葺き替え工事はかなりの費用がかかる工事です。
高額な工事だからこそ、屋根工事で失敗することは絶対に避けたいです。
その一方で、屋根工事の方法は、会社や職人さん、屋根材ごとに全く異なります。
工事品質を重視した2023年9月現在のテイガクの葺き替え工事の方法と手順をご案内します。
葺き替え工事の手順と方法
築18年のスレート屋根の葺き替え手順
1:アスベスト含有の事前報告
屋根のアスベスト有無の報告を工事前に自治体におこないます。
2023年10月から法律が更に厳しくなっています。
両罰規定であるため、工事を依頼する側(お客様側)も工事会社が事前報告を怠っていないか、必ず確認しましょう。す。
2:工事前の写真
葺き替え前の屋根です。
スレート屋根で、屋根のてっぺんには屋根裏の熱と湿気を放出する換気棟が取り付けられています。
ノンアスベストのスレート屋根です。
長く安心できる屋根工事を実現するには、屋根カバー工法ではなく、葺き替え工事が望ましいです。
3:既存屋根撤去
屋根をはがします。
屋根をはがした際、釘や屋根材のかけらが飛散するおそれがあります。
そのため、近隣には注意を払う必要があります。
まれに養生シートを張らずに屋根をはがしている会社様を見かけます。
4:野地板増し張り
古い野地板の上に新しい野地板を張ります。
構造用合板12㎜厚の板材を用います。
価格が安い普通合板やコンパネはNGです。
5:ルーフィング貼り
ルーフィングを張ります。
屋根用の防水シートです。
田島ルーフィングのPカラ―EX+を使用しました。
改質アスファルトルーフィングになります。
6:屋根本体立ち上げ
金属屋根を張り上げます。
アイジー工業のスーパーガルテクトを使用しました。
棟の内部に雨水が回らないよう、棟部分(下り棟部)は立ち上げます。(他の施工方法あり)
横葺き金属屋根で取り入れたい施工方法です。
テイガクでは「エスヌキ工法」とよばれる従来の立ち上げの問題を解消した工法を開発し、2023年現在は屋根本体を立ち上げる施工方法に原則、採用しています。
7:棟下地取り付け
棟板金の下地を取り付けます。
屋根の棟部はトラブルが頻発する部位です。
木や樹脂の下地材ではなく、特許を取得した40年以上安心できる金属製の棟下地(エスヌキ)をテイガクでは採用しています。
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)の強度について
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)は「価格の安いガルバ」と「錆に強いアルミ」の2種類からお選び頂けます。
アルミは、異種金属接触の腐食を考慮した板厚(1.3mm)で設計し、表面にはアルマイト処理(絶縁処理)を施しています。
これまでの数多くの失敗と経験から生まれたテイガクのオリジナルの下地材です。
詳細はこちら
8:面戸取り付け
棟板金の脇には、面戸とよばれる棟の内部へ進む雨水を食い止めるスポンジ部材を貼り付けます。
この作業をおこなっていない屋根工事業者、多いです。
テイガクでは屋根材メーカー同様、面戸取り付けを推奨しています。
9:換気棟取り付け
棟板金を取り付けて、屋根のてっぺんには既存の屋根同様、換気棟を取り付けます。
10:完成
屋根工事完成です。
雪留め金具は2段目と3段目に交互に配置させます。
1段目に配置したり、1列に配置したりする屋根をよく見かけます。
下屋根をのぞいて、雪止めは写真のような配置が適切です。
また、雪留め金具を他社メーカーの安い製品で代用している現場もよく見かけます。
雪留め金具の根元から雨水が屋根内部に入り込むおそれがあるため、必ずメーカー純正品の雪留め金具を用います。
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屋根工事前にアスベストの事前調査報告をおこなう
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近隣への配慮として養生をおこなう
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野地板は構造用合板12㎜厚を用いる
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原則、横葺き金属屋根の下り棟は屋根本体を立ち上げる(他の施工方法あり)
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棟板金の下地の選定に注意する
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棟板金の下地の脇に面戸を取り付ける
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換気棟を取り付ける
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メーカー純正品の雪留め金具を取り付ける
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雪留め金具は1列ではなく2列に配置する
葺き替え工事にかかる日数とおすすめ時期
葺き替え工事の平均日数
80㎡前後の屋根吹き替えの平均日数
スレート屋根の葺き替え日数 | 約7日 |
土葺き瓦屋根の葺き替え日数 | 約10日 |
葺き替え工事のおすすめ時期
天候が崩れやすい月は、あまり葺き替え工事が適さない時期です。
2023年の夏はかなり暑く、職人さんのパフォーマンスが大きく低下しました。
12月と1月は雨が少ないので、最も葺き替えに適した時期です。
屋根葺き替えのおすすめな時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | × | × | 〇 | 〇 | ◎ |
その他抑えておきたいポイント
A
土で瓦を固定させる土葺き屋根は、例外なく長年の屋根の重みで屋根面がたわんでしまっています。
そのため、屋根面を平滑にさせる「下地調整」とよばれる工程が必要になります。
ただ木の棒を屋根に添えるのではなく、墨を打って屋根がフラットになるよう細かく屋根の角度を調整させます。
かなり高度な技術が必要な工事項目です。
A
雨漏りが生じている場合、野地板が腐食しているおそれがあります。
雨漏りが発生していた部分だけ野地板を補強させて屋根を改修することも可能です。
野地板の部分修理を含めた工事を検討してください。
A
耐震性の向上を目的とする場合、野地板の増し張りではなく、野地板を交換することで建物の耐震性能はより高まります。
A
垂木は野地板を支える木材です。
野地板をはがさなければ、垂木の補強ができないため、野地板交換を伴う葺き替え工事を実施することになります。
A
瓦の葺き替え工事や天窓の交換工事などは、屋根裏にほこりやゴミが入り込む恐れがあります。
貴重品がある場合は、あらかじめ養生をおこなう必要があります。
A
原則、廃材置き場と職人さんの駐車場が必要です。
概ね車2台分のスペースが葺き替え工事では必要となります。
スペースがない場合は、別途費用がかかるかたちになります。