屋根カバー工法とは? はじめての屋根カバー工法

古いコロニアルに金属屋根で屋根カバー工法

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リフォーム前のコロニアル屋根 リフォーム後の金属屋根

屋根カバー工法マニュアル

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屋根カバー工法の基礎知識

屋根カバー工法とは?

コロニアル(スレート)
コロニアル(スレート)

屋根カバー工法とは、古い屋根のうえに軽い屋根を張ってかぶせる工事方法のことです。
古い屋根をはがして処分する手間と費用がかからないので、工事費用と工事期間を抑えることができます。
一般住宅ではコロニアル(スレート)のうえに軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板もしくはエスジーエル鋼板)をかぶせる工事がよくおこなわれています。

【工事手順を詳しく解説】 屋根カバー工法の手順

実際の屋根カバー工法の工事手順を解説

実際の屋根カバー工法の工事手順を解説

差し込み葺きの屋根カバー工法に”注意”

本来の屋根カバー工法

本来の屋根カバー工法の目的は、2つの防水機能を新しくすることです。
2つの防水機能とは、防水シートと屋根材のことです。

防止シートを貼る作業
防止シートを貼る作業

屋根カバー工法の最初の手順は、コロニアルの上に防水シートを貼る作業から始まります。
防水シートはルーフィングや下葺き材(したぶきざい)とよもよばれ、最終的に雨漏りをふせいでくれる大切なシートです。
防水シートを貼ったのちに、金属屋根を張る手順となります。

金属屋根も雨水が入り込まない構造
金属屋根も雨水が入り込まない構造

もちろん、金属屋根自体も防水機能が備わった構造になっています。
この防水シートと屋根材の2つが新しくなることで、長期にわたる屋根本来の機能を取り戻すことができます。

差し込み葺きの屋根カバー工法

最近、古いコロニアルに金属の鉄板を差し込む工法を屋根カバー工法とよんで販促されています。
差し込葺き工法とよばれる工法です。
この工法は本来の屋根カバー工法と全く性質や目的が異なる工法です。

差し込み葺きの屋根材
差し込み葺きの屋根材

差し込み葺き工法は、古いコロニアルのうえに「コの字型」の鉄板を接着材で貼るだけの工法です。

古い防水シートはそのまま
古い防水シートはそのまま

したがって、防水シートは古いもののままであり新しく重ねる鉄板には防水機能が備わっていません。
もしこの工法を本来の屋根カバー工法と勘違いをしていていたら、今すぐ屋根カバー工法の内容を再検討すべきです。

屋根カバー工法ができない屋根は?

工事できる屋根は限定されている

全ての屋根にカバー工法が採用できるわけではありません。
たとえば、経年劣化がひどく、屋根下地が傷んでいる屋根は、カバー工法がおこなえません。

例:①瓦屋根

古くからの瓦屋根は旧耐震基準である可能性が高い
古くからの瓦屋根は旧耐震基準である可能性が高い

カバー工法の条件のひとつに、屋根面がフラットな状態であることがあげられます。
瓦屋根のように波立っている形状の屋根には、カバー工法はおこなえません。
そもそも瓦屋根は重いので、荷重を付加するカバー工法は適していません。

例:②古いトタン屋根

屋根下地が傷んでいる金属屋根
屋根下地が傷んでいる金属屋根

金属屋根にカバー工法をおこなうことは、技術的には可能です。
しかし、古いトタン屋根は屋根下地である野地板(のじいた)が傷んでいることが多く、屋根カバー工法をおこないたくてもできないことがほとんどです。

例:③劣化が進んだコロニアル

劣化したコロニアル(スレート)屋根
コロニアルでもカバー工法ができない場合がある

たとえコロニアルの屋根であっても屋根カバー工法ができない場合があります。
理由は先ほどの金属屋根と同じです。 たとえば、築後40年が過ぎている場合は、屋根カバー工法はできません。
また、雨漏りが生じている屋根も屋根下地が傷んでいることが多く、屋根カバー工法を避けたほうがよいでしょう。

屋根カバー工法をおこなう業者とは?

屋根カバー工法には専門工事業者が存在します。
それは、板金工事会社です。
板金工事の準備から管理をおこなう施工管理者と、実際に工事をおこなう板金工職人さんで成り立つ会社です。
テイガクがまさに板金工事会社に当てはまります。
知識や経験が豊富な板金工事会社にめぐり合えるかが、屋根カバー工法をおこなううえで最も大切なポイントです。

屋根カバー工法の耐久性は?

適切な方法で屋根カバー工法をおこなえば、30年以上の耐久性が期待できます。
すでに屋根カバー工法が普及しはじめて30年近く経過しています。
現在のところ何も問題がなく、屋根がしっかり機能している住宅はたくさんあり、安全安心な屋根のリフォームとして確立されています。

屋根カバー工法の工事時期は?

