「テイガクの職人はおたくの社員ですか?」といった質問をするお客さまがいます。
この質問は「建設業界の仕組み」をよく分かっていない人が聞く質問です。
近年、インターネットを用いて屋根工事業者を探す人が増えています。
低価格で高品質の屋根のリフォーム工事をおこないたいことは皆さん共通しているはずです。
そしてなにより屋根のリフォーム工事なんて人生において1回で済ませたいはずです。
そのための近道は、建設業界や屋根リフォーム業界がどんな業界であるかを正しく知ることです。
このページでは屋根工事業界の仕組みをできるだけ詳しく解説します。
屋根工事業界の仕組みや裏側を知ることで、良い屋根リフォーム業者とはどんな会社であるか、本当に知るべき情報とはどんな情報であるか、スッキリと理解できるはずです。
屋根のリフォーム工事を専門とするテイガクだからこそ書ける業界の真実です。
これからはじめて屋根工事をおこなうかたすべてに見て学んでほしいページです。
1. リフォーム後のトラブル1位は屋根のはがれ
屋根のトラブルが最も多い
不具合の事象 | 割合 |
---|---|
はがれ | 17.7%(屋根、外壁の順) |
雨漏り | 15.9%(屋根、外壁の順) |
性能不足 | 12.5% (外壁、屋根の順) |
ひび割れ | 12.1%(外壁、屋根の順) |
汚れ | 8.6%(外壁、床の順) |
出典:2019年住宅形式別の不具合事象と主な不具合部位/住宅リフォーム・紛争処理支援センター
工事の依頼先を誤ると失敗をする
上記のランキングはリフォーム後にトラブルが発生した住宅部位ということに注目してください。
単なるトラブルが多い住宅部位ということではありません。
せっかく屋根の工事をおこなったにもかかわらず、屋根がはがれたり、雨漏りしたりするトラブルに見舞われた人が最も多いということです。
工事の依頼先を誤り、屋根工事業者と争いになって困っている人がたくさんいます。
なぜこんなにも屋根工事で失敗する人がたくさんいるのでしょうか?
それはリフォームビジネスが成り立つプロセスに問題があります。
- 屋根工事業者にとって魔法の言葉
- 「その雨漏りは強風が原因なので免責です」
大規模な自然災害後の不具合を保証してくれる工事会社はこの世に存在しません。
残念ながら、消費者はこのセリフを言われたら受け入れなければなりません。
もちろん予測できない強風が理由であることもあるでしょう。
その一方で、素人同然の仕事をしても、強風のセイにできてしまうのがこの業界の恐ろしいところです。
2. 屋根工事を受注する企業の9割以上が外注
リフォームビジネス
リフォームをビジネスにしている業者はたくさん存在します。
下記の図は経済産業省が発表したリフォームビジネス市場の担い手を表したグラフ(経済産業省における住宅産業政策の動向)です。
このグラフから屋根工事業者を読み解いてみましょう。

グラフでは、リフォーム業者が11の業種に分類されています。
この中で屋根工事業者が当てはまるのは「専門工事業系だけ」です。
残りは営業活動だけをおこなって「専門工事業系」に外注(または紹介)することで利益を得ている会社です。
一部例外がありますが、基本的にそのように考えてよいでしょう。
そして専門工事系の業者は板金工事業者や塗装工事業者、瓦葺工事業者、防水工事業者、電気工事業者、ガラスサッシ工事業者など専門分野が多岐にわたります。
たとえば、塗装工事会社が板金工事を受注して板金工事業者に外注するといったことはよくおこなわれています。
屋根工事自体を本業にしていない会社が屋根工事を受注をする商習慣が深く根付いています。
この事実が屋根工事のトラブルが多い根本的な原因だといってよいでしょう。
営業活動を主業にしているリフォーム会社

