現在、たくさんの種類の屋根材が販売されています。
それに合わせて、インターネットを利用して屋根材に関する情報を得る方が増えています。
人気の屋根材のひとつに「ジンカリウム鋼板」があります。
「自然石粒付き鋼板屋根」「天然石付着屋根」「ストーンチップ」などと呼ばれているます。
実際にお客様から直接「ジンカリウム鋼板屋根に興味がある」や「ジンカリウム鋼板屋根で見積もって欲しい」といったリクエストをいただくことがあります。
今回は人気の屋根のひとつ「ジンカリウム鋼板」について詳しく解説します。
1.ジンカリウム鋼板と呼ばれる金属屋根
戸建住宅の屋根リフォームを行う際、代表的な屋根材としてガルバリウム鋼板があげられます。
中でも屋根のフォルムにあらかじめ加工された「成型ガルバリウム鋼板」が人気です。
アイジー工業の「スーパーガルテクト」ニチハの「横暖ルーフα」が有名です。
テイガク屋根修理では請け負う工事の約70%近くで、ガルバリウム鋼板屋根を使用しています。
ガルバリウム鋼板屋根についての詳細はこちら
一方、金属屋根はガルバリウム鋼板だけではありません。
「ジンカリウム鋼板」と呼ばれている屋根材が販売されています。
最近、ジンカリウム鋼板の人気が高く、ジンカリウム鋼板屋根の施工を希望されるお施主様が増えています。
2.ジンカリウム鋼板とガルバリウム鋼板の違い
結論を申し上げると、ジンカリウム鋼板の組成はガルバリウム鋼板と大差がありません。
性能もほぼ同じです。
日本JIS規格によるガルバリウム鋼板の定義では、溶融55%アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板がガルバリウム鋼板になります。
実際に各屋根材の販売会社が発表している組成を比較すると,
ガルバリウム鋼板の組成:アルミ55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%
ジンカリウム鋼板の組成:アルミ55%、亜鉛43.5%、シリコン1.5%
となっています。
つまり、ガルバリウム鋼板もジンカリウム鋼板も学術的には同じ素材であると判断できます。
3.ジンカリウム鋼板の特徴・メリット
3-1.自然石粒が付着している
ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板と呼ばれる屋根材には、決定的な違いがあります。
それは、ジンカリウム鋼板の名称がついた屋根材の表面には、自然石が付着していることです。
(※自然石を付着させたガルバリウム鋼板屋根として販売している例外もあります。リクシルの「T・ルーフ」やヤマチコーポレーションが取り扱う「メトロタイル」があります。)
そのため、ジンカリウム鋼板は「自然石粒仕上げ鋼板屋根」「天然石粒付き屋根」「ストーンチップ鋼板」などと呼ばれています。
屋根表面についた自然石の色が屋根全体の色を表します。
石は釉薬(お茶碗と同じ方法)で色付けされているので、色あせしません。
自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)は塗り替えが不要である蓋然性が高い製品です。
(※検証はしていないため、再塗装の可能性がゼロとは言い切れません)
また、自然石は雨音を吸収するため、遮音性にも効果があります。
したがって、ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板の屋根を比べる際、お施主様は「自然石の有無」を比較対象の基準にしてください。
3-2.カバー工法ができる
カバー工法は最も代表的なコロニアル(化粧スレート・カラーベスト)のリフォーム方法です。
既存のコロニアルの上に、軽量の金属屋根を重ねる工事方法です。
自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)もカバー工法によるリフォームが可能です。
自然石粒付き屋根の重量は1㎡あたり7kgです。
ガルバリウム鋼板がおよそ5kg/1㎡なので、自然石チップが2kg/1㎡の計算になります。
軽い屋根は重心が低くなるため建物自体の耐震性能が向上します。
屋根材 | m2当たり重量 | 1棟分の重さ(100m2) |
---|---|---|
日本瓦・陶器瓦 | 約50キロ | 5.0t |
化粧スレート(コロニアル) | 約20キロ | 2.0t |
ガルバリウム鋼板屋根(断熱材付き) | 約5キロ | 0.5t |
ROOGAルーガ | 約19キロ | 1.9t |
自然石粒付き鋼板屋根 | 約7キロ | 0.7t |
3-3.柔らかい印象
屋根は使用する素材によって、印象が大きく変ります。
金属の屋根はシャープな印象があります。
自然石が付着した屋根は金属よりは柔らかい印象です。
スレート屋根に近いイメージです。
4.ジンカリウム鋼板の特徴 デメリット
4-1.多くは輸入品
ジンカリウム鋼板名義で販売されている屋根の多くは輸入品です。
主に韓国やニュジーランド、アメリカなどから製造されたものを輸入されています。
