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屋根の雨漏り原因は板金部位が多い理由がわかります
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「屋根材」「板金」「ルーフィング」が重要な理由がわかります
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屋根からの雨漏りを解決する一番の方法がわかります
– 「屋根がボロボロです。雨漏りが生じる前に屋根をリフォームしましょう!!」 –
リフォーム業者からこのような指摘を受けることが多いはずです。
しかし、屋根本体がボロボロになることが原因となる雨漏りより、屋根を構成する板金部位が原因となる雨漏りの方が実際は多いです。
なぜ板金部位からの雨漏り頻度が高いのか、その原因と対策ついて解説します。
※このページは屋根からの雨漏りに関する記事です。外壁やサッシ、ベランダからの雨漏りに関しては記載がありません。
屋根からの雨漏りが発生する原因(テイガク屋根修理調べ)
屋根の劣化が原因 | 板金の劣化が原因 | 手抜き工事・施工不良 |
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全体20% | 全体の75% | 全体の5%未満 |
目 次
屋根の雨仕舞と板金工事について
屋根の弱点には板金が取り付けられている
雨仕舞(あまじまい)という言葉があります。
建物内部に雨水が入り込まないための防水施工のことを示します。
この雨仕舞部分には「板金」が取り付けられます。
金属屋根やコロニアルだけではなく、陶器瓦を含めた全ての屋根の雨仕舞部分には「板金」が取り付けられています。
聞きなれないと思いますが、屋根には「谷どい板金」「棟板金」「雨押え板金」「軒先板金」「ケラバ板金」「天窓板金」「パラペット板金」「笠木板金」などたくさんの板金が屋根には用いられます。
実はこれらの板金にはある共通点があります。
それは、これらの板金は全て水がたまりやすい屋根の弱点部位に取り付けられることです。
屋根と板金の下にはルーフィングが敷かれている
屋根と板金の裏側には下葺き材(ルーフィング)とよばれる防水シートが敷かれています。
屋根は「屋根材」だけではなく「板金」と「ルーフィングシート」、この3つが正常であってはじめて機能します。
屋根からの雨漏り原因を考える場合、この3つの仕組みを知ることがとても大切です。
そして、この3つのうちダントツに不具合が生じやすいのは「板金」です。
板金は雨水が集中し、風の影響を受けやすい弱点部分に取り付けられるため、雨漏りが多いのは当然といえば当然のことなのです。
屋根からの雨漏り原因は4つ
屋根からの雨漏りには主に4つの原因があります。
2-1.屋根本体の経年劣化による雨漏り
いうまでもないことですが、屋根材には寿命があります。
古いコロニアルは水を吸収し湿潤状態となり、最終的に水を透すようになります。
古い日本瓦は年月が経過することで割れやすくなります。
金属屋根は雨や雪の影響で錆が生じ、穴があき始めます。
寿命が過ぎた屋根材は雨漏りリスクを高めます。
2-2.雨仕舞板金からの雨漏り
ふたつ目の原因は雨仕舞板金からの雨漏りです。
板金の経年劣化が進んで板金がサビたり、ヘコんだりすることで、穴があいて雨漏りが生じます。
最近は耐久性の高いガルバリウム鋼板が使われますが、昔の戸建て住宅はサビやすいトタンがよく使われています。
トタンの耐久性能は低く、10年程度で穴があく場合があります。
また、屋根のてっぺんにある「棟板金(むねばんきん)」は台風による風の影響を受けやすく、飛ばされる不具合がよく発生します。
屋根本体より板金の劣化が原因となる雨漏りの方が多いです。
2-3.ルーフィングからの雨漏り
ルーフィング(下葺き材)とは屋根本体や板金の下に敷きこむ防水シートのことです。
40年以上昔の瓦屋根は薄い木の板(トントン)が防水シート代わりに使われていました。
現在はアスファルトが主成分の化学製品が主に使われています。
屋根材や板金から漏れた雨水を最終的に防いでくれるのがルーフィングです。