営業活動を業務の主体としているリフォーム会社が多いということです。
先に取り上げた経済産業省の表では、ハウスメーカー系やリフォーム専業系、ゼネコン・デベロッパー系、小売系、エネルギー供給事業者系、住宅設備・建材メーカー系、リノベーション系が当てはまります。
これらの会社は職人や材料を直接扱うことはありません。
(※大工や多能工などの需要が多い職人は雇い入れされていることはあります。)
なぜなら営業活動だけに専念した方が効率がいいからです。
そのため、営業工事会社が受注する工事は、下請けの専門工事会社へ外注されることになります。
このパターンの工事契約は中間マージンが発生します。
さらに屋根工事業者も3つに分かれる
そしてもうひとつ、大きな問題があります。
それは屋根工事を本業にする会社が3つに分かれていることです。
単に屋根工事を専門にしている業者に頼めば良いということではありません。
ここが屋根工事業界のややこしいところです。
つぎに3つの屋根工事業者について解説します。
3. 屋根工事業者とは?
屋根工事をおこなう職人は板金工、瓦葺工、塗装工の3名だけです。
しかし、この3名は持っている技術が異なります。
屋根工事でつかう道具も違います。
そもそも”人が違う”という点に注目してください。
板金工(ばんきんこう)

板金工とは金属屋根の工事を専門とする職人です。
自動車分野にも板金工がいるので、建築板金工とよぶこともあります。
板金工は鋼板を切ったり曲げたりする技術に長けています。
よくつかう道具は「ハサミ」や「電動のこぎり」「曲げ工具」です。
瓦葺工(かわらぶきこう)

瓦葺工はわが国の伝統的な屋根材である瓦屋根の工事を専門とする職人です。
瓦を張ったり漆喰を塗ったりする技術があります。
よくつかう道具は「トンカチ」や「コテ」です。
塗装工(とそうこう)

塗装工は屋根や外壁の色塗りを専門とする職人です。
塗装工は屋根材を仕上げることはできません。
そのため、工事やリフォームをする職人というより、メンテナンス職人といった意味合いが正しいです。
また、屋根よりは外壁を工事の主体としています。
よくつかう道具は「ハケ」や「ローラー」です。
コロニアル(スレート)を施工する職人

都市部でよくつかわれているコロニアル(平べったい板のような屋根材)やアスファルトシングルは、金属屋根や瓦屋根よりも施工が簡単です。
そのため、板金工でも瓦葺工でも扱えます。
ただし、コロニアルとアスファルトシングルは新築が中心の施工になるため、スレート工とよばれるスレートだけを専門にしている職人もいます。
屋根の専門工事会社
このように屋根工事は全く異なる3名の職人で分業(すみ分け)されています。
板金工が瓦屋根を張ったり、塗装工が金属屋根を張ったりすることは基本的にありません。
職人が分かれるように、職人が集まって組織される会社(法人)も同じように分かれます。
屋根工事をおこなう会社は「板金工事会社」「瓦葺工事会社」「塗装工事会社」の「専門工事会社」に分かれます。
しかし、一般の人たちにはこの事実が知られていません。
その事実が知られていないことを理由に屋根の専門工事会社と名乗って営業活動をおこなう会社もいます。
たとえば、本業が塗装であるにもかかわらず、屋根カバー工法や屋根の葺き替えを提案する塗装工事業者が多いです。
屋根は住宅の中で最も重要な部位です。
そして、屋根工事のトラブルが最も多いという事実があります。
当たり前のことですが、塗装工事を主体にしている会社に屋根カバー工法を依頼すると失敗するリスクが高まります。
3つのうちどの屋根の専門工事会社に依頼をするのか見極めることが大切です。
- 屋根工事のメインプレイヤーは?
- 屋根工事は外壁工事のついでにおこなうものという考えをもつ人が多く、昔から今にいたっても屋根工事のメインプレイヤーは塗装工事会社です。
屋根塗装は他の工事に比べて費用がかからずお手軽であることもメイン工事である理由のひとつです。
なにより屋根は普段から目につくことがない部位なので関心をもつ人が少ないです。
しかし、インターネットを中心に屋根の重要性や金属屋根の評価が再認識されつつあります。
台風や地震などの大規模災害で屋根が被災するケースが相次いでおり、屋根に関する消費者の関心が高まっています。
そのため、板金工事会社をみずから探し求めるお客さまが増えています。
塗装工事よりも屋根工事のほうが明らかに高い品質管理が求められます。(筆者の見解です)
金属屋根の工事をおこなう時は、信頼できる板金工事会社を重点においてください。
4. 専門工事会社とは?
専門工事会社の本当の業務

