棟板金(むねばんきん)はコロニアルや瓦棒、ガルバリウム鋼板屋根などの屋根の頂上に取り付けられた屋根部材です。
「棟包み板金」とも呼ばれます。
屋根のてっぺんにあるため、棟板金は風や雨などの自然災害による影響を最も受けやすい部位でもあります。
実際に、棟板金が外れたや飛ばされたなどの被害はとても多いです。
棟板金の不具合は屋根専門の工事業者に任せることが原則です。
しかし、強風や豪雨による被害拡大を抑えるため、早急な応急処置を要するケースがあります。
とても危険ですが、施主様が自分自身で屋根に上り、DIYで修繕を行うケースが少なくありません。
この記事では、専門家の立場から具体的な棟板金の応急処置、対処方法について取り上げます。
もちろん、全ての家屋に当てはまるケーススタディではないので、参考程度にしてください。
また、応急処置は屋根機能の維持にはならず、根本的な解決には至りません。
なるべく早い段階で、屋根工事業者による本格的な棟板金の交換工事を依頼してください。
この記事が、台風や竜巻などの被害に見舞われた方のお役にたてれば嬉しいです。
【常識】屋根の修理をDIYで行うのは危険
棟板金が突風で飛ばされた場合、高い可能性で雨水は屋根内部に入り込み、雨漏りを生じさせます。
被害拡大を抑えるため、施主様自身がDIYで屋根を修理されることは少なくありません。
屋根工事の経済的負担は大きく、DIYで対処したいのが本音です。
ただし、DIYの屋根修理はかなり危険です。
弊社のような屋根専門工事会社(直接施工の会社)に応急処置を行ってもらうことが最善策です。
建物の安全性確保名目で、外れかかった棟板金を消防士が屋根から取り外してくれたような事例もあります。
ただし、消防士の本来の業務ではないため、取り繕ってもらえる保証はありません。
必要に迫られている場合を除いては、DIYによる修繕はおすすめできません。
【重要】
慣れていない人が屋根の上で作業することは賢明ではありません。
建設中の事故で最も多いのが転落で、命の危険性に関わります。
屋根に覆われたブルーシート。実はいま、地震の片付けや修理で屋根に上り、転落する事故が相次いでいて、これまでに少なくとも17人が頭や胸を打つなどのけがをしたといいます。
2016年4月26日
DIYによる早急な修繕を要する場合、どのような対処が必要であるか、あらかじめ知っておくと役立ちます。
私たちもすぐには材料や職人の手配ができません。
本格的な工事に取り掛かる前に、応急処置が必要になります。
応急処置で必要なものはホームセンターで販売されているもので十分です。
【実例1】棟板金の応急処置
既存瓦棒屋根の棟板金を応急処置した例です。
暴風雨により棟板金が飛散しました。
天候が回復した日に、消防署がとなり近所の人から通報を受け、お客様は自宅の棟板金が飛散したことを知らされます。
外装の不具合の第一発見者は、大抵、となり近所の人であることがほとんどです。
居住者自身がはじめに気が付くことは稀です。
日頃からの近所付き合いがとても大切です。
被災があった翌日に、応急処置と見積もり作成のご依頼をお客様からいただきました。
幸い外れた棟板金の状態は良好でしたので、外れた既存の棟板金を再設置しました。
2-1.使用したもの
・インパクト/ビス
・スーパーポリクロステープ(共同技研化学株式会社)
※インパクトがない場合はテープだけでしっかりと棟板金を仮固定します。
2-2.棟板金が外れた屋根
棟板金の(したふきざい)が木下地がむき出しの状態になっています。
被害の拡大を抑えるため、外れた棟板金を仮固定します。
インパクトドライバーを使って棟板金を固定します。
金具はステンレス製のビスを使います。
2-3.スーパーポリクロステープで固定
スーパーポリクロステープで棟板金を固定します。
スーパーポリクロステープがホームセンターで販売されていない場合、高機密で高防水、粘着性のあるテープをご利用ください。
2-4.棟板金の仮固定 完了
棟板金の応急処置完了です。
もし、棟板金が風で飛ばされた場合は火災保険会社から修理費用が賄われます。
是非、申請手続きは忘れずに行ってください。
【実例2】棟板金の応急処置
高所から落下した棟板金は、折れたり、曲がったりして再利用できない場合があります。
その場合は、棟全体をビニールで巻いて、棟の代わりとして使用します。
これはどんな屋根でも応用ができる応急処置方法です。
3-1.使用したもの
・養生ビニールシート 幅1,100ミリ 長さ25メートル (コロナマスカーシート)
・スーパーポリクロステープ(共同技研化学株式会社)
3-2.棟板金が外れた屋根
風で飛ばされた棟板金が再利用できない時は、飛ばされても安全な素材(ビニール)で棟を覆います。
ビニールは伸縮性のあるものをおすすめいたします。
塗装用の養生シートなどが安価でおすすめです。
3-3.ビニールで棟を覆い、テープで固定
たわみがないよう、しっかりとテープで固定します。
火災保険の対象になる棟板金の飛散
棟板金が風で飛ばされて外れた場合は火災保険の対象となります。
火災保険(すまいの保険)の風災事項による補償です。
棟板金の被災は保険会社に証明しやすい被害であるため、火災保険に加入している場合は必ず申請しましょう。
テイガク屋根修理を介した棟関連の保険申請は、100%保険会社から保険金が支払われています。
保険会社に申請する際に必要な見積書には「足場工事代金」を必ず入れましょう。
「足場工事代金」も保険会社から支払われます。
まとめ
・外れた棟板金は内部に雨水が入る可能性が高いです。被害が拡大する前に早急な応急処置が必要です。
・応急処置に使用する用具・材料はホームセンターで購入できます。
・屋根の修理をDIY(自分自身)で行うのは危険を伴います。
・屋根専門工事業者(直接施工の会社)に応急処置をで行ってもらうことが最善策です。
・棟の飛散は保険会社に証明しやすい被害です。必ず火災保険の申請手続きを行いましょう。
・火災保険の申請手続きは足場工事費用が請求できます。