外壁リフォームの基礎知識 - 外壁カバー工法と外壁塗装の費用・種類・適正時期

外壁リフォームの基礎知識 - コスト・種類・時期 外壁リフォームの基礎知識 - コスト・種類・時期 外壁リフォームの基礎知識 - コスト・種類・時期

築10年したら外壁塗装をしましょう
このような営業トークをよく見聞きします。
本当に10年したら塗装をしなければならないのでしょうか?
もちろん、10年や15年の節目に外壁塗装をおこなうことはおすすめです。
しかし、多くの外壁は20年間メンテナンスをしていなくても問題なく機能します。
そして、20年過ぎた時期に外壁カバー工法という外壁リフォームの選択肢もあります。
最近の塗装業界は商業的になり過ぎている感じがします。

このページでは、外壁リフォームの費用や工事の適正時期などを詳しく解説します。
外壁塗装だけではなく外壁カバー工法も得意な会社だからこそ示せるコンテンツです。
ぜひ参考にしてください。

外壁リフォーム前で知っておきたい3つのポイント

これから外壁リフォームを検討している人は「外壁リフォームの種類と費用」「外壁材の製造時期とぜい弱
」「外壁材のメンテナンス時期」これら3つを抑えて欲しいです。

ポイント1

外壁リフォームの種類と費用

外壁工事の目的

外壁リフォームは「外壁塗装」「外壁カバー工法」「外壁張り替え」の3種類。

ポイント2

外壁材の製造時期とぜい弱性

現在の外壁材と築年数

外壁材は建材だけではなく、建築時期によっても耐久性が違います。自宅の外壁材の築年数と特徴を押さえましょう。

ポイント3

外壁材のメンテナンス時期

おすすめの外壁塗料・外壁材

築年数に応じた各外壁材のメンテナンス時期をご紹介します。

1.外壁リフォームの種類と費用

外壁リフォームは「外壁塗装」「外壁カバー工法」「外壁張り替え」の3つがあります。

1.外壁塗装

外壁塗装のビフォーアフター

ポイント
・コストを抑えられる
・シーリング工事が必要(サイディングの場合)
・外壁自体の機能は向上しない
・外壁材の模様が塗りつぶされる

工事目的 外壁を長持ちさせ、見た目をきれいにする
持続期間 15年前後
雨漏り
遮音性 ×
断熱性 効果なし×
耐震性 効果なし×

外壁塗装の方法

外壁塗装の目的は外壁塗料を用いて外壁を保護し、長持ちさせる工事です。
外壁塗料の質に応じて対候性(色あせにくさ)が変わります。
シーリング工事は、窯業サイディングのすき間を弾力のあるシーリング材で埋める工事です。
外壁のひび割れの補修にも用いられます。
次のような流れで工事を行います。

足場工事

①「足場工事」→

洗浄

②「洗浄」→

下地補修

③「下地補修」→

シーリング

④「シーリング」※必要な場合→

養生

⑤「養生」→

下塗り

⑥「下塗り」→

中塗り

⑦「中塗り」→

上塗り

⑧「上塗り」→

板金ケレン

⑨「板金ケレン」→

錆止め

⑩「錆止め」→

板金塗装

⑪「板金塗装」→

軒天塗装

⑫「軒天塗装」→

雨どい・破風板板金塗装

⑬「雨どい・破風板板金塗装」

アイコン チョーキングは外壁メンテナンスのサイン?

