屋根の色を選ぶ基準
屋根の色は、建物の見た目だけでなく、遮熱効果にも大きく影響を及ぼします。
多くの人が屋根の色を選ぶ基準は以下の通りです。
1:自分好みの美しい色にしたい
2:周囲の環境や外壁に合う色にしたい
3:遮熱性が高い色にしたい
4:電気代を抑えられる色にしたい
5:色あせにくく汚れが目立ちにくい色にしたい
このページでは、5つのパートから屋根の色の選び方について解説します。
自分好みの美しい色にしたい
自分好みの色
屋根の色を決める時、色がもたらす付加価値よりも、自分の感性を基準にして色決めすることをおすすめします。
この記事を読んでいる人は、少なくとも屋根の色にこだわりたいと思っている人でしょう。
衣類の色と違い屋根の色を決めるイベントは、一生に何度もあるイベントではありません。
大切なマイホームだからこそ、好みの色で屋根を彩ってほしいです。
塗板やカットサンプルは必ず入手
屋根塗装の際は、色見本帳があるはずです。
しかし、色見本帳の色は小さいため、参考にはなりません。
塗板とよばれるA4サイズの板を塗装会社に用意してもらいましょう。
金属屋根の工事をおこなう場合は、屋根本体のカットサンプルの用意があるので、実物の屋根を手に取ったうえで用いる色を選んでください。
面積効果
カタログやウェブサイトで見た色と、実際の色とでは全く違って見えます。
「面積効果」といって、小さい面積で見る色は広い面積で見る色よりも暗く見えます。
カットサンプルの色が暗い色である不安に思っていたら、実際に屋根を張ると鮮やかだったという声を多くお客様から頂きます。
温かみのある石粒付き金属屋根
石粒付き金属屋根は、屋根の表面に石粒が付着した金属屋根です。
冷たい印象の金属屋根ですが、石粒が付着した金属屋根は温かみがあります。
屋根の色だけではなく、素材がもつ特徴によっても屋根のイメージは大きく変わります。
周囲の環境や外壁に合う色にしたい
急こう配の屋根は屋根が目立つ
屋根の傾きが急な屋根は、屋根の色が目立ちます。
そのため、外壁に合わせた屋根の色選びが求められます。
また、地域によっては、山陰地域のように赤い屋根が好まれる地域や、能登地域のように黒い屋根が好まれる地域などもあります。
周囲の環境との調和が求められることもあります。
何でも合う色はブラウン
外壁や周囲の建物に合わせたい場合は、ブラウンがおすすめです。
破風板と鼻隠しの色もポイントに
暗い外壁と明るいブラウンの破風板による組み合わせはかっこよくて、おすすめの組み合わせです。
縁起がいいとされる色はレッド
風水や縁起を気になされる人には、レッドがおすすめです。
歴史的建造物を含め、中国の建築物は赤い屋根の建物が多いです。
日本では、山陰地方や北陸地方では赤い屋根の建物が多いです。
文化的な背景も屋根の色は大きく関わります。
遮熱性が高い色にしたい
遮熱塗料よりも色の効果の方が遮熱効果は高い
屋根塗料のなかには、遮熱効果がある塗料として、高反射塗料の取り扱いがあります。
以下は、遮熱塗料の有無と色の違いによる遮熱効果を判定した文献です。
塗料会社による文献ではなく、ゼネコンのエビデンスであるため、バイアスがない正確な文献であると筆者は評価しています。
暑さ対策として屋根の遮熱を期待されている人は、遮熱塗料の効果よりも色がもたらす効果に重きをおいてください。
日射反射率40%以上が目安
遮熱効果を期待されている人は、日射反射率40%以上の色を選びましょう。
日射反射率は、日差しを反射させる基準値であり、数値が高い色ほど熱が吸収されにくいです。
日射反射率が高い色として、「ホワイト」「ライトグレー」「シルバー」があげられます。
明るい色が日射反射率が高いです。
塗料メーカーや屋根材メーカーは、色の日射反射率のデータを計測し、公開しています。
カタログにある日射反射率の数値を比較してください。
補助金の対象にも