屋根の専門工事業者は職人だけで成り立っていると思っていたら、それは大きな間違いです。
専門工事会社がおこなう主な業務は施工管理です。
職人とは異なる施工管理者という職種の人が専門工事会社には存在します。
施工管理者は職人や材料を工事現場に手配し、安全かつ適切な工事をお客さまに提供することを主な業務としています。
しかし、施工管理者の業務はあまり目立たないため、施工管理者の存在や重要性が一般の人たちに理解されていないことがほとんどです。
施工管理者の重要性
わたしたちが屋根のリフォームをおこなう時、施工管理者の存在が欠かせません。
リフォームでなによりも大切なことは、工事業者とお客さまとの”円滑なコミュニケーション”です。
スマホやパソコンで写真や書類を添付したり、メールやLINEで返信したりするスキルを身につけることは今では必須です。
コミュニケーション能力やバランス感覚が欠如した対応をお客さまにしてしまうと、たちまちトラブルになります。
しかし、職人には質の良い工事の提供こそが使命であると考えるガンコな人が少なくありません。
そのため、お客さま対応や材料発注は施工管理者がおこない、職人には”専門技術だけ”に心を向けて日々取り組んでもらう”分業”が最も理想的な仕事の仕方になります。

職人と施工管理者の2名がそろってはじめて工事が成り立つといえます。
たとえば、ハウスメーカーが下請けの板金工事会社に工事を発注する時も、当然、窓口は職人ではなく施工管理者になります。
職人との直接契約
わたしたちは”直接工事”というと、”職人との直接契約”というイメージを浮かびがちです。
たしかに直接、職人とお客さまが工事契約をかわして工事をおこなうケースもあります。
しかし、この受注形式はそう簡単にうまくいきません。
「職人直接だから安くて安心」といった宣伝を目にするたびに、わたしは「苦笑い」をしてしまいます。
屋根の工事は不用品回収とかエアコンのお掃除などと全く違います。
工事をおこなうには屋根工事の実務以外にも、とんでもない量の雑務が求められます。
たとえば、見積り書作成や工事内容の説明、近隣挨拶、足場手配、材料手配、ゴミの回収、品質チェックとアフターフォロー、メーカーからの保証書発行などです。
A:膨大な量の雑務とあわせて工事実務をおこなう職人
B:雑務は一切おこなわず工事実務だけをおこなう職人
どちらの職人に工事を任せられますか?
工事価格だけで工事会社を決めることは避けましょう。
思わぬ問題が生じるかしれません。
施工管理者はそのような問題を未然に防ぐ担保となります。
施工管理者は工事が見積り書どおり適切におこなわれているか、職人が手抜きをしていないかを監視する役割があります。
屋根は目が届かないところなので、外壁塗装や内装よりも厳しい監視が必要です。
「知り合いから紹介された職人さんに依頼して失敗した」といった話は案外よく耳にします。
対価を支払ってでも工事品質を確保する施工管理者がいたほうが工事を任せる側は安心です。
たとえば、ハウスメーカーがおこなうリフォームはハウスメーカーの正社員である営業担当者が工事を受注し、下請けの専門工事会社の施工管理者が窓口となって工事をおこないます。
この事実はこれから屋根のリフォーム工事をおこなうお客さまにも当てはめることができます。
5. 社員職人がいる会社が良い会社なのか?
「社員職人」「常用職人」「請負職人」の違いを整理します。
社員職人とは
社員職人とは正社員として会社に属する職人のことです。
職人は月額の固定給で労務を提供します。
施工管理会社と社員職人の間は雇用関係があり、社員職人は厚生年金などの社会保険に加入します。
常用職人(じょうようしょくにん)とは
常用職人とは日雇い職人のことです。
職人は1日当たり20,000円などの決められた日雇い単価で労務を提供します。
施工管理会社と常用職人の間には直接雇用の関係はありません。
請負職人(うけおいしょくにん)とは
請負職人とは作業量に応じて賃金を稼ぐ職人のことです。
手間請け職人ともよびます。
たとえば金属屋根を1㎡仕上げるごとに2,000円など、作業面積(歩合)に応じて給料が決まります。
施工管理会社と請負職人の間には直接雇用の関係はありません。
請負職人が多い理由
多くの職人にとって目指すゴールは請負職人です。