チョーキングとは、外壁塗料が紫外線によって粉状になる塗膜の劣化現象のことです。「チョーキング=外壁塗装のタイミング」とする外壁リフォーム会社が多いです。しかし、外壁材と外壁構造は昔と今では全く異なります。2000年代半ば以降の外壁は大幅に耐久性が向上しています。どんな外壁であるかによってチョーキングの深刻度は変わります。

外壁塗装の費用

一般的な2階建て戸建て住宅における外壁塗装の費用は約40~70万円です。
用いる塗料によって費用が変わります。
窯業サイディングのシーリング打ち替え工事が加わると、更に約15~20万円が加わります。
足場費用は別途20万円です。
窯業サイディングでシーリングを含めた外壁塗装工事の平均価格(足場費用含)は、約100万円です。

【外壁塗料】

塗 料 耐用年数 費 用
アクリル 7〜9年 50〜55万円
ウレタン 10〜12年 55〜60万円
シリコン 12〜14年 58〜68万円
ラジカル 14〜16年 60〜70万円
フッ素 18〜22年 85〜95万円
ハイブリッド無機 18〜12年 90〜100万円
光触媒 18〜22年 110〜120万円
無機 20〜25年 115〜125万円

【シーリング】

塗 料 耐用年数 費 用
変成シリコン 10〜12年 15〜20万円
高耐久ポリマー 20〜25年 20〜25万円

2.外壁カバー工法

外壁カバー工法のビフォーアフター

ポイント
・30年以上安心できる1度きりのメンテナンス
・全く新しい外壁デザイン
・断熱性や遮音性、耐震性を改善させる
・雨漏りが解消される

工事目的 良質な外壁材をかぶせ、見た目と機能を改善
持続期間 30年以上
雨漏り 効果あり
遮音性 効果あり
断熱性 効果あり
耐震性 △~◯

外壁カバー工法の方法

金属サイディングや樹脂サイディングを用いて古い外壁に新しい外壁を被せる工事です。
胴縁(どうぶち)とよばれる板を外壁に取り付けて、外壁材を張ります。(外壁通気工法)
胴縁があるおかげで、空気層ができ、雨漏り解消や断熱効果改善などが図られます。
金属サイディングの種類やデザインは多様にあり、リフォーム後の外壁は大きく様変わりします。
外壁からの雨漏りや外壁の劣化が進行している場合は、透湿シート(外壁用防水シート)を張ってから金属サイディングを張ります。

足場工事

①「足場工事」→

胴縁取り付け

②「胴縁取り付け」→

ドア交換

③「ドア交換」→

付帯部塗装

④「付帯部塗装」→

外壁補修

⑤「外壁補修」→

役物取り付け

⑥「役物取り付け」→

金属サイディング張り

⑦「金属サイディング張り」→

シーリング

⑧「シーリング」→

雨どい取り付け

⑨「雨どい取り付け」→

板金部材取り付け

⑩「板金部材取り付け」→

照明確認

⑪「照明確認」

外壁カバー工法の費用

一般的な2階建て戸建て住宅における外壁カバー工法の費用は約180~280万円です。
価格の平均値は足場工事込みで約250万円です。
外壁材の商品と工事方法によって費用が変わります。
戸建て住宅では断熱材一体型のガルバリウム鋼板を用います。
ガルバリウム鋼板の他に、アルミや樹脂サイディングなども選択できます。

【ガルバリウム鋼板】

張り方 塗料 費 用
横張り ポリエステル 160〜190万円
横張り フッ素 170〜200万円
縦張り フッ素 185〜215万円

【アルミ】

張り方 塗料 費 用
横張り フッ素・単色 190〜220万円
横張り フッ素・インクジェット 260〜300万円

【エスジーエル鋼板】

張り方 塗料 費 用
縦張り フッ素 195〜225万円

3.外壁張り替え

外壁張り替えのビフォーアフター

ポイント
・40年以上安心できる新築時の外壁に戻す
・雨漏りやシロアリ被害で腐食した外壁下地や構造材を新しいものに交換する
・外断熱や窓の交換などの改修も同時におこなう

