【思い込みでは?】正しい雨漏り修理方法と業者選びのポイント

  • 雨漏りが発生しやすい部位がわかります

  • 各部位の雨漏り修理方法がわかります

  • 雨漏り修理業者の選定基準がわかります

雨漏り修理の様子

住宅トラブルの85%が雨漏りといわれています。
雨漏りの原因部位を特定することはとても難しいです。
雨漏りの原因部位を特定したつもりが、結局思い込みだったことが少なくありません。雨漏りの修理方法は雨漏りしやすい部位から消去法式に雨漏りか所を特定し、その特定箇所にあった適切な修理をおこなうことだとテイガクは考えます。
このページではテイガクの経験を元に、雨漏りしやすい部位をランキング方式でまとめました。

1位から順番にご覧いただき、当てはまる箇所がないか確認してください。
雨漏りか所が分かれば、その特定箇所の修理を専門とする業者に相談しましょう。
ただし、私たちが思っている以上に専門工事業者は細分化されています。

【はじめに】雨漏り修理業者の一覧

専門工事業者日常的におこなっている工事
板金工事業者各種板金/金属屋根/コロニアル/笠木/天窓/軒天や破風/金属サイディング
瓦工事業者瓦屋根/コロニアル/瓦の漆喰/軒天や破風/天窓
天窓メーカーの施工部天窓
塗装工事業者塗装/外壁シーリング目地
シーリング工事業者外壁シーリング目地
窯業サイディング工事業者(張り壁)サイディング外壁/外壁シーリング目地
左官工事業者(塗り壁)塗り壁
防水工事業者陸屋根/バルコニー床下
サッシ工事業者窓やドアなどのサッシ
大工軒天や破風/構造部

「雨漏り修理」を看板にかかげて集客したり、「雨漏り修理業者を紹介」したりするインターネットサービスが目立ちます。
しかし、この表が示す通り、建設工事には専門業者(職人)が存在します。
国土交通省では29種類の専門業種を定めていますが、その中に「雨漏り修理業」という専門職業はありません。

そのため、あるひとつの業者が全ての雨漏りを単独で修理して解決することは絶対にできません。

世の中には本業である専門業種を示さず、「雨漏り修理」だけを熱心にアピールするホームページで溢れています。
そのような業者の多くは雨漏りか所の特定だけをおこない、実際の工事は各専門の工事業者に丸投げをします。
業者のなかには雨漏り修理「25,000円~」といった魅力的な金額をアピールして、高額な工事を請求することを目的にしている業者も存在します。

雨漏りの修理は雨が漏れている部位を予測することからはじめてください。
そして、予測した部位を専門とする工事業者に直接ご相談することが正解です。
専門工事会社が調査をすれば、自分たちでできる工事であるかどうかすぐにわかります。
雨漏り修理を自称する会社に全てを任せてしまうことは、最終手段であると、テイガクは考えます。

雨漏りは優先順位を付けて修理するのが鉄則

雨漏りが発生したとき、屋根本体の劣化が原因思い込む人が多いです。
もちろん、屋根本体の経年劣化が原因で雨が漏れることはあります。
しかし、下のイラストで示しているとおり、雨は屋根本体以外が原因で漏れることの方が多いです。
もし下のイラストで当てはまる部位が複数ある場合は、雨漏りを疑う部位に優先順位をつけてください。
そして、優先順位からひとつずつ点検をおこなって、雨漏り部位を特定してください。
なかにはシーリングなどの簡易的な補修で雨漏りが改善することもあります。

雨漏り修理頻度ランキング

特定をしたら、その部位を専門とする業者に直接、相談をしてください。
たとえば、1位の谷どい板金からの雨漏りが疑われる場合は板金工事業者に相談します。
(※瓦屋根で瓦を継続して使用する場合の谷どい板金は瓦葺工事業者になります。)
塗装工事業者や防水工事業者が相談の相手先ではないです。

1位 谷どい板金からの雨漏り

谷どい板金について

谷どい板金

谷樋(どい)板金は突出して雨漏りが多い部位です。
谷どい板金は「屋根と屋根の取り合い部」に取り付けられます。
画像では瓦と瓦のすき間にある茶色の部分です。

この屋根と屋根が取り合う凹んだ部位を「谷部」とよびます。
谷部は雨水が集中する部位であるため、雨漏りの頻度も多いです。

主な雨漏り原因はサビからくる板金の穴あきです。
経年劣化で板金がゆがみ、雨水が速やかに排水できなくなることも原因のひとつとしてあげられます。

谷どい板金は板金だから金属屋根だけに取り付けられいると思い込んでいる人が多いです。
谷どい板金は「谷部のある全ての屋根」に使われています。

つまり、瓦屋根やコロニアルにも谷どい板金は取り付けられています。

谷どい板金からの雨漏り修理方法は?

谷どい板金の雨漏りは建築後20年から30年が過ぎた建物でよく発生します。
特に勾配(こうばい)の緩い「瓦棒(かわらぼう)屋根」で雨漏りが発生します。

また、瓦屋根は他の屋根材に比べて、谷どい板金の寿命が短いです。
原因は瓦の成分と関係があります。
昔の瓦屋根の谷どいは銅やトタンがよく使われていますが、瓦屋根の場合はステンレス製の谷どい板金への交換をおすすめします。

築後20年以上が過ぎている場合は、部分修理や塗装は避け、カバー工法もしくは葺き替え工事を検討てください。
谷どい板金の雨漏りをきっかけに、屋根全体をリフォームすることをおすすめします。

【ワンポイント】板金工職人について

雨漏りが発生する部分は板金部分が多いです。
理由は単純で、雨漏りしやすい部分に板金が取り付けられるからです。
このページ内でもたくさんの板金部分が雨漏りポイントとして取り上げられています。
昔は建物の一部分に板金を取り付けることが多かったです。しかし、現在では屋根自体にも金属製品がよく使われています。

これらの金属(鋼板)を加工して取り付けるプロフェッショナルが存在します。
それが「板金工職人」です。
板金工職人は金属屋根や雨仕舞の板金加工・取付を得意としています。
瓦職人や塗装職人、防水職人とは全く異なる専門職です。