請負職人の場合、仕事をやればやっただけ賃金が増えます。
そのため、請負職人のモチベーションが他の職人よりもはるかに高く、彼らは仕事を一生懸命します。
次に仕事を一生懸命するのが常用職人です。
日雇いは仕事がなければ生活ができないため、できるだけ休みを取らずに仕事をします。
土曜日でも祝日でも労を惜しまず仕事にはげみます。
一方で社員職人は固定給なので仕事に対するモチベーションは低いです。
長時間かけて仕事をやっても給料はほとんど変わりません。
基本的に働き盛りの職人(おおよそ20代から50代)の多くは請負職人としての賃金形態を望みます。
そして、加齢とともに体力が衰えると作業量が低下するため、面積いくらの請負職人ではなく、一日いくらの常用職人としての賃金形態になります。
(注)この項に書いている内容は筆者の経験に基づいています
請負職人の腕が良い理由
技術力が問われる世界は現場経験数や作業量が反映される世界であることは間違いありません。
間違いなく業務に費やした時間と工事品質は比例します。
もちろん、屋根工事の職人も請負職人が優れている傾向があります。
そもそも職人は独立志向が高く、会社員になりたがらない人が多いです。
むしろ、会社組織に属したくないから職人になっているとも言い換えられます。
会社組織のルールや雑務にしばられず、”腕一本”で勝負をしている人たちです。
働き方改革の影響もあり、最近の建設業界は職人を社員として雇用する向きもあります。
建築業に携わる外国人実習生も社員職人に近い存在です。
しかし、社員職人が活躍できる場は、新築のように作業内容が完全にマニュアル化されてるような工事に限られているのが実情です。
それにもかかわらず、一般的には社員職人がいる会社が良い工事会社のように思われています。
実際に今でも「社員の職人が工事をしてくれるのでしょうか?おたくのスタッフは全員が職人なのでしょうか?」という質問をわたしたちに投げかけるお客さまが今でもたくさにます。
この質問に全く意味がないことをご理解いただきたいです。
(注)この項に書いている内容は筆者の経験に基づいています
- この記事を見て共感いただけている板金工職人さんへ
- この記事は「はじめて屋根工事をおこなう」予定の消費者様向けに執筆した記事です。
しかし、この記事を読んでうなずいてくれる職人さんもいらっしゃると思います。
弊社では随時、板金工職人さんを募集しています。
請負形態や常用形態はもちろん、これから一人親方として独立したい職人さんの支援もおこなっています。
ご興味がある板金工職人さんはお気軽にお問い合わせください。
職人さん応募フォーム
6. インターネットで見抜いて欲しい5つのホームページ
インターネットでは屋根の専門工事会社だと勘違いしてしまうホームページがたくさんあります。
どのようなところに注意をするのか、参考にしてください。
自称自社工事
営業活動を主体にしている会社が”直接工事会社であると自称”することは簡単です。
自ら主張をすれば済んでしまいます。
インターネットの世界では簡単に装うことができます。
”本当に”自社工事であるかどうかは、消費者が自ら根拠を探さなけばなりません。
直接工事をおこなう会社であるかどうかを調べる方法はいたって簡単です。
倉庫や工場があるかをグーグルマップの航空写真で確認することで分かります。
たとえば、板金工事会社は大きな金属屋根や金属サイディングを取り扱うため、建材を保管する倉庫や工場を有します。
じゅうぶんな敷地や建物がなければ自社工事による金属屋根のリフォーム工事をお客さまに提供することはできません。
都心や駅前のビルにしか拠点がない会社は、営業活動を主体にしている会社である可能性が高いです。
フランチャイズ加盟店
フランチャイズ加盟店の仕組みはコンビニエンスストアと同じです。
某有名住宅設備メーカーや建材メーカー、電力会社、ガス会社などの看板を借りてリフォームショップを運営することが実(リアル)店舗では多いです。
最近はフランチャイズのリフォームショップが屋根工事や外壁塗装など細分化している傾向があります。
もちろん、インターネット上でも急増しています。
フランチャイズ加盟店になれば、手っ取り早く屋根工事や外壁塗装に特化したホームページの作成や営業ノウハウなどの支援を受けられます。

