1. トタン屋根について
瓦棒とは

トタンの正式名称(JIS規格名称)は亜鉛めっき鋼板です。
屋根や外壁の建材としてよくつかわれています。
昔は金属屋根といえばトタン屋根を意味していました。
トタン屋根は屋根の傾きにそって縦方向に張られていることがほとんどです。
この縦方向に張る屋根のことを縦葺き屋根とよびます。
縦葺き屋根には縦の流れにそって凸っとした出っ張りがあります。
この凸部の中には芯木(しんぎ)とよばれる木の棒が入っています。
このトタンと芯木の2つの素材で構成された縦葺き屋根のことを瓦棒(かわらぼう)とよびます。
普段私たちがよく目にしているトタン屋根の多くが瓦棒屋根です。
波型トタンとは

その他に鋼板の断面が波型になっている波型トタンがあります。
波型トタンは基本的には住宅ではなく物置の屋根や外壁材としてつかわれます。
縦葺き=トタンになってしまった理由
現在、トタン屋根は新規でつかわれることがありません。
トタンよりはるかに丈夫なガルバリウム鋼板が登場したからです。
トタンは錆びに弱く、一度錆が発生するとたちまち広がってしまう性質があります。
そのため、15年から20年程度で屋根機能が維持しなくなり、雨漏りが発生するケースもあります。
現在新規でつかわれる瓦棒や波型の屋根や外壁は、基本的にガルバリウム鋼板製品です。
同じ形・見た目をしていますが、金属の素材が違います。
しかし、「縦葺き=瓦棒=トタン屋根」のイメージが染み込んでしまい、縦葺き屋根のことを一般の人は全てトタン屋根と言い表すようになってしまっています。

また、最近の縦葺きは瓦棒から芯木を取り除いた「立平(たてひら)」とよばれる屋根で仕上げることが多いです。
昔からよく見かける瓦棒は徐々に少なくなっています。
2. トタン屋根(縦葺き)にカバー工法はできるのか?
屋根全体のカバー工法
結論を先にいうと、トタン屋根に新しい屋根を全面に重ねて張るカバー工法はできます。
しかし、テイガクではトタン屋根にカバー工法はおこなうことがほとんどありません。
大きな理由がふたつあります。

ひとつ目は、築後30年以上が過ぎた多くの縦葺きは屋根の劣化が進行していることです。
雨漏りが発生している縦葺き屋根は下地が痛んでしまってカバー工法ができない状態になっていることが多いです。
ふたつ目は、野地板の新設が必要になることです。
結局、カバー工法をおこなっても葺き替え工事と大きく金額は変わりません。
- カバー工法をおこなうと断熱効果が高くなる
- 瓦棒にカバー工法をおこなった場合、トタン屋根と新しく葺いた屋根の間に空気層ができます。
空気層があるおかげで、屋根の断熱効果が高まります。
トタン屋根にカバー工法をおこなう唯一のメリットです。
3. 部分的に板金を重ねて張る修理
街中で部分的にトタン屋根を修理している光景を見かけます。
トタン屋根を部分的に修理することはやろうと思えばやれます。
しかし、テイガク屋根修理では基本的にトタン屋根の部分修理を請け負っていません。
なぜなら、責任施工があるからです。
部分的に修理して1,2年後に雨漏りなどの不具合が生じてしまうと、お客様に面目がたちません。
会社の評判にも関わります。
修理した部分以外の箇所に不具合が生じる可能性もつきまといます。
工事を請け負った会社は、工事保証などのアフターサービスはおこなわないと思います。
トタン屋根の部分修理は覚悟が必要になります。
4. トタン屋根のカバー工法手順
工事前

工事前の写真です。
築35年が経過した屋根で、台風19号の影響でところどころ雨漏りが生じていました。
お施主様ご自身で補修をした後があります。
下地補強

古い芯木の横に新しい芯木(垂木)を添えます。
一部トタン屋根が風でめくれてしまい、古い野地板が露出しています。
野地板張り

新しい芯木を下地ににして野地板を張ります。
構造用合板を用います。
野地板の下に空気層ができます。
空気層が断熱効果をもたらせてくれます。
トタン屋根にカバー工法をおこなう一番大きなメリットです。
ルーフィング貼り

防水シートであるルーフィングを野地板の上に貼ります。
この日は真夏だったので、田島ルーフィングのタディスセルフホワイトを使用しました。
太陽の熱で溶けにくいルーフィングです。
環境に応じてルーフィングシートを選定するのもテイガク屋根修理の良いところだと思っています。(自画自賛)
金属屋根張り

金属屋根を仕上げます。
今回は断熱材付きの横葺き屋根スーパーガルテクトを張りました。
縦葺きだった屋根に横葺き屋根でリフォームすることは珍しいです。
縦葺き屋根の屋根は縦葺き屋根でリフォームすることが多いです。
棟板金の下地には樹脂下地を用います。
- トタン屋根は緩勾配
- 縦葺き屋根の最大のメリットは緩い勾配で張ることができることです。
これは言い換えれば、屋根の面積を少なくすることができ、屋根工事価格を抑えることができるということです。
そのため、現在の新築の戸建て住宅でも、縦葺き金属屋根が人気でよく使われています
完成

トタン屋根のカバー工法完成です。
5. カバー工法のご相談は板金工事会社へ
トタン屋根を張る工事は板金工とよばれる職人さんが施工をします。
もちろん、カバー工法でつかう屋根材も金属なので板金工が施工をします。
トタン屋根にカバー工法ができるかどうかの判断は経験豊富なものでなければ判断が難しいです。
これからトタン屋根のカバー工法をご検討の方は、工事を実際におこなう板金工事会社に直接ご相談されることをおすすめします。
トタン屋根にカバー工法をおこなう費用相場はこちらのページでご案内しています。
是非、参考にしてください。