繰り返しますが、板金部分からの雨漏りはとても多いです。
雨漏りが発生した場合は、まずはじめに板金工事の専門業者にお尋ねすることをおすすめします。

【ワンポイント】ノンアスベスト屋根材とは

2000年ごろスレート系の屋根材にアスベストの使用が禁止されました。
それを受けてアスベストが含まれない屋根材が屋根メーカーから相次いで販売されました。
これを業界では「ノンアスベスト屋根」とよんでいます。

当時は屋根の主成分であるアスベストを代替できる製造技術が「不十分」でした。
そのため「一部の」ノンアスベスト屋根でハガレやヒビワレなどのクレームが数多く報告されています。
特に多いのが屋根の表面がめくれあがる表層剥離現象です。
施工後7年から10年くらいで発現します。

ただし、全てのノンアスベスト屋根材がこのような不良を生じるわけではありません。
メーカーや商品によっては2000年ごろに販売されたノンアスベスト屋根材でも、じゅうぶんな品質が保たれた屋根材はあります。
現在販売されているスレート系屋根材の代表的な商品のコロニアルも、アスベストは含まれていないノンアスベスト屋根材です。

谷どい板金からの雨漏り修理業者は?

谷どい板金修理

谷どい板金からの雨漏りは、板金工事業者へ相談してください。
屋根材がコロニアルや金属屋根である場合、部分修理もしくは屋根リフォームとあわせて修理のご提案ができます。
既存が瓦屋根である場合は、葺き替え工事のご提案もできます。

ただし、瓦屋根はそのままで谷どい板金だけ交換されたい場合は、瓦葺工事業者に依頼してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者金属屋根やコロニアルの谷どい板金
瓦葺工事業者瓦屋根の谷どい板金

2位 屋根本体の経年劣化からの雨漏り

屋根材の耐用年数について

ノンアスベスト屋根材

屋根材は一生もつものと思い込んでいる人が多いです。
屋根材には寿命があり、屋根は住宅のどこよりも重要な部位であることを再認識してください。
そして、各屋根材の耐用年数を知り、適切なタイミングで屋根リフォーム工事をおこなってください。
雨漏りをきっかけに屋根全体のリフォーム工事をおこなうことをおすすめします。

経年劣化した屋根の雨漏り修理方法は?

屋根の雨漏りは下葺き材が原因

屋根本体の劣化による雨漏りは、根本的な原因が屋根本体であると思い込んでいる人が多いです。
実は屋根本体ではなく、屋根の下に敷かれている防水シートが劣化していることが根本的な雨漏りの原因です。
防水シートは「ルーフィング」や「下葺き材」ともよびます。

修理方法は「部分修理」と「全面リフォーム」があげれます。
しかし、部分修理では防水シートの交換ができません。
したがって、瓦の差し替えなどの部分修理は雨漏り対策としては不十分です。
あくまでも応急措置としてとらえてください。

また、防水シートには種類があり、耐久性が10年程度の商品から60年の商品まであります。
防水シートに何が使われているかも、とても大切なポイントです。

屋根の経年劣化からの雨漏り修理業者は?

金属屋根

屋根を全面リフォームする場合、板金工事業者もしくは瓦葺工事業者が相談先になります。
仕上げる屋根材によって相談先が変わります。

金属屋根をつかう工事は板金工事業者に依頼してください。
瓦屋根をつかう工事は瓦葺工事業者に依頼してください。

ただし、葺き替えをおこなう場合、金属屋根が第一選択になるため、依頼先はおのずと板金工事業者になります。
瓦への葺き替えはコストがかかり、コロニアルへの葺き替えはメーカー保証が付かないからです。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分
板金工事業者金属屋根への葺き替え
コロニアルの上に金属屋根を被せるカバー工法
瓦葺工事業者瓦屋根の部分修理・葺きなおし
瓦屋根への葺き替え

3位 雨押え板金からの雨漏り

雨押え板金(あまおさえ)について

雨押え板金

雨押え板金は屋根と外壁の取り合い部に取り付ける板金です。
雨押さえ板金は「壁ぎわ板金」や「水切り板金」ともよばれます。
雨押え板金は壁際からの雨漏りを防ぐための役割を担っています。
また、雨押え板金は谷どい板金と同じく、瓦やコロニアルを含む全ての屋根に取り付けられます。

雨押え板金からの雨漏りは建築後20年から30年程度の住宅でよく発生します。
特にサイディングの外壁に多いです。
2階建ての住宅で1階の天井から雨漏りが発生し、雨漏り発生付近に軒先と外壁が取り合う部分があれば、その部位から雨が漏れている可能性が極めて高いです。
壁を伝った雨水が雨どい付近に集中し、排水しきれなかった雨は室内側で漏れだしています。

雨押え板金は金属なので、サビて穴があくことがあります。
特に雨押え板金を留めている釘穴から雨が漏れることがあります。

雨押え板金からの雨漏り修理方法は?

壁際の雨漏り

雨押え板金を新しいものに交換します。
板金がうまく納まらない場合は、外壁を剥がして外壁工事と屋根工事を同時におこないます。

シーリングによる穴埋めで雨漏りが改善することもあります。
ただし、写真のような箇所は雨水を排水させる機能もあるため、シーリングを打ってしまうと外壁内部に雨水が溜まってしまい、雨漏りが悪化するおそれがあります。

【ワンポイント】シーリングによる応急処置について

建物にはシーリングがたくさん使われています。
シーリングのヒビ割れが原因の雨漏りであれば、シーリングを打つことで雨漏りはなおります。
しかし、部分的なシーリングだけの対処は根本的な原因解決にはならないことが多いです。
屋根や外壁の内部が根本的な原因であることが多いからです。
根本的な原因を改善させないシーリングだけの応急処置では、近い将来、ふたたび雨漏りが発生する可能性があります。

雨押え板金が用いられている部位で、特に雨漏りが多いのは「下屋根の軒先の壁ぎわ」です。
この部位は雨水が一番集中するため、水が外壁にかからないよう雨押さえ板金を折り曲げるなどの工夫が必要です。
外壁内部に雨水が浸水する経路ができている場合は、外壁を剥がして防水シートを張りなおす処置もおこなってください。

雨押え板金からの雨漏り修理業者は?

