折板屋根の断熱材「ペフ」とは?
ペフとは、折板屋根(せっぱんやね)の裏側に貼る、ポリエチレンフォーム製の薄い断熱材のことです。
折板屋根の結露対策で最も費用対効果が高い方法は、裏側に断熱材が貼られた「ペフ付き折板屋根」を採用することです。
100坪(約330㎡)程度の工場・倉庫なら、改修工事全体の約2〜4%にあたる10万円〜15万円程度の費用追加で、結露を防止できます。
この記事では、工場・倉庫の屋根改修を手がけるテイガクが、断熱材ペフの基礎知識をはじめ、結露が発生する原因や雨漏りとの見分け方、5つの対策比較、改修時の注意点まで分かりやすく解説します。
目 次
表示ペフ(裏打ち材)の素材・厚み・呼び方
ペフは、ポリエチレンフォーム(発泡ポリエチレン)と呼ばれる素材でできたシート状の断熱材です。
厚さは数mm程度のものが一般的で、テイガクでは厚さ3mm(t3)をよく採用しています。
軽くて水を吸いにくく、金属の屋根材に貼り付けやすいのが特長です。
断熱材の中では最も安価で、夏場の暑さや冬場に結露が発生しやすい折板屋根に広く使われています。
ポリフォーム・裏打ち材・ペフシート
現場や見積書では、ペフはさまざまな名前で呼ばれます。
「ポリフォーム」「ペフシート」「裏打ち材」「結露防止材」は、いずれも同じものを指していることがほとんどです。
見積書に「ポリフォーム t3」と書かれていれば、厚さ3mmのペフのことです。
工場で折板屋根の裏面にあらかじめペフを貼り付けた製品を、裏打ち折板(断熱材付き折板)と呼びます。
鋼板と断熱材が一体になっているため、現場で貼る手間がかからず、価格も抑えられます。
裏打ち材の種類と選び方の注意点
折板屋根の裏打ち材は、「ペフ」だけではありません。
建物の用途や防火上の決まりによって、使える裏打ち材が変わります。
また、古い折板屋根の裏打ち材には、「アスベスト」を含む注意が必要なものもあります。
裏打ち材は「一般・準不燃・不燃」の3種類
折板屋根の裏打ち材は、燃えにくさによって大きく3つに分かれます。
3種類の裏打ち材
| 種類 | 主な素材 | 商品例 | 使われる建物 |
|---|---|---|---|
| 一般 | ポリエチレンフォーム(ペフ) |
・ソフトロン ・フォームエース |
防火上の制限が少ない建物 |
| 準不燃 | 難燃剤を混ぜたポリエチレンフォーム | ・フォームエースSR | 防火の基準がある建物 |
| 不燃 | ガラス繊維、無機質高充填フォームプラスチック |
・NSフネン ・フネンエース ・スーパーフェルトン |
耐火建築物など |
一般的なペフのほか、ガラス繊維製の「NSフネン」や、無機質を多く含む「フネンエース」などが、不燃材料の認定を受けた裏打ち材です。
大きく違うのは、燃えにくさです。
耐火建築物では不燃の裏打ち材を選ぶ
耐火建築物では、屋根にも耐火性能(30分耐火構造)が求められます。
折板屋根の場合は、国土交通大臣の認定を受けた仕様に合わせて、裏打ち材を選ぶ必要があります。
一般的なペフを貼った折板屋根では、この基準を満たせない場合があります。
耐火建築物の屋根を改修するときは、建物がどの防火仕様で建てられているかを確認したうえで、裏打ち材を選択しましょう。
古い折板屋根の裏打ち材にはアスベストを含むものがある
1989年頃まで、石綿(アスベスト)を含む折板屋根用の断熱材が製造されていました。
そのため、古い工場や倉庫の折板屋根では、裏打ち材にアスベストが含まれている可能性があります。
改修・撤去前には法律で事前調査が義務付けられており、含有時は飛散防止対策や届出が必要です。
古い屋根を撤去しない屋根カバー工法は、石綿を含む建材を壊さずに改修できる方法としておすすめです。
古い折板屋根の改修を検討されている場合は、まずは屋根の専門工事会社へ相談しましょう。
テイガクは有資格者(建築物石綿含有建材調査者)が常駐しています。
折板屋根に結露が起きる原因
折板屋根で結露が起きる主な原因は、「冷えやすい金属屋根」と「室内の暖かく湿った空気」がぶつかるためです。
