波型スレートとは?アスベストが含有された屋根と外壁の耐久性と特徴

波型スレートとは?

波型スレートの建物
工場や倉庫の外壁や屋根で用いられている

波型スレートとは、その名の通り波型の形状をしたスレート屋根です。
工場や倉庫の屋根材として用いられています。
外壁材としても用いることができます。
波型スレートは、戸建住宅のスレート屋根(平板スレート)と同じセメントでできています。
JIS規格(JIS A 5430)による名称は、「繊維強化セメント板」です。

波型スレートの寸法・種類

波型スレート

波型スレートのサイズは、JIS規格で規定されています。

小波 大波
用途 外壁 屋根と外壁
幅(mm) 720 950
長さ 6尺:1820
7尺:2120
8尺:2420
6尺:1820
7尺:2120
8尺:2420
重さ(kg/枚) 6尺:約16
7尺:約19
8尺:約22
6尺:約23
7尺:約27
8尺:約32
ピッチ(mm) 63.5 130
山の深さ(mm) 18 38
厚さ(mm) 6.3 6.3

波型ポリカと波トタンの違いは?

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波型ポリカ
波型トタン

波型ポリカは、ポリカーボネート製の波型板で、主にバルコニーやテラスに使われる屋根材です。
波トタンは、トタン製の波型板で、簡易的な施設、主に倉庫の屋根と外壁で採用されています。

小波スレートと大波スレートの違い

小波スレートは名前が示す通り、波の山が多い(波と波の間隔が狭い)波型スレートです。
大波スレートは波の山が少なく、大きさも大きい波型スレートです。
小波スレートの方が大波スレートよりも耐久性に落ちるため、屋根ではなく外壁で用いることが多いです。

波型スレートの構造

鉄骨造

波型スレートは主に鉄骨造の建物で用いられます。
たとえば、鉄骨造の屋根に波型スレートを張る場合、屋内の鉄骨部材に引っ掛けるようにして波型スレートを取り付けます。
屋根を構成する鉄骨の構造材である母屋(もや)に引っ掛けて波型スレートを直接取り付けます。

C型鋼に下地を打ち付ける

鉄骨造の母屋は断面を見ると英語のCの形をしていることから、C型鋼(Cチャン)ともよばれます。
波型スレートの上に飛び出している金具はフックボルトとよばれるもので、C型鋼に引っ掛けて波型スレートを固定する金具です。

錆びたフックボルト

古い屋根にのぼると、フックボルトは赤くなって錆びてることが多いです。

波型スレートのメリットとデメリット

波型スレートのメリット

たたみ1畳程度の大きさ

持ち運びが楽

波型スレートはサイズが畳程度のサイズで軽量です。
そのため、持ち運びが楽で施工がしやすいです。

コストパフォーマンスが良い

コストパフォーマンスに優れているため、面積が大きい倉庫や工場の屋根や外壁で用いるの外装材として最適です。

施工が簡単

波型スレートは、鉄骨に引っかけるだけで施工ができるため、専門的な技術を要しません。
比較的誰でも工事ができます。

波型スレートのデメリット

物損事故で割れることも

ガルバリウム鋼板よりも耐久性が低い

波型スレートは経年劣化や自然災害の影響で割れやすく、メンテナンス頻度が高いです。
耐久性の高いガルバリウム鋼板と比べて、寿命は短いです。

長尺のガルバリウム鋼板と比べて工事に時間がかかる

波型スレートは1枚あたりの重さは軽く、一人で持ち運びができます。
しかし、クレーンなどの機械を用いて施工ができるガルバリウム鋼板の屋根や外壁と比べると、工事に時間がかかります

アスベスト含有波型スレートについて

アスベスト含有の見極め方

築後30年経過した波型スレートは石綿含有製品

昔の波型スレートには、アスベスト(石綿)が含まれていました。
現在は、アスベストを含まないノンアスベスト(ノンアス)に移行しています。
波型スレートにアスベストが含まれているかどうかは、建物の築年数から判断することができます。

1931年~2004年に製造された波型スレートはアスベスト含有

1931年~2004年に製造された波型スレートには、アスベストが含まれている可能性が高いです。
アスベストの含有区分は「レベル3」です。
飛散しにくい成形材として、最も発じん性(飛散性)が低いレベルです。
アスベストが含まれているからといって、すぐに撤去処分を求められることはありませんが、解体をする際には多額のコストがかかります。

アスベストの有無は製造年でわかる

2004年以前 2005年以降
アスベスト あり なし

誰でも触れて改修しても大丈夫か?