雨押え板金の修理

雨押え板金からの雨漏りは板金工事業者に相談してください。
板金工は鋼板折ったり曲げたりする技術に優れた職人です。
複雑な屋根でも適切なかたちに鋼板を加工して雨押え板金からの雨漏りを解消させます。
ただし、瓦屋根の場合は瓦葺工事会社に依頼してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事会社金属屋根やコロニアルの雨押え板金の交換
瓦葺工事会社瓦屋根の雨押え板金の交換

4位 陸屋根からの雨漏り(バルコニー床含む)

陸屋根について

防水層の雨漏り

平らな屋根を陸屋根(りくやね)もしくはフラットルーフとよびます。
陸屋根は防水層を設けて雨水の侵入をふせぐ構造となっています。
マンションやビルの屋上がまさに陸屋根です。
戸建て住宅のバルコニーの床下も陸屋根とほぼ同じつくりです。
陸屋根は完全な平らではなく、若干の勾配(こうばい)が設けられています。

じゅうぶんな勾配がないと陸屋根部分に水たまりができ、防水層が劣化しやすくなります。
よく勾配不足で水たまりができた陸屋根をみかけます。
水たまりができ雨漏りをしているということは、内部下地が腐っているもしくは腐りやすい環境におかれていると言い換えられます。
早期に雨漏り対策をおこなってください。

陸屋根の防水層は主に「ウレタン」「FRP」「アスファルト」「シート」の4種類にわけられます。
耐久性能や耐久年数がそれぞれ異なるため、どの防水層が使われているか把握しておきましょう。
一般住宅のバルコニーの床下には「FRP」もしくは「ウレタン」がよく採用されています。

陸屋根からの雨漏りを確認する方法は比較的簡単です。
陸屋根に水張り試験を行うことで雨漏りを確かめられます。

防水層の立ち上がり幅が大切であることも覚えておきましょう。
立上り幅の少ない箇所は雨漏りが起こりやすいです。
防水層からの立ち上がりは25cm以上確保するのが理想です。
しかし、バルコニーの出入り口などは段差が少ないほど便利であるため、じゅうぶんな立上り幅を設けていない雨漏りしやすい陸屋根を見かけます。

陸屋根からの雨漏り修理方法は?

劣化した防水層

陸屋根の防水層の耐用年数はおよそ10年から15年程度です。
シーリングによる穴埋めや防水テープを貼ることで、一時的に雨漏りの改善が期待できます。

まっすぐなヒビ割れが生じている防水層を見かけることがあります。
これは下地と下地のジョイント部分に隙間ができることで生じたヒビ割れです。
この場合は、下地を含めた全面改修が必要です。

防水層の全面改修は新たに防水層を重ねる方法(カバー工法)が一般的です。
しかし、下地(耐水合板)の腐食が進行している場合や、明らかに欠陥がある場合は、防水層の全面交換となります。

防水層の全面交換はサッシや外壁工事、パラペット板金とからむことがあり、大がかりな工事になることがあります。

大がかりな工事を避けるためにも、陸屋根やバルコニーの防水層には保護剤(トップコート)を定期的に塗ってメンテナンスをしてください。

【ワンポイント】トップコートとは

トップコートとは防水層を保護するために塗るコーティング材です。
防水層を長持ちさせるためには、定期的にトップコートを塗る必要があります。
水をはじく性質があるので、多少の防水効果も期待できます。
テイガクでは屋根や外壁工事のついでに、バルコニーのトップコート塗布工事を依頼される方が多いです。
防水層につかう「ウレタン」や「トップコート」はホームセンターでも販売されているので、まずはじめにDIYで試してみるのもひとつの考えです。

陸屋根からの雨漏り修理業者は?

防水層工事

雨漏りしている場合は、防水工事業者に依頼するのが望ましいです。
トップコートの塗布は塗装工事業者でもDIYでもおこなえます。
防水層工事は屋根工事業者や塗装工事業者の専門工事と思い込んでいる人が多いです。

防水層工事だけを専門にする会社があることは覚えておいて損をしない知識です。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
防水工事業者防水層全般
塗装工事業者ウレタンやFRPを用いた狭所の防水工事

5位 笠木板金(パラペット)からの雨漏り

笠木板金について

パラペット

笠木(かさぎ)板金は「バルコニー」や「パラペット」のてっぺん部分に取り付ける板金のことです。
笠木のてっぺん部位はフラットであるため、板金の継ぎ目の歪みや釘穴の錆が原因で雨漏りが発生します。
雨が横や下から吹き込んだ場合、笠木のすき間に雨水が入り込むこともあります。

現在の笠木は規格化が進んでいますが、古い笠木は木下地に板金を直接、張り付けているだけであることがほとんどです。
そのため、築後30年以上経過した笠木の下地は、内部結露の影響でボロボロに腐食していることが多いです。

パラペット笠木板金
施工不良の例

【ワンポイント】パラペットとは

パラペットとは「立ち上がり壁」もしくは「手すり壁」のことです。
陸屋根の立ち上がり部位もパラペットとして分類できます。
パラペットは昔の商店街の木造建築物でよく見かけます。
入口側の外壁を屋根が見えなくなるまで立ち上げることで、2階の生活感を隠したり、看板を取り付けたりできます。

笠木板金からの雨漏りの修理方法は?

笠木板金雨漏り修理方法

笠木板金と下地、そして防水シートを新しいものへ交換します。
規格があえば、メーカー既製品を用いた交換がおすすめです。
最近は笠木の内部結露を抑えるために、通気性の確保ができる製品が販売されています。

笠木板金からの雨漏り修理業者は?

笠木板金は板金工事会社へ

笠木の交換工事は板金工事業者に依頼してください。
屋根と一体化したパラペット構造の場合は、笠木の交換とあわせて屋根全体のフルリフォームも検討してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者(金属屋根の工事業者)笠木板金全般
各種板金全般
金属屋根の葺き替え
サッシ工事業者メーカー既製品のアルミ製バルコニー笠木

6位 天窓(トップライト)からの雨漏り

天窓について

天窓(トップライト)からの雨漏り

天窓からの雨漏りは天窓まわりに打たれたシーリングの穴や、亀裂が原因であることが多いです。
その他、天窓板金が歪んだり穴があくことで雨が漏れることもあります。
この場合の不具合は、天窓の寿命ととらえることができます。
天窓の寿命はおおよそ20年です。

天窓は「メーカー品」と「造作品」に分けられます。
造作品とは「大工さんによる手作り品」のことです。
昔の天窓は造作品が多いです。
造作品はメーカー品と比べて、短期間で雨が漏れる傾向が高く、天窓の寿命も短いです。

天窓の雨漏りに関する相談では、雨漏りであるとの思い込みが意外と多いです。
天窓は外気に触れるため、結露による水濡れがしやすい箇所です。
結露の水滴を雨漏りと勘違いする方が多いです。

天窓からの雨漏りの修理方法は?

