屋根に遮熱塗料を用いる単価と費用・補助金を活用するといくらになる?

これからの季節、日差しが強くなると室内の温度も上昇し、エアコンがフル稼働する家庭が多くなります。 特に屋根下の居室からの熱侵入は強烈です。
快適に勉強や仕事ができる室内環境を手に入れたいと考えている人、多いはずです。
「遮熱塗料の費用が気になる…」「補助金は活用できるの?」といった疑問をお持ちの方に向けて、遮熱塗料の施工費用、適用可能な補助金の情報、そして実際に施工を行う際の注意点を解説します。

高反射率塗料=遮熱塗料

遮熱塗料とは、日差しを反射する高反射率塗料のことです。
JIS規格の「K5675」に定義づけされています。
反射する性能が高いことから、一般塗料に比べて屋根面が熱くなりにくい特性があります。
エコロジーに対する社会的な関心が高まっていることから、遮熱塗料を用いて塗装をおこなうことで、お住まいの市区町村から補助金が提供される場合があります。

遮熱塗料の塗料缶価格

塗料缶1缶当たりの価格

戸建て住宅用塗料メーカーであるエスケー化研では、屋根用塗料として一般タイプ(ヤネフレッシュ)と遮熱タイプ(クールタイト)の2つの塗料を販売しています。
各商品のシリコン系塗料、塗料缶1缶あたりの価格を示します。
中塗りと上塗りの2回塗で、平均3缶使用します。

タイプ 商品名 1缶の価格 3缶の価格
一般 ヤネフレッシュSi 19,000円 57,000円
遮熱 クールタイトSi 21,000円 63,000円

塗料缶の価格差は約6,000円です。
同じ色もちの塗料を遮熱グレードに変更すると、材料費が6,000円程度、値上がりします。

なお、屋根の傷み具合や遮熱塗料の商品によって、下塗り塗料の検討も必要です。
下塗り塗料は1缶で足りることが多いです。

塗料 1缶の価格
屋根用下塗り材 14,000~20,000円

平米あたりの材料価格

一般塗料から遮熱塗料にグレードアップ

屋根塗装の場合 +10,000~20,000円
外壁塗装の場合 +20,000~40,000円

1棟の屋根を塗装する場合の塗料缶の費用は、一般塗料で約60,000円、遮熱塗料で約70,000円程度です。
一般塗料から遮熱塗料への変更は、屋根塗装の労務は大きく変わらないため、高くても10,000~20,000円程度の費用負担で変更可能であることは抑えておきましょう。
外壁塗装の場合は、外壁面積がおよそ屋根の2倍であるため、20,000~40,000円の負担増となります。

遮熱塗料の単価と費用

遮熱塗料の単価

塗料の種類 平米単価 期待耐候年数
遮熱シリコン 1,000円/㎡ 5~7年
遮熱ラジカル 1,100円/㎡ 6~8年
遮熱フッ素 1,700円/㎡ 7~10年
遮熱無機 2,000円/㎡ 10~15年

中塗りと上塗りで用いる着色塗料の費用と耐候年数です。

遮熱塗料の費用

実際の遮熱塗料の費用を示します。
使用塗料は、エスケー化研のエスケープレミアムルーフSiです。
   

工事項目 数量 工事単価 工事価格
足場工事 190㎡ 750円/㎡ 142,500円
棟板金錆止め処置 1式 10,000円 10,000円
高圧洗浄 80㎡ 400円/㎡ 32,000円
下塗り 80㎡ 700円/㎡ 56,000円
中塗り 80㎡ 1,100円/㎡ 88,000円
上塗り 80㎡ 1,100円/㎡ 88,000円
タスペーサー 80㎡ 300円/㎡ 24,000円
諸経費 1式 10,000円 10,000円
消費税 10% ○○円
工事金額合計 495,550円