注意したいことはフランチャイズ加盟店の実態です。
フランチャイズ加盟店が専門工事会社ではないことがよくあります。
すでにお伝えしている通り、屋根専門の工事会社は3種類に分かれます。
金属屋根のカバー工法を依頼しようとよく調べてみると、フランチャイズ加盟店の正体が地元の工務店だったり塗装会社だったりすることが少なくありません。
- テイガクはフランチャイズショップ?
- テイガクはフランチャイズ運営会社とよく勘違いされます。
このホームページは板金工事会社が自ら製作し、運営しています。
火災保険の申請をやたらすすめる会社
屋根の修理やリフォームについて調べていると、火災保険に関するウェブサイトにたどり着くことが多いです。
「火災保険を利用して0円で屋根の修理をしましょう!」
といったフレーズを何度も目にするはずです。
「正しく火災保険の申請をしないと保険金がもらえません!」
といった過度に不安をあおる宣伝も目にします。
保険申請の代行だけを業務の中心にしている会社も存在します。
悪質な手段で勧誘をする会社が増えており、トラブルも増えています。
消費者庁や国民生活センターからも注意喚起されています。
最も大事なことはたくさんの保険金をもらうことではなく、品質の高い屋根の工事をおこなうことに異論はないはずです。
それにもかかわらず、保険申請のことばかり語っているウェブサイトが増えていることに違和感を覚えてほしいです。

火災保険の申請はわたしたちが思ってる以上に簡単です。
火災保険の申請の前に、まずは屋根工事会社を選定しましょう。
屋根工事会社を決定してから火災保険の申請手続きについて屋根工事会社に相談をもちかけてください。

屋根カバー工法や葺き替えをおこなう塗装会社
屋根カバー工法や葺き替え工事をおこなう塗装工事会社が増えています。
外壁塗装と同時に屋根リフォーム工事をおこなえば合理的だからです。
塗装工事会社が請け負う金属屋根のリフォーム工事はほぼ100%外注工事です。
なぜ外注工事になるのか、その理由を解き明かします。
理由は2つあります。
ひとつは板金工事は塗装工事より市場が小さいことです。
街中を車で走らせていると、塗装工事会社の看板は見かけますが、板金工事会社の看板はほとんど目にしません。
屋根工事に興味をもつまで、板金工事という職種があることさえも知らなかった人がいるはずです。
それほど板金工事の需要は少ないということです。
もうひとつは塗料が金属屋根よりはるかに小さいことです。
金属屋根は塗料缶の10倍以上の大きさがあるため、板金工事を自社工事でおこなうには巨大な倉庫が必要になります。
つまり、市場の小さい事業に大きな資材を保管するための設備投資をすることはあり得ません。