板金が劣化して穴が開いているにもかかわらず、雨が漏れないのはルーフィングが機能しているからです。
ルーフィングの耐用年数は商品によって異なりますが、新築時にルーフィングにまでこだわる方(施主様や建設会社、設計士)はほとんどいません。
そのため、ルーフィングには高耐久製品(耐久年数30年以上の製品)がありますが、新築時に高耐久製品が使われることがほとんどありません。
建築図面にルーフィングの商品名に関する記載がなく築後20年が経過していれば、ルーフィングの機能はほぼなくなっていると考えてよいでしょう。
根本的に雨漏りの原因を解決するには、ルーフィングを新しくすることです。
屋根材や板金はルーフィングシートを保護する役割としての側面の方が強いです。
ただし、ルーフィングを張り替えるには、屋根をすべて剥がさなければなりません。
2-4.施工不良による雨漏り
雨漏りの原因となることはかなり低いですが、屋根工事業者の手抜きや施工不良による雨漏りも当然あります。
ここではよくある施工不良の雨漏りの例を2つご紹介します。
2-4-1.屋根と外壁部の納まり
連続性がない屋根と外壁下地の取り合い部で雨漏りがよく発生します。
雨仕舞の納まり上、ルーフィングシートは外壁まで余分に出す(捨て張りと言います)ことが望ましいです。
外壁も同じで外壁の透湿防水シートは屋根まで余分に出すことが望ましいです。
そして、それぞれのシートを相互に重ね合わせてあげます。
こうすることで、屋根と外壁の連続性が確保できます。
しかし、屋根と外壁は異なる職人さんが手がけるため、 各職人さんのコミュニケーション不足(もしくは現場監督の管理不足)により、屋根と外壁の取り合い部の連続性の施工がおろそかになることが多いです。
その結果、屋根と外壁の際の部分から雨が漏れてしまいます。
2-4-2.コロニアルの縁切り
屋根瓦と屋根瓦のスキマは、屋根の内部に入り込んだ雨水を出すための役割があります。
このスキマを雨漏りの原因と勘違いして、シーリングなどで埋めてしまう人がいます。
それは大きな過ちです。
内部に入り込ん雨が排出されず、室内へ雨漏りしてしまいます。
特に気を付けてほしいのが塗装後の対処です。
コロニアル(スレート/カラーベスト)の塗装後、このスキマを塗膜で覆った状態にするとマズいです。
塗膜が雨水の排出をさえぎり、高い確率で雨漏りが生じます。
そのため、塗装後は縁切り(えんぎり)と呼ばれる塗膜に切れ目を入れる作業をおこなう必要があります。
もしくは「タスペーサー」とよばれる屋根のスキマを確保する部材を塗装前に取り付ける必要があります。
残念ながらこの縁切り作業をおこなわない塗装業者さんがいます。
これは明らかに塗装職人さんの手抜き工事です。
雨漏り発生部位別ランキング
雨漏りが発生しやすい部位をランキング形式で示したページをテイガク屋根修理独自に調べて作成したページがあります。
最も雨が漏れやすい部位は「谷とい板金」からの雨漏りです。
谷とい板金とは屋根と屋根の取り合い部に用いられる板金です。
屋根本体の下に板金を敷き込まれる「逆への字」型の板金です。
次に続くのが「屋根本体の経年劣化」です。
雨や紫外線によりダメージを受け続けることで、屋根の防水機能が損われ最終的に雨漏りが発生します。
3位以降に下屋根と外壁との取り合い板金、パラペット板金などが続きます。
グラフが示す通り、板金がらみの雨漏りが全体の7割以上を占めます。
屋根は板金からの雨漏りが群を抜いて多いです。
板金の問題点と特徴
4-1.板金は瓦より劣化が早い
瓦屋根の寿命は約60年です。
本来であれば瓦屋根は60年に1度の改修工事で済みます。
ところが、瓦の屋根には雨仕舞部分に「板金」が使われています。
古い建築物である場合、板金は「トタン(亜鉛鋼板)」や「銅」が使われています。
トタンの耐久性は低く、約20年程でサビや穴あきなどの不具合が発生することがあります。
現在では、板金部分に「ガルバリウム」や「ステンレス」といった高耐久の鋼板を用います。
しかしそれでも、陶器や粘土の瓦に比べると板金の耐久性は劣ります。
瓦屋根は「瓦」と「板金」「漆喰」と寿命の異なる素材で構成されている屋根です。
