本記事では、だれでもできる屋根面積の簡単な求め方をご紹介します。
メジャーが1つあれば、簡単に屋根面積は測れます。
また、テイガクは、グーグルマップの航空写真から屋根の面積を簡単に求めることができるスマートフォンのアプリを開発しました。
無料かつ匿名でダウンロード、活用できるアプリです。
是非、ご活用ください。
目 次
テイガク屋根クイズ!
突然ですが、クイズです!
屋根の形には「寄棟(よせむね)」「切妻(きりづま)」「片流れ」「方形(ほうぎょう)」という4つの代表的な形があります。
これら4種類の屋根の「上から見たときの横幅(a)・縦幅(b)」と「屋根勾配(屋根の角度)」が同じ場合、屋根面積が一番大きい屋根はどれでしょう?
ずばり、答えは「4種類すべての屋根の面積は同じ」です!
屋根の面積は、多少の誤差はでますが簡単な計算式「屋根投影面積 × 1.15」で求められます。
屋根投影面積ってなに?
屋根投影面積とは、屋根を上空から見下ろしたときの形で求められる面積のことです。
このとき、屋根の勾配(傾き)は計算に含めません。
たとえば、左のイラストの屋根を上空から見下ろすと右の図になります。
このとき、左図のa、b、c、d、e、f、gの長さがわかれば屋根投影面積を計算できます。
屋根投影面積を求める前準備
グーグルマップの航空写真で自宅の屋根を探す
屋根投影面積の計算にはグーグルマップを活用しましょう。
グーグルマップには「航空写真」で地図を見る機能があります。
グーグルマップで建物の住所を検索すると、上空から見た屋根の形がわかります。
屋根の形をメモする
上空から見た屋根の形をメモしましょう。
これから、この図形にいくつかの数値を書き加えていきます。
図形を大きめに書くと、数値を書き加えやすいです。
ここまでで、前準備が終わりです。
建物各辺の長さを求める
正確な長さの求め方
家の外に出て、「外壁の長さ」と「軒の出」をメジャーではかります。
メジャーではかったあとは、メモした家の図形に長さを書き加えてください。
家の図面(平面図)がお手元にある方は、図面に外壁の長さが書かれているか確認してください。
階ごとの縦幅、横幅がミリメートル単位で書かれていることが多いです。
(書かれていた場合は1階の縦幅、横幅を外壁の長さとしてください。)
ただし、軒の出だけは図面に書かれていないことがあるため、地上から目測ではかります。
軒の出ってなに?
軒の出(のきので)とは、建物の外壁から外に飛び出た屋根の部分です。
飛び出る場所によって「軒先」や「ケラバ」とも呼ばれます。
グーグルマップの航空写真で屋根面積を測定する方法
スマートフォンアプリを用いて屋根の面積を求める方法
アプリの使い方の説明(Youtube動画)
屋根面積計測アプリの使い方
「屋根の面積計算」アプリをダウンロード
「APP Store」から「屋根の面積計算」と検索すると、アプリが無料ダウンロードできます。
※2022年8月現在、iPhone(iOS)だけで用いることができるアプリです。
アンドロイドバージョンは近く公開予定です。
アプリを開くとグーグルマップの航空写真が表示されます。
ご自宅の屋根の角(隅)を点と点で結びつけて屋根をイエローの図で囲むと、屋根の面積がアプリ上部に自動表示されます。
デスクトップPCを用いて屋根の面積を求める方法
グーグルマップ上で距離をはかれます。
はじめに、距離をはかりはじめる地点を右クリックします。
右クリックのあとに表示されるメニューから、「距離を測定」を選びます。
右クリックした位置にマークが表示されます。
このマークが距離をはかる開始地点です。
次に、距離をはかる終了地点を左クリックしてください。
このように開始地点から終了地点までの距離が表示されました。
同じ手順で、家の外壁沿いをすべてはかりましょう。
はかり終わったら、前準備でメモした家の図形に長さを書き加えましょう。
もし、スマホから外壁の距離をはかる場合は、マップ右下の物差しを利用してください。
地図の縮尺ごとに、長さの基準となる物差し(白い線)が表示されます。
