屋根工事業者が困るお客様の質問
![阪神工事センターの事務所](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_1089-768x432.jpg)
「テイガクの職人は、おたくの社員ですか?」といった質問をされえるお客さまがいます。
この質問は屋根工事業界のことを全く分かっていない人の質問です。
質問の意図は「職人が直接、屋根を診断し、直接、工事をおこなうか?」なのでしょう。
たしかに、「職人直」というフレーズをキャッチコピーにして宣伝をしている業者のホームページや野立て看板を見かけます。
しかし、業界のことを知る私にとって 「職人直」 は不可能ではなくなくても、かなり無理がある話です。
屋根工事業界がどんな業界であるかを正しく理解して欲しいです。
このページでは屋根工事業者について解説いたします。
リフォーム業界のプレイヤー
![経済産業省「リフォームビジネス市場の担い手」](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/06/feff31f9-e837-4d20-8083-a4a96e24b72a-768x532.jpg)
上記のグラフは経済産業省が作成したグラフです。
リフォーム事業者(プレイヤー)を11の種類に定義し、分類しています。
売上の規模は「地場工務店」「住宅設備機器・建材メーカー系」「専門工事系」「ハウスメーカー系」「リフォーム専業系」と続きます。
この中で屋根工事をおこなうのは「専門工事業系」の会社だけです。
「専門工事業系」以外の会社に屋根工事の依頼をかけると、「中間マージン」もしくは「紹介手数料」が発生します。
「専門工事業系」 以外の会社が請け負う屋根工事は、「営業活動」だけで利益を得ていると理解してよいでしょう。
さらに複雑なことがあります。
それは「専門工事業系が細分化」されることです。
建設業の専門分野だけで29種類に分かれています。
国土交通省が認可する29種類の建設業の中で、屋根工事の担い手として活躍するのは、 「板金工事業」 と「屋根工事業」 「塗装工事業」 の3社だけです。
![川口市にあるテイガクの工事拠点](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_6247-768x432.jpg)
「板金工事業」 と「屋根工事業」 「塗装工事業」 の3社は全く異なる職業です。
たとえば、塗装工事会社が金属屋根の工事を直接請け負うということは、まず考えられない話しです。
求められる技術や知識、施設の大きさまで違います。
![テイガクの大阪工事センターの倉庫内](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_1047-768x432.jpg)
屋根工事を請け負うプレイヤーは?
![](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/12/kaminarisama-face.webp)
板金工事と屋根工事、塗装工事の違いを抑えておこう!
板金工事・屋根工事・塗装工事の違い
![金属屋根の施工の様子](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2023/02/DSC00423-2-768x432.jpg)
「板金工事業者」は金属屋根工事と金属外壁工事を専門におこないます。
テイガクは板金工事業者になります。
「屋根工事業者」は瓦屋根やスレート屋根の工事を専門におこないます。
金属屋根も屋根工業者の一部に該当します。
しかし、瓦屋根と金属屋根とでは求められる技術が全くことなります。
金属屋根工事をおこなう職人は建築板金工、瓦屋根工事をおこなうのは瓦葺工(かわらぶきこう)です。
「塗装工事業者」は塗装工事を専門におこないます。
工事をおこなうのは塗装工です。
この3つの業者は、全く異質の職業です。
どのくらい異質かというと、3つの業者は「うどん屋」と「そば屋」 「ラーメン屋」 くらい違います。
もちろん、うどんとそばを扱うお店があるように、塗装工事ができる板金工事会社も存在します。
テイガクも板金工事と合わせて外壁塗装工事も請け負います。
しかし、各専門工事業者には本業があることは、是非、抑えておいて欲しいポイントです。
建築板金工とは?
![板金工](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/06/db85dcaf824ed1620fe0ce1605be52fc.jpg)
建築板金工とは金属屋根と金属外壁の工事を専門とする職人です。
自動車分野にも板金工がいるので、建築板金工とよぶことが多いです。
板金工は鋼板を切ったり曲げたりする技術に長けています。
よくつかう道具は「ハサミ」や「電動のこぎり」「曲げ工具」です。
瓦葺工(かわらぶき)とは?
![瓦葺工(かわらぶきこう)](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/06/ae46b1f460ee46f789c27b264a6cb421-1.jpg)
瓦葺工はわが国の伝統的な屋根材である瓦屋根の工事を専門とする職人です。
瓦を張ったり漆喰を塗ったりする技術があります。
よくつかう道具は「トンカチ」や「コテ」です。
塗装工とは?
