その水は雨漏りか、結露か
雨漏りで困った…と思っていても、実は落ちてきた水は結露だったという場合もあります。天窓は結露が発生しやすいため、結露による水濡れを雨漏りと勘違いされるお客様もいます。
雨漏りと同じように、結露による水濡れも家を傷める原因にはなりますが、十分に結露対策を行えば、対処できることがあります。結露対策であれば、それほど金額がかからず、修理が可能です。
POINT3 天窓だけの交換は難しい
雨漏りの原因が天窓の経年劣化の場合、天窓自体を交換しなければなりません。ただ、天窓は屋根の一部であると考えていただくといいのですが、天窓だけ交換すればいいというわけではありません。天窓には既存の屋根との接続部分があるため、天窓だけを取り外して新しいものに交換するのは基本的には不可能です。
天窓の周りの屋根瓦をはがして、天窓を交換することもできるのですが、この場合、足場を組んで工事を行う必要があり、大がかりな工事になってしまいます。
天窓の交換工事は思ったよりも費用が掛かってしまうもので、実際、工事の見積書を見て、予算オーバーだからと工事を控えるお客様は少なくありません。そのため、天窓は屋根の寿命に合わせて、屋根と天窓、同時にリフォームを行うのが、最もコストパフォーマンスが高くなります。
雨漏りが発生しやすい天窓と最新の天窓
天窓には雨漏りが発生しやすい天窓とそうではないものがあります。
ここでは、そんな天窓の特徴をお話ししていきます。
雨漏りが発生しやすい天窓
天窓の中には、雨漏りが発生しやすいものがあります。どんなものかと言うと、造り付けの天窓です。今から35年ほど前の天窓は、大工さんが部材を準備して、現場で作るのが主流の「天窓=大工工事」の時代でした。
大工さんはもちろん建築のプロですが、天窓の造作を専門に行っているわけではありませんし、造る数も限られており、水の流れをよんだり、雨漏りに対しての予防をしたりする知識や技術も豊富とは言えません。もちろん、既製品の天窓と比べてしまうと、どうしても耐久性能で劣ってしまいます。
天窓の需要の高まりを受け、25年ほど前からサッシメーカーが中心になって開発した既製品が流通するようになりました。既製品の雨漏りに関する相談件数は、造作の天窓に比べて少なくなったという経緯があります。
しかし、天窓自体は屋根に穴を開けて採光することに変わりはないので、雨仕舞に関しては、問題が発生しやすい部位であると言えます。
天窓業界から撤退したメーカー
全盛期にはいろいろなサッシメーカーが天窓を規格し、販売していましたが、現在ではほとんどの会社が製造現場から撤退をしています。
こちらが撤退した天窓のメーカーです。
松下電工 ・ トステム ・ 新日経 ・ 三協立山 ・ YKKAP ・ 不二サッシ ・ 三和シャッター ・ 文化シャッター ・ 旭硝子 ・ 明治アルミー ・ ロトー・ ブラース ・ エストフェラー ・マーヴィン ・ 他
聞いたことがあるメーカーも多いかと思います。
現在、天窓メーカーはリクシルとベルックスの2社だけです。
「ベルックス」社はグローバル企業で商品力もあり、その参入で、業界内の競争が高まったことから、大手のサッシメーカーなども撤退を余儀なくされました。
最新の天窓
結果的に天窓メーカー数は激減しましたが、一方で、天窓の品質やアフターメンテナンスなどのサービスは向上しています。
昔の天窓と今の天窓の違い
・トリプル防水構造で雨漏りのリスクが大幅に改善されている
・定期点検のサービスがついている
・強化ガラスで、透明性も向上している
・遮熱性・遮音性・UVカットも向上している
・汚れにくい機能がついていて、手入れが少なくて済む
・北欧調の枠など、おしゃれなデザインが豊富
・センサーで雨を感知して、自動で閉まる(電動式)
・ブラインドを閉めていても、通気が確保できる
・無線でリモコン操作ができる
・配線がいらないソーラータイプである
最新情報や詳細はリクシル・日本ベルックスホームページもご覧ください。
※日本ベルックスについて簡単にご説明すると、デンマークで誕生した会社で、日本ベルックスは、設立35年の天窓のみに特化した企業で、300以上の天窓に関する特許を取得しています。
販売国は37カ国に及び、年間の売り上げは3,500億円を超える世界シェアナンバー1のグローバル企業です。
技術力はもちろんのこと、メンテナンスサービス(10年・20年点検)や保証(業界最長25年)、販売価格においても他社を圧倒しており、日本における市場シェアを伸ばしています。
天窓の寿命とメンテナンスの時期、方法
最後に、皆さんが一番気になるかと思う、天窓の寿命とメンテナンスの時期についてお話します。
天窓の寿命
天窓の寿命は建築後25年を目安にしてください。実際、25年を過ぎてしまうと、経年劣化で、不具合や破損、雨漏りなどが起こりやすくなるので、注意が必要です。
他にも、室内側の窓枠の具合(腐食の程度)からも、寿命が判断できます。下に、判断基準を載せておきます。
サッシによる天窓寿命の判断基準 |
