- 雨漏りが発生しやすい部位がわかります
- 各部位の雨漏り修理方法がわかります
- 雨漏り修理業者の選定基準がわかります
【はじめに】雨漏り修理業者の一覧
専門工事業者 | 日常的におこなっている工事 |
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板金工事業者 | 各種板金/金属屋根/コロニアル/笠木/天窓/軒天や破風/金属サイディング |
瓦工事業者 | 瓦屋根/コロニアル/瓦の漆喰/軒天や破風/天窓 |
天窓メーカーの施工部 | 天窓 |
塗装工事業者 | 塗装/外壁シーリング目地 |
シーリング工事業者 | 外壁シーリング目地 |
窯業サイディング工事業者(張り壁) | サイディング外壁/外壁シーリング目地 |
左官工事業者(塗り壁) | 塗り壁 |
防水工事業者 | 陸屋根/バルコニー床下 |
サッシ工事業者 | 窓やドアなどのサッシ |
大工 | 軒天や破風/構造部 |
「雨漏り修理」を看板にかかげて集客したり、「雨漏り修理業者を紹介」したりするインターネットサービスが目立ちます。
しかし、この表が示す通り、建設工事には専門業者(職人)が存在します。
国土交通省では29種類の専門業種を定めていますが、その中に「雨漏り修理業」という専門職業はありません。
そのため、あるひとつの業者が全ての雨漏りを単独で修理して解決することは絶対にできません。
世の中には本業である専門業種を示さず、「雨漏り修理」だけを熱心にアピールするホームページで溢れています。
そのような業者の多くは雨漏りか所の特定だけをおこない、実際の工事は各専門の工事業者に丸投げをします。
業者のなかには雨漏り修理「25,000円~」といった魅力的な金額をアピールして、高額な工事を請求することを目的にしている業者も存在します。
雨漏りの修理は雨が漏れている部位を予測することからはじめてください。
そして、予測した部位を専門とする工事業者に直接ご相談することが正解です。
専門工事会社が調査をすれば、自分たちでできる工事であるかどうかすぐにわかります。
雨漏り修理を自称する会社に全てを任せてしまうことは、最終手段であると、テイガクは考えます。
- 谷どい板金からの雨漏り
- 屋根本体の経年劣化からの雨漏り
- 雨押え板金からの雨漏り
- 陸屋根からの雨漏り(バルコニー床含む)
- 笠木板金(パラペット)からの雨漏り
- 天窓(トップライト)からの雨漏り
- 外壁シーリング目地からの雨漏り
- 外壁のヒビ割れからの雨漏り
- 軒天と外壁の取り合いからの雨漏り
- 広子舞と外壁の取り合いからの雨漏り(軒ゼロ住宅の雨漏り)
- 手抜きによる雨漏り
- サッシ廻りからの雨漏り
- 縁切りなしの雨漏り
- 棟板金からの雨漏り
- 勾配不足の屋根からの雨漏り
- その他のよく雨漏りが発生する部位
- 【このページで一番 重要!!】全ての原因は下葺き材や透湿防水シートの劣化
こちらのページはとても長いです。あらかじめご了承ください。
屋根の構造や屋根に関する用語はこちらをご覧ください。
【屋根の構造】覚えて絶対損をしない屋根構造と部材用語 22選
雨漏りは優先順位を付けて修理するのが鉄則
雨漏りが発生したとき、屋根本体の劣化が原因と思い込む人が多いです。
もちろん、屋根本体の経年劣化が原因で雨が漏れることはあります。
しかし、下のイラストで示しているとおり、雨は屋根本体以外が原因で漏れることの方が多いです。
もし下のイラストで当てはまる部位が複数ある場合は、雨漏りを疑う部位に優先順位をつけてください。
そして、優先順位からひとつずつ点検をおこなって、雨漏り部位を特定してください。
なかにはシーリングなどの簡易的な補修で雨漏りが改善することもあります。
特定をしたら、その部位を専門とする業者に直接、相談をしてください。
たとえば、1位の谷どい板金からの雨漏りが疑われる場合は板金工事業者に相談します。
(※瓦屋根で瓦を継続して使用する場合の谷どい板金は瓦葺工事業者になります。)
塗装工事業者や防水工事業者が相談の相手先ではないということです。
1位 谷どい板金からの雨漏り
谷どい板金について
谷樋(どい)板金は突出して雨漏りが多い部位です。
谷どい板金は「屋根と屋根の取り合い部」に取り付けられます。
画像では瓦と瓦のすき間にある茶色の部分です。
この屋根と屋根が取り合う凹んだ部位を「谷部」とよびます。
谷部は雨水が集中する部位であるため、雨漏りの頻度も多いです。
主な雨漏り原因はサビからくる板金の穴あきです。
経年劣化で板金がゆがみ、雨水が速やかに排水できなくなることも原因のひとつとしてあげられます。
谷どい板金は板金だから金属屋根だけに取り付けられいると思い込んでいる人が多いです。
谷どい板金は「谷部のある全ての屋根」に使われています。
つまり、瓦屋根やコロニアルにも谷どい板金は取り付けられています。
谷どい板金からの雨漏り修理方法は?
