外壁カバー工法とは?
外壁カバー工法とは、古い外壁材の上に新しい外壁材を重ね張りする外壁改修工事のことです。
経年劣化が激しい外壁や、雨漏りが発生している外壁を改修する手段として適しています。
最近は、断熱効果やデザインの刷新を目的に改修を検討される人が増えています。
繰り返しおこなう外壁塗装と異なり、1度で済むリフォームであることも有益な点です。



目 次
閉じる外壁カバー工法のメリットとデメリット
ここからは外壁カバー工法のメリットとデメリットについて解説します。
1.外壁カバー工法のメリット
外壁カバー工法の最大のメリットは、一度リフォームをおこなえばその後のメンテナンスが不要になる点です。
外壁塗装の場合は、数年毎に塗り直しやシーリングの交換が必要になるのに対し、外壁カバー工法は、新しい外壁材を重ねて張るため新築と同様の外壁の状態にすることができます。
外壁塗装では外壁を塗膜で保護するのみなので、外壁本体の機能回復はできません。
外壁カバー工法は、雨漏りなどの外壁の問題も根本的に解決することができます。

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外壁の耐久性が大幅に向上する
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メンテナンスコストを抑制できる
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外壁のデザインを大幅に変えることができる
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不要な窓を無くすことができる
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断熱性能が向上する
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遮音性能が向上する
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雨漏りが解消される
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通気層が確保できる(結露による影響を抑えることができる)
テイガクで実際におこなった外壁カバー工法の工事前と工事後の写真です。
外観が工事前のと比べて新築のようにガラリと変わりました。
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2.外壁カバー工法のデメリット
外壁カバー工法のデメリットは、費用が高いことです。
一般的に外壁塗装と比べて2〜2.5倍の初期費用がかかります。

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外壁塗装と比べて工事価格が高い(外壁塗装の約2.5倍前後の費用)
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工期が長く工事音が不快
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衝撃に弱く凹みやすい
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狭小地などの外部環境によっては工事ができない
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施工業者の技量や実績を見極めるのが難しい
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LOW-Eガラスの窓と組み合わせると電波が悪くなる(対策方法あり)
外壁カバー工法は後悔する?失敗例は?

外壁カバー工法は、外壁塗装に比べて明らかに満足度が高い工事であり、外観の美しさだけでなく住まいの快適性や生活の質も向上します。
ただし、外壁カバー工法で使用する金属サイディングは非常に繊細な素材であり、建築板金職人による手作業で加工・施工されるため、工事中に細かな傷や凹みが生じる可能性があります。
特にリフォーム工事では、新築工事よりも条件が悪く、傷や凹みがより起こりやすくなります。
そのため、小さな傷や凹みに対して過敏な方には、あまりおすすめできない工法です。
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塗装前と塗装後の外壁。べた塗りされてしまい元々の外壁の美しさが損なわれる。
外壁カバー工法の基礎知識
外壁カバー工法の基礎知識をご紹介します。
外壁カバー工法の手順から外壁材の種類について解説します。
外壁カバー工法の工事工程




キーワードは「胴縁」
外壁カバー工法では、金属サイディングを取り付ける前に、胴縁(どうぶち)という下地材を設置します。
胴縁は単に外壁を固定するだけでなく、「通気層」をつくる重要な役割を担っています。

通気層には、大きく分けて2つの効果があります。
1つ目は外壁の断熱性能を高める効果、2つ目は、万一外壁内部に雨水が侵入した際に排水する効果です。
このように新たな通気層を設けることで、外壁の耐久性を30年以上にわたり維持することが期待できます。
外壁カバー工法で用いる主な外壁材
外壁カバー工法では、主に断熱材一体型のガルバリウム鋼板またはアルミ製の金属サイディングを使用します。
断熱材一体型の金属サイディングは、数ある外壁材の中でも特に優れた断熱性能を持つことで知られています。
近年では省エネ基準が設けられ、各メーカーは自社製品の熱貫流率(断熱性能の指標)を公開しています。
断熱性能を重視される場合は、メーカーごとのホームページで製品の熱貫流率を比較検討することをおすすめします。


