出隅とは
出隅(でずみ)とは外壁の角のことです。
外壁材やデザインによって、外壁の角の仕上げ方が異なることは、あまり知られていません。
新築時やリフォーム時に出隅の種類や仕上げ方を知らないと、後々、後悔するかもしれません。
この記事では外壁の出隅について解説をします。
窯業(ようぎょう)サイディングの出隅
窯業サイディングの出隅の仕上げ方は、「同質出隅(どうしつでずみ)」「通し出隅」「シーリングレスの出隅」の3パターンあります。
同質出隅
1つ目は同質出隅(どうしつでずみ)です。同質役物(どうしつやくもの)とよばれることもあります。
同質出隅は、基本的に外壁と同質素材、つまり窯業でできた出隅部材を用います。
理由は、外壁本体と一体化し、すっきりとしたデザインに仕上がるからです。
同質出隅で仕上げる際のデメリットは、シーリング処置が必要なことです。
同質出隅を採用すると、メンテナンス時に4~5万円程度のシーリング打替え費用がかかってしまいます。
通し出隅
2つ目は、通し出隅(とおしでずみ)です。
窯業サイディングの角の出隅部分を、金属建材で仕上げます。
出隅が1本の金属部材で通るように仕上げられるため、通し出隅(とおしでずみ)とよばれています。
長い「への字型」の金属部材を外壁の角にはめ込むだけで済む施工方法です。
比較的、分譲住宅でよく採用されています。
同質出隅と異なり、シーリング処置が不要で板金塗装だけで済みます。
シーリングレス出隅
3つ目は、シーリングレスの出隅です。
最近は、画像のようなシーリングを用いない出隅が普及しています。
初期費用は高額ですが、シーリング交換や板金塗装などのメンテナンス費用がかかりません。
継ぎ目がないので、デザイン性にも優れています。
金属サイディングの出隅(動画あり)
金属サイディングの出隅の仕上げ方は大きく2パターンあります。
外壁材と同じ模様の出隅部材を用いる「段出隅(だんでずみ)」と1本の金属製の部材を取り付ける「通し出隅」です。
段出隅を採用したの実際の工事現場です。ぜひ参考にしてみてください。
段出隅(だんですみ)
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
段出隅は事実上、窯業サイディングでいうところの「同質出隅」です。
同質出隅と表現しているメーカーも存在します。
段出隅は同じ模様なので、デザイン性に優れていますが、費用がかなりかかります。
通し出隅から段出隅に変更するだけで15万円前後、工事金額が変わります。
理由は、段出隅そのものの金額が高いことと、段出隅は外壁材の縦幅ごとに取り付ける必要があり、職人さんの手間がとてもかかるからです。
段出隅の長さは40センチ程度の短いサイズなので、短尺出隅(たんじゃくでずみ)ともよばれます。
段出隅を採用するにあたり、1点、注意が必要です。
たとえば、レンガ調の金属サイディングは、レンガの目地(継ぎ目の部分)に合わせて段出隅を取り付けられるので、外壁本体と出隅の仕上がりに一体感が得られます。
しかし、石調や木目調の金属サイディングは、外壁本体と出隅の仕上がりの目地を合わせることができません。
このことを理解をしたうえで、段出隅を採用するか検討してみてください。
通し出隅
金属サイディングの通し出隅は、窯業サイディングの通し出隅と同じ感覚です。
1本の金属製の部材を取り付けるだけで簡単に仕上がります。
金属サイディング本体のメインカラーに合わせた、専用の通し出隅があります。
金属サイディングの出隅に関する筆者の意見
金属サイディングを採用したお客さまは、外壁の仕上げに興味や期待が高まる傾向があります。
「外壁をより素敵にしたい」そんな思いから、段出隅を求められるお客さまは多いです。
しかし、筆者個人の意見としては、金属サイディングの出隅は、通し出隅で良いと思っています。
出隅は気にしだすと気になる部分ですが、「言われて指摘されるまで気にならなかった」という評価がほとんどだからです。
メーカーの総合カタログは意匠を優先されているため、段出隅が多く掲載されています。
もちろん、ご予算に余裕がある方は、段出隅の採用をおすすめいたします。