工事目的 下地から新しい外壁材へ張り替え、新築同様にする
持続期間 40年以上
雨漏り 効果あり
遮熱性 効果あり
断熱性 効果あり
耐震性 効果あり

外壁張り替えの費用

外壁の張り替えは、下地解体を含めた工事が発生するため、最も価格が高い外壁工事です。
そのため、通常の外壁工事で選択されることはほとんどありません。
酷い雨漏りで外壁の腐食が進行している場合や、建物の増改築などの大規模なリフォーム時に検討する工事です。
張り替え工事価格は平均で350万円前後です。
外壁材の中にアスベストが含まれていると、張り替え費用はさらに高額になります。
外壁張り替えの場合は、金属サイディングだけではなく窯業サイディングに張り替えすることも可能です。

2.各外壁材の製造時期とぜい弱性

窯業(ようぎょう)サイディング

窯業(ようぎょう)サイディング

窯業サイディングはセメントを主成分にする板状(ボード)の外壁材です。
2023年の窯業サイディングのシェアは外壁材の78%を占めます。
製造された年代で窯業サイディングの耐久性能が変わります。

ここでは、「2000年以前」「2007年以前」「2015年以前」「2016年以降」に分けて説明します。
※当てはまらない工法で採用されている場合があります。ご了承ください。

直張り(2000年以前に建築)

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窯業サイディング2000年以前

2000年以前に製造された窯業サイディングの「張り方」は、現在の工事基準に照らし合わせると「不良施工」です。
「直張り」であるため、外壁が痛みやすいです。
通気層がない直張りの窯業サイディングの構造は、雨漏りがおこりやすいです。
2000年に品確法が制定されて、雨漏りリスクを大幅に低減する「外壁通気工法」による工法で外壁が仕上げられるようになりました。

12㎜厚(2007年以前に建築)

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窯業サイディング2001年〜2007年以前

2007年以前に製造された窯業サイディングの厚みの多くは12mm厚です。
12mm厚の窯業サイディングも現在の判断基準に照らし合わせると「不良品」です。
「割れ」や「反り」などが頻繫に起きます。
2008年の「住宅長期利用促進法」の制定に合わせてJIS規格の見直しも入り、窯業サイディングの最小厚は14mm厚以上に定められています。

釘打ち(2010年以前に建築)

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窯業サイディング2007年〜2010年以前

14mm厚以下の窯業サイディングは「釘打ち」で外壁が仕上がっています。
窯業サイディングの継ぎ目付近に無数の「釘の跡」が生じます。
釘打ちタイプは地震による「ひび割れ」が起こりやすいです。
釘回りもしくは窓回りに「ひび割れ」がよく発生します。

また、当時のシーリング材は「耐久性の低いシリコン」が用いられ、築後10年程度でシーリングの劣化が現れ始めます。

15mm厚+金具引掛け(2010年以降に建築)

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窯業サイディング2011年以降

2023年現在、出荷されている窯業サイディングの50%以上が15mm厚です。 分厚いため、外壁の劣化や不具合が引きおこりにくいです。
釘打ちではなく、金具に「引っかけ」て窯業サイディングを張る構造となっています。

シーリングも「高耐久シーリング」が採用されるようになっています。
塗膜40年保証やシーリングレスなどの付加価値の高い窯業サイディングも登場しています。

リフォーム方法

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窯業サイディングのリフォーム方法は「外壁塗装」「外壁カバー工法」「外壁の張り替え」の3つです。
「外壁塗装」と合わせて、「シーリング工事」もおこなってください。
筆者の意見としては、外壁塗装よりもシーリング工事の方法が重要です。
直張りの窯業サイディングは長期間の外壁維持が見込まれないため、「外壁カバー工法」を検討してください。

外壁劣化のサイン

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窯業サイディングの劣化が最も進みやすい箇所は南側にあるバルコニーの外側です。
日当たりが良く、雨水が当たりやすいため、サイディングの乾燥と湿潤の頻度が高く、サイディングが痛みやすいです。
バルコニー外壁のひび割れや反り、シーリングの著しい劣化がないか確認しましょう。

