目 次
セットバックスターターとは?
屋根カバー工法専用の板金部材
セットバクスターターとは?
セットバックスターターとは屋根の軒先に取り付ける軒先板金のことです。
屋根本体を軒先より数センチ後ろへ押し下げる特殊な形状をしています。
屋根カバー工法をおこなう時、屋根の厚み分、屋根が高くなります。
そのため、雨どいに雨水がしっかりと流入せず、雨どいを雨水が通り超えてしまうことがあります。
特に大雨の時は大量の雨水が屋根に降り注ぐので、かなり高い確率で雨どいが機能しなくなります。
雨が降っていると気付きにくい事象ですが、玄関ポーチなどの出入り口では生活支障をきたす可能性があります。
そのような屋根カバー工法で発生する問題を解決させるのがセットバックスターターです。
次の写真は、セットバックスターターではない軒先板金をつけた屋根に、雨水を流した様子です。
雨水が雨どいを超えていることが確認できます。
(※この屋根はテイガクが工事した屋根ではありません)
一部の日本メーカーだけが製造している
セットバックスターターは、アイジー工業のスーパーガルテクトやニチハの横暖ルーフなどで取り扱いがあります。
雨水がしっかりと、雨どいに入り込むように設計されています。
板金部材は屋根の止水性や機能にも関わるため、屋根本体よりも注目して欲しい重要項目です。
セットバックスターターのような数多くの金属屋根の問題に対する課題解決に対応している点が日本の金属屋根メーカーの良い点です。
一方で中国や韓国からの輸入品の屋根材(石粒付き鋼板の屋根材)は、残念ながら最低限の板金部材しか用意がありません。
特許や物量管理の問題が背景にあると思われます。
金属屋根の品質という点では、日本の屋根メーカーは断熱性能優れている点も含め、テイガクは高く評価しています。
手抜き工事?工事内容を確認しましょう
ゼロスターターで屋根カバー工法
セットバックスターターを取り付けずに屋根カバー工法をおこなっている現場をよく見かけます。
セットバックスターターではなく、ゼロスターターとよばれる軒先板金を屋根カバー工法で取り付けているケースです。
ゼロスターターは本来、雨どい交換を必要とする軒先板金です。
なぜ、ゼロスターターを用いるとのかというと、理由はシンプルでセットバックスターターの値段が高いからです。
2倍以上の金額差があります。
ゼロスターター | 2,220円/1本(定価) |
セットバックスターター | 4,950円/1本(定価) |
工事会社の知識不足・情報不足が原因のことも
また、昔はゼロスターターしかなかったので、ゼロスターターを用いて屋根カバー工法をおこなっても問題がないと解釈しているのだと思います。
雨どいが全く機能しなくなるものではないため、ゼロスターターが使われていることに気づかない人も多いです。
(なお、葺き替え用の軒先板金も存在します。屋根カバー工法用の軒先板金と葺き替え用の軒先板金の取り間違いは、完全に雨どいが機能しなくなるので、故意ではないはずです。)
たとえば、屋根工事に詳しくない(屋根工事を本業にしていない)塗装会社やリフォーム会社は、外注先の屋根工事会社がゼロスターターを取り付けていても気づかないと思います。
この記事を見て、工事会社の人もお客さまも、そんな特殊な軒先板金があるなんて知らなかったという人も多いはずです。
なお、手抜き工事として白黒はっきりさせる判断は難しいです。
少しでも工事を安く仕上げるために、お客さま同意の元にゼロスターターを取り付けている可能性があるからです。
パミールやアスファルトシングルの使用に注意
パミールやアスファルトシングルなどでは、セットバックスターターを用いることが原則できません。
理由は見た目の通りだからです。
そのため、パミールは屋根カバー工法ではなく、葺き替え工事をおすすめしたいです。
これから屋根カバー工法を検討されている方へ
セットバックスターターを用いているか確認
屋根カバー工法の見積り書を取る時は、セットバックスターターで屋根カバー工法をおこなうか、必ず確認をしてください。
テイガクでは、屋根カバー工法をおこなう際、セットバックスターターを用いて屋根カバー工法をいたします。
屋根の耐久性が高い≠屋根の品質が高いことにはつながりません。
屋根の品質は、屋根は屋根本体や板金部材を含めた細部にまでこだわっている屋根のことです。
屋根の品質の点では、日本の屋根材はとても優れています。
ぜひ、これから屋根カバー工法をおこなう予定の方に知ってほしいです。