
屋根の葺き替え工事はとても大掛かりな工事です。
葺き替え工事では、大量の屋根材をはがして地上におろし、そして処分をします。
約10日から2週間くらいの日数がかかる工事です。
おそらく人生で一度あるかないかの大工事です。
いっぽうで頻繁におこなう工事ではないこともあり、葺き替え工事の全容があまりインターネットでも情報化されていません。
屋根の葺き替え工事ではとくに3点、知って欲しい情報があります。
このページでは屋根の葺き替え工事の手順と日数、そして押さえておきたい3つの注意点を解説します。
屋根の葺き替え工事にかかる日数は?
2週間で終わるが1か月以上かかることも
屋根の葺き替え工事にかかる日数は約10日から2週間くらいです。
もちろん屋根の面積や職人さんの数によって工事にかかる日数は変わってきます。

葺き替え工事の間は、一時的に屋根が無くなるタイミングがあります。
天候の影響を気にしながら工事を進めなければなりません。
雨が多い日本では、葺き替え工事は思っていた以上に日数がかかることがあります。
たとえば、2020年7月は月の半分以上が雨でした。
そのため、2週間で終わる予定だった屋根工事が1か月以上かかることになってしまいました。
土葺き屋根は下地調整を必ずおこなう

西日本は瓦の下に土を敷く施工方法を採用していることが多いです。
土葺き(つちふき)屋根とよびます。
土葺き屋根の場合、土を取り除く作業に加えて、土と瓦の重みで屋根の歪みを正す「下地調整」をおこなわなければならないことが多いです。
①下地調整をおこなうこと!
土葺き屋根は瓦と土の重みで屋根面が歪んでいることがほとんどです。
テイガクでは関西地区の瓦屋根の葺き替えの場合、屋根面をフラットな状態にする「下地調整」をおこないます。
下地調整をおこたると、屋根の仕上がりが不安定な状態のままになります。
西日本地区で瓦屋根の葺き替えをおこなう予定があるかたは、下地調整をおこなうかどうかを必ず確認してください。
1.屋根の葺き替えの手順
1-1.足場を組む(1日仕事)

足場を組む時間はおおむね半日で終わります。
2人から4人位の人数で現場に入ることが多いです。
基本的に足場組立の職人さんと屋根職人さんは違うことが多いです。
②昇降機と廃材置き場に注意
屋根の葺き替え工事で私たち工事業者がいつも頭を悩ますのは、昇降機とおろした屋根材の置き場です。
じゅうぶんな敷地スペースがない場合、工事期間中、駐車場を終日お借りしたり、ガードマンを雇入れたりする必要があります。
1-2.屋根をはがす(2日仕事)
屋根をはがして地上におろす作業は、2日程度かかります。
20年くらい前まではトラックを横付けし、トラックの荷台に屋根を放り投げている光景をよく目にしていました。

現在は、昇降機(電動リフト)を屋根に立てかけて、はがした屋根を地上におろします。
はがした屋根は産業廃棄物として中間処理場へ持ち運んで処分をします。
③アスベストや土ぼこりに注意!
アスベスト入りのセメント瓦をはがすとアスベストが飛散します。
窓を開けたり、屋根に近づいたりすることは避けましょう。
また、屋根裏がゴミやホコリだらけになることもあるので、屋根裏に貴重品がある場合は養生をおこなってください。
1-3.下地調整(1日仕事)
年月が経過した古い土葺き屋根は、屋根面が歪んでいます。
そのため、屋根の歪みを正す矯正作業が必要です。
この作業を「下地調整」とよびます。

下地調整をおこなわずに新しく屋根を仕上げる業者もいますが、下地調整は絶対に必要な作業です。
金属屋根やコロニアル(スレート)は屋根の下がフラットな状態でなければ仕舞いが悪くなり、数年後に雨漏りなどの不具合が生じることになります。
下地調整をおこわない業者には注意をしてください。
1-4.野地板(のじいた)を張る(1日仕事)

基本的に葺き替え工事とあわせて野地板も新しくします。
古い野地板の上に新しい野地板を増し張るすることが多いです。

野地板とは屋根材を構造的に支える下地材です。
野地板がしっかりしていないと、屋根材が風ではがれやすくなります。
④野地板の痛みが激しい場合は張り直し
野地板は屋根の構造で欠かせないものです。
既存の野地板だけではなく、野地板の下にある垂木(たるき)が腐食している現場をまれに見かけます。
そのような場合は、垂木を補強し、野地板を張り替えます。
屋根が丸ごとなくなることになるので、垂木の補強はかなり神経をつかう作業です。
1-5.防水シートを張る(1日仕事)

新しい野地板に防水シートを張ります。
タッカーとよばれるホッチキスの芯のような器具でシートを張ります。
最近は野地板に傷を付けることを極力おさえるため、タッカーをつかわず粘着式になっているシートをつかう機会増えています。
⑤防水シートは高品質製品を!
防水シートが最終的に雨漏りを防いでくれます。
防水シートは20種類以上もあるので、できるだけ防水性が高く長持ちする製品を使ってください。
1-6.屋根を張る(5日仕事)

屋根を張ります。
葺き替え工事では基本的に金属屋根で仕上げます。
金属屋根のなかでも断熱材一体型の製品を選ぶようにしましょう。
理由は費用対効果に優れているからです。
テイガクでよく用いる屋根材は「アイジー工業のスーパーガルテクト」もしくは「ニチハの横暖ルーフαプレミアムS」です。
瓦の風合いを残されたい人は「ケイミューのルーガ」がおすすめです。
工期短縮を最優先にされる人は「立平葺き」をおすすめします。

一番安いスレートやアスファルトシングルにしたところで、10~30万円程度の価格差です。
屋根材自体の施工費用は葺き替え工事の費用の10%位しか変わりません。
耐久性や断熱性、耐風性、メンテナンス性を考えると金属屋根が断然おすすめです。
1-7.雨どいを取り付ける(1日仕事)
葺き替えとあわせて雨どいも交換します。
雨どいも種類がたくさんあります。
テイガクでは樹脂の中に鉄心が含まれたパナソニックの雨どいをよくつかっています。
1-8.足場を解体する(1日仕事)
工事内容を確認いただき、足場を解体して現場の清掃をおこないます。
瓦屋根の葺き替えにおすすめの工事時期
葺き替え工事のおすすめ時期は雨と風の影響がない時期がおすすめです。
おすすめ時期:11月~12月と3月~5月
また、重労働をともなう工事なので、真夏は作業効率が悪くなります。
まとめ
屋根の葺き替えの手順と日数を中心に解説をしました。
とくに注意して欲しい点は、「下地調整」です。

長い年月の経過とともに、重い土葺きの屋根は屋根を歪んだ形状にさせてしまいます。
下地調整をおこなわずに屋根を仕上げる業者がまだまだたくさん存在します。
長く安心できる屋根に仕上げるためにも下地調整は必ずおこなってください。
屋根の葺き替えで注意したいポイント
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下地調整をおこなうこと!
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昇降機と廃材置き場に注意!
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アスベストや土ぼこり注意!
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野地板の痛みが激しい場合は張り直し
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防水シートは高品質製品を!