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お客さま宅の築年数を選択して、屋根カバー工法のポイントを確認してください。

築後10年未満の屋根でカバー工法お検討するのは少し早すぎる感じがあります。
ただし、風による影響が強い地域や、風に弱い屋根材(施工方法含む)で施工されている場合、築後1年でも屋根がはがれるといったことがおこります。
海岸沿いや高台、建物の周りに風を遮るものがない地域は要注意です。
屋根の不具合が顕著に現れている場合は、耐風性能に優れた屋根材と方法で屋根カバー工法を検討するとよいでしょう。

築10年~20年未満のスレートはカバー工法を実施するのに最もおすすめのタイミングです。
2000年代初頭に流通したスレートは、従来のスレートと違ってアスベストが含まれていません。
この頃に発売されたスレートは、アスベストを含むスレートに比べて頑丈さに劣ります。
割れやひび、はがれなどの不具合が比較的多く発生します。
放置をしておくわかにはいかない状態になっていることが多いです。
テイガクではこの時期のスレートは塗装を避けたほうがよいと呼び掛けています。

築20年以上が経過したスレートは屋根カバー工法の適正時期です。
ただし、築30年を超える頃には屋根の劣化状況がかなり進んでいるはずです。
そのため、通常のカバー工法ができずに、野地板増し張りカバー工法や葺き替えを選択せざるを得ない場合があります。
なお、この時期に製造されたスレートはアスベストが含まれています。
アスベストが含まれているスレートを葺き替える工事費用は高額です。
葺き替えを避けたい方は、屋根の劣化が進む前に屋根カバー工法を検討してください。

築40年以上が経過したスレートに、テイガクは屋根カバー工法をおこないません。
40年以上の経過した屋根は、かなり高い確率で屋根下の劣化が進行しています。
また、旧耐震基準で建築されていることが多く、屋根荷重が増える影響にも不安が残ります。

屋根カバー工法と葺き替えの費用と目安

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項目を選んで屋根カバー工法の費用を確認しましょう

標準的な屋根カバー工法の費用目安(税込)

(屋根平米 × 1.1万円)

足場代20万円

野地板増し張り屋根カバー工法の費用目安(税込)

(屋根平米 × 1.3万円)

足場代20万円

野地板の増し張りは、屋根の傷みが進んでいる場合にのみおこないます。
「屋根の形」や「周囲の環境」「使用する屋根材や板金部材」によって費用が変わります。

スレート屋根(アスベスなし)を金属屋根に葺き替える費用目安 (税込)

(屋根平米 × 1.7万円)

足場代20万円

アスベストが含まれているスレートを葺き替える費用目安(税込)

(屋根平米 × 1.9万円)

足場代20万円

葺き替えは野地板を増し張りする工事となります。
「屋根の形」や「周囲の環境」「使用する屋根材や板金部材」によって費用が変わります。

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屋根カバー工法に関するよくある質問

カバー工法とコロニアル(スレート)への葺き替えの工事価格はそんなに変わらないと聞いたのですが?

A

カバー工法の工事価格はどんな葺き替え工事よりも安いです。
古いコロニアルを新しいコロニアルへ葺き替える工事は、「1.既存のコロニアルを撤去する手間」「2.既存のコロニアルを処分する費用」そして「3.野地板を新しく張る手間と材料費用」がかかります。
最近の傾向として「3.野地板を新しく張る手間と材料費用」を除いたコロニアル葺き替え工事を推し進める業者が多いです。
しかし、コロニアルはとてもデリケートな屋根材なので、野地板の経年劣化や葺き替え時の野地板への負荷(バールで無理やり剥がします)に配慮する必要があります。
コロニアル製造会社であるケイミューは野地板を新設しないことを禁止しています。
また、コロニアルを処分する産業廃棄の費用負担も近年大幅に値上がりしています。

パミールにカバー工法をして問題はありませんか?

A

原則、問題はありません。
パミールは含水率が高いノンアスベストのスレートとして知られています。
主に吸水する箇所はパミールの先端部分です。
パミールは先端の小口(切り口)から雨水をたくさん吸い込みます。
そのため、パミールは先端が異常なほどめくれ上がることがあります。
同時に吸い込んだ水は蒸発して屋根の隙間に結露を引き起こします。
カバー工法をおこなうとパミールが雨で濡れることがなくなるから、この問題は解消できます。
屋根の消耗が進行している屋根は、粘着シール付きの防水シートで屋根全体を一体化させる処置をおこないます。
ボロボロのパミールをシールの力で抑え込ませます。
パミールについて詳しくはこちら

一番安く仕上げられる屋根カバー工法の商品は?

A

アスファルトシングルを用いた屋根カバー工法が最も安く仕上げられます。
アスファルトシングルとは分厚いゴム素材の屋根です。
屋根カバー工法にかける予算が少ないかた向けの屋根材です。
アスファルトシングルのカバー工法費用について詳しくはこちら

金属屋根は再塗装が必要でしょうか?

A

色あせをベンチマークにするのであれば、塗装は不要です。
しかし、錆をベンチマークにするのであれば、塗装は必要です。
金属屋根のメーカーからはウレタン塗膜の金属屋根は10年、フッ素塗膜の金属屋根は25年経過後に再塗装することが推奨されています。
しかし、色あせが屋根機能に与える影響はありません。
色あせは見た目だけの問題です。
なお、金属屋根のなかには色あせがしない石粒付き鋼板屋根があり、最近人気が高まっています。
石粒付き鋼板屋根のカバー工法費用について詳しくはこちら

カバー工法後の雨音の大きさについて教えてください

A

断熱材入りもしくは空気層がある石粒付きの金属屋根は遮音効果があるため、雨音の心配はありません。
テイガクは過去1万棟近く屋根カバー工法をおこなってきましたが、一度も雨音に関する問題はおこっていません。
雨音は縦葺きの断熱材がない金属屋根で仕上げる場合に起きる問題です。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。
千葉県立船橋東高校→法政大学経営学部→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する建築板金工事会社(昭和ルーフリモ株式会社)へ入社。
最終学歴、中央工学校夜間建築学科。
年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-5)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他