瓦屋根の修理をする時に、まずはじめに確認したいのが瓦の形です。
瓦の形が違うと、部分的な交換などがうまくおこなえません。
しかし、瓦の形を調べると、SやJなどのアルファベットが出てきて、戸惑うことがあります。
このアルファットの呼び名は、瓦の断面の形状によって決められています。
今回は瓦の呼び名の違い(J型・F型・S型・M型)について解説していきます。
J型とは
J型は緩やかなカーブを描いたわが国の代表的な形の瓦です。
現在でも多くの家屋でよく見られます。
和瓦、日本瓦ともよばれています。
JAPANの頭文字を取ってJ型とよぶようになったともいわれています。
お寺や神社、和風住宅などで目にする機会も多いでしょう。
写真のように波型の断面が美しく、雨が降った際の水切れもいい形です。
F型とは
F型瓦は平坦な形をしたシンプルな瓦のことです。
F型の名前は平らを表すFlatの頭文字を取ったという説と、フランス瓦を参考にしたのでF型になったという説があります。
平板瓦(へいばんがわら)とよばれることもあります。
洋風住宅だけではなく和風住宅にもつかわれています。
最近の傾向としては、太陽光パネルを載せるためにより軽量化させたF型の軽量防災瓦がよくつかわれています。
S型とは
S型瓦は断面を見ると緩いS字のカーブを描いている洋風瓦のことです。
S型(スパニッシュ型)はSpanishのSから名前がついたともいわれています。
赤土色を始めとした温かみのある色合いがよくつかわれています。
カラフルな色のバリエーションも多いのが特徴です。
M型とは
M型瓦はS型と比べて凹凸の盛り上がりと盛り下がりが深い形をした洋風瓦のことです。
ふた山瓦ともよばれます。
M型瓦は他の形に比べて軽量(軽量瓦)であることが多く、軽量瓦で有名なヱビス瓦工業株式会社の「モニエース」や三州野安株式会社の「セラマウント」などもM型です。
瓦の形と屋根の重さ
瓦は形だけではなく、1枚あたりの大きさもそれぞれ違います。
屋根の形状や勾配・メーカー・商品にもよりますが、瓦の形による枚数・重さの違いは以下の通りです。
1坪当たりの瓦枚数
J型 | F型 | S型 | M型 |
---|---|---|---|
53枚程度 | 40枚程度 | 49枚程度 | 40枚程度 |
軽量瓦ではない瓦の1坪当たりの重さ
J型 | F型 | S型 |
---|---|---|
143kg | 144kg | 161kg |
M型の軽量瓦を使用した場合の1坪当たりの重さ
M型(軽量瓦) |
---|
114kg |
軽量瓦を用いない限り、大きな差はないと思ってください。
最近の主流はF型
F型のメリット
新築住宅で人気の形はF型です。
背景として以下の理由があげられます。
1:フラットなので太陽光パネルを載せられること
2:オーバーラップロック構造などの防災性が高い製品が登場したこと
3:平米(坪)当たりの瓦の枚数が少なくすむので施工にかかる労力が低減したこと
4:和風でも洋風でもあうシンプルなデザイン
F型のデメリット
F型は他の形に比べて空気層の厚みが薄いため、屋根から熱が室内に伝わりやすいです。
全日本瓦工事業連盟のデータでは、同条件でJ型瓦48.9度(野地板表面温度)に対し、F型瓦52.9度でした。
もちろん、断熱効果だけではなく、通気性能も空気層の厚い屋根に比べて劣ります。
筆者のおすすめはM型
軽量瓦に属する瓦はM型に多いです。
もちろん、最近のM型瓦は防災性に優れた製品が多く、いわゆる軽量防災瓦に該当する製品もあります。
くわえて、M型は空気層がたっぷりと確保できます。
断熱効果と屋根の長寿命化が期待できる形です。
洋風デザインになってしまいますが、屋根の機能を考えると空気層が厚いM型がおすすめです。