![塗装工](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/06/71ba18e2d641f1ccf814fb01baca731c.jpg)
塗装工は屋根塗装を専門とする職人です。
塗装工は屋根材を仕上げることはできません。
屋根よりは外壁が工事の主体です。
工事というより、メンテナンスに近い職業です。
よくつかう道具は「ハケ」や「ローラー」です。
「職人直が良い」という勘違い
「職人直」で工事を完結することはほぼ不可能
本来、「職人直」とは下記の全ての業務を1人でおこなうことを意味します。
工事以外の労務
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現地調査
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見積書作成
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図面作成
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営業プレゼン
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お客さまからの質疑応答
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火災保険等各種申請書類作成
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契約書作成
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材料発注
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近隣挨拶
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材料配送
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足場手配
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お客さまへの工事の報連相
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ゴミ処分手配
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工事台帳作成
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入金確認
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保証書作成
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トラブル対応
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アフターフォロー
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ブログやSNSの情報発信
ご覧のとおり、1人でおこなうには、実現不可能な業務量です。
そもそも「工事以外の作業」をおこなっていては、職人さんは「工事技術を磨く」ことができません。
「工事以外の膨大な業務をこなす職人さん」と「工事だけをこなす職人さん」がいた場合、どちらの職人さんにお客さまは安心して工事を任せられますか?
ほとんどの方が「工事だけをこなす職人さん」と答えるはずです。
工事以外の業務は「営業担当者」もしくは「施工管理者」がおこない、実際の工事だけを「職人さん」がおこなう「分業が本来のあるべき姿」なのです。
![テイガクの施工管理社員](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/20201126_043-768x432.jpg)
営業担当者・施工管理者・職人さんの分業
「リフォームショップ」や「ハウスメーカー」「工務店」「訪問販売会社」「不動産会社」は工事よりも営業活動が主体の会社です。
リフォーム営業会社といえます。
看板やチラシに「増改築・水回り・外壁塗装・屋根工事・太陽光・クロス張替え・フェンス・窓断熱」など、ありとあらゆるリフォーム工事がズラリと並べられているはずです。
リフォーム営業会社がお客さまから工事を受注した後、下請けの「板金工事業者」や「塗装工事業者」などの専門工事業者に外注されます。
専門工事業者の社員である「施工管理者」が職人さんの手配や材料発注などの業務をおこないます。
これが一般的なリフォーム業界のシステムです。
具体的には、以下のように業務が3つに分業されます。
![点検業務の様子](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG02071-768x432.jpg)
リフォームショップやハウスメーカーの業務
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現地調査
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見積書作成
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営業プレゼン
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お客さまからの質疑応答
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火災保険等各種申請書類作成
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契約書作成
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お客さまへの工事の報連相
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工事台帳作成
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入金確認
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保証書作成
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トラブル対応
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アフターフォロー
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ブログやSNSの情報発信
専門工事業者の業務
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元請会社への見積書作成
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図面作成
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材料発注
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職人さん手配
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ゴミ処分手配
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元請会社への工事の報連相
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元請会社への工事台帳作成
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元請会社からのトラブル対応
職人の業務
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工事
専門工事業者の元請け化
![テイガクの屋根工事現場](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_1035-1-768x432.jpg)
「職人と直接契約」を望むことは、無理がある話しだと知って欲しいです。
この記事をご覧になっている人には、是非、分業は健全なことであり、リフォーム業界は分業をしなければ成り立たない業界だということを知って欲しいです。
![リフォームショップを経由した屋根工事](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/02/ae46b1f460ee46f789c27b264a6cb421-768x462.jpg)
一方で、専門工事業者が直接、お客さまから工事を請け負うケースが増えています。
いわゆる 「専門工事業者の元請け化」が進んでいます。
まさにテイガクのような事業者です。
![テイガクの工事契約例](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/06/8089e50294910c6cb163e5cb54ad137b-1-768x295.jpg)
わたしたちは「営業」と「施工管理」を同時におこなう「板金工事業者」です。
元々はハウスメーカーから板金工事を請け負う下請け会社でした。
元請会社から金属屋根と金属サイディングの工事を請け負う施工管理会社でした。
しかし、現在はウェブサイトを制作し、営業活動からお引渡しまで、一貫体制でお客さまに屋根工事をご提供する会社に発展いたしております。
専門工事業者の強みは、「工事価格」と「専門性」です。
営業会社が稼ぐマージンが丸ごとなくなるので、工事価格はリフォームショップや工務店よりも安くなります。
現場をよく知る者がお客さま対応をするので、提案力も優れています。
インターネットやSNSのおかげで、お客さまは専門工事業者を探しだすことが容易になり、 最近はテイガクのような金属屋根工事を専門におこなう会社に屋根工事を依頼されるお客さまが急増しています。
![テイガクの資材倉庫](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_6249-768x432.jpg)
「社員職人が良い」という勘違い
建設業界で働く職人の勤務形態
テイガクには「施工管理者の社員」と「建築板金工の社員」もいます。
しかし、テイガクの職人のうち、社員職人はわずか数名です。
ほとんどが「請負職人(うけおいしょくにん)」であり「常用職人(じょうようしょくにん)」です。
建設業界で働く職人さんの勤務形態は「社員職人」と「請負職人」「常用職人」の3つに分かれます。
専門業種によって比率が異なりますが、基本的に建設業界では「社員職人」が少ないです。
![施工の様子](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/P1120599-768x432.jpg)
社員職人とは?
