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瓦屋根の種類と歴史

2020年7月13日、令和元年房総半島台風の被害をふまえて、国土交通省が瓦屋根の全数釘打ちを義務化することを検討しはじめました。
このことにより、建築基準法の改正され、瓦屋根の施工基準が大きく変わる見込みです。
1956年から変化がなかった瓦屋根業界にとって、この改正は大きなインパクトを与えることになります。
瓦屋根は日本の伝統文化のひとつです。
それゆえになかなか取組みが進まなかったのかもしれません。

結論をいうと、現行の業界が推奨している施工基準(ガイドライン工法)で施工された瓦屋根は安全です。
しかし、それ以外の瓦屋根、つまり既存住宅の瓦屋根は危険がはらんでいるかもしれません。

このページでは瓦屋根の種類や歴史を振り返り、どんな問題と解決策があるのか解説いたします。

時代ごとの瓦屋根の種類
時代ごとの瓦屋根の種類

昔の瓦が台風と地震に与える影響

雷様

築年数で瓦の張り方がわかります。古い瓦の問題点がわかります。

土をつかって瓦を留める「土葺き」
土をつかって瓦を留める「土葺き」

この時期の多くの瓦屋根は「土葺き」とよばれる工法が採用され、土で瓦を張って仕上げています。
屋根の重量がかなり重く、耐震性に悪影響をおよぼす工法です。
現在の瓦屋根が土葺き屋根である場合、早急に瓦の葺き替えをしてください。
築50年が経過している、ルーフィングとよばれる屋根の下に敷かれている防水シートが機能していません。
いつ雨漏りしてもおかしくない屋根ともいえます。

このころに建築基準法が大幅に改正されました。
旧耐震基準と新耐震基準の概念が生まれました。
1981(昭和56)年5月31日以降に確認申請された建物ではない場合(旧耐震基準)は、耐震設計が不十分である建物の可能性が高いです。
代表的な耐震改修工事として「屋根の軽量化」があります。
築後40年以上の瓦屋根はできるだけ早期に葺き替えを検討してください。

湿式の棟瓦
湿式の棟瓦

阪神淡路大震災の被害などを経て、1999年に建築基準法が改正され、品確法も定められました。
「性能規定」という概念が生まれました。
「台風や地震がきても屋根は飛ばずに崩れないように仕上げなさい」といった基準です。
基準変更に伴い瓦の張り方にも見直しが入り、「ガイドライン工法」とよばれる新しい瓦の張り方が2001年に策定されいました。

ちなみに、この時の建築基準法の改正により、南側に開口部をたくさん設ける住宅が減りました。
南側のほとんどが窓になっている住宅は、耐震性能に悪い影響がある(建物のバランスが悪い)可能性があります。

築20年以上経過している屋根は十分な品質基準で施工がされていない可能性が高いです。
特に棟瓦(むねがわら)に漆喰や土(湿式とよびます)をつかっている瓦屋根が多く、棟瓦の崩れや飛散などの被害がよく発生しています。

瓦1枚につき1本の釘をつかう全数緊結(きんけつ)
瓦1枚につき1本の釘をつかう全数緊結(きんけつ)

2010年代は大型自然災害の年でした。
地震:東日本大震災・熊本地震・北海道胆振東部地震・大阪北部地震
台風:平成30年台風21号・令和元年房総半島台風・令和元年東日本台風
ガイドライン工法で施工された屋根でも被害がありました。
理由はガイドライン工法は地域に設けられた基準風速(多くは風速32/m)にあわせて施工方法を定めているからです。
そのため、令和元年房総半島台風のような風速45/mを超える強風には耐えられません。

最近は、より耐震性や耐風性に優れた瓦の施工方法として、縦桟全数緊結ビス留めが注目されています。
瓦も軽量化の技術が進んでおり、ルーガのような軽量瓦や樹脂繊維入りセメント瓦も登場しています。

時代の変化と共に瓦屋根も進化しています。

各屋根材の耐久性とメンテナンス性

全ての屋根材で最も長寿命なのは瓦です。他の屋根材と比べてみましょう。

瓦屋根の施工写真
瓦屋根の施工写真

瓦の寿命は60年といわれています。
初期コストがかかりますが、長期的な視点でみると最も価値がある屋根材です。
最近は漆喰を用いない乾式工法が標準化されているので、従来の瓦屋根よりもメンテナンス頻度は少なくなりました。
軽量瓦にしたり、耐風対策をおこなったりすることは欠かさないようにしましょう。

瓦屋根の施工写真
瓦屋根の施工写真

コロニアルの寿命は30年といわれています
強風によるひび割れやめくれなどのメンテナンス頻度は比較的多いですが、応急処置や部分修理が行いやすいメリットがあります。
また、30年未満の屋根であれば、葺き替えではなくカバー工法で屋根がリフォームできるメリットもあります。

金属屋根の施工写真
金属屋根の施工写真

金属屋根の寿命は40年といわれています
耐久性の高いガルバリウム鋼板が世に登場して急激に需要が高まり、現在では最も多く用いられている屋根材になりました。
断熱材一体型の製品も開発されています。耐久性や耐震性、断熱性、耐風性をトータルで考えると最もおすすめの屋根材です。

アスファルトシングルの屋根
アスファルトシングルの屋根

アスファルトシングル屋根の寿命は30年といわれています
価格が安いこともあって、近年、建売住宅で急速に広まっています。風で千切れたりはがれたりすることが多いです。
しかし、価格が安い分メンテナンス費用も安く抑えられます。

瓦屋根の3大メリット

メリット1

他の屋根材よりも耐久性が高いことです。
最近は軽量防災瓦の登場や、ガイドライン工法などの取組みなどにより、昔の重い・崩れやすいなどのネガティブなイメージから少しずつ和らいでいます。

メリット2

純和風の戸建て住宅において、瓦の威厳や風格は欠かせません。
戸建て住宅のステータスの象徴ともいえます。

メリット3

瓦の最大メリットは野地板保護だと筆者は評価しています。
瓦が60年もつ理由は瓦の素材だけではなく、野地板を痛めないところにもあります。
瓦と野地板の間には通気層がもうけらます。
十分な通気層があるおかけげで野地板が腐食しにくい状態が保てます。
瓦が長寿命というのは、瓦と野地板の両方の寿命が長いという意味が本来は正しいです。
しかし、最近は通気層が従来品より薄いF型瓦の人気が高まっているので、注意をしてください。
薄い通気層を厚くする対策として、クリップ工法や縦桟工法、2重野地工法など業界では様々な施策が試みられています。

瓦屋根のお役立ち記事

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瓦屋根に関するよくある質問

台風に強い瓦屋根は?

A

台風に強い瓦屋根は「瓦のつくり」と「瓦の張り方」の2点に注目してください。
瓦のつくりではアーム方式の防災瓦を用いて、瓦の張り方では全数緊結ビス留めで瓦屋根を仕上げれば台風に強い屋根といえるでしょう。
もちろんこの方法よりも優れた施工方法はあります。

瓦屋根の修理業者はどのように見つけるの?

A

一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)のホームページから見つけることができます。

最も軽い陶器瓦は?

A

テイガクが調べた限りでは、ヱビス瓦工業株式会社のモニエースでした。
つぎに丸鹿セラミックスのインクジェットルーフ、三州野安株式会社のセラマウントとエコハットが続きます。

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