太陽光パネル雨漏り

天窓からの雨漏りは、シーリング補修で改善することが多いです。
ただし、築後20年以上経過している天窓は「新しい天窓に交換」もしくは「天窓板金を交換」を検討してください。

天窓はデメリットが多いため、天窓自体の需要が低くメーカーが激減しています。
そのため、天窓を新しいものに交換することは簡単なことではありません。
費用や日数がかかります。
採光に問題がければ、いっそのこと天窓をつぶして無くすことも検討してください。

屋根は余計なものを取り付けず、シンプルであればあるほど優秀といえます。

【ワンポイント】太陽光パネルの雨漏りについて

最近は太陽光パネルが原因の雨漏りが増えています。
原因としてパネルを取り付ける金具の不良設置などがあげられます。
太陽光パネルを脱着する費用はとても高額です。
屋根の不具合がおきると、たちまち太陽光パネルを設置したことで得られる利益が吹き飛びます。
屋根は地震や台風などの自然災害の影響が受けやすい部位です。
「雨漏りから守る」ことが屋根本来の目的です。
その目的以外のために特別な加工を屋根におこなうことは、屋根工事業者として決しておすすめできません。

天窓からの雨漏り修理業者は?

天窓の交換修理

天窓まわりにシーリングを打つ作業は誰でもできます。
天窓の修理や交換だけを希望する場合は、天窓メーカーに相談してください。
最近の天窓メーカーは他社メーカーの互換商品を用意しており、工事部も備えています。

ただし、屋根工事とあわせて天窓を修理もしくは交換する場合は屋根工事業者に依頼してください。
「金属屋根+天窓」の場合ば板金工事業、「瓦屋根+天窓」の場合は瓦葺工事業者へ依頼してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者(金属屋根の工事業者)金属屋根やコロニアルの天窓
瓦屋根工事業者瓦屋根の天窓
天窓メーカーの紹介天窓全般

7位 外壁シーリング目地からの雨漏り

外壁シーリング目地について

外壁シーリング目地からの雨漏り

窯業系サイディングの目地にはシーリングが充てんされています。
戸建て住宅1棟あたり約300mほど、シーリングが使われています。
シーリングを丸々改修する工事は私たちが思っている以上に手間や材料費がかかります。
シーリングがヒビ割れたり、やせ細って隙間が生じたりすると、そこから雨水が壁の内部へ浸水します。

通気層と防水シートがあるサイディング構造の場合は、シーリングの劣化だけで雨が漏れる可能性は低いです。
通気層があるおかげで、外壁内部に入り込んだ雨水は外壁の外へ排水されます。
サイディングが水を吸ってもすぐに乾燥します。
「シーリングの劣化=緊急性が高い」と思い込まないよう注意しください。
むしろ、リフォーム業者が思い込ませるようにしているとも言い換えられます。
シーリングの劣化が原因で雨が漏れる箇所は、外壁の目地ではなく、サッシや天窓などの開口部まわりがほとんどです。

ただし、一部のサイディングには通気層がない「直張りサイディング」の住宅が存在します。
1990年代に建築された住宅で多い仕様です。
直張りサイディングは通気層がないため、サイディングが反りやすく雨が漏れやすいです。
直張りサイディングの場合は、シーリングが劣化によって、よく雨が漏れます。

シーリングからの雨漏り修理方法

シーリングのプライマー塗り

シーリングは最も耐用年数が低い建材のひとつです。
環境や施工方法が悪い場合、およそ10年から15年ほどで劣化症状が現れます。
最近は耐久性の高いシーリング剤が登場しているので、打ち直しの場合は質の高いシーリング剤を選びましょう。

外壁材には寿命があります。
特に直張りサイディングの外壁は湿気の影響が受けやすいく耐用年数が短いため、シーリングを交換するだけは不十分です。
築後年数が経過している外壁は、外壁カバー工法もしくは外壁張り直しも検討してください。

【ワンポイント】プライマーとは

プライマーとはサイディングとシーリングの密着性を高める接着剤のことです。
通常、シーリングをつかうとき、プリライマーを塗ってからシーリングを打ちます。
プライマーをつかうと工程が増えるので、シーリングだけで間に合わせてしまうことが多いです。
しかし、プライマーの塗布はとても重要です。プライマーがないとシーリングが比較的早期に剥がれてきます。
プライマーには適正品があり、適切な使用方法もあります。なお、プライマーは外壁塗料や床下防水塗料でも用いられます。

外壁シーリング目地からの雨漏り修理業者は?

シーリング打替え修理

あまり知られていませんが、シーリング工事だけを専門とする業者(職人さん)が存在します。
シール工事業者とよばれています。
新築住宅はシーリング工事業者が工事を請け負います。

ただし、リフォームでは外壁塗装と同にシーリング工事をおこなう方が多いため、塗装工事業者が塗装と合わせてシーリング工事をおこなうことが多いです。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
シーリング工事業者シーリング全般
塗装工事業者戸建て住宅のシーリング

8位 外壁のヒビ割れからの雨漏り

外壁のヒビ割れについて

外壁のヒビ割れからの雨漏り

外壁のヒビ割れは「クラック」ともよばれます。
塗料の劣化や乾燥収縮、塗料の選定不良でヒビ割れはよく発生します。
髪の毛くらいの細いヒビ割れを「ヘアークラック」とよびます。
ヘアークラックで雨漏りが生じることはありません。
ヒビに1mm以上の隙間が生じている場合が危険と判断します。
ただし、1mm以上の隙間があっても、防水シートが破れてヒビが躯体にまで届いていない限り、雨が漏れることはありません。

つまり、躯体がない窓やシャッターなどの開口部まわりのヒビが最も雨漏りリスクが高いです。
また、通気層がない直張りサイディングの外壁も雨漏りリスクが高いです。

外壁のヒビ割れからの雨漏り修理方法

サイディング外壁のヒビからの漏水

外壁のヒビ割れはシーリングやパテで穴埋めします。
ヒビの度合いによっては、外壁に切り込み(V字カットとよびます)を入れて穴埋めします。
外壁の劣化が激しい場合は張り替えもしくはカバー工法を検討してください。

【ワンポイント】金属サイディングとは

金属サイディングとは金属素材の外壁材のことです。
主に素材はガルバリウム鋼板が用いられます。
既存外壁の上に、胴縁(どうぶち)とよばれる下地材を取り付け、その上に金属サイディングを増し張りします。
胴縁には通気層を確保する役割もあります。
そのため、外壁全体が外断熱となり、外壁の断熱効果が高まります。
既存の外壁材の上に更に外壁材が張るため、外壁全体の雨仕舞いが改善します。

外壁のヒビ割れからの雨漏り修理業者は?