薄い鉄板でできた折板屋根は外気の影響を受けやすく、冬の夜間は放射冷却によってキンキンに冷え込みます。
そこへ室内の湿った空気が触れることで、屋根の裏側に大量の水滴が発生します。
最近の折板屋根は断熱材一体型が標準になっていますが、古い工場・倉庫の折板屋根には断熱材が付いていないものが多くあるため、結露が起きやすいです。
冬の暖房・人・機械が湿気を増やす
断熱材がないまま、真冬に屋根の下でストーブを焚くと、雨漏りを疑うほどの結露水が出ることもあります。
人の出入りが多い作業場や、蒸気・水を使う機械がある工場も、湿気がこもりやすく結露が起きやすい環境です。
カバー工法では「古い屋根とのすき間」で結露が起きる
古い屋根を残したまま、その上に新しい折板屋根をかぶせるカバー工法では、古いスレート屋根と新しい折板屋根のあいだに、空気の層(すき間)ができます。
この空気層の中は、結露が起きやすい場所です。
そこで役に立つのが、新しい折板屋根の裏側に貼られた断熱材です。
断熱材があることで折板屋根の裏が冷えにくくなり、空気層の中の結露(内部結露)を抑えられます。
カバー工法で断熱材を入れるいちばんの目的は、暑さ対策よりも、この結露を抑えることにあります。
結露水が事業に与える影響と問題
紙製品や精密機器、食品などを扱う事業主様にとっては、結露水の落水は決して見逃せない問題です。
実際に、テイガクが屋根カバー工法をおこなったある倉庫では、倉庫の中で梨を詰めるダンボールの作業がおこなわれていたため、ダンボールが結露水で濡れることのないよう、断熱材付きの折板屋根で施工させていただきました。
ダンボールが濡れれば、出荷にも影響が出てしまいます。
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床が濡れて、従業員が滑って転倒する
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ダンボールや製品が濡れて商品価値が下がる
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湿気でカビが発生し、作業環境が悪くなる
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屋根の裏や鉄骨に錆が広がり、建物の寿命が縮む
雨漏りか結露か?見分け方の5つのポイント
天井から水が落ちてきたとき、まず確かめたいのが「雨漏りなのか、結露なのか」です。
対策がまったく違うためです。
実際には、雨漏りと結露が同時に起きているケースも少なくありません。
判断が難しい場合は、屋根の上と裏の両方を確認できる屋根工事会社に現地調査を依頼するのが確実です。
| 確認ポイント | 結露の可能性が高い | 雨漏りの可能性が高い |
|---|---|---|
| 天気 | 晴れた日でも水が落ちる | 雨の日やその翌日に水が落ちる |
| 時間帯 | 早朝〜午前中に多い | 雨が降っている時間帯に多い |
| 季節 | 冬場に多い | 季節を問わない(台風・大雨のとき) |
| 濡れ方 | 屋根の裏全体がしっとり濡れている | 特定の場所からポタポタ落ちる |
| 屋根の状態 | 錆や穴が少ない | 錆による穴あき・ボルトまわりの劣化がある |
カバー工法後に「雨漏りが止まらない」と言われる理由
折板屋根の改修工事後に起きるクレームで最も多いのが、結露水による水漏れです。
古い屋根の上に新しい屋根をかぶせる「屋根カバー工法」をおこなった後でも、結露水は発生します。
新しい屋根の裏で生じた結露水が、経年劣化で穴があいた古い屋根から室内へ漏れてくるのです。
そのため、「屋根カバー工法をしたのに雨漏りが解消しない」と勘違いされるお客様もいます。
カバー工法をおこなうなら、新しい屋根に断熱材を付けておくことが、工事後の水漏れを防ぐいちばんの近道です。
折板屋根の結露対策5つを比較
折板屋根の結露対策は、大きく分けて5つあります。
費用と効果のバランスは、建物の使い方によって変わります。
折板屋根の結露対策5つ