助成金事業と助成金事業の落とし穴

多くの自治体(市区町村)で助成金を提供

遮熱塗料を用いて塗装することで、市区町村から助成金が提供される場合があります。
ただし、その対象や金額は地域や制度により大きく変わります。
詳しくは、お住まいの市区町村の助成金事業の窓口にお尋ねください。 

市区町村の遮熱塗装助成金事業 ※2023年7月調べ

市区町村 外壁塗装・屋根塗装 助成額
横浜市 なし
川崎市 なし
世田谷区 あり 最大20万円
杉並区 あり 最大15万円
足立区 あり 最大5万円
八王子市 あり 最大5万円
さいたま市 あり 最大2万円
川口市 あり 最大10万円
市川市 あり 最大10万円
千葉市 なし
大阪市 なし
堺市 なし
神戸市 なし
西宮市 あり 最大10万円

市区町村による助成金事業の条件として、以下の2点も抑えておいてください。

塗装会社の本社(本店)がその市区町村にあるのか
遮熱塗料で屋根を塗装するのか

一部地域では、本社がそのエリアにあるかを条件にしている地域があります。
また、遮熱塗料を屋根に塗装する工事しか認めてない地域もあります。

相見積もりをおこなう機会損失

塗装業者のホンネ

ここからは実際に助成金事業の申請業務をおこなっている工事業者のホンネをお伝えします。
助成金事業の申請は、かなり面倒です。
提出する事前申請や報告書などの書類が多く、助成金を受けないお客様と同じ費用で工事をおこなうと、全く割に合わないです。
そのため、申請の手続きに関する手数料を見積書に含める業者も存在するはずです。

相見積もりの機会損失

助成金の入手を前提で工事業者を探す人は、ほぼ見積書を作成した塗装業者1社に工事を依頼することになるはずです。
なぜなら、助成金の申請手続きに深く塗装業者が関わる必要があるからです。
途中まで深く関わってしまった塗装業者からの提案を断ることは、心情的にプレッシャーがかかり、難しいはずです。
つまり、お客様は1社独占の出来レースのシナリオで塗装工事をおこなうことになります。
「うちの会社が助成金の申請手続きしますので、安心してください」。
といった言葉を真に受けて、数万円の助成金のために、相見積もりをおこなわないことは避けてほしいです。

賢明な後出しじゃんけん

それでは、助成金を利用したいけど、より安く塗装工事をおこなうには、どうすればよいでしょうか?

答えは、後出しじゃんけんです。

相見積もりで複数の会社から見積書を作成してもらい、最もお客様の意向にあった業者を見つけたら、その業者と契約を結んでください。
そして、契約後に、助成金事業のことを持ち掛けてください。
すでに契約が済んでいるので、工事業者は悪い気はせず、快く受け入れてくれるはずです。
お客様も工事業者もお互い良好な関係で工事ができます。

ただし、この後出しじゃんけんを成功させるには、お客様自身が助成金事業の内容と、依頼予定の業者のことを調べておく必要があります。

遮熱塗料による塗装以外の方法も

このページでは、遮熱塗料の費用と助成金事業について、解説しました。
夏の暑さ対策として、遮熱塗料を用いた屋根塗装の効果に期待を寄せている人、多いはずです。
しかし、遮熱塗料で塗装をするよりも、より効果がある屋根工事はたくさんあります。
以下のように、屋根の暑さ対策は、たくさんの方法があります。
是非、遮熱塗料による屋根塗装以外の方法にも関心をもって検討をしてみてください。 

屋根工事による暑さ対策 効果
遮熱塗料で屋根塗装
屋根の色を明るい色にする ☆☆
空気層のある金属屋根でカバー工法 ☆☆
断熱材一体型の金属屋根でカバー工法 ☆☆☆
屋根裏にグラスウールを敷く ☆☆☆☆
換気棟取り付け ☆☆☆☆
屋根通気工法を取り入れる ☆☆☆☆☆
この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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