外壁の長さと物差しを見比べて、おおよその長さを求めてください。
建物の長さから屋根投影面積を求める
建物の縦幅、横幅をはかり終わったら、次に面積を計算しましょう。
面積は「建物の縦幅 × 横幅」のかけ算で求められます。
この計算で出された面積が「屋根投影面積」です。
屋根投影面積から屋根面積を求める
屋根面積を求める計算式
屋根投影面積がわかれば、あとは簡単なかけ算で屋根面積がわかります。
屋根投影面積(㎡) × 1.15 = 屋根面積(㎡)
以上の計算で屋根面積を求められました。
屋根投影面積に1.15をかけ算する理由
屋根には勾配(傾き)があります。
勾配が急になればなるほど、勾配が0度(水平)のときと比べて屋根の長さは伸びていきます。
つまり、屋根面積を求めるには屋根の勾配も考慮しなければいけません。
勾配ごとの屋根の長さを簡単に計算するために、「屋根勾配係数」という係数があります。
この屋根勾配係数を屋根投影面積にかけ算することで、屋根面積を求められます。
以下は屋根勾配ごとの屋根勾配係数をまとめた表です。
屋根勾配係数の表
屋根勾配 | 係数 |
---|---|
4寸(約22度) | 1.077 |
4.5寸(約24度) | 1.097 |
5寸(約27度) | 1.118 |
5.5寸(約29度) | 1.141 |
6寸(約31度) | 1.166 |
6.5寸(約33度) | 1.193 |
日本で建てられている住宅の屋根勾配は、4寸(約22度)〜6.5寸(約33度)のいずれかであることがほとんどです。
表に書かれている係数を見ると、約1.1〜1.2の間の小さな差しかないことがわかります。
そのため、本記事では計算をわかりやすくするために屋根勾配係数を「1.15」で紹介しました。
実例(家の図形を書いてから屋根面積を求めるまで)
ここからは屋根面積を求めるまでの計算を、実例をもとにおさらいします。
家の図形をメモしたあとは、「外壁の長さ」と「軒の出」をはかります。
画像では黒線で「外壁の長さ」を、赤線で「軒の出」を書いています。
軒の出を含んだ長さで家の図形を書きなおしました。
家の形に出っ張りがある場合は、画像のように補助線(赤色の線)を書くと計算がしやすいです。
屋根投影面積を計算するときは、補助線をもとに長方形を分けて計算します。
それぞれの長方形で屋根投影面積を求めます。
屋根投影面積を求めるときは、長さの単位をメートルに合わせると計算しやすいです。
★大きな長方形の屋根投影面積
8.8m × 4.9m = 43.12㎡
★小さな長方形の屋根投影面積
3.7m × 1.9m = 7.03㎡
屋根全体の投影面積は 43.12㎡ + 7.03㎡ = 50.15㎡ となります。
あとは 50.15㎡(屋根投影面積) × 1.15(屋根勾配係数) で屋根面積が計算できます。
50.15㎡ × 1.15 = 57.67㎡ となり、屋根面積が57.67㎡であることが求められました。
屋根面積を計算するときに注意すること
軒の出を忘れない
軒の出を含む場合と含まない場合では、屋根面積に大きな違いがでます。
屋根面積を計算するときは、外壁の長さに両端の軒の出をかならず加えましょう。
下図の建物を参考に、どれほど屋根面積に差がでるのかを計算してみます。
★軒の出(30cm)を含まない場合
屋根投影面積は 8m × 4m = 32㎡ です。
屋根面積は 32㎡ × 1.15 = 36.8㎡ となります。
★軒の出(30cm)を含む場合
屋根投影面積は 8.6m × 4.6m = 39.56㎡ です。
屋根面積は 39.59 × 1.15 = 45.49㎡ となります。
以上の計算より、軒の出を含まない場合は約9㎡もの差がでてしまいました。
下屋根を忘れない
2階建て住宅の場合、下屋根(げやね)があるケースがあります。
下屋根とは、複数階建ての住宅で最上階より下(2階建てであれば1階)にある屋根のことです。
下屋根も忘れずに屋根面積として計算をしましょう。