性能・耐久性・デザインバリエーションを総合的に評価すると、ガルバリウム鋼板製の金属サイディングが最もおすすめです。
一方で、アルミ製のサイディングは最も歴史が古いサイディング材であり、施工後のメンテナンスがほぼ不要なことから、近年再び評価が高まっています。
なお、倉庫や工場などの大規模建築物の場合、コストを抑えるために、断熱材を備えていないガルバリウム鋼板(特に角波タイプ)が多く採用されています。
金属サイディング比較
屋根材 | コスト | 耐震性 | 断熱性 | デザインの数 | 沿岸地域 | 凹みやすさ |
---|---|---|---|---|---|---|
ガルバリウム鋼板 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
エスジーエル鋼板 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
アルミ | △ | ◎ | 〇 | △ | 〇 | × |
樹脂 | 〇 | ◎ | × | × | ◎ | 〇 |
施工方法で抑えておきたいポイント
一般的に、金属サイディングは横向きに張ります。
しかし、スパン系サイディングとよばれるシンプルな金属サイディングが登場し、金属サイディングを縦向きに張る機会も増えています。
横張りと縦張りで金属サイディングの下地に当たる胴縁の向きが変わります。
「横張り」と「縦張り」

横張りの金属サイディングは縦方向(縦胴縁)に、縦張りの金属サイディングは横方向(横胴縁)に胴縁を取り付けます。
外壁材と逆向きに胴縁を取り付けます。
一般的に、縦胴縁の方がメリットが多いです。
金属サイディング比較
張る方向 | 胴縁の向き | 通気性 | コスト |
---|---|---|---|
横張り | 縦 | 〇 | 〇 |
縦張り | 横 | × | × |
透湿防水シート

築後20年が経過している外壁は、原則、透湿防水シートを貼り付けます。
防水シートを貼ることで雨漏りリスクは更に低減できます。
工事期間は約1か月

一般的な戸建て住宅で必要な外壁カバー工法の工事期間は、約1か月です。
金属サイディングは1枚4メートルあり、1棟あたり約100枚、使用します。
そのため、外壁材の搬入や資材置き場、職人さんの作業スペースが必要です。
1面張りも可能

紫外線や雨風にさらされ劣化が進みやすいバルコニー側の南面、結露が起きやすいキッチンや浴室が位置する北面、あるいは店舗の外観を一新したい東面など、特定の外壁面のみを外壁カバー工法で施工することも可能です。
部分的なリフォームでも十分に効果を発揮し、建物の美観や機能を向上できます。
どんな外壁にも外壁カバー工法はできる?
ここからは、主要な外壁材で、テイガクが外壁カバー工法をおこなった事例と工事のポイントをご紹介します。
窯業サイディング
セメントを主成分としたパネル状の外壁材「窯業サイディング」への外壁カバー工法は、問題なく施工ができます。
一般的な外壁塗装では約10年ごとに2〜3回の塗り替えが必要であり、シーリングの打設費用も高額になりがちです。
また、地震によるひび割れの発生や、一部の商品(12㎜厚の商品)・施工方法(通気層のない直張り)によっては劣化が早まる場合もあります。
そのため、外壁カバー工法を一度実施することで、メンテナンスコスト負担を軽減し、長期的な外壁維持を実現できます。
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窯業サイディングのビフォーアフター
モルタル外壁
モルタル外壁は、ひび割れが生じやすく、メンテナンス頻度が高い外壁のため、外壁カバー工法に適した外壁です。
実際に、外壁カバー工法が行われる施工実績が最も多い外壁でもあります。

経年劣化によって外壁面に凹凸や段差(不陸)が発生している場合、施工前に外壁面の高さ調整(不陸調整)が必要になることがあります。
透湿防水シートと併用して新しい外壁材を重ね張りすることで、防水性や耐久性を高め、外壁の寿命を大きく延ばすことができます。
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モルタル外壁のビフォーアフター
ALC
近年、テイガクでもALC外壁への外壁カバー工法の施工事例が増えています。
ALC外壁はシーリングの打設費用負担が非常に大きく、外壁塗装にかかる費用も他の外壁材と比べて高額になりがちです。
また、ALCの耐用年数は約40年程度であり、特に古い施工方法の場合は地震による影響を受けやすくなっています。
そのため、外壁カバー工法を実施することで長期間にわたり耐久性を高め、建物を良好な状態で維持することができます。
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ALCのビフォーアフター
外壁カバー工法ができないケース
結露や雨漏りによって、外壁材の内部腐食がかなり進行している場合、外壁カバー工法はおすすめしません。
外壁を張り替える工事をおすすめします。
外壁カバー工法に適したタイミングは?
建物の築年数に応じた外壁カバー工法に適したタイミングについて詳しく解説します。
築後10年未満