社員職人とは正社員として会社に属する職人のことです。
職人は月額の固定給で労務を提供します。
専門工事業者と社員職人の間は雇用関係があり、社員職人は厚生年金などの社会保険に加入します。
請負職人(うけおいしょくにん)とは?
請負職人とは作業量に応じて賃金を稼ぐ職人のことです。
手間請け職人や一人親方(ひとりおやかた)とよばれることもあります。
たとえば金属屋根を1㎡仕上げるごとに2,000円など、作業面積(歩合)に応じて給料が決まります。
専門工事業者と請負職人の間には直接雇用の関係はありません。
常用職人(じょうようしょくにん)とは?
常用職人とは日雇い職人のことです。
職人は1日当たり20,000円などの決められた日雇い単価で労務を提供します。
専門工事業者と常用職人の間には直接雇用の関係はありません。
請負職人が多い理由
多くの職人にとってのゴールは請負職人です。
請負職人の場合、仕事をやればやっただけ賃金が増えます。
そのため、請負職人のモチベーションは他の職人よりもはるかに高く、彼らは仕事を一生懸命します。
一方、社員職人は固定給です。
歩合もありますが、請負職人ほど給料は多く貰えません。
筆者の経験上、働き盛りの職人(おおよそ20代から50代)は請負職人の賃金形態を望みます。
そして、加齢とともに体力が衰えると、作業量が低下するため、日当の給与体系である常用職人になります。
![施工の様子](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/40c98d304b1df021587f33f61dd6f3e1-768x432.jpg)
組織が苦手だから職人を選ぶ
そもそも職人は独立志向が高く、会社員になりたがらない性質の人が多いです。
むしろ、 会社組織のルールや雑務にしばられるのが嫌だから職人になっているとも言い換えられます。
職人は、組織の発展よりも、自身の技術に価値を置いている人ばかりです。
筆者の個人的な見解ですが、組織との関係性や出世に価値を置いていたら、はじめから社員職人ではなくサラリーマンとしての人生を望むはずです。
若い社員職人は見習い
若い社員職人の多くは社会経験や工事技術の浅い職人です。
中には10代半ばの未成年もいます。
はじめは社員職人(見習い)として安い月給で仕事を覚え、いずれ、手間請けとして巣立ち、一人で仕事をするようになる世界です。
社員職人がおこなう仕事と技術、品質は結びつかないということです。
「おたくの社員が工事をしてくれるのでしょうか?」という確認の質問は、全く価値がない質問です。
屋根工事業者の選び方
![](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2021/12/kaminarisama-face.webp)
屋根工事業者の見つけ方と選び方の5つのポイントを解説します
その1・材料を保管する倉庫があるか?
![大阪工事センターの倉庫](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/1643163810961-768x432.jpg)
屋根工事業者であれば、必ず材料を保管する倉庫や工場があります。
当然、オフィスビルやマンションの一角にしか拠点がない会社は、工事会社とはいえません。
営業会社です。
ホームページや会社概要で、倉庫や工場の拠点の存在を確認をしてください。
また、 倉庫や工場などの拠点情報をホームページや会社概要で掲載していても、グーグルマップで実際に確認ができない、もしくはカモフラージュしている(拠点があるように見せかけている)可能性もあります。
お客さまが容易に確認ができるよう、しっかりと情報を公開しているかも大切なポイントです。
その2・専門分野は何か?