金属サイディングカバー工法

シーリングを打つ作業は誰でもできます。
ただし、シーリングの跡が残るため、見栄えが良くありません。
そのため、外壁塗装とあわせてヒビの穴埋めをおこなうことが多いです。
塗装職人はV字カットを含めて外壁補修のプロです。
外壁のヒビ割れは塗装工事会社に任せましょう。

外壁材の交換は外壁の種類によって専門工事業者が変わります。
塗り壁の場合は左官工事業者、窯業サイディングの場合は窯業サイディング工事業者、金属サイディングの場合は板金工事業者が専門となります。

外壁材のカバー工法は板金工事業者に依頼してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
シーリング工事業者シーリング全般
塗装工事業者戸建て住宅のシーリング
塗装全般
左官工事業者(塗り壁)塗り壁全般
窯業サイディング工事業者(張り壁)窯業サイディング全般
板金工事業者金属サイディングの重ね張り
(外壁カバー工法)

9位 軒天と外壁の取り合いからの雨漏り

軒天と外壁の取り合いについて

軒天と外壁の取り合いからの雨漏り

通常、屋根は外壁面より30cmから60cmほど飛び出しています。
この飛び出した出幅を「軒(のき)の出」とよびます。
基本的に軒の出がしっかり出ている住宅は外壁を雨や紫外線から守ってくれるため、住宅が長持ちします。
そして、軒の裏側を軒天(のきてん)とよびます。
最近の住宅は軒天に白いボード(軒天ボード)を張って仕上げられていることが多いです。

軒天と外壁の取り合い部にはすき間が空かないようにシーリングが打たれています。
昔の軒天ボードは今より厚み薄くや長持ちする素材が使われていないため、築後30年程度で穴があいたり剥がれたりします。
そのため、シーリングのすき間や軒天ボードの穴が原因で雨が漏れることがあります。

最も危険なのは、軒の出が全くない「軒ゼロ住宅」です。
軒の出がないため、雨水が屋根と外壁の取り合い部に入りやすく、雨漏りしやすいです。

モルタル外壁(塗り壁)の場合、外壁材と軒および破風(はふ)が塗り壁と同質素材で連続していることが多いです。
そのため、モルタル外壁は屋根と外壁の取り合い部分からの雨漏りが比較的少ないです。

軒天と外壁の取り合いからの雨漏り修理方法は?

透湿防水シート

軒天や破風板まわりにシーリングを打つことで、雨漏りの解消が期待できます。
軒天の痛みが激しい場合は張り替えや重ね張りをおこないます。

ただし、屋根と外壁の取り合い部から雨が漏れる場合は、外部ではなく内部の仕上げに原因があることが多いです。
理由は屋根と外壁の防水シートです。
屋根材と外壁材の裏にはそれぞれ異なる専用の防水シートを張ります。
本来は、この取り合い部分に張る各防水シートをお互いじゅうぶんに行き届かせて、重ね代をじゅうぶんに取ります。
しかし実際は、防水シートの処置が不十分であることが多いです。
そのため、軒天まわりの止水処置をしっかりおこなっても、時間の経過とともに雨漏りが再発します。
内部に問題がある場合は、屋根と外壁の防水シートの処置から見直しを図る必要があります。

【ワンポイント】軒天先行と外壁先行とは

住宅を建てる時、「軒天先行」と「外壁先行」という考え方があります。
軒天を仕上げてから外壁を仕上げる工事が「軒天先行」です。
外壁を仕上げてから軒天を仕上げる工事が「外壁先行」です。
雨仕舞いの観点では「外壁先行」の方が優れています。
外壁の透湿防水シートをできるだけ高い位置にあらかじめ張ることができるからです。
しかし、「軒天先行」で仕上げられている住宅もたくさんあります。
軒天先行では軒天の位置で外壁の透湿防水シートが途切れることになります。
軒天先行が多い理由は、屋根と軒天を仕上げてから外壁を張る方が楽だからです。
外壁材を多く使わず済むことにもなり、コストを抑えることができます。
軒天先行の工事は屋根と外壁の取り合い部がウィークポイントになってしまいます。
軒天と外壁を壊して、外壁や透湿防水シートを新たに張りなおすことで雨仕舞が大きく改善します。

軒天と外壁の取り合いからの雨漏り修理業者は?

軒天増し張り

軒天ボードの増し張りや交換は大工もしくは板金工事業者、瓦屋根工事業者が得意です。
ただし、外壁を取り壊すときは、外壁工事業者の選定も必要です。

軒天は穴があいてしまうと風が小屋裏に入り込んでしまうため、台風で屋根が吹き飛ばされることがあります。
特に軽い金属屋根は危険です。
軒天に穴があいている場合は早めに対処をしてください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
大工軒天張り
シーリング打ちなおし
板金工事業者(金属屋根の工事業者)軒天張り
シーリング打ちなおし
瓦屋根工事業者軒天張り
シーリング打ちなおし

10位 広子舞と外壁の取り合いからの雨漏り(軒ゼロ住宅の雨漏り)

広子舞と破風板の取り合いについて(軒ゼロ住宅の雨漏り)

軒ゼロ住宅の雨漏り

広子舞(ひろこまい)とは軒先部分の屋根下地のことです。
屋根の軒先を地上から見上げると、屋根の木下地が数センチ露出しているのがわかります。
(雨どいが邪魔してよく見られないこともあります。)
この露出した屋根の木下地が広子舞です。
広子舞は破風板(はふいた)から2cm~3cm程度、飛び出しています。

広小舞は木なので、腐食が進行すると剥がれたり崩れたりします。
ほとんどの屋根の下地は軒先の広小舞から腐り始めます。
雨水が吹き込む台風時は広小舞から水が入り込むことがあります。

