台風が発生すると、スレート屋根の補修や応急処置、部分修理に関するお問い合わせをよくいただきます。
たしかに屋根は強風で被害が受けやすい部位です。
特に近年は温暖化の影響により風が強まっており、屋根がはがれたり、棟板金ががれたりする被害が頻繁におこっています。
それでは、そのような被害が起きた場合はどのような処置をし、どのくらいの費用負担を覚悟しなければなりないでしょうか?
台風の季節が近づく前に、ぜひ一読していただきたい、スレート屋根のメンテナンスについて深く解説をします。
スレート屋根の寿命と特徴
台風ではがれれる被害が多いスレート屋根
強風被害
台風発生時、スレート屋根のはがれに関するご相談をよく頂戴します。
スレート屋根がはがれるパターンは、スレート屋根本体がはがれるパターン、屋根の棟板金がはがれるパターン、2つあります。
スレート屋根の本体のはがれ
スレート屋根は、釘で屋根の下地に打ち付けて張る屋根です。
風圧の影響で屋根がはがれ落ちます。
多くの場合、経年劣化による影響です。
その一方、一部、スレート屋根にはぜい弱な商品が流通しています。
1990年代後半から2000年代半ばに製造されたアスベストを含まないスレート屋根です。
該当の屋根は、多少の負荷で割れたり欠けたりします。
台風で屋根がもろともはがれて無くなってしまったという事例も筆者は経験しています。
スレート屋根の耐久性
スレート 屋根 | 耐久性 |
---|---|
アスベストあり | ◎ |
アスベストなし(~2000年半ば) | × |
アスベストなし(2000年半ば~) | 〇? |
アスベストを含まないスレート屋根は傷みやすく、風による被害が起こりやすい屋根と判断してよいでしょう。
そのような屋根に応急処置をしたところで意味がありません。
葺き替えや屋根カバー工法などの本格的な改修を選択する方が賢明です。
棟板金のはがれ
棟板金とは、屋根のてっぺんに取り付ける板金部材です。
下地として木が用いられており、棟板金の内部に雨水が入り込む構造になっています。
そのため、棟板金を支えている木が経年と共に腐食します。
強風に耐えられなくなった棟板金がはがれ落ちる事例は、戸建て住宅の不具合でもトップレベルで多い不具合です。
応急処置の方法
主な応急処置の方法は、「ブルーシート掛け」と「テープや粘着式防水シート貼り」、「シーリング補修」の3パターンです。
これまではブルーシートで補修する機会が多かったですが、最近は粘着式防水シートで応急処置をする機会が増えています。
屋根や棟板金がはがれたところ、両方に貼り付けることができます。
小さな穴を塞ぐ程度の作業であれば、簡単に手で破れるタイプの防水シートもあるので便利です。
応急処置に足場は必要か?
本来であれば、足場は必要です。
しかし、被災地に赴く場合は、足場を組まずに応急処置することがほとんどです。
応急処置と部分修理費用
スレート屋根(コロニアル)の応急処置にかかる費用
屋根材10枚程度
項目 | 修理費用 |
---|---|
シーリング補修 | 2~4万円 |
ブルーシート貼り | 4~6万円 |
防水シート貼り | 4~6万円 |
テイガクのシーリング剤について
テイガクでは2024年10月より、工事に使用するシーリング材に、耐候性・速乾性に優れた「SRシール H100」を採用いたします。(SRシール H100の詳細はこちら)
ご希望のシーリング材がございましたら変更は可能ですので、担当の施工管理士にご相談ください。
ひび割れの修理は差し込み式がおすすめ
差し込み式とは、古いスレート屋根に「コの字型」のガルバリウム鋼板の鉄板を張る補修方法です。
商品ではケイミュー株式会社のリコロニーが有名です。
手軽にスレート屋根が修理でき、見た目も綺麗です。
スレート屋根がはがれ落ちていていない場合は、差し込み式による補修がおすすめです。
これからのスレート屋根の修理方法のスタンダードになると思います。
業者によって大幅に変わるコスト
「わたしは屋根修理業者です」。と誰でも名乗れます。
誰でも屋根の応急処置のプロを名乗って商売ができます。
大規模災害時は、屋根の被害が同時多発的に生じるため、どの屋根工事を専門におこなっている会社や職人は手がいっぱいです。
需要と供給のバランスが崩れ、応急処置の価格も高騰するおそれがあります。
災害に便乗し、ブルーシート貼りだけで20万近くの費用を請求する業者もいます。
大規模な自然災害によって屋根がはがれた場合は、特に業者選びには注意を払ってください。
スレート屋根の全面改修
葺き替えと屋根カバー工法も検討
スレート屋根の部分修理を検討されている人は、屋根葺き替えと屋根カバー工法も検討してください。
スレート屋根を部分修理しても、効果は限定的です。
部分修理は屋根の下にある防水シートであるルーフィングを敷き直す工事ではないからです。
ルーフィングも屋根材と同じく耐用年数があり、未来永劫、防水性が持続するものではありません。
5年10年のタイミングで本格的な全面改修の工事が必要になる可能性があります。
スレート屋根の全面改修は、金属屋根で葺き替えもしくはカバー工法で改修するのが一般的です。
安心安全な屋根工事をお求めの方は、建築板金工事会社に部分修理の費用とあわせて、全面改修の見積書を作成してもらってください。