基本的に築浅の建物に外壁カバー工法をおこなう必要はありません。
この時期に製造された窯業サイディングは、厚みが14mm以上あり、とても丈夫です。
外壁が2重になることで、より外壁の耐久性を高めることができるという意見や建築費高騰の背景もあります。
お子様の教育費や生活費の蓄えに大切なお金を活用することをおすすめします。
工事をおこなうかは、慎重に検討しましょう。
築後10年~20年未満

築後10年を過ぎると、多くの方が外壁の劣化や経年変化を気にし始めます。
この時期に使用されていた窯業サイディングは厚さ12~13mm程度のものが多く、現在の品質基準と比較するとやや脆弱な外壁材です。
ただし、外壁通気工法が採用されていることが多いため、雨漏りのリスクは比較的低い構造になっています。
また、この時期になるとリフォーム会社から外壁塗装の提案が増え、広告チラシも目立つようになり、周囲でも外壁塗装工事を始める家が出てきます。
しかし、金属サイディングのデザインや性能に魅力を感じている場合は、築20年を迎えるまで外壁塗装を控え、その間に資金を蓄えて、外壁カバー工法を選択することをおすすめします。
その頃には、さらに性能とデザインが優れた外壁材が登場しているかもしれません!
築後20~39年未満

築後20年〜39年未満は、外壁カバー工法を実施するのに最も適した時期です。
テイガクのお客様でも、この時期に外壁カバー工法を選択される方が非常に多くなっています。
対象となる建物は、主にひび割れが起きやすい厚さ12mmの窯業サイディングやモルタル外壁が中心です。
特に当時の窯業サイディングは外壁が傷みやすく、雨漏りリスクも高い「直張り工法」で仕上げられていることが多いため注意が必要です。
また、この時期はお子様が成長し、子育てがひと段落するご家庭も多いことでしょう。
一方で、加齢による体力の衰えもあり、業者選びや大がかりなリフォーム工事には大きな労力を伴います。
そこで、断熱性能が高くデザインも豊富な金属サイディングを使用した外壁カバー工法をおこなうことで、「一生に一度」で済む安心感と満足感を得ることができます。
さらに、この時期まで外壁塗装を一度も実施していなければ、トータルコストを大幅に抑えることも可能です。
築後40年以上

外壁カバー工法だけではなく、外壁の張り替えを検討する時期でもあります。
外壁内部の腐食が進行している場合は、外壁カバー工法ができないおそれがあります。
最悪の場合、建て替えを要するかもしれません。
外壁工事のプロに調査を依頼しましょう。
外壁カバー工法の費用と外壁塗装との比較
外壁塗装の相場との比較
ガルバリウム鋼板の外壁で外壁カバー工法をおこなった場合の1㎡あたりの工事価格は、約11,000円~15,000円です。