チョーキング

外壁に手を触れてチョークの粉のようなものがベッタリと手に付着していたら、外壁塗膜が劣化しているサインです。

チョーキング

シーリングの劣化

シーリングにひび割れが生じていたら、シーリングの打ち替えや増し打ちのメンテナンスを検討するサインです。

シーリングの劣化

浮き

経年による窯業サイディングを固定している釘の固持力が低下します。
外壁が浮きはじめたら、速やかに処置をしましょう。

浮き

割れ

地震による影響で窯業サイディングの釘打ち部はひび割れが生じやすいです。
13mm以下の窯業サイディングは要注意です。

割れ
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モルタル外壁

モルタル外壁

1990年代前半以前の外壁はモルタル外壁が多いです。
セメントに砂を混ぜたモルタルを外壁に塗り、その上に吹付塗装をして外壁を仕上げます。
モルタル外壁のシェアは低下しています。
しかし、ジョリパットのような洋風漆喰による美しい外観は根強い人気があり、街中でもよく見かけます。

モルタルの厚みは15㎜~20㎜で、厚みがあるほど不具合は起こりにくいです。
「2000年以前」と「2000年以降」で施工方法が大きく異なります。
※当てはまらない工法で採用されている場合があります。ご了承ください。

モルタル外壁(2000年以前に建築)

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モルタル外壁 2000年以前

モルタル外壁はひび割れしやすいです。
割れやすい理由はさまざまですが、「通気層がない構造」もそのひとつです。
通気層がないことで、大きなひび割れに雨水が入り込むと雨漏りが生じます。

2000年の品確法の制定以降、現在は雨漏りリスクを大幅に低減する「外壁通気工法」によってモルタル外壁は仕上げられるようになっています。
また、通気層は断熱効果をもたらせてくれます。
「戸建て住宅はマンションより寒い」という印象が根付いたのは、1990年代以前に、ダイレクトに隙間風が入る通気層がないモルタル外壁の建物が多く建築されたことが背景としてあります。

モルタル外壁(2001年以降に建築)

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モルタル外壁 2001年以降

外壁通気工法で仕上げられたモルタル外壁は、2000年以前の外壁よりひび割れが起こりにくいです。
また、通気層があるため、雨漏りリスクも低いです。
ただし、微細なひび割れ(ヘアークラック)は時間の経過と共に目立つようになります。

日当たりの悪い北面(玄関側)は汚れやすいです。
美観維持を目的とした外壁塗装のメンテナンスをおこなう人が多いです。

リフォーム方法

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モルタル外壁のリフォーム方法は「外壁塗装」「外壁カバー工法」「外壁の張り替え」の3つです。
「外壁塗装」の際は、「クラック補修」もあわせておこなってください。
小さなひび割れであれば、外壁塗装時は下塗り塗料でひびが埋まります。

ひび割れの幅が大きい場合は、シーリングもしくは外壁をV字にカットして補修をしてください。
築30年以上経過した外壁でより長くお住まいになりたい方は「外壁カバー工法」をおこなってください。

外壁劣化のサイン

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ひび割れが名刺が入るほどの幅(0.3㎜以上)になった場合、雨水が外壁内部に入り込むおそれがあります。
モルタル外壁は地震による影響を受けやす、地震でひび割れが生じやすいです。

チョーキング

外壁に手を触れてチョークの粉のようなものがベッタリと手に付着していたら、塗膜劣化のサインです。

チョーキング

ひび割れ

ひび割れの「量」と「幅」、「深さ」がメンテナンスの時期を考える目安となります。
名刺が入る程度のひびの幅が数か所ある場合は、外壁全体のメンテナンスを検討してほしいです。

ひび割れ
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金属サイディング

金属サイディング

金属サイディングとは、薄い金属でできた外壁材のことです。
1980年代より昔の金属はトタンでした。
1990年後半から軽くて錆びにくいアルミの金属サイディングが登場し、この頃から新築ではなくリフォーム中心に用いられるようになります。