| 対策 | 結露対策 | 暑さ対策 | 費用 | 施工の時期 | 向いている建物 |
|---|---|---|---|---|---|
|
①ペフ付き折板で カバー工法 |
〇 | △ |
◎ (安い) |
屋根改修と 同時 |
最低限の結露対策をしたい |
|
②グラスウール +カバー工法 |
◎ | 〇 | 〇 |
屋根改修と 同時 |
断熱効果と結露対策 |
|
③二重折板 (断熱材を挟む) |
◎ | ◎ |
△ (高い) |
屋根改修と 同時 |
空調費や労働環境を改善 |
|
④結露防止塗料を 屋根裏に塗る |
× | × | △ | いつでも | おすすめしない |
| ⑤換気・除湿 |
△ (補助) |
△ (補助) |
設備による | いつでも | 断熱と組み合わせ |
①ペフ付き折板でカバー工法
屋根カバー工法や葺き替えの際に、裏打ち折板を採用する方法です。
鋼板一体型の断熱材仕様(裏打ち断熱)は安く、コストパフォーマンスに優れています。
結露対策としては、まずこの方法が基本になります。
②グラスウール+カバー工法
価格は高くなりますが、戸建て住宅で使うようなグラスウールを古い屋根の上に敷き、その上から新しい折板屋根をかぶせることもできます。
ペフよりも断熱層が厚くなるため、暖房を使う作業場など、結露が出やすい環境に向いています。
フェルト状の、より断熱性能の高い断熱材を選ぶこともできます。
ただし、グラスウールは費用がかかります。
そのため、最低限の対策として、薄いペフ(裏打ち断熱材)で施工するケースも多くあります。
ご予算に応じて、グラスウールにするか、ペフにするかを検討してください。
なお、断熱材は夏の暑さだけでなく、冬に暖房の熱が屋根から逃げるのを抑える役割もあります。
③二重折板(断熱材を挟む)
2枚の折板屋根で厚みのある断熱材を密閉するように挟み込む、サンドイッチ構造(インシュレーション工法)の屋根です。
断熱層が厚いため、結露防止に加えて、夏の暑さ対策や空調費の削減も期待できます。
ペフ付き折板より費用は高くなるため、結露だけでなく、暑さ対策もあわせておこないたい工場・倉庫に向いています。
④結露防止塗料を屋根裏に塗る
今ある屋根の裏側に、結露を抑える専用の塗料を塗る方法です。
塗膜が水分を吸うことで、水滴が落ちるのを抑えます。ただし、冷えた屋根に湿った空気が触れるという、結露の原因そのものはなくなりません。
塗膜が吸える水分には限りがあり、吸いきれずに結露水が落ちることもあるため、結露対策としてはほぼ意味をなさないといってもよいでしょう。
また、塗料を塗っても錆や穴あきなど屋根そのものの劣化は直らず、数年後に屋根の改修が必要になれば、塗装の費用が無駄になってしまいます。
そのため、テイガクではおすすめしていません。
⑤換気・除湿
換気扇の増設や除湿機の運転で、室内の湿気そのものを減らす方法です。
ストーブの使い方を見直すだけで、結露が減ることもあります。
ただし、屋根が冷える限り結露はなくならないため、断熱と組み合わせる補助的な対策と考えてください。
折板屋根の断熱材の費用
折板屋根の改修時にペフ(裏打ち断熱材)を追加する費用は、100坪(約330㎡)規模で10万円〜15万円程度のコストアップで済みます。
屋根カバー工法の工事費全体は、330㎡で約363万円〜495万円程度です。
ペフの費用は工事費全体のわずか2〜4%ほどです。
わずかな予算追加で結露を防げるため、非常にコスパの良い選択肢です。
断熱材の㎡単価
| 断熱材 | おおよその㎡単価 |
|---|---|
| ポリエチレンフォーム(ペフ) | 300円〜400円/㎡ |
| グラスウール | 1,500円〜2,000円/㎡ |
テイガクでおこなったペフ付き折板屋根の施工例
DIYで結露対策はできる?工場・倉庫で業者に任せるべき理由
ガレージやカーポートなど小さな折板屋根であれば、市販のペフや結露防止シートを貼ったり、断熱塗料を塗ったりするDIYも見られます。
しかし、工場・倉庫の屋根でのDIYは基本的におすすめしません。
