トタン屋根とは?トタン屋根の構造や種類、寿命まで詳しく解説

トタン屋根とは?構造・種類・寿命 トタン屋根とは?構造・種類・寿命 トタン屋根とは?構造・種類・寿命

トタン屋根の特徴から修理方法までご紹介します。
トタン屋根は錆を発生させないためにも定期的なメンテナンスが必要です。
築年数に合わせて工事内容を検討しましょう。

トタン屋根とは?

トタン屋根(トタン瓦棒)
トタン屋根(トタン瓦棒)

トタン屋根はトタン(亜鉛メッキ鋼板)でできた縦葺きの金属屋根のことです。
瓦棒(かわらぼう)とよばれる凸っとした突起物がある形状の屋根が多いです。
屋根の寿命は25~35年です。
リフォームではガルバリウム鋼板あるいはエスジーエル鋼板立平葺き(たてひらぶき)で張り替えることが多いです。

鋼板の種類メッキ組成耐久性
トタン亜鉛
ガルバリウム亜鉛+アルミ
エスジーエル亜鉛+アルミ+マグネシウム
【Youtube動画】トタン屋根とは?特徴と構造

【Youtube動画】トタン屋根とは?特徴と構造

トタン屋根の種類

1.瓦棒(かわらぼう)

凸型の突起物があるこの形状の屋根を、瓦棒(かわらぼう)とよびます。
突起物のなかには芯木(しんぎ)とよばれる木の棒が埋め込まれています。

もちろん、現在でも瓦棒を施工することがあります。
ただし、現在はトタンではなくガルバリウム鋼板を用いて瓦棒を施工します。

昔の瓦棒トタン瓦棒(トタン屋根)
今の瓦棒ガルバリウム瓦棒
瓦棒の腐食が進行した芯木
瓦棒の腐食が進行した芯木

2.波型トタン

下記写真のような波打ったフォルムの屋根を波型屋根とよびます。
現存する波型屋根はほとんどがトタン製です。
そのため、波型トタンともよばれます。

波型トタンの屋根
波型トタン

3.折板(せっぱん)

倉庫や工場などの大型建築物の金属製の折板屋根も昔はトタン製でした。

トタン製の折板屋根
トタン製の折板屋根

構造と特徴

縦葺き(たてぶき)と横葺き(よこぶき)

トタンの瓦棒屋根は「縦葺き」です。
屋根の張り方は縦方向に張る「縦葺き」と、横方向に張る「横葺き」の2種類があります。
縦葺き屋根は勾配(こうばい)を緩くして張ることができます。

横葺きの金属屋根
横葺き金属屋根
縦葺きの金属屋根(トタン屋根)
縦葺き金属屋根(トタン屋根)

勾配(こうばい)と工事価格の関係

屋根の勾配とは、屋根の傾きのことです。
勾配は「寸(すん)」という単位で表します。

トタン屋根は2寸を下回る勾配で張ることができます。
一方、他の屋根(スレート・瓦・横葺き金属)は2.5寸以上の勾配が必要です。
縦葺きの金属屋根は雨水の排水性能に優れているため、緩い勾配でも工事ができます。

屋根の葺き方(屋根材)必要勾配
縦葺き(瓦棒・立平)2寸
横葺き(金属・瓦・スレート)2.5寸
Q

縦葺き金属屋根が新築戸建て住宅で増えているのか?

A

屋根の傾きが緩いほど、屋根の面積が少なくなります。
当然、屋根面積が少ないほど建築コストが抑制できます。
建築費用高騰のため、最近の屋根は縦葺きの金属屋根がよく採用されています。

雨漏りしやすいパラペット構造

トタン屋根は下記写真のような壁に囲まれたパラペット構造の屋根が多いです。
この構造は極めて雨漏りしやすいです。
改修工事をおこなう際は、屋根修理業者の選定に十分な注意を払ってください。

奥がトタン屋根になっているパラペット構造
パラペット構造(奥がトタン屋根)

特徴的な雪止め金具

トタン屋根は勾配が緩いため、雪が大量に屋根上に積もります。
大量の雪を抑えるため、かなり大きな雪止め金具を取り付ける必要があります。
雪留め金具とトタン屋根の接触部は錆びが発生しやすいです。

トタン屋根の雪止め金具
トタン屋根の雪止め金具

錆びと塗装

トタンはガルバリウム鋼板の登場と共に、屋根と外壁でつかわれなくなりました。
一番の理由は錆びが拡大しやすいからです。

トタンは定期的に錆止めなどのメンテナンスをおこなわないと、あっという間に錆が拡大してしまいます。
10~15年に1度は屋根塗装によるメンテナンスをおこなう必要がある建材です。