現在はガルバリウム鋼板が主流となり、デザイン性の良さから再び新築でも人気が高まっています。
金属の裏側に断熱材を付着させた高付加価値製品が広く普及しています。

トタン(1980年以前に建築)

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トタン 1980年代以前

トタンは一度錆が発生すると、瞬く間に錆がひろがります。
そのため、10年に1度は錆止めを含めた外壁塗装による定期的なメンテナンスが必要です。
断熱材がなく夏と冬が過ごしにくいため、外壁カバー工法も検討してください。

アルミ(1990年~2000年)

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アルミのサイディング 1990年〜2000年(リフォーム)

アルミサイディングは古くからある高付加価値外壁材です。

耐久性と耐候性、耐震性に優れています。
ただし、値段が高いため、訪問販売のような特別な販売でしか普及が進んでいません。

ガルバリウム鋼板(2000年以降に建築)

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ガルバ(ガルバリウム鋼板)のサイディング 2000年以降

ガルバはトタンよりも錆びの進行が圧倒的に遅く、アルミよりも値段が安いため、コストパフォーマンスに優れている外壁材です。
ただし、沿岸部や工場地域は、塩やほこりが付着することによる錆の発生リスクがあるため、細かなメンテナンスが必要です。

外壁劣化のサイン

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金属サイディングの錆びは「白錆び」→「赤錆び」→「黒錆び」の順番で進行します。

雨が当たらずに外気のほこりなどの汚れが付着しやすい箇所から錆は生まれます。
したがって、玄関周りや軒下など、雨がかりが少ない部位に白い錆がないか、普段からチェックをしてください。
ただし、ガルバやアルミは錆びの進行がかなり遅いので、錆びがあるから緊急性が高いとは限りません。

錆び

後半に濁った斑点が付き始めます。

錆び

穴あき

錆びの最終形態が穴あきです。穴あきは雨漏りの原因になるため、速やかなメンテナンスが求められます。

穴あき
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ALC(エーエルシー)

ALC

ALCは「軽量気泡コンクリート」の略です。
一般的な1枚あたりの大きさは60㎝×180㎝のサイズであり、窯業サイディングや金属サイディングよりサイズが小さいです。
そのため、シーリングの目地がかなり長くなります。

吸水しやすい外壁材のため、基材(コンクリート色の外壁内部)が露出しないよう塗装による定期的なメンテナンスを必要とします。
特に寒冷地は凍害により痛みやすいです。

リフォーム方法

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ALCのリフォーム方法は「外壁塗装」「外壁カバー工法」の2つです。
亀裂やすき間がある目地にシーリングを部分充てん後、塗装仕上げをします。

近年、築年数が経過したALCのリフォームに関するご相談が多く、「外壁カバー工法」をおこなう機会が増えています。
なお、40年以上昔のALCは、パネルの固定方法が現在と異なり地震時に不具合が生じやすいです。

外壁劣化のサイン

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メンテナンスを怠ったALC外壁は、欠損や塗膜剥離が生じやすくなります。
基材(コンクリート色の外壁内部)が露出している場合は、速やかに補修を含めたメンテナンスをおこなってください。
シーリング箇所も多く、経年と共に目地に沿って亀裂が生じるようになります。
ただし、塗料の塗膜で目地が保護されているため、露出している窯業サイディングよりは寿命が長いです。