屋根の補修は高所での作業のため、転落の危険性もあります。
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天井が高く、足場や高所作業車が必要になる
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屋根の上での作業は、踏み抜きや転落の危険がある
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面積が広く、貼りムラがあると数年で剥がれて落下する
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錆の上から貼っても、効果が長続きしない
-
古い屋根では石綿を含む建材の可能性があり、事前調査が必要になる
すぐにできる応急処置としては、製品や機械の真上をシートで覆う、ストーブの使い方を見直して湿気を減らすといった方法があります。
根本的な対策は、屋根改修のタイミングで断熱材を入れることがおすすめです。
専門の屋根工事会社に調査を依頼しましょう。
断熱材は「真っ先に削られる項目」。それでも残してほしい理由
私たち施工会社にとって、屋根工事後すぐにお客様からクレームを受けることは一番避けたいことです。
そのため、結露防止のためにもテイガクでは裏打ち付き(断熱材付き)の折板屋根工事をご提案しています。
一方で、筆者がお客様と工事費用の折衝をするとき、真っ先にコストカットとしてご提案するのが断熱材の取り下げです。
もちろん、お客様のご要望や建物の使い方によっては、断熱材を貼らない施工をご提案することも可能です。
しかし、将来的に倉庫や工場を別の用途に使ったり、テナントとして賃貸に出したりすることもあるはずです。
ペフの費用は工事費全体の数%にすぎません。
建物の資産価値を考えると、ぜひ折板屋根の裏打ちは取り入れてほしいというのが、私の考えです。
工場・倉庫を稼働させたまま結露対策するならテイガクへ
屋根カバー工法なら既存の屋根を残して施工するため、基本的に工場・倉庫を稼働させたまま工事が可能です。足場の組み立てや資材の搬入・搬出は、工場・倉庫がお休みの土日・祝日に実施するなど、柔軟に対応いたします。
「雨漏りか結露か分からない」「ペフ付き折板の費用を知りたい」などのお悩みも、専門会社のテイガクにお任せください。結露による製品の濡れや転倒事故を防ぐためにも、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
A
折板屋根の裏側に貼る、ポリエチレンフォーム製の薄い断熱材です。冷えた屋根の裏に湿った空気が触れて水滴になる「結露」を抑えます。見積書では「ポリフォーム」「裏打ち材」と書かれることもあります。
A
300円〜400円/㎡が目安です。100坪(約330㎡)程度の屋根なら、10万円〜15万円程度のコストアップになります。屋根が大きいほど単価は下がります。
A
折板屋根の裏側に貼る断熱材のことで、結露を防ぎ、断熱性を高める役割があります。一般的なものはポリエチレンフォーム製の「ペフ」で、耐火建築物などでは不燃の裏打ち材を使います。
A
1989年頃までは、石綿を含む折板屋根用の断熱材が製造されていたため、古い建物では含まれている可能性があります。改修の前には石綿の事前調査が必要なので、専門の会社に調査を依頼してください。
A
費用を抑えるならペフ、結露をしっかり防ぎたいならグラスウールです。グラスウールは1,500円〜2,000円/㎡とペフの4〜5倍ほどかかりますが、断熱層が厚くなります。冬に暖房を使う作業場ではグラスウールも検討してください。
A
貼ることはできますが、錆や汚れで接着しにくく、広い範囲の高所作業になります。屋根の劣化が進んでいる場合は、断熱材付き折板でのカバー工法のほうが確実です。
A
晴れた冬の早朝に屋根の裏全体が濡れていれば結露、雨の日に特定の場所から落ちてくれば雨漏りの可能性が高いです。両方が同時に起きていることもあるため、判断に迷う場合は現地調査を依頼してください。