注意すべきは軒ゼロ住宅です。
軒ゼロ住宅は広小舞のすぐ裏側が外壁です。
そのため、軒ゼロ住宅は広小舞から雨が漏れやすいです。

【ワンポイント】軒ゼロ住宅の2次被害

軒ゼロ住宅は雨漏りの2次被害が生じやすい建物です。
軒の出がないため、外壁面はたくさんの雨がかかり、紫外線の影響も強く受けます。
このため、軒ゼロ住宅はシーリングや外壁が劣化しやすくなります。
「軒ゼロ住宅は建物の寿命を半減させる」と評価する専門家もいます。
軒ゼロ住宅は比較的新しい作りのデザインです。
今後、軒ゼロ住宅関係する雨漏りは増加すると予想されます。

軒ゼロ住宅とは

雨どいが機能しているかも大切です。
雨どいには許容できる雨量が決まっています。
雨どいから水があふれが出すことをオーバーフローとよびますが、オーバーフローをおこすと、屋根と外壁の取り合い部分から雨漏りを発生させるリスクが高まります。

雨どいのオーバーフローとは

雨どいが正常に機能していない場合、雨どいから雨水があふれることがあります。
これを雨どいのオーバーフローとよびます。
原因は雨どいの断面積不足やゴミづまり、勾配不足、金具の設置不足などがあげられます。
雨どいが原因となる雨漏りもあるので、日頃から雨どいの点検もおこないましょう。

広子舞と破風板の取り合いからの雨漏り修理方法は?

ケラバ板金の修理

広子舞に雨がかからないよう、軒先部には「軒先板金」を取り付けます。
ケラバ部にはこの板金を「ケラバ唐草」とよびまし。
これらの板金を役物(やくもの)や水切りとよぶ業者もいます。

屋根まわりの板金に共通する大切なことは立ち下がりです。
軒先板金の立ち下がり幅が短いと、広子舞部分に雨がかかりやすくなります。

広小舞は塗装で腐食を抑える、もしくはシーリングを打つなどのメンテナンスを定期的におこないます。
しかし、広小舞を重視する塗装屋は少なく、気づいたときには広小舞がボロボロになっていることが少なくありません。
ボロボロになった広小舞は広小舞板金(広小舞キャップ)で被せてあげる工事をおすすめします。

広子舞と破風板の取り合いからの雨漏り修理業者は?

破風板 広小舞

シーリングを打つ作業は誰でもできます。
既存の屋根を剥がさず、広小舞に広小舞キャップを取り付ける場合は板金工事業者に依頼してください。

腐食が広小舞から野地板にまで至っていて広範囲に及んでいる場合は屋根全体のリフォーム工事を検討してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者(金属屋根の工事業者)広小舞や破風板の修理や張り替え
各種板金による雨仕舞
瓦屋根工事業者広小舞や破風板の修理や張り替え
塗装工事業者広小舞の塗布

11位 手抜きによる雨漏り

手抜きについて

板金の脳天打ち 雨漏り

本来するべき手間をはぶいた工事をしたり、低品質低コストの建材使ったりする悪徳業者が存在します。
屋根工事は目で確認ができない工事であるため、悪徳業者が全ての工事業種の中で際立って多いです。

単なる業者や職人の知識不足や経験不足が原因であることもあります。
その場合は、専門業者ではない外注工事であることがほとんどです。

代表的な手抜きに棟板金の脳天打ちがあります。
通常、棟板金(むねばんきん)は横側からビスを打って固定します。
横側からの穴の方が、雨水が浸水しにくいからです。
しかし、そのことを知らない職人は板金の頭にビスを打ちます。
当然、板金の横側より上側にある穴の方が雨水は入りやすいです。

その他、見て見ぬふりをする手抜き工事も多いです。
たとえば、コロニアルを塗装する時に棟板金をケアしない塗装業者が多いです。
築後20年近く経過しているコロニアルの住宅は、ほぼ棟板金の交換が必要です。
そのため、去年に屋根塗装をしたばかりなのに、棟板金が風で飛ばされて雨漏りが起きたといった相談が後を絶ちません。

手抜き工事の対策方法は?

金属屋根の雨漏り 手抜き工事

手抜き工事を未然に防ぐのは、専門工事業者の見極めが大切です。
基本的には雨漏り原因個所が明らかである場合は、その原因個所を専門にする工事業者に依頼することをおすすめします。
専門工事業種が複数にわたる場合は工務店やハウスメーカー、建築設計事務所などの専門工事業者の取りまとめができる会社に依頼してください。

残念ながら雨漏り修理の相談先は塗装工事業者に集中しています。
塗装工事業者は商売になるため、一生懸命、雨漏り修理に関する宣伝をおこなっています。
塗装工事業者に集中する理由は単純で、単に数が多いからです。
しかし、今回紹介した雨漏りのポイントの中で、塗装業務が関わる雨漏りはほとんどありません。
専門工事がどこになるのかを下調べできるリテラシーを高めてください。

【ワンポイント】インターネット上の雨漏り修理業者について

インターネット上では「雨漏り修理25,000円」と宣伝する業者が存在します。
25,000円で雨漏りがなおるのは魅力的ですが、25,000円でできる雨漏り修理方法は極めて限定的です。
シーリングの増し打ちなどの簡易的な応急処置の修理価格だと思ってください。
このような応急処置を主体にする業者は水回りやガラス、鍵などの生活トラブル全般に関わる業者もしくは個人事業主が多いです。
つまり、工事を主体とする建設工事会社ではないことが多いです。
また、最近は修理業者を紹介する「マッチングサービス」が流行しています。
マッチングサービスとはインターネット運営会社に登録している修理業者を、インターネット運営会社がホームページ閲覧者に紹介するサービスです。
「無料で地元の専門業者を複数社を紹介します」や「一括見積が簡単にできる」といったフレーズでインターネット上で集客を図っています。
このサービスを通して、期待通りの雨漏り修理業者が紹介されるとは限りません。
紹介する会社は建設工事会社ではなく、インターネット制作会社だからです。
雨漏り修理業者の請求書には、インターネット運営会社の紹介料が上乗せされることにもなります。
無料で複数の修理業者を紹介されても、結局、工事料金が全体的に割高といったパラドックスがおこります。