資格を持った者が調査をおこなう

アスベストを含む波型スレートの改修工事をおこなうには、いくつかの条件や資格を要します。
まず、2022年に、建物の解体や改修前には、建築物石綿含有建材調査者による事前調査が義務化されました。
調査結果は「石綿事前調査報告システム」を通じて各市区町村の自治体へ報告をしなければなりません。
調査結果によって適切な改修方法を決定し、必要な資格を持つ作業者が改修工事をおこないます。

作業を行う業者の条件は、「石綿作業主任者」が在籍する専門業者でなければならないです。
さらに、解体や撤去の際には「石綿作業主任者技能講習修了者」が適切な方法で作業を監督し、作業者も「石綿取扱い作業従事者特別教育」を受講していることが求められます。
無資格の作業員が行うことは法律で禁止されています。

現在入手できる波型スレートは全て無石綿

現在入手できる波型スレートは全て無石綿製品(ノンアスベスト)です。
「高強度の製品」や「着色されたカラースレート」、「断熱材一体型のスレート」など、昔に比べて付加価値が高い製品が増えています。

波型スレートの寿命

寿命は30年から35年

アスベストが含まれている波型スレートの耐用年数は、30~35年です。
スレートの主成分はセメントで、経年とともに水分を吸水します。
雨水の吸水を繰り返すことで、徐々に耐久性が低減し、最終的には割れたり欠けたりするようになります。

高度経済成長期に建築された改修が望まれている建物が増加傾向

高度経済成長期に建築された工場や倉庫の屋根や外壁の多くは、波型スレートが使用されています。
しかし近年では、ガルバリウム鋼板の評価が高まり、工場や倉庫では金属屋根や金属外壁(金属サイディング)の採用が増えています。
一方で、当時建設された波型スレートの建物は現在も多数存在しており、老朽化に伴う改修の必要性が高まっています。

屋根材の出荷量の推移

2013年 2022年
波型スレート(千㎡) 1,716 839
金属屋根(千㎡) 57,918 44,781
一般社団法人 日本金属屋根協会より

台風による被害が増加傾向

台風被害で剝がれ落ちた波型スレート

近年、台風などの自然災害による波型スレートの破損被害が増加しています。
経年劣化が進んだ波型スレートに加え、温暖化の影響で風が強まっていることから、大型台風の襲来時にはテイガクへのお問い合わせも急増します。

特に、破損や剥がれが発生した屋根や外壁の改修依頼が多く寄せられています。
大規模災害によって屋根や外壁が被災すると、事業の継続が困難になる場合があります。
そのため、事前対策としてBCP(事業継続計画)への関心が高まっており、対策を検討するお客様も増えています。
こうしたニーズに対応し、改修工事のご依頼をいただくケースも増加しています。

波型スレートの補修と点検について

補修は容易で安価でできる

波型スレートの補修は比較的容易で、サイズが規格化されているため、部分的な交換や張り替えによる対応も可能です。
テイガクでも、数多くこれまで波型スレートの補修工事をおこなってきました。

しかし、施工から30年以上経過している場合、経年劣化が進んでおり、一時的な補修では根本的な解決にならず、繰り返し修理が必要になることがあります。
30年以上経過している建物の場合は、全面改修も検討してください。

【Youtube】波型スレート屋根の補修
04:09

【Youtube】波型スレート屋根の補修

波型スレート屋根の点検時の注意点

屋根上作業は安全対策が望まれる

屋根上からの転落死亡事故で最も多いのは、古くなった波型スレートの踏み抜き事故です。
勾配が緩いため、波型スレートのうえにのぼって点検作業をおこなう人が少なくありません。
しかし、波型スレート屋根の裏側は、野地板などの下地材や構造材がない空間が広がっていることが多いです。