錆を落とすケレン作業の様子
錆を落とすケレン作業は金属ならではなの下準備作業
錆止めを散布する作業
錆どめを塗布する作業も必ずおこなう

寿命と雨漏りの原因

期待耐用年数は25年~35年

瓦棒の種類耐用年数
トタン(瓦棒)25~35年
ガルバリウム鋼板(瓦棒)30~35年
瓦棒屋根の寿命

30年を超えたトタン屋根は「芯木」と「野地板」の腐食が進んでいることが多いです。
特に雨水が集中する屋根の軒先部は、「芯木」と「野地板」が共に腐食が進行しているはずです。

これらは屋根の内部にあるものなので、塗装によるメンテナンスでは改善できません

雨漏りの原因

トタン屋根における雨漏りの一番の原因は錆びから始まる穴あきです。
錆びは白錆び→赤錆び→黒錆びの順に悪化し、最終的に穴があきます

穴があいた箇所から雨水が入り込んで雨水が屋根の内部に進みます。
トタン屋根の下には屋根の防水シートであるルーフィングが敷かれています。
しかし、ルーフィングにも寿命があり、ルーフィングの劣化が進んでいると雨漏りが発生するようになります。

雨漏りしやすい理由

トタン屋根は工事価格を抑える目的で施工されることが多いため、許容できる勾配ギリギリで屋根が張られていることがほとんどです。

本来、縦葺き屋根は雨漏りしにくい屋根です。
しかし、トタン屋根は勾配が緩すぎる施工がおこなわれるため、雨漏りを引き起こす結果を招きやすいです。

緩い屋根勾配の上に屋根を作る様子
屋根勾配が緩すぎる場合は屋根の上に屋根を作ることも(テイガクの工事)

錆びて穴があいたトタン屋根をDIYで修理

トタンの錆びを取って空いた穴を埋めることは、DIYでも可能です。
材料代3,000円未満で修理ができます。

トタン屋根の雨漏りDIY ❘ コーキングと防水テープで修理

Q

トタン屋根の上り方は?

A

古いトタン屋根の上にのぼる時は、原則、芯木の上に足を置いてのぼってください。
どぶ板の上に足を置くと、どぶ板の塗膜をメリメリとはがしてしまう恐れがあります。
ただし、軒先部の芯木は腐食が進行しているので、芯木の腐食状況によってはどぶ板側に足を置いてのぼってください。

トタン屋根の修理費用と方法

トタン屋根の修理方法は5つ

トタン屋根の修理にかかる費用と方法

トタン屋根の修理やリフォーム方法は以下の5つの方法があります。
1:応急処置/部分補修
2:棟板金の交換
3:屋根塗装
4:屋根カバー工法
5:張り替え

ご予算の屋根の劣化状況によって、選択してください。

1.応急処置や部分修理

トタン屋根の部分張り

応急処置や部分修理のは以下の方法があります。
1:ブルーシート張り
2:防水テープで補修
3:シーリング補修
4:錆びの除去
5:板金の部分張り補修

リフォーム方法工事費
応急処置や部分修理3~10万円

2.棟板金(むねばんきん)の交換

風で飛ばされた棟板金と露出した貫板
風で飛ばされた棟板金と露出した貫板

屋根のてっぺんに取り付ける板金部材を棟板金とよびます。
棟板金はとにかく風で飛ばされやすい部位です。
風で飛ばされる原因は下地材である貫板(ぬきいた)とよばれる木の板の腐食が原因です。
15年から20年に一度は交換することをおすすめします。

リフォーム方法工事費
棟板金の交換(約10m)10~15万円

3.屋根塗装

トタン屋根とバルコニー
トタン屋根の塗装

錆びの除去と錆止め塗装をおこなった後、トタン屋根に仕上げ塗装をほどこします。
トタン屋根を長持ちさせるには塗装によるメンテナンスは必要です。
15年から20年に一度は屋根塗装をおこなってください。

リフォーム方法工事費
屋根塗装(約80㎡/足場無し)約25万円

4.屋根カバー工法

木を用いたトタン屋根カバー工法
木を多く用いるため工事金額のメリットはほとんどない

カバー工法とは、トタン屋根の上に金属屋根を重ねる工事のことです。
古いトタン屋根のうえに芯木と野地板、ルーフィングを敷いて、その上に屋根を被せます。
トタン屋根のカバー工法は、芯木と野地板を取り付ける工程があるため、葺き替え工事と費用が大きく変わりません。
費用対効果が低いため、瓦棒のトタン屋根にカバー工法をおこなうことはあまりありません。

ただし、古いトタン屋根と野地板の間に空気層が形成されます。
空気層による断熱効果を期待するカバー工法は有効です。

リフォーム方法工事費
屋根カバー工法(約80㎡/足場無し)80~100万円

5.屋根の張り替え

トタン屋根を張り替える工事です。
古い野地板の上に新しい野地板とルーフィングを敷いて、その上に屋根を張ります。
トタン屋根のリフォームではじめに検討してほしい工事です。