12位 サッシ廻りからの雨漏り

サッシ廻りについて

塗装業者による雨漏り修理

サッシ廻りの雨漏りは「サッシ廻りのシーリングの劣化」による原因が多いです。
シーリングにヒビ割れた隙間があると、雨水は室内側へ浸水します。
さらにサッシ内にある防水テープが劣化していたり、シワがあったりすると「防水テープの毛細管現象」が発生し、室内側への雨漏り被害が拡大します。

【ワンポイント】毛細管現象とは

毛細現象とは雨水が小さい隙間に入り込んでいく現象のことです。
勾配に関係なく、小さな隙間があれば雨水はどんどん隙間の奥へと進んでいきます。
防水テープだけではなく、屋根瓦でも毛細管現象はみられます。
下から上へ、低いところから高いところへ雨水が進んでいくため、毛細血管現象が原因の雨漏りは特定が難しい特徴があります。

サッシ廻りの雨漏り
防水テープ

サッシからの雨漏り修理方法は?

防水テープの取り付け 雨漏り修理

シーリングの耐用年数はおよそ10年から15年です。
シーリングのヒビ割れた隙間に新しいシーリングを充てんすることで、雨漏りの改善が期待できます。
ただし、耐用年数が過ぎたシーリングであれば、建物全体のシーリングが劣化していることになります。
部分補修ではなく、建物全体のシーリングの打ちなおしも検討しましょう。

防水テープなどの外壁内部にも問題がある場合は、サッシ廻りの外壁内部も改修対象になります。
防水テープや透湿防水シートの張りなおしも検討しましょう。
防水テープはサッシ廻りだけではなく、屋根でも使われています。

バルコニーと隣接しているサッシを交換する場合は、サッシの下枠から雨漏りが発生しやすくなるため、バルコニー床下の防水層もあわせて改修します。
バルコニーと室内がバリアフリーになっている場合は要注意です。

サッシ廻りからの雨漏り修理業者は?

サッシと防水層の雨仕舞

サッシ工事業者に依頼するのが望ましいです。
ただし、バルコニーがあるサッシの場合、防水工事が必要になることもあります。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
サッシ工事業者窓廻りやシャッターボックスの修理や交換

13位 縁切りなしの雨漏り

縁切りについて

縁切り(えんぎり)とは屋根と屋根の隙間を確保する作業のことです。
屋根を塗装すると、元々あった屋根と屋根の隙間が塗料でふさがれます。
これは雨仕舞い上、問題があります。
万が一、屋根の内部に雨水がはいりこんだ場合、雨水の逃げ道が塗料でふさがれることになります。
その結果、雨水が室外へ排水できなくなり、建物内部で雨漏りが発生します。

【ワンポイント】「隙間」を埋めると雨漏りが悪化する場合がある

「隙間」=「漏水」と結論づける人が多いですが、それは大きな間違いです。
建材の「隙間」には建物内部に入った雨水を排水する役割もあります。
つまり、「ふさいでいい隙間」と「ふさいではいけない隙間」があります。
雨漏りが発生したからといって、建物のあらゆる隙間をシーリングでふさいでしまうのは絶対にやめてください。

縁切りなしの雨漏り

「縁切り作業」は主に塗装リフォーム後のコロニアルでおこなわれます。
縁切りの方法は「手作業による切り込み」と「タスペーサー」を用いる2つの方法があります。
タスペーサーとは屋根の隙間を確保するために、屋根と屋根の隙間に挟み込む板状のチップのことです。
最近はタスペーサーを挟んで屋根を塗装することが多いです。縁切りがおこなわれていない屋根は高確率で雨漏りが生じます。
この雨漏りは手抜き工事とも言い換えられます。

縁切りされていない屋根の雨漏り修理方法は?

屋根カバー工法

塗装後の縁切りは「手作業による切り込み」でおこないます。
カッターなどで切り込みを入れる作業となりますが、塗料がガチガチに固まっているため、塗装後の縁切り作業は思っている以上に重労働です。
足場も必要になるので、費用負担も大きいです。
そのため、金属屋根を被せるカバー工法で対処するのもひとつの方法です。

縁切りなしの雨漏り修理業者は?

塗装工事業者に依頼するのが望ましいです。
屋根カバー工法を行う場合は板金工事業者に依頼してください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
塗装工事業者縁切り
板金工事業者(金属屋根の工事業者)屋根カバー工法

14位 棟板金からの雨漏り

棟板金について

棟板金からの雨漏り

棟板金(むねばんきん)とは屋根のてっぺんに取り付けられる板金のことです。棟板金はコロニアルや金属屋根で用いられます。
経年劣化の影響で、棟板金を固定している釘が抜けたり、緩んだりします。
釘穴のサビが進行し、穴が拡大すると、雨漏りリスクが高まります。
釘が抜けると棟板金は風で飛ばされやすくなります。いうまでもないことですが、飛ばされたら雨が漏れます。
特に最近の住宅には「換気棟」とよばれる屋根に換気口がついた棟板金が取り付けられているので、棟板金に不具合が発生すると、一発で一大事になります。

棟板金が飛ばされたり、釘が抜けたりするのは原因がはっきりしています。
棟板金の下地の腐食が原因です。
棟板金の下地を貫板(ぬきいた)とよびます。多くの場合、貫板は「木」であることが多いです。
木の貫板は経年劣化し、雨水がかかると腐り、釘の保持力も低下します。

「軒ゼロ住宅」の場合、「片流れ屋根の棟板金部分」でよく雨漏りが発生します。
棟板金と破風板との取り合い部から雨水が入り込み、外壁内部へよく雨が漏れます。

棟板金からの雨漏り修理方法は?

棟板金と貫板を新しいものに交換します。
貫板は「腐りにくい素材」をつかうことをおすすめします。

棟板金の不具合は風災害による事故が多いです。
風災害による屋根の不具合で雨漏りが発生した場合は、火災保険が適用されます。

【ワンポイント】風災害の火災保険申請とは

台風や強風の影響で屋根瓦に不具合が生じた際、保険会社から被災箇所の修理費用が支払われます。
申請には屋根工事業者の見積書や被災写真が保険会社より求められます。
そのため、火災保険申請に詳しい屋根修理業者へご相談ください。
この火災保険の申請代行だけを請け負う会社があり、社会問題になっています。
火災保険の申請は業者に代行させず、施主さま自身でおこなっってください。
火災保険の申請は交通事故の保険申請より簡単です。
保険会社から支払われるのは被災部位の修理費用だけです。
室内などの改修費用は支払われません。

棟板金からの雨漏り修理業者は?