日射反射率50%以上が実現できる屋根リフォームは、補助金対象になることがあります。
詳しくはお住まいの自治体にお尋ねください。
ケイミューのコロニアルのデータ
スレート屋根メーカーであるケイミューは、自社製品(コロニアル遮熱グラッサ)の遮熱レベルを3段階にわけています。
遮熱レベルが最も高いレベル3の「白い屋根」は、「黒い屋根」よりも19度、屋根の表面温度が低くなることがデータで示されています。
ケイミュー(コロニアル遮熱グラッサ)の遮熱レベル
遮熱レベル | 色 | 表面温度(黒との差) |
---|---|---|
遮熱レベル1 | レッドなど | -5度 |
遮熱レベル2 | シルバーなど | -11度 |
遮熱レベル3 | ホワイト | -19度 |
電気代を抑えられる色にしたい
白い家と黒い家
省エネリフォーム補助金があるように、多くの自治体では、日射反射率が高い外装リフォームを推進しています。
しかし、白い家と黒い家では、黒い家の方が光熱費が抑えられるといったデータも示されています。
理由は、冷房よりも暖房の方が電気を使うからです。
もちろん、地域差にもよりますが、戸建て住宅は熱さよりも寒さを感じることの方が多いです。
そして、熱中症よりもヒートショック(寒い時期の血圧低下)で無くなる人のほうが圧倒的に多いです。
電気代抑制のためには、熱を吸収する黒い屋根の方がメリットが大きいかもしれません。
遮熱ではなく断熱がポイント
遮熱を重視すると、夏は過ごしやすくなりますが、冬は過ごしにくくなります。
そして、電気代がかかる可能性もあります。
遮熱のデメリットを読者の人には知っておいてほしいです。
それでは夏と冬、両方を過ごしやすくするにはどうすればよいのでしょうか?
断熱効果が高い屋根を用いることが答えとなります。
断熱は温かい空気が室内に入り込まず、冬は暖房の空気が外に漏れない効果をもたらしてくれます。
もちろん、光熱費の抑制にもつながります。
屋根材のなかには、断熱材一体型の断熱性能が備わった付加価値の高い金属屋根があります。
アイジー工業のスーパーガルテクトは、断熱性能を示す熱貫流率が1.43W/㎡Kであり、驚異的な断熱効果がデータで示されています。
テイガクのこれまで施工をおこなったお客様からも断熱効果が実感できると評価されている屋根材です。
色あせにくく汚れが目立ちにくい色にしたい
暗い色は色あせしやすい
暗い色は明るい色に比べて紫外線を多く吸収するため、色あせが進みやすいです。
屋根の色あせスピードは、明るい色に比べて早いです。
筆者の感覚ですが、赤や緑、青などの3原色、なかでも赤が混じった色は、色あせが早い印象があります。
いっぽう、明るい色は退色が遅いです。
メンテナンス頻度にも屋根の色は関わります。
筆者は屋根塗装をおすすめしない
屋根は日差しの影響を受けるため、屋根塗装で着色しても比較的早期に色あせます。
また、屋根塗装による屋根の機能維持や耐用年数延長などの効果は証明されていません。
屋根材メーカーの見解も、屋根塗装は美観維持を目的におこなうとしており、屋根塗装の効果は限定的です。
もちろんフッ素や無機などの高耐候塗料を用いれば、長く屋根の色が持続しますが、費用対効果が高いとはいえません。
屋根塗装後に色あせた屋根よりむしろ、苔が付着した屋根の方がまで味わいがあって綺麗に感じます。
色あせが気になるならフッ素
色あせのことが気になる場合は、フッ素の塗料もしくはフッ素鋼板の屋根材を用いてください。
屋根は紫外線の影響を強く受けるので、耐候性の高い塗料や鋼板を用いる必要があります。
汚れが目立ちにくくおすすめの色はグレー
グレーは屋根に付着したほこりが目立ちにくいです。
そして、元々が色あせしているような色なので、色あせも感じにくいです。
日射反射率が高く遮熱効果も高い色です。
あまり屋根の色にこだわりがないお客様に、テイガクではグレーをおすすめしています。