チョーキング

外壁に手を触れてチョークの粉のようなものがベッタリと手に付着していたら、塗膜劣化のサインです。

チョーキング

シーリングの劣化

シーリングにひび割れがある場合は、シーリングの打ち替えもしくは増し打ちによるメンテナンスを検討したい時期です。

シーリングの劣化
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3.各外壁材のメンテナンス時期

テイガクの経験に基づくおおよそのメンテナンススケジュールをご紹介します。

アイコン 建設業界とリフォーム業界の裏事情

外壁材メーカーのカタログを見ていると「10年に一度メンテナンス」と記載されています。
何だか早いと思いませんか?
外壁製造会社や外壁施工会社は、早期にメンテナンスをおこなってもらいたい立場です。なぜなら、一度でも塗装によるメンテナンスをおこなったら、製造責任や施工責任がなくなるからです。そのため、比較的早期にメンテナンスをおこなうことを求める傾向があります。リフォーム会社側も外壁材メーカーが10年に一度のメンテナンスを推奨していれば、リフォームが販売しやすくなります。

外壁塗装の時期

窯業サイディングの塗装時期

あなたの家が「直張り」で「12㎜厚品」であれば、築後15年目に外壁塗装をおこない、その後10年ごとに外壁塗装をおこなってください。
もし「通気工法」で「金具引掛けの15mm厚品」であれば、外壁は湿気による劣化や地震によるひび割れの影響はほぼありません。
築後25年前後、何もしなくても外壁機能は維持するはずです。
15年の塗装サイクルでは、シリコンもしくはラジカルグレードの塗料を用います。
外壁材と外壁構造が優良である場合、20年以上長持ちするフッ素塗料を用いる外壁塗装を検討する価値はあります。

なお、窯業サイディングは、耐久性の低い変成シリコンが用いられていることが多いです。
築後10~15年経過すると、目地のシーリングの劣化が目立ち始めます。
塗膜ではなく目地の劣化の方が深刻であり、対処が必要です。

窯業サイディングの塗装時期

構造 10年 15年 20年 25年 30年 35年
直張り
アスベスト有
直張り
(13mm以下)
通気工法
釘打ち(12-13mm)
通気工法
釘打ち(14mm)
通気工法
金具引掛け(15mm)
通気工法
無機/光触媒

シーリング材の工事スケージュール

種類 10年 15年 20年 25年 30年 35年
変成シリコン
高耐久シーリング
ガスケット

モルタル外壁の塗装時期

モルタル外壁はその性質上、ひび割れが発生しやすいです。
微細なひび割れであれば、外壁機能に影響が及ぶことは全くありません。
しかし、地震時は外壁機能に及ぶ大きなひび割れが生じる恐れがあります。
長期にわたる維持ではなく、10年15年のひび割れを含むメンテナンスをおこなってほしいです。
使用する塗料はシリコングレードで十分です

モルタル外壁の塗装スケージュール

通気層有無 10年 15年 20年 25年 30年 35年
通気層なし
通気層あり

外壁カバー工法の時期

外壁カバー工法を検討するおすすめ時期は、外壁劣化が進行しはじめる築20年頃です。
もちろん「直張り」や「12㎜厚品」などの不具合が生じやすい不良施工による外壁は、外壁塗装ではなく外壁カバー工法をおすすめします。
最近は、「断熱効果」と「デザイン性」の取入れを目的に、築浅の建物でも外壁カバー工法を求めるお客様が増えています。  
もちろん、外壁塗装で複数回かけて外壁リフォームをおこなうこともひとつの手段です。
しかし筆者は、外壁塗装をおこなわず、お子様が成長した築20年前後で外壁カバー工法をおこなうことをおすすめしています。
まさに一生で一度で済む外壁工事です。
筆者が担当した全てのお客様からも高い満足をいただいています。