製品の安定性や供給、サポートを考えると日本製品が安心です。
輸入品であることを、積極的にリフォーム会社や工務店は案内はいたしません。
生産国が気になるお客様は、リフォーム会社もしくは輸入販売元にお見積りの段階で確認してください。
4-2.表面の自然石がボロボロ落ちる
鋼板の上に付着している自然石がボロボロ取れ落ちます。
実際に工事中、雨どいの中に大量に取れ落ちた自然石がたまることもあります。
販売元は製造上、避けられないものであり、問題はないとしています。
4-3.断熱材がない
ジンカリウム鋼板名義で販売されている屋根材には断熱材がありません。
自然石が遮音性や断熱性機能を確保する役割を担っています。
成型ガルバリウム鋼板である「スーパーガルテクト」や「横暖ルーフα」は、断熱材一体型の製品で、屋根本体の裏側に断熱材が充てんされています。
断熱材のある屋根材と比べると自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)の断熱効果は劣ります。
尚、断熱材が溶けるといったネガティブな情報発信をする人がいますが、断熱材が溶けることは100%ありません。
高い遮音性と断熱性を望まれるお施主様は、断熱材一体型のガルバリウム鋼板を選択してください。
4-4.同質役物になると値段が高い
同質役物(どうしつやくもの)とは屋根本体と同じ素材の板金(役物)のことです。
自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)の本体価格は成型ガルバリウム鋼板と比べてほぼ変わりませんが、同質役物を使用した場合、成型ガルバリウム鋼板(屋根本体と板金の両方をガルバリウム鋼板にした仕様)と比べて自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)の工事費用が高くなります。
役物の金額が高めに設定されているからです。
本体を自然石粒付き仕上げ屋根(ジンカリウム鋼板)にし、役物をガルバリウム鋼板で工事を行うことが可能ですが、屋根本体と役物の保証設定が別々になるため、同質役物を使用しなければ屋根全体の製品保証を受けることができません。
5.屋根材選びで注意すること
屋根工事会社を選定する際、たくさんの屋根材を取り扱う会社に依頼してください。
屋根材にはたくさんの種類があります。
近年、新しい機能を備えた屋根材が販売されています。
しかし、多くの屋根工事会社はお施主様に幅広く屋根材を紹介しません。
ハウスメーカーも同じです。
中には、ひとつの屋根だけを熱心に勧めるリフォーム会社があります。
理由は簡単で、メーカーからの卸値が大幅に安いからです。
利益を確保でき、在庫量もコントロールできます。
限られた屋根材しか取り扱わない工事会社は、偏った情報を伝えがちです。
本当にお施主様の利益になる情報をリフォーム会社から得ることができません。
フェアな立場で適切な情報を提供する会社に屋根のリフォーム工事は依頼してください。
6.自然石粒付き鋼板屋根材を取り扱う会社
自然石粒付き仕上げ(ジンカリウム鋼板)屋根は年々、人気が高まっています。
屋根材の種類も豊富で、和風タイプの屋根材も販売されています。
色のラインナップも追加されています。
以下に代表的なジンカリウム鋼板メーカーをご紹介します。
■ディートレーディング
「ディプロマット」「エコグラーニ」
■伊藤忠建材
「スカイメタルルーフ」
■リクシル
「T・ルーフ」
自然石粒付き仕上げされた金属屋根以外の製品(アスファルトシングル材)も販売されています。
■田島ルーフィング
「ロフティ」
7.その他の高品質屋根
その他、高品質の屋根材でルーガ(ROOGA)があります。
ルーガ(ROOGA)はケイミューから販売されている「」屋根材です。
高い耐久性が人気の屋根材で、色あせなどの耐候性にも優れています。
販売開始から2017年で10年が経過し、業界関係者からの評価も確立しています。
工事費用が高くなる屋根材ですが、より高い品質の屋根をお求めのお施主様には、是非お勧めしたい製品です。
ルーガについて詳しくはこちら
8.テイガク屋根修理は合計8社の金属屋根を取り扱っています
今回、ご紹介した製品は、いずれもテイガク屋根修理で工事が可能です。
ジンカリウム鋼板の工事価格も弊社の工事価格表に定額制で記載しています。
屋根修理の価格表はこちら
テイガク屋根修理は合計8社の金属屋根材を取り扱っており、価格表未記載の屋根材もたくさんあります。
お施主様のご希望に合わせてお見積もりをお約束します。
金属屋根のリフォーム工事はテイガク屋根修理にお問い合わせください。
9.最後に
・ジンカリウム鋼板と呼ばれる屋根材がありますが、ガルバリウム鋼板の性質とほぼ同じです。
・ジンカリウム鋼板名義で販売されている屋根材は自然石粒が付着しています。
「自然石粒付き鋼板屋根」「天然石付着屋根」「ストーンチップ」などと呼ばれています。
・ジンカリウム鋼板製品の多くは輸入品です。主な生産国は韓国、ニュージーランド、アメリカです。
・屋根の工事会社、たくさんの種類の屋根材を取り扱う工事会社に依頼してください。