
屋根の色は決める時に注意して欲しいこと2点取り上げます。
これから新しく張る屋根を選ぶ予定の方、塗り直しをされる方は是非、参考にしてください。
遮熱塗料の決め手は「色」
1-1.遮熱塗料とは
遮熱塗料とよばれる特殊塗料があります。
日射を反射させることで熱の吸収を防ぎ、日が当たる面の表面温度を下げる効果がある塗料です。
二酸化炭素を削減でき、光熱費も抑えられます。
温暖化の関心が高まり、需要が増えている人気の塗料です。
最近は、はじめから遮熱塗料で仕上げられている屋根材も見かけます。
大事なことは、遮熱塗料は明るい色でなければ本来の性能を発揮しないということです。
遮熱塗料とよばれる名称が経済産業省に(正式に)認められて定義がはっきりしたのはごく最近のことです。
2017年のことです。
なお、正式に遮熱塗料の名称を用いることは「屋根用塗料に限定」されています。
つまり本来、屋根以外の部位では「遮熱塗料」の名称を用いられません。
屋根以外で用いる遮熱効果のある塗料は「高日射反射率塗料」とよびます。
しかし、「遮熱」というフレーズのインパクトが強いため、塗料メーカーや塗装業者がしきりに「遮熱塗料」の名称を利用して販促をしています。
中には「断熱塗料」や「遮へい塗料」と称して販促する業者もいます。
現在、遮熱塗料の名称で販売されている塗料の多くは、会社都合で販売されている商品がほとんどです。
1-2.屋根の色は明るい色に
遮熱塗料は「色」の影響が大きいです。
ホワイトに近い明るい色の方が、より日光を反射させます。
大手塗料メーカーの日本ペイントでは、各色ごとに日射反射率を求めています。
日射反射率が高い色はずばり、パステルカラーです。
一方、ブラックだとほとんど反射効果は望めません。
ケイミューはコロニアル(スレート屋根/カラーベスト)を販売する屋根製造会社です。
ケイミューは自社商品を色別に分析し、各色の表面温度をデータで示しています。

塗料メーカーではなく、屋根製造会社の情報なので信頼性のあるデータです。
遮熱塗料が塗られていないブラックの屋根裏表面温度を0度にした場合、遮熱塗料のホワイトは-19度、ブラックは-5度になる結果がでました。

ゼネコンのである鴻池組が工場の金属屋根でおこなった遮熱塗料の実験でも、遮熱塗料は性質そのものよりも色の違いが極めて大きいことを明らかにしています。
屋根塗装をおこなう場合は、ホワイトに近い明るい色が断然おすすめです。

イメージする色と実際の色
カタログやウェブサイトで見た色と、実際に塗装された色は全く違って見えます。
「面積効果」といって、小さい面積で見る色は広い面積で見る色よりも2トーン暗く見えます。
これは外壁塗装時にお客様へ伝えるアドバイスです。
屋根の場合は、さらに明るさが変わります。
屋根材を選ぶ時、カットサンプルといって、本物の屋根材を部分的に切断させたものが入手できます。

カットサンプルの第一印象は暗く感じます。
しかし、実際に屋根に張るとかなり明る感じるはずです。
屋根の色はサンプルやカタログよりも3~4トーン明るくなる思ってください。
下記画像はアイジー工業のスーパーガルテクトのブラックとグリーンです。


断熱材付きの横葺き金属屋根の色
金属屋根は新築や改修分野ではスレートと瓦を抑え、現在最も使用されている屋根材です。
その中でも断熱材付きの横葺き金属屋根の人気が高いです。
テイガク屋根修理がよく使用している断熱材付きの横葺き金属屋根にアイジー工業のスーパーガルテクトがあります。

この商品のカラーラインナップにチャコールがあります。
室内で見るとダークグレーに見えますが、実際に日が当たる屋根に張るとライトグレー見え、光が当たるとシルバーに見えます。
アイジー工業の社内試験でもチャコール・ブラック・ブラウン・ブルー・グリーンの5つのうち、チャコールが最も日射反射率が高いデータが求められました。
モダンでありながら落ち着いた色で、筆者一押しの屋根の色です。
左記画像はアイジー工業スーパーガルテクトのチャコールです。
まとめ

屋根材はごく一部のメーカーを除き、明るい色がラインナップにありません。
特に白い色の屋根はほとんど販売されていません。
理由は建物の外観デザインや周辺地域の調和が優先されるため、明るい色の屋根を販売しても売れないからです。
しかし、色がもたらす遮熱効果はかなり大きいです。
最近は温暖化や省エネに関する人々の関心が高まっています。
日射反射率の高い塗料で屋根塗装をおこなうと補助金出す自治体も増えています。
そのような背景もあり、これからは明るい屋根の色が街中でも増えてくると思います。
明るい色の屋根を張った住宅が、環境や省エネ問題を真剣に考えていること示すステイタスとして認められる社会になるといいですね。