棟板金の交換修理

板金工事業者に依頼するのが望ましいです。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者(金属屋根の工事業者)各種板金による雨仕舞

15位 勾配不足の屋根からの雨漏り

勾配不足の屋根について

勾配不足の屋根からの雨漏り

屋根には勾配(こうばい)がもうけられています。勾配とは屋根の傾きのことです。
勾配があればあるほど、屋根の雨水が流れるスピードが早くなるため、雨漏りは少なくなります。
屋根が水に触れる時間も少なくなるので、屋根の寿命も長くなります。
つまり、「勾配がある屋根」=「優れた屋根」といえます。

一方、勾配が緩い屋根は雨漏りが多いです。
勾配が緩いと屋根面に水たまりができます。
金属屋根やもしくは庇(ひさし)の水たまりは、シーリング劣化やサビの原因になります。
屋根の上に雪がとどまった際の雪解け水が原因となる雨漏りも多いです。

屋根材には、屋根材ごとに必要勾配が定められています。
たとえば、コロニアルには2.5寸以上の勾配が必要です。
しかし、このルールを無視して2.5寸未満の勾配でコロニアルを使っている現場を見かけます。

さらに、2.5寸の低勾配屋根にコロニアルを用いるには条件があります。
この条件をクリアしていない場合、雨漏りリスクが高まります。

勾配不足からの雨漏り修理方法

金属屋根の雨漏り

屋根の勾配を変えることは大掛かりなので、低勾配用の屋根材をつかうことが大切なポイントです。
低勾配に適した屋根はズバリ、「縦葺きの金属屋根」です。
縦葺きの金属屋根とは縦のラインに沿って張る金属屋根のことです。
「瓦棒」や「立平」などが当てはまります。

「横葺きの金属屋根」はNGです。
横葺き金属屋根とは横のラインに沿って張る金属屋根のことです。
「アイジー工業のスーパーガルテクト」や「ニチハの横段ルーフαs」などのメーカー既製品の住宅用金属屋根材がほとんどなので、メーカー既製品のことと思ってください。
瓦棒は「コイル状の鋼板」と「垂木(たるき)とよばれる木の棒」を現場に持ち出して板金工職人さんがその場で加工して張り付けます。

縦葺き屋根でも頻繁に雨漏りが発生する場合は、嵩上げ(かさあげ)工法で屋根の勾配を変更させます。

【ワンポイント】嵩上げ(かさあげ)工法とは

嵩上げとは既存屋根の上に屋根を新たにもうける工事とのことです。
頻繁に雨漏りが発生する低勾配屋根で用いる工事です。
嵩上げ工法をすることで100%雨漏りは改善します。

勾配不足からの雨漏り修理業者は?

嵩上げ

「縦葺きの金属屋根」の施工は板金工事業者に依頼するのが望ましいです。
嵩上げ工事はかなり高度な技術が求められます。
屋根専門の工事業者でも施工ができる業者へ限られています。
施工実績があるか、下調べをしてください。

依頼する雨漏り修理業者得意とする専門分野
板金工事業者(金属屋根の工事業者)金属屋根の葺き替え
各種板金による雨仕舞

その他のよく雨漏りが発生する部位

煙突

「煙突」「ドーマー」「庇」「化粧胴差」「出窓」「外壁の換気口や換気扇」「シャッターボックス」「棟板金」「瓦屋根の漆喰」などがあげられます。

【このページで一番 重要!!】全ての原因は下葺き材や透湿防水シートの劣化

屋根本体 下葺き材

ここまで数多くの雨漏り発生部位について解説しました。
全ての雨漏りに共通することがあります。
それは、屋根や外壁の下に張られている防水シートが機能していないことです。

防水シートが破れたり施工不良があったりすると、万が一雨が屋根や外壁の内部に浸水したとき雨が漏れます。
つまり、防水シートさえ機能していれば、雨が漏れることはありません。これは全ての屋根にいえることです。

下葺き材の破れからの雨漏り

屋根の防水シートは「下葺き材(したぶきざい)」とよびます。
その他、「ルーフィング」や「アスファルトルーフィングシート」とよばれます。下葺きにはグレードがあり、耐用年数が30年や最高で50年の製品があります。
大手メーカーの田島ルーフィングからは18種類ものの住宅用下葺き材が販売されています。
しかし、一般的に使用される下葺きは低品質のものが多いです。

理由は安いことと、10年経過すれば雨漏りの瑕疵担保保証から住宅建設会社は逃れられるからです。
施主さま(建築主)も屋根の仕上げ材にはこだわっても、下葺き材にまではこだわらないのも事実です。

粘着式下葺き材

下葺き材はコストパフォーマンスがとても高い建材です。
平米当たり数百円加算するだけで、グレードの高い製品が利用できます。
テイガクでは耐用年数20年の下葺き材を標準施工品として採用しています。しかし、平米当たり200円加算することで、耐用年数が30年の下葺きをお選び頂けます。
100平米の屋根であれば20,000円の加算で10年も耐用年数が延長されることになります。
最近では穴を開けずに張ることができる粘着式下葺き材もよく使います。

もし、これから雨漏りが原因で屋根のリフォーム工事を検討されている方は、できる限り耐久性の高い下葺き材の利用を強くおすすめします。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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  1. 【はじめに】雨漏り修理業者の一覧
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    1. 屋根材の耐用年数について
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  5. 3位 雨押え板金からの雨漏り
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  7. 5位 笠木板金(パラペット)からの雨漏り
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  8. 6位 天窓(トップライト)からの雨漏り
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  10. 8位 外壁のヒビ割れからの雨漏り
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  12. 10位 広子舞と外壁の取り合いからの雨漏り(軒ゼロ住宅の雨漏り)
    1. 広子舞と破風板の取り合いについて(軒ゼロ住宅の雨漏り)
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  13. 11位 手抜きによる雨漏り
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  14. 12位 サッシ廻りからの雨漏り
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  18. その他のよく雨漏りが発生する部位
  19. 【このページで一番 重要!!】全ての原因は下葺き材や透湿防水シートの劣化