谷どい板金の雨漏りは建築後20年から30年が過ぎた建物でよく発生します。
特に勾配(こうばい)の緩い「瓦棒(かわらぼう)屋根」で雨漏りが発生します。
また、瓦屋根は他の屋根材に比べて、谷どい板金の寿命が短いです。
原因は瓦の成分と関係があります。
昔の瓦屋根の谷どいは銅やトタンがよく使われていますが、瓦屋根の場合はステンレス製の谷どい板金への交換をおすすめします。
築後20年以上が過ぎている場合は、部分修理や塗装は避け、カバー工法もしくは葺き替え工事を検討てください。
谷どい板金の雨漏りをきっかけに、屋根全体をリフォームすることをおすすめします。
- 【ワンポイント】板金工職人について
- 雨漏りが発生する部分は板金部分が多いです。
理由は単純で、雨漏りしやすい部分に板金が取り付けられるからです。
このページ内でもたくさんの板金部分が雨漏りポイントとして取り上げられています。
昔は建物の一部分に板金を取り付けることが多かったです。しかし、現在では屋根自体にも金属製品がよく使われています。
これらの金属(鋼板)を加工して取り付けるプロフェッショナルが存在します。
それが「板金工職人」です。
板金工職人は金属屋根や雨仕舞の板金加工・取付を得意としています。
瓦職人や塗装職人、防水職人とは全く異なる専門職です。
繰り返しますが、板金部分からの雨漏りはとても多いです。
雨漏りが発生した場合は、まずはじめに板金工事の専門業者にお尋ねすることをおすすめします。
- 【ワンポイント】ノンアスベスト屋根材とは
- 2000年ごろスレート系の屋根材にアスベストの使用が禁止されました。
それを受けてアスベストが含まれない屋根材が屋根メーカーから相次いで販売されました。
これを業界では「ノンアスベスト屋根」とよんでいます。
当時は屋根の主成分であるアスベストを代替できる製造技術が「不十分」でした。
そのため「一部の」ノンアスベスト屋根でハガレやヒビワレなどのクレームが数多く報告されています。
特に多いのが屋根の表面がめくれあがる表層剥離現象です。
施工後7年から10年くらいで発現します。
ただし、全てのノンアスベスト屋根材がこのような不良を生じるということではありません。
メーカーや商品によっては2000年ごろに販売されたノンアスベスト屋根材でも、じゅうぶんな品質が保たれた屋根材はあります。
現在販売されているスレート系屋根材の代表的な商品のコロニアルも、アスベストは含まれていないノンアスベスト屋根材です。
依頼する雨漏り修理業者 | 得意とする専門分野 |
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板金工事業者 | 金属屋根やコロニアルの谷どい板金 |
瓦葺工事業者 | 瓦屋根の谷どい板金 |
経年劣化した屋根の雨漏り修理方法は?
屋根本体の劣化による雨漏りは、根本的な原因が屋根本体であると思い込んでいる人が多いです。
実は屋根本体ではなく、屋根の下に敷かれている防水シートが劣化していることが根本的な雨漏りの原因です。
防水シートは「ルーフィング」や「下葺き材」ともよびます。
修理方法は「部分修理」と「全面リフォーム」があげれます。
しかし、部分修理では防水シートの交換ができません。
したがって、瓦の差し替えなどの部分修理は雨漏り対策としては不十分です。
あくまでも応急措置としてとらえてください。
また、防水シートには種類があり、耐久性が10年程度の商品から60年の商品まであります。
防水シートに何が使われているかも、とても大切なポイントです。
屋根の経年劣化からの雨漏り修理業者は?