【窯業サイディング】
外壁カバー工法のスケジュール時期

窯業サイディング 10年 15年 20年 25年 30年 35年
直張り
通気工法・釘打ち
通気工法・引掛け

【モルタル外壁】
外壁カバー工法のスケジュール時期

モルタル外壁 10年 15年 20年 25年 30年 35年
直張り
通気工法・釘打ち
通気工法・引掛け

おしゃれでかっこいい外壁リフォーム例

画像中央の アイコン アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます

【工事前】窯業サイディング 【工事後】金属サイディング

金属サイディングによる外壁リフォームは、性能だけではなく外観も大きく変えることができます。

テイガクによる外壁リフォーム例

外壁リフォーム例【おしゃれな外壁・ビフォーアフター】

塗装会社と建築板金工事会社について

塗装会社について

急増している塗装会社

近年、外壁塗装の市場規模が拡大しています。
国道などの主要幹線道路を運転していると、交差点には必ずと言ってもよいほど「外壁塗装」の宣伝広告の看板を見かけます。
10年前までは想像をしていなかった光景です。
それほど外壁塗装を販売する外壁塗装会社が増えています。

なぜ戸建て住宅の新築着工件数は年々減っているにもかかわらず、外壁塗装会社が増えているのでしょうか?

理由は「直張り」や「12㎜厚品」の窯業サイディングが普及したからです。

頻繁なメンテナンスを要する技術が確立していない窯業サイディングが登場したことで、世の中に外壁塗装のニーズが爆発的に高まりました。
リフォーム会社は「10年に1度塗装しなければいけない」といった考えでセールスを推し進め、いつしか戸建て住宅を所有する消費者心理に「10年に1度は外壁塗装の考え」が根付いています。
そして、お隣さんが塗装をしたから自分もといった日本人らしい「同調圧力」も大きく関わっています。

エスカレートする塗装業界

最近、外壁塗料の提案について、ご質問を受けることが増えています。
たしかに、10年ほど昔は外壁塗装で用いる塗料といえば「シリコン一択」でした。
しかし、近年は外壁塗料の数が消費者を困惑させるほど増えています。
事実、毎年のように新しい外壁塗料が塗料メーカーから販売されています。

今すぐ塗装をしたほうがよいといった営業トーク」だけではなく「無機やフッ素といった高耐久塗料」や「オリジナル塗料」などの提案が繰り広げられています。
年々複雑化している背景には、外壁塗装業界の競争激化が背景にあります。

以下は横浜市の曾根塗装店様の外壁塗装に関する見立てを引用です。
塗装職人の本音が垣間見えます。
ここに書かれていることが真実だと筆者も感じています。

曽根塗装店様からの引用
  • 強度不足など建物自体の構造的なトラブルや素材自体の劣化(老化)の阻止までをも
    塗装に求めるのは無理がある

  • 【高耐久塗料の採用によるメンテナンス周期の延長】はせいぜい10年が限度

  • 塗装だけで20年間メンテナンス不要になる住宅は皆無に近い

建築板金工事会社について

本当の外壁のプロフェッショナル

八王子市にある倉庫
建築板金工事会社は4mのサイディングを保管するための倉庫が必要

建築板金工事会社は、外壁カバー工法を専門にする会社です。
金属サイディングと金属屋根の工事が得意な会社です。
外壁全てを外壁材で張ることはできないため、塗装工事の一部おこないます。
外壁材そのものを取り扱う会社であるため、外壁に関する知識と経験は外壁塗装会社よりも詳しいと評価していいでしょう。
もちろん、外壁張り替え工事もおこないます。

外壁リフォーム会社選びの注意点

業者紹介サイトの利用

ホームページで外壁リフォーム会社を紹介する「業者紹介サイト」をよく目にします。
外壁リフォーム会社を紹介することで利益を得ている会社が運営するホームページです。

複数の地元の優良業者を一括で無料紹介

といった表現で集客を図っています。
実は、外壁リフォーム会社から工事が決まったら多額の成約手数料を請求するシステムになっています。
そのため、サービスを利用した時点で工事金額が割高になります。

「お客様が紹介サイト経由ではなく、直接問い合わせをしてくれればもっと安く工事が提供できたのに」。

これが外壁リフォーム会社の本音です。

紹介サイトを経由すると成約手数料が発生して工事金額が割高になる
紹介サイトを経由すると成約手数料が発生して工事金額が割高になる

金属屋根との同時工事

近年、外壁塗装と金属屋根の工事を同時におこなう人が増えています。
そのため、塗装会社が金属屋根の工事を提供しているケースが目立ちます。
このパターンは、より慎重になってほしいです。