![金属屋根施工の様子](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG02026-768x432.jpg)
先に示したとおり、屋根工事業者は「板金工事業」 と「(瓦)屋根工事業」 「塗装工事業」の3つに分類されます。
リフォーム会社のホームページやチラシ、会社概要から、「金属屋根」「瓦屋根」「塗装」の3つうち、どれがメインの業種であるか読み取ってください。
言うまでもないことですが、屋根工事だけではなく、トイレやキッチンなどのリフォームを織り交ぜている会社は屋根工事の専門工事業者ではない可能性が高いです。
その3・ 建設業の許可があるか?
![テイガクの建設業許可証](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_0676-768x432.jpg)
民間団体が発行する名前だけが立派な資格や称号には、あまり価値や権威がないと筆者は思っています。
数ある資格や免許、所属団体で価値があるものをひとつ選ぶとすれば、それは建設業の許可です。
建設業の許可は国土交通大臣、もしくは知事から認可を受けることで取得できます。
建設業の許可は会社の財務状況や過去の実績などの取得要件があります。
同時に欠格要件もあります。
問題がある会社は建設業の許可が取り消されます。
公共工事はもちろん、ハウスメーカーも建設業の許可を取得していない専門工事会社には下請けの仕事を発注しません。
つまり、建設業の許可があるかどうかは屋根工事業者の評価を判断する指標になります
その4・ 会社設立から20年以上が経過しているか?
![テイガクの沿革](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/1-1-768x582.jpg)
会社設立から20年以上経過している会社が望ましいです。
設立年数が会社の技術と実績を推し量る指標となります。
20年という数字はかなり重く、数々の失敗を繰り返し、修羅場を経験して現在に至っている会社です。
ホームページやチラシに記載されている「施工実績数年間1000棟」などの宣伝よりは、会社の設立年数の方が重要です。
その5・ 見積書の内容が丁寧な業者か?
![テイガクの見積書](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/IMG_1155-768x432.jpg)
「見積書」よりも「診断書」に力を入れる屋根工事業者が存在します。
写真や図面、カラーシュミレーションなど分厚い診断書を受け取ると、なんだか丁寧な工事をしてくれる業者のように思いがちです。
もちろん、診断書を丁寧に作ることは悪いことではありません。
しかし、実情は工事金額が高い業者であればあるほど、診断書に力を入れる傾向があります。
理由は見積書の工事金額に自信がないからです。
診断書の作りかた次第では不安をあおったり、お客さまが断りづらくさせたりすることもできます。
過去や現状を示す診断書より、未来を示す見積書の方が大切です。
丁寧な診断書よりも、丁寧な見積書を基準に屋根工事業者を選んで欲しいです。
筆者よりお客さまへ
財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターが公開した「2019年住宅形式別の不具合事象と主な不具合部位」では、リフォーム後で最も多いトラブルが「屋根」でした。
「1位が屋根の剥がれ」で「2位が屋根からの雨漏り」と続いています。
屋根工事で失敗をした人が最も多いです。
この記事をご覧になったかたは、先項目の「屋根工事業者の選び方のポイント」を抑えてください。
たとえば、金属屋根を用いたカバー工法や葺き替え工事をお望みの方は、板金工事業者に工事を依頼してください。
一般的に瓦屋根工事会社や塗装工事会社がおこなう工事ではありません。
とてもシンプルな考えかたです。
シンプルなことをお客さまに伝えようとしていたら、結局、長い文章に仕上がってしまいました。
じつはインターネットが普及したことで、情報過多となり、リフォーム業界がより一層、複雑になっています。
マッチングサイトのような素性が不明な屋根工事業者を次々と紹介するウェブサービスなども、インターネット上で盛んになっています。
ますます、お客さま(消費者)が屋根工事業者の分別がしづらい世の中になっています。
これからは消費者側のリテラシー(判断力)が求められる時代です。
この記事が屋根工事業界の選び方、そして業界の裏側を知って頂くきっかけになれば、嬉しいです。
長文のご閲読、ありがとうございました。
![テイガクの社員](https://yanekabeya.com/wp-content/uploads/2022/01/20201126_002-1-768x512.jpg)