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1辺が5.5cm、または30cm2以上の水染み、変色が2か所以上見られる場合 |
窓枠による天窓寿命の判断基準 |
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1辺が5.5cm、または30cm2以上の水染み、変色が3か所以上みられる場合 |
天窓は日本に100万窓以上のストックがあると言われますが、既製品の場合、製造を撤退しているメーカーが多いため、問い合わせようとしても、修理の相談窓口がなかったり、すでに部品の供給がなくなっていたりしていることが問題になっているので、注意が必要です。
天窓のリフォーム・メンテナンス方法、修理にかかる費用
テイガク屋根修理への天窓のリフォーム・メンテナンスに関して多いご質問は、実際に修理や交換ができるか、もしできるならいくらぐらいかかるか、というものです。
まず、天窓のリフォーム・メンテナンスには次の2つの方法があります。
1つ目は「天窓の交換」です。
他のメーカーの既製品であっても、現在販売中の他社の天窓へ交換できます。
ただし、造り付けの天窓の場合は、既製品のサイズが限られているため、一回り小さいサイズへの交換になります。
2つ目は、「下葺き材や雨仕舞板金の交換」です。天窓からの雨漏りの原因が窓枠のコーキングの穴でない場合、屋根材の下に敷いた防水シートである「下葺き材」、又は雨が住宅の内部に入らないようにする金属である「雨仕舞板金」の劣化による浸水が考えられます。
この場合、新しく下葺き材や板金を取り換えれば、雨漏りはほとんど改善されます。これが、最小限の天窓の修理方法です。お客様のご予算がない場合や、既存の天窓が造り付けで、サイズの変更に抵抗のある場合、おススメです。
※テイガク屋根修理では、お客様に安心していただくため、定額料金で天窓の修理をご提供しております。
テイガク屋根修理による天窓の修理費用 |
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1窓 15,000円(税抜) |
こちらは、屋根のリフォームと同時に施工した場合の価格ですので、屋根のリフォーム価格表も一緒にご覧ください。
天窓のメンテナンス時期
天窓にはメンテナンスにおススメの時期があります。それは、屋根のリフォーム(葺き替え・塗装)のタイミングです。屋根の本体工事や足場工事と合わせて、天窓の修理・交換が行えるため、効率的ですし、費用も抑えられます。
屋根工事と同時に交換をするタイミングを逃してしまうと、次の天窓のメンテナンスはおよそ30年以上先になってしまいます。上でもお話ししたように、天窓の寿命は25年ほどですから、次の天窓のメンテナンスまでに、雨漏りなどの問題が発生する可能性は高くなってしまいます。天窓も屋根の一部として考えて、メンテナンススケジュールを作っていただくことをおススメします。
天窓のリフォーム工事は板金工事業者へ
昔の天窓は、大工さんの手によって、現場で作られていました。しかし、現在では天窓は規格品が取って代わり、取り付け工事もマニュアル化されています。
その一方で、屋根のリフォームは、金属瓦が主流となっており、屋根との取り合いは雨仕舞(雨が住宅内部に入らないようにするための)板金が必要になります。
ですから、屋根のリフォームと同時に行う天窓工事は板金工事会社に依頼していただくのがベストです。金属瓦屋根を中心に工事を行う板金工事会社であれば、水の流れを把握し適切な雨漏りの対処が行えますし、大工さんに頼ることなく、一括して管理ができます。
ぜひ、天窓修理や交換工事の実績や技術力のある信頼できる施工会社を見つけてください。
テイガク屋根修理も板金工事会社であり、これまでたくさんの天窓の修理、交換工事を行ってきました。天窓の雨漏りでお悩みのお客様のご相談も随時承っておりますので、お困りの方は気軽にご連絡ください。
最後に
以上、天窓の雨漏りによる修理や交換についてお話してまいりました。
最後にポイントをまとめます。
POINT
・天窓の雨漏りは室外側の窓枠のコーキングのはがれなどの劣化によることが多い。
・窓枠の水濡れは天窓の不良ではなく、結露による可能性もある。
・大工さんによる造り付けの天窓は雨漏り発生リスクが極めて高い。
・天窓の寿命は建築後25年が目安。
・最新の天窓は、20年以上昔に比べ、各段に性能が向上している。
・屋根のリフォームの際には、天窓の交換工事も検討すべき。
・天窓は塞ぐこともできる。
・金属屋根工事と天窓工事を同時に行う際には、屋根専門工事会社に依頼するのが手間も少なく、管理も楽。
以上、おしゃれな天窓を長持ちさせ、快適な住環境を維持させるためのリフォーム、メンテナンスについて、お話をしました。
天窓の雨漏りや水漏れなどでお困りの方は、まず屋根専門工事会社に相談して、修理方法、費用などを聞いてみるようにしてください。