コロニアル(スレート)の屋根も同様です。
コロニアルと板金では素材が異なるため、寿命が異なります。
異なる素材で構成された屋根の場合、各素材の寿命の足並みを備えることはとても難しいことになります。
4-2.板金の雨漏りはジワジワ進行型
板金やルーフィングシートの劣化はゆっくりと進行します。
そのため、雨漏りもゆっくりと発生します。
「サビから小さな穴があき、徐々に雨水が建物内部へ、そして天井裏に雨水が到達する」といったプロセスです。
屋根の板金は目立たない部分に使われいるため、板金の劣化を日常的に確認することはほぼ不可能です。
ある日突然、天井裏に雨染みができてはじめて屋根の異変に気付くことになります。
4-3.板金を取り付ける職人さんは様々
これまで示した通り、屋根の雨が漏れやすい部分には「板金」が使われています。
複雑な屋根であるほど、雨仕舞部分には板金を使う頻度が多くなり、同時に高い板金取り付け技術が求められます。
建設の専門分野のひとつに「板金工事業」という分野があるほどです。
実際の建設現場では「板金工職人さん」だけではなく、「瓦屋根職人さん」や「大工さん」が板金を取り付けることが多いです。
もちろん、ベテランの「瓦屋根の職人さん」や「大工さん」であれば、高い技術の板金取り付けが期待できます。
しかし、日常的に金属を切ったり、折り曲げたりしている「板金工職人さん」の方が高い技術の板金施工ができるはずです。
もし、屋根からの雨漏りが疑われる場合には「板金工事会社」もしくは「板金工職人さん」に相談することをおすすめします。
5.板金からの雨漏り解決策
板金からの雨漏りを解決するためのポイントをまとめました。
5-1.板金に耐久性の高い素材を用いる
雨仕舞板金は水が集中するところに使われるため、傷みやすく不具合が多い部位です。
したがって、板金の素材は錆びにくく、穴が開きにくい高耐久製品を使ってください。
板金に用いられる素材の耐久性は【ステンレス>SGL>ガルバリウム=銅>トタン】の順番にとなります。
テイガク屋根修理ではSGL(スーパーガルバリウム鋼板)による使用を推奨しています。
5-2.ルーフィングに高耐久製品を使用する
ルーフィング(下葺き材)には耐久性の高い製品を使用しましょう。
最低でも「改質アスファルトルーフィング」と同等以上の性能をもつ製品の使用が望まれます。
5-3.金属屋根を使用する
たとえば、屋根にガルバリウム鋼板を用いれば、屋根と板金が同質素材になります。
つまり、屋根と板金の寿命ギャップが解消され、屋根のメンテナンススケジュールを一元的に管理できることになります。
瓦の屋根の場合、板金だけを修理したとしても、瓦が割れたり、漆喰が崩れたりするため、一元的に屋根を管理することが困難です。
また、金属屋根は「板金工職人さん」が手掛ける工事です。
屋根の弱点である雨仕舞板金部分を含めて、屋根工事をひとりの専門職人さんに任せられます。
雨漏りは板金工事会社へ相談
「屋根を専門にしている工事業者であればどの会社に依頼しても同じ工事が提供される。」
この考えは間違いです。
「瓦」「コロニアル(スレート)」「金属」の3つは全く異なる技術が求められる工事です。
そのため、各屋根材ごとに得意不得意が屋根工事業者にはあります。
もし、これから読者の方が依頼を検討している屋根工事会社が全ての屋根工事を請け負う業者であれば注意をしてください。
たとえば、テイガク屋根修理は板金工事業者です。
板金工職人さんだけが集まった施工管理会社です。
そのため、瓦の葺き替えや葺き直し、漆喰詰めは請け負っておりません。
スレート屋根の工事依頼も最近は施工することが少なくなっています。
たしかに、手先が器用ですべての屋根材を取り扱える職人さんが存在するかもしれません。
しかし、それでも金属屋根だけを専業にしている職人さんや会社には知識や経験、技術力に及ぶことはありません。
板金工事は重要な工事技術です。
そのため、国土交通省でも「板金工事業」は全29種類ある専門建設業の許可の一つとして認めています。
屋根からの雨漏りが明らかな場合は「板金工事業者」つまり「金属屋根の施工をおこなう業者」へご相談することをおすすめします。