踏み抜いて落下したら、そのまま地面にたたきつけられます。
素人の方は、波型スレート屋根の上には絶対にのぼらないでください。

古い波型スレート屋根と外壁の改修方法

カバー工法と張り替え

ガルバリウム鋼板製の外装材を重ねて張り付け

波型スレートの屋根と外壁を全面改修工事する場合、改修にには、金属屋根金属外壁を採用します。
改修方法は既存の波型スレートの上に金属建材を被せるカバー工法と、波型スレートをはがして張り替える張り替え工事の2つの方法があります。

アスベストが含まれた波型スレートの張り替えは、大掛かりでかつ費用負担が大きい工事となるため、カバー工法による工事を選択することがほとんどです。
アスベストの飛散を抑えた施工方法や、均一に外壁を張り上げる施工方法も開発されています。

カバー工法と張り替えのメリット・デメリット

カバー工法 張り替え
工期 ×
費用 ×
耐震強度 ×
アスベスト対策 ×
業務の稼働 ×

波型スレートの改修費用

波型スレートの改修は、倉庫や工場を稼働させたまま工事をおこなうことができます。
費用は面積によって変わり、面積が大きいと㎡単価が高くなります。
アスベストが含まれていると倍以上の改修費用がかかります。

波型スレートの改修費用の目安

カバー工法 張り替え
屋根(面積小) 10,000円~ 20,000円~
屋根(面積大) 7,000円~ 15,000円~
外壁(面積小) 8,000円~ 16,000円~
外壁(面積小) 6,000円~ 13,000円~

屋根は折板屋根を採用

折板屋根

波型スレートに金属屋根を被せるカバー工法は、最も一般的な改修方法のひとつです。
軽量で耐久性の高い金属屋根を施工することで、屋根の機能を30年~40年維持することが可能です。
使用する金属屋根は、断面が山型の折板屋根を採用し、強度と耐候性を向上させます。

大型台風による飛散リスクや雨漏りを軽減し、屋根の安全性も高まります。
さらに、断熱材を付加することで、倉庫や工場内の温度環境を改善し、快適な作業空間を実現できます。

外壁は角波ガルバを採用

角波ガルバ

波型スレートの外壁の改修には、角波ガルバリウム鋼板を張る方法が一般的です。
特に古い建物では、現行の消防法の基準を満たしていないケースが多いため、違反とならないよう耐火基準に適合する施工を併せて行うことが重要です。

外壁を金属にすることで、新築に近い外観となり、建物の資産価値向上にもつながります。
また、室内環境の改善を希望される企業様には、断熱材一体型の金属サイディングの施工をご提案することも可能です。

改修先は建築板金工事会社へ

テイガク の工事拠点

波型スレートは、コストパフォーマンスにも優れた工場や倉庫で採用されている外装用の建築素材です。
老朽化した波型スレートは、カバー工法による改修が広くおこなわれています。
しかし、アスベスト含有製品の処置や建物での業務を継続しながらの施工手順など、大規模な改修工事は、高い専門知識や技術が求められます。

テイガクの職人

テイガクは、これまで多数の波型スレートの屋根と外壁の改修実績があります。
現地調査からお見積もり、最適な施工プランのご提案まで、一貫して対応する建築板金工事会社です。
折板屋根や金属サイディングを重ねて張り上げる工事を、直接施工のかたちでおこないたい方は、是非、テイガクまでお気軽にご相談ください。また、「波型スレートの価格」など費用に関する詳細は、別記事にて解説しておりますので、あわせてご参照いただければ幸いです。

実際にテイガクが改修工事をした波型スレートの工事例

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。
千葉県立船橋東高校→法政大学経営学部→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する建築板金工事会社(昭和ルーフリモ株式会社)へ入社。
最終学歴、中央工学校夜間建築学科。
年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-5)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

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