塗装工事会社であるかどうかは、その会社のホームページを見れば簡単にわかります。
ホームページに掲載されている工事例が外壁塗装工事ばかりでしたら塗装を専門におこなっている工事会社だと容易に想像がつきます。
紹介サイトから紹介された会社
「無料で地元の屋根リフォーム優良業者を3社以上紹介し一括見積ができます。成約したら10万円キャッシュバック!!」といった宣伝をよく目にします。
屋根工事業者を紹介してくれる一括見積りサイトです。
最近はインターネットで調べものをしていると、屋根工事限らず紹介サイトにたどり着くことが多いです。
紹介サイトはお客さまに無料で屋根のリフォーム業者を紹介してくれます。
お客さまと紹介された屋根のリフォーム業者は直接、工事契約をおこないます。
そのため、営業工事会社のような中間マージンが発生しません。
実際に多くの紹介サイトは中間マージンがないことを強調し、宣伝しています。
しかし、このサービスにデメリットが全くないと信じていたら、それは大きな誤りです。
もし、紹介サイトを経由して屋根リフォーム工事が成約した場合、屋根のリフォーム業者は紹介サイトを運営している会社に紹介料金を支払わなければなりません。
紹介料金は工事金額の10%~20%が相場です。
中間マージンがない代わりに紹介料金が裏で発生するということです。
紹介料金はお客さまが屋根リフォーム業者から受け取る見積り金額にそのまま上乗せされるはずです。
そのため、紹介サイトを介した見積書の金額は、実質的に中間マージンを含む金額と大きく変わりません。
お客さまが成約時にもらえる「お祝い金」や「キャッシュバック」は、紹介サイト運営会社がお客さまと屋根のリフォーム業者の契約状況を管理するための担保として働いています。
「無料で地元で安くて優良な屋根リフォーム業者を3社以上紹介し一括見積ができます。成約したら10万円キャッシュバック!!」の言葉の後には「その代わりに紹介した屋根リフォーム業者から工事金額の15%を紹介料金として受け取ります。その紹介料金は屋根リフォーム会社がお客さまに提出する見積り金額に上乗せされます。また、工事後にトラブルがあっても私たちは契約の当事者ではないため一切工事責任は負いません」。が続きます。

紹介サイト運営会社はボランティアではなく、営利目的でサイト運営をしていることを念頭においてください。
ホームページを見ると、とても細かく専門的なことが書かれています。
しかし、実態はウェブ制作を専門しているIT企業であり、建設会社でもなんでもありません。
トラブルが続出しているためか、最近の紹介サイトでは紹介側の責任追及ができる工事保証を設けている紹介サイトが増えています。
もしこれから紹介サイトの利用を考えている場合では、紹介した会社が工事の責任を負うサイトを意識的に選んでほしいです。
紹介サイト(マッチングサイト)はスタートアップとよばれる近年を代表するインターネットビジネスモデルのひとつであり、この手法で莫大な利益をあげて上場する企業もあらわれています。
7. 優良な屋根工事業者を見つけるための6つのポイント
わたしがもしお客さまの立場だった場合にポイントにする項目をズバリお伝えします。
1.専門分野をしっかり示しているか?
たとえば、施工例に金属屋根工事が多ければ板金工事会社が運営するホームページです。
外壁の塗装工事が多ければ塗装工事会社が運営するホームページです。
言うまでもないことですが、ホームページに増改築やトイレ工事が含まれていたら、その会社は「板金工事」「瓦葺工事」「塗装工事」のどれにも当てはまらない営業工事会社だと思ってください。

ホームページを見て、その屋根のリフォーム業者が「板金工事」「瓦葺工事」「塗装工事」のどれを専門にしているか確認しましょう。
ホームページの施工例を見ることでその会社の専門分野がわかります。
2.材料を保管する倉庫や工場があるか?

専門工事会社であるかどうかの指標になるのが、倉庫もしくは工場の存在です。
ホームページにある会社概要に倉庫や工場などの拠点情報が一切なければ、専門工事会社ではない可能性が高いです。
また、拠点情報があったとしても、グーグルマップで確認ができない場合はカモフラージュしている(拠点があるように見せかけている)可能性があります。
3.建設業の許可があるか?