外壁塗装と金属屋根の工事は全くの異業種です。
外壁塗装会社による金属屋根の工事は下請けの工事会社への外注になることがほとんどです。
金属屋根こそ屋根材の種類や工事手順、どのような手抜き工事がはびこっているのかなどを知っておいてほしいです。
テイガクのウェブサイトでは外壁工事だけではなく、屋根工事にも力を入れて深く解説をしています。
ぜひこのウェブサイトで屋根工事会社選びの重要性について認識を深めてください。

塗装会社が屋根工事を請け負う

訪問販売会社からの営業

すべての訪問販売事業者が悪徳であるとは限りません。
訪問販売業者の指摘や提案によって助けられた消費者も存在します。
しかし、国民生活センターの統計では、外装工事に関わる訪問販売の消費者トラブルが増えているのも事実です。
たとえば、築後5年未満の外壁に外壁塗装や外壁カバー工法をすすめられた場合、本当に外壁リフォームが今すぐ必要であるかや適正価格であるかなど、消費者は確認をしてほしいです。
そして、訪問販売業者からの見積りだけで判断せず、他の同業者からも見積りを受け取る「相見積もり」を必ずおこなってください。

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外壁リフォームについてよくある質問

外壁カバー工法はデメリットが多いと言われたのですが本当でしょうか?

A

外壁カバー工法は外壁機能回復やデザイン、居室快適性の点において優れたメリットがある工事です。
外壁カバー工法は胴縁で空気層を確保して外壁材を重ね張りするため、直接屋根材を張って仕上げる屋根カバー工法よりも外壁カバー工法ははるかに安全安心な工事方法と評価できます。

人気の外壁塗料は何ですか?

A

コストパフォーマンスに優れた「ラジカル塗料」が一番人気です。

アルミとガルバリウム鋼板、どちらの外壁が優れていますか?

A

アルミの外壁材が優れています。
しかし、費用対効果を考えると、ガルバリウム鋼板が優れています。

人気の外壁塗装メーカーはどこですか?

A

戸建て住宅塗料のトップメーカーはエスケー化研です。
塗料メーカー全体の売り上げでは日本ペイントが国内1位、世界4位に位置づいています。(2022年現在)

一番大きな金属サイディングメーカーはどこですか?

A

トップメーカーはアイジー工業です。
金属建材を専業にしている会社であるため、ホームページもかなり充実しています。

外壁塗装と外壁カバー工法の費用はどのくらい違うのでしょうか?

A

外壁塗装の金額が80万円の場合、外壁カバー工法は200万円前後の金額になります。

建坪30坪の外壁塗装の平均価格は?

A

足場組立費用とシーリング工事、消費税を含めた工事価格は、モルタル外壁で80万円前後、窯業サイディングで100万円前後です。

外壁リフォームを安くするには?

A

2社から3社、相見積もりを取ってください。
塗装会社を複数社紹介するサービスサイトの利用は、サイト運営元に紹介手数料や成約料を塗装会社がバックマージンで支払う仕組みになります。
外壁工事を提供している会社をお客様自ら探し出し、それぞれの会社に直接連絡をして相見積もりを取るのが賢明です。

地元密着の外壁リフォーム会社が良いのか?

A

地元のメリットは消費者が期待しているほど高いものではありません。
社員や職人が地元に住んでいるとは限らないからです。
会社だけ登記されていて、その地元には社長を含む社員全員が誰も住んでいないこともあります。
電車通勤のサラリーマンと同じで、車で1時間圏内は営業圏内であるのが建設工事業界の常識です。
イメージ戦略に過ぎないと、とらえてください。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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