雨漏りの原因が台風や強風によるものなら、火災保険を利用することで金銭の負担をなくせる可能性があります。
ただし、火災保険の会社や加入内容は人それぞれです。
「修理費用が全て保険でまかなえた」というケースがあれば、「免責で補償してもらえなかった」というケースもあります。
今回は、雨漏り修理を火災保険で請求できるかをテーマに解説いたします。
目 次
雨漏り被害は火災保険が適用されるか?
風災被害と認められた場合に修理費用が受け取れます
基本的に火災保険(住まいの保険)は「火災」だけではなく風災被害の補償もセットになっていることがほとんどです。
そのため、台風のような風が原因の雨漏り被害であれば、損害保険会社から補償を受けることが多いです。
具体的に風災補償がセットになっている損害保険会社の保険商品を紹介します。
火災保険と風災補償がセットになっている保険
風災補償がセットになっていない火災保険商品もあります。
火災保険と風災補償がセットになっていない(風災はオプションの)保険
雨漏りで補償が受けられないケース
建物の老朽化
屋根や外壁の老朽化が進んでいる場合は、火災保険の対象外と見なされる可能性があります。
火災保険に入っていても台風や強風と無関係に起こった雨漏りとして評価されるかもしれません。
具体的には築50年近くが経過していて、これまで一度も屋根や外壁のお手入れをおこなっていないような場合は、風災補償の適用が難しいかもしれません。
雨漏りの二次被害
直接的な原因が風ではない場合は、風災補償が適用されない可能性が高いです。
また、雨漏りによる断熱材やクロスの水ぬれ被害は風災補償ではなく、水災補償の対象になる場合もあります。
家具や衣類などの家財の雨漏り被害は、火災保険ではなく家財保険の中の水災補償の対象となります。
三井住友海上火災保険株式会社のパンフレットでは、雨漏り被害は風災として認めていないことが記載されています。
保険金をお支払いする事故の説明
台風、旋(せん)風、竜巻、暴風等による風災(洪水、高潮等を除きます。)、雹(ひょう)災または豪雪、雪崩(なだれ)等の雪災(融雪洪水等を除きます。)をいいます(吹込みまたは雨漏りなどによる損害を除きます。)。
一方で、損保ジャパン株式会社は風や雨の吹き込み被害も一部認めるただし書きがあります。
風や雨などの吹込みによって生じた損害については、建物または屋外設備・装置の外側の部分が風災などの事故によって破損し、その破損部分から内部に吹き込むことによって生じた損害にかぎります。
雨漏り被害については、保険会社によって扱いがグレーなところがあります。
保険会社ごとに対応が異なる可能性があります。
フランチャイズ方式の火災保険で損害額が一定額以下
フランチャイズ方式とは被害額が一定額以上にならないと保険金が受け取れない火災保険契約のことです。
たとえば「免責20万円のフランチャイズ方式」で契約している場合、被害額が20万円を超えないと保険金が支払われないません。
ただし、30万円の被害額が認められた場合、30万円が保険金として支払われます。
免責方式の保険で損害額が一定額以下
保険でいう免責とは自己負担の意味となります。
免責金額が3万円で契約している保険商品で契約しており、雨漏りの修理に20万円かかった場合、「20万円-3万円=17万円」が受け取れる保険金額となります。
もちろん、雨漏りの修理費用が3万円分の場合、修理費用は保険会社から受け取れません。
時効の経過
多くの火災保険では、過去の風災にさかのぼった申請ができます。
しかし、しばらく経ってからだと「風災による雨漏り」なのか、「老朽化による雨漏り」なのかの判断がつきにくくなり、保険金の請求がおりないこともあります。
一般的には3年の時効が定められているケースが多いです。
風災による雨漏りの可能性が考えられたら早めに申請してください。
具体的にどんなケースで補償されるのか?
風による被害かどうかがポイント
以下のような被害が発生した場合、火災保険の風災補償の対象となる可能性があります。
火災保険が適用される事例 |
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風で屋根が飛ばされた時の屋根修理費用 |
風でガラスが割れた時のガラス修理費用 |
風で雨どいが歪んだ時の雨どい修理費用 |
風で隣の瓦が飛んで自宅の外壁にぶつかり外壁が凹んだ時の外壁修理費用 |
風で室内の畳がはがれた時の畳の交換費用 |
風で室内の建具が壊れた時の建具の修理費用 |
風で建物付属設備(電気・ガスなど)が壊れた時の修理・交換費用 |
結局、風の被害かどうかがポイントになります。
台風以外の豪雨による雨漏りは保険請求できる?
やっぱり風による被害かどうかがポイント
強風を伴う豪雨が原因である雨漏り被害であれば保険請求が認められる可能性があります。
なお、豪雨で川が氾濫して床の上まで浸水したケースや、集中豪雨による土砂崩れで建物の躯体に被害が生じたケースは「水災」とみなされます。
水災補償は火災保険のオプションになるので、風災補償と同様、必ずセットになっているとは限りません。
民間ではなく全労災などの雨漏りは保険請求できる?
民間企業が運営している火災保険のほか、非営利団体が運営する火災共済に加盟している人も多いです。
代表的なのが「県民共済」「全労済」「JA共済」などです。
共済の場合も、火災保険と風災補償がセットになっていることが多いです。
「台風で屋根が壊れて雨漏りが起こった」というケースは共済見舞金(実質は保険金)として修理費用が請求できます。
ただし、民間の損害保険と違い、掛け金と補償額がおさえられている特徴があります。
雨漏りで生じた被害全てが共催見舞金でまかなえる可能性は低いです。
まとめ
建物劣化が原因の雨漏りではなく、風が原因の雨漏りであれば火災保険が適用になる可能性が高いです。
屋根や外壁の被災であれば、修理費用として保険金の支払いが認められるはずです。
ただし、室内の床や壁、建具の被災については、風によるものか判断が難しいケースがあります。
各損害保険会社のパンフレットやウェブサイトを確認し、損害保険会社や保険代理店に保険対象になるかお尋ねください。