民間団体が発行するものを含めると、建設工事に関する資格や免許は数えきれないほどたくさんあります。
名前だけ立派で、ほぼ価値がない資格や称号がたくさんあります。
きれいな言葉がずらりと並んだ権威には、あまり価値がないと思っていいでしょう。
ただ、数ある資格や免許、所属団体の中で価値があるものをひとつ選ぶとすれば、それは建設業の許可です。
建設業の許可は国土交通大臣もしくは知事から認可を受けることで取得できます。
建設業の許可は専門工事ごとに取得する必要があり、全部で29種類あります。
建設業の許可は会社の財務状況や過去の実績などの取得要件があります。
同時に欠格要件もあり、問題がある会社は建設業の許可が取り消されます。
公共工事はもちろん、ハウスメーカーも建設業の許可を取得していない専門工事会社には下請けの仕事を発注しません。
つまり、建設業の許可があるかどうかは屋根工事業者の評価を判断する指標になります。
4.設立して10年以上経過しており10年後も存続しているか?
設立してどのくらい経過している会社か確認しましょう。
最低でも設立から10年以上経過している会社が望ましいです。
設立年数が会社の技術を推し量る値としてとらえることができます。
ホームページに記載されている「施工実績数10,000棟突破!!」などの宣伝はあてにはなりません。
なぜなら、施工実績数を示す根拠などどこにもないからです。
また、将来に渡って持続的に成長できる会社であるかどうかの見極めも大事です。
廃業されると長期の工事保証やメーカー製品保証が紙くずになります。
(※メーカー製品保証は工事会社に付与される保証となります。)
建設会社や不動産会社の廃業リスクは極めて高いです。
景気や少子高齢化、建設業従事者の人口減少などの影響で、個人で営む職人や小さな工事会社はほぼ事業継承ができない時代に突入しています。
- テイガクは設立20年を迎えることができました
- 弊社は2020年で設立20年を迎えることができました。
大手ハウスメーカーの下請け板金工事会社としてはじまり、現在も地道に成長をしています。
20年間、板金工事をおこなってきた実績を活かし、これからの20年もお客さまと共に成長していきたいと考えています。
5.工事金額が安すぎないか?
品質を保たせて屋根工事をおこなうには、それなりの費用がかかります。
金額だけで屋根工事業者を判断するのではなく、使用する材料や工事方法の確認もしっかりおこないましょう。
もちろん、足場をかけずに屋根工事をおこなう業者には絶対に依頼するべきではありません。
6.立派な診断書よりも丁寧な見積書をつくる業者か?
屋根リフォーム業者から見積書を受け取る際、「見積書」の他に「診断書」が添付されることがあります。
写真や図面、カラーシュミレーションなど数十ページにおよぶ診断書を作成するリフォーム業者がいます。
診断書を丁寧に作ることはとても良いことです。
しかし、実情は工事金額が高い業者であればあるほど、診断書に過度な力を入れる傾向があります。
理由は見積書の工事金額に自信がないからです。
診断書の作りかた次第では不安をあおったり、お客さまが断りづらくさせたりすることもできます。
お客さまにとって大切なことは過去より未来です。
つまり、診断書の中身(工事前)より見積書の中身(工事後)のほうがずっと大事です。
過剰な手間をかけて作成された資料は、営業が優位に運ぶような手段に過ぎません。
とても立派な診断書をつくる会社だから立派な工事をしてくれる会社である、とお客さまに思わせることができたなら業者の思うつぼです。
何十枚にもおよぶ診断書をもらうよりも、見積書の中身が丁寧で細かいリフォーム業者を選ぶべきではないでしょうか。
まとめ:シンプルに考えてほしい
屋根は住宅の中で最も重要な部位です。
だからこそ、これからはじめて屋根のリフォーム工事を予定されている人は、安心して工事を任せることができる専門工事会社を見つけることからはじめてほしいです。
金属屋根を使ったリフォーム工事は板金工事会社へ、瓦屋根を使ったリフォーム工事は瓦葺工事会社、屋根塗装は塗装工事会社へ依頼してください。
とてもシンプルな考えかたです。
シンプルなことをお客さまに伝えようとしていたら、気づかぬうちに長い文章に仕上がりました。
じつはインターネットが普及したことでリフォーム業界がいっそう複雑になっているという事実があります。
これからは消費者側のリテラシー(判断力)がますます求められる時代です。
この記事が参考になってもらえれば嬉しいです。
長文の閲読、ありがとうございました。