屋根を全面リフォームする場合、板金工事業者もしくは瓦葺工事業者が相談先になります。
仕上げる屋根材によって相談先が変わります。
金属屋根をつかう工事は板金工事業者に依頼してください。
瓦屋根をつかう工事は瓦葺工事業者に依頼してください。
ただし、葺き替えをおこなう場合、金属屋根が第一選択になるため、依頼先はおのずと板金工事業者になります。
瓦への葺き替えはコストがかかり、コロニアルへの葺き替えはメーカー保証が付かないからです。
依頼する雨漏り修理業者 | 得意とする専門分 |
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板金工事業者 | 金属屋根への葺き替え コロニアルの上に金属屋根を被せるカバー工法 |
瓦葺工事業者 | 瓦屋根の部分修理・葺きなおし 瓦屋根への葺き替え |
- 【ワンポイント】シーリングによる応急処置について
- 建物にはシーリングがたくさん使われています。
シーリングのヒビ割れが原因の雨漏りであれば、シーリングを打つことで雨漏りはなおります。
しかし、部分的なシーリングだけの対処は根本的な原因解決にはならないことが多いです。
屋根や外壁の内部が根本的な原因であることが多いからです。
根本的な原因を改善させないシーリングだけの応急処置では、近い将来、ふたたび雨漏りが発生する可能性があります。
雨押え板金が用いられている部位で、特に雨漏りが多いのは「下屋根の軒先の壁ぎわ」です。
この部位は雨水が一番集中するため、水が外壁にかからないよう雨押さえ板金を折り曲げるなどの工夫が必要です。
外壁内部に雨水が浸水する経路ができている場合は、外壁を剥がして防水シートを張りなおす処置もおこなってください。
依頼する雨漏り修理業者 | 得意とする専門分野 |
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板金工事会社 | 金属屋根やコロニアルの雨押え板金の交換 |
瓦葺工事会社 | 瓦屋根の雨押え板金の交換 |
陸屋根からの雨漏り修理方法は?
陸屋根の防水層の耐用年数はおよそ10年から15年程度です。
シーリングによる穴埋めや防水テープを貼ることで、一時的に雨漏りの改善が期待できます。
まっすぐなヒビ割れが生じている防水層を見かけることがあります。
これは下地と下地のジョイント部分に隙間ができることで生じたヒビ割れです。
この場合は、下地を含めた全面改修が必要です。
防水層の全面改修は新たに防水層を重ねる方法(カバー工法)が一般的です。
しかし、下地(耐水合板)の腐食が進行している場合や、明らかに欠陥がある場合は、防水層の全面交換となります。
防水層の全面交換はサッシや外壁工事、パラペット板金とからむことがあり、大がかりな工事になることがあります。
大がかりな工事を避けるためにも、陸屋根やバルコニーの防水層には保護剤(トップコート)を定期的に塗ってメンテナンスをしてください。
- 【ワンポイント】トップコートとは
- トップコートとは防水層を保護するために塗るコーティング材です。
防水層を長持ちさせるためには、定期的にトップコートを塗る必要があります。
水をはじく性質があるので、多少の防水効果も期待できます。
テイガクでは屋根や外壁工事のついでに、バルコニーのトップコート塗布工事を依頼される方が多いです。
防水層につかう「ウレタン」や「トップコート」はホームセンターでも販売されているので、まずはじめにDIYで試してみるのもひとつの考えです。
依頼する雨漏り修理業者 | 得意とする専門分野 |
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防水工事業者 | 防水層全般 |
塗装工事業者 | ウレタンやFRPを用いた狭所の防水工事 |


- 【ワンポイント】パラペットとは
- パラペットとは「立ち上がり壁」もしくは「手すり壁」のことです。
陸屋根の立ち上がり部位もパラペットとして分類できます。
パラペットは昔の商店街の木造建築物でよく見かけます。
入口側の外壁を屋根が見えなくなるまで立ち上げることで、2階の生活感を隠したり、看板を取り付けたりすることができます。
依頼する雨漏り修理業者 | 得意とする専門分野 |
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板金工事業者(金属屋根の工事業者) | 笠木板金全般 各種板金全般 金属屋根の葺き替え |
サッシ工事業者 | メーカー既製品のアルミ製バルコニー笠木 |