リフォーム方法工事費
張り替え(約80㎡/足場無し)80~100万円

トタン屋根の張り替え手順

1.古いトタン屋根をはがす

古いトタン屋根をはがす

古いトタン屋根をはがします。
築後38年が経過した屋根で中の芯木がボロボロに腐り、板金部材の錆びも進行しています。

2.野地板の増し張り

野地板を増し張りする

屋根の下地にあたる野地板を張りました。

3.ルーフィングを貼る

ルーフィングを張る

屋根の防水シートであるルーフィングを貼りました。

4.屋根本体(立平)を張る

屋根本体(立平)を張る

屋根本体を張ります。
芯木のない金属だけでできた立平を張りました。

5.屋根本体の留め具

屋根本体をステンレス製のビスで留める

屋根本体の留め具はステンレス製のビスで留めました。
ステンレス製のビスを用いることで耐風性と耐食性に優れた屋根が仕上がります。

6.トタン屋根の葺き替え工事完成

葺き替えが完了したトタン屋根

トタン屋根の葺き替え工事完成です。
工事日数の平均は約3~5日です。

メリットとデメリット

トタン屋根のメリット

1.凍害に強い

金属屋根は凍害の影響が少ないです。
東北から北海道などの寒冷地では、瓦やスレート屋根よりもトタン屋根を街中でよく見かけます。

2.コストが安い

価格は新築時における屋根材だけのおおよその㎡単価です。

屋根材価格
トタン 瓦棒5,000円/㎡
GL鋼板 瓦棒5,500円/㎡
GL鋼板 立平5,500円/㎡
石粒付き鋼板 かん合式5,800円/㎡
石粒付き鋼板 オーバーラップ6,000円/㎡
断熱材一体型 GL鋼板 6,200円/㎡
断熱材一体型 SGL鋼板6,800円/㎡

トタン屋根のデメリット

1.夏は暑く冬は寒い

トタン屋根は断熱性能が低いです。
遮熱シートを敷いて緩和をすることができます。
しかし、現在よくリフォームでよく用いられている対応外(記事内容により)「横段ルーフαS」などの断熱材が分厚い横葺き金属屋根に比べると効果は限定的です。

【Youtube動画でもチェック】トタン屋根とは?特徴と構造スーパーガルテクトの断熱効果について

【Youtube動画でもチェック】トタン屋根とは?特徴と構造スーパーガルテクトの断熱効果について

2.雨音がうるさい

トタン屋根の遮音・断熱シート
遮音と断熱効果があるシートを貼って仕上げることも

3.耐風性に劣る

トタン屋根の多くは、芯木の木にトタンを鉄釘で留める瓦棒の屋根構造です。
経年とともに木や釘は腐食し、トタンの固定力が低下します。

外側から釘で打ち付けているだけの構造
外側から釘で打ち付けているだけの構造

30年が経過したトタン屋根は屋根内部まで腐食が進行していることが多く、強い風が吹くと屋根が飛ばされることがあります。

周囲に風を遮る建物がない場合は特に注意
周囲に風を遮る建物がない場合は特に注意

トタン屋根の修理業者は?

トタン屋根のような金属屋根の専門工事会社が存在します。
それは板金工事会社です。
トタン屋根は建築板金工とよばれる職人が手掛ける工事です。

建築板金工
建築板金工

屋根塗装以外のトタン屋根の修理や葺き替え工事は、金属建材を扱うプロである建築板金工事会社に依頼することをおすすめします。

建築板金工事会社であるかどうかは、「倉庫の有無」で判断ができます。
金属屋根は大きいため、建築板金工事は大きな倉庫を所有しています。

グーグルマップで事業所などが確認できるはずなので、トタン屋根の改修工事を検討されている人は建築板金工事会社を探してみてください。

テイガクの大阪工場センター(堺市)
テイガクの大阪工場センター(堺市)

テイガクは創業23年の建築板金工事会社です。
瓦棒屋根の材料になるコイルも会社の倉庫でストックしています。

金属屋根で用いるコイル(ガルバリウム鋼板)
金属屋根で用いるコイル(ガルバリウム鋼板)

トタン屋根に関するより詳しい記事

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テイガクによるトタン屋根の施工例

トタン屋根に関するよくある質問

トタン屋根の葺き替え工事の費用は?

A

一般的な戸建て住宅の大きさで110~130万円(足場含む・税込)です。
屋根の下地が腐食している場合は別途費用がかかります。

夏の暑さが耐えられない場合は?

A

断熱材の付加もしくは屋根通気工法を取り入れた改修工事で緩和ができます。
商品ではデネブエアルーフが有名です。

断熱材一体型の製品はないのか?

A

断熱材一体型の商品はあります。
しかし、需要が少ないこともあり割高です。
トタン屋根は工事費を抑える目的で採用されることが多いため、コスト面も含めて検討してください。

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