外壁塗装と比べると下記のような費用感となります。
シーリング打設がある窯業サイディングやALCなどの外壁の場合、トータルコストは割安になります。
外壁面積が150㎡の建物における外壁リフォーム費用相場
元の外壁材 | 外壁塗装 | 外壁カバー工法 |
---|---|---|
モルタル外壁 | 50~60万 | 180~220万 |
窯業サイディング | 65~85万 | 180~220万 |
ALC | 80~110万 | 180~220万 |
テイガクで施工した外壁カバー工法の実例と価格
実際にテイガクがおこなった工事事例と工事価格をご案内します。
工事例1:横張りガルバリウム鋼板の外壁カバー工法
【工事詳細】
工事場所 | 大阪府高槻市 |
メーカー名 | アイジー工業 |
鋼板種類 | ガルバリウム鋼板 |
外壁面積 | 160㎡ |
商品名 | スプリームウッド/シャドーライン |
施工方法 | 横張り/縦胴縁/通し出隅/通し目地 |
透湿防水シート | なし |
工事期間 | 約3週間 |
工事費用 | 約220万円(税込み/足場なし) |
大阪府高槻市でおこなった「ガルステージ」の金属サイディングで外壁カバー工法
工事例2:縦張りガルバリウム鋼板の外壁カバー工法
【工事詳細】
工事場所 | さいたま市南区 |
メーカー名 | アイジー工業 |
鋼板種類 | ガルバリウム鋼板 |
外壁面積 | 150㎡ |
商品名 | ガルスパン/ポリエステル |
施工方法 | 縦張り/横胴縁/中間水切り |
透湿防水シート | なし |
工事期間 | 約3週間 |
工事費用 | 約240万円(税込み/足場なし) |
さいたま市南区でおこなった「ガルスパン」の金属サイディングで外壁カバー工法
工事例3:縦張りアルミの外壁カバー工法
【工事詳細】
工事場所 | 茨城県つくば市 |
メーカー名 | YKKAP |
鋼板種類 | アルミ |
外壁面積 | 190㎡ |
商品名 | ガルスパン/インクジェット(無機) |
施工方法 | 横張り/縦胴縁/通し出隅/段目地 |
透湿防水シート | なし |
工事期間 | 約3週間 |
工事費用 | 約300万円(税込み) |
茨城県つくば市でおこなったアルミサイディングで外壁カバー工法
建築板金工事へ直接依頼がおすすめ
どのような工事会社に依頼するかによって、外壁リフォームの費用は大きく異なります。
例えば、工務店やハウスメーカー、塗装専門会社などに外壁カバー工法を依頼すると、多くの場合、実際の施工は建築板金工事会社へ外注されるため、中間マージンが発生して工事価格は割高になります。
一方、建築板金工事会社に直接依頼すれば、余計なコストが発生せず、外壁カバー工法の費用を抑えることが可能です。

一定規模以上の建築板金工事会社であれば、コスト面だけでなく、より専門的で質の高い提案も期待できます。
金属サイディングには多数のメーカーがあり、商品ラインナップも非常に豊富です。
そのため、消費者は「どのメーカーのどの商品を選ぶか」「どのような工法が適しているか」など、専門的なアドバイスを受けながら慎重に検討することができるはずです。
外壁カバー工法の費用単価を公開
テイガクでは、不透明になりがちな外装工事の費用をウェブサイトで明確に公開しています。
専門性が高く、安心してご利用いただけるサービスとして、多くのお客様から高い評価をいただいております。
また、金属屋根のカバー工法と合わせて施工される場合は、割引特典もご用意しております。
費用負担が大きくなりがちな外壁カバー工法を、よりお求めやすい価格で提供いたします。
テイガクの直接工事の工事例
おすすめの商品とデザイン
基本はコストパフォーマンス
コストパフォーマンスを優先するなら、単色の0.35mm厚のガルバリウム鋼板。
価格よりもシンプルモダンなデザイン、あるいは耐久性能を優先する場合は、フッ素塗膜やエスジーエル鋼板の商品がおすすめです。
アイジー工業の商品
価格 | 商品名 | 素材 | イメージ |
---|---|---|---|
最安値 | 伸壁II | ガルバリウム鋼板 |
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コスパ重視 | シャドーライン | ガルバリウム鋼板 |
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デザイン重視 | ガルステージシャイン | フッ素塗膜/ガルバリウム鋼板 |
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デザイン重視 | ガルボウ | エスジーエル鋼板 |
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ニチハの商品
価格 | 商品名 | 素材 | イメージ |
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最安値 | ノースウッド | ガルバリウム鋼板 |
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コスパ重視 | レフィーナウォール | ガルバリウム鋼板 |
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デザイン重視 | ネオスパンプレミアム | フッ素塗膜/ガルバリウム鋼板 |
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外壁カバー工法に関するYouTube動画で解説
外壁カバー工法におすすめの金属サイディングを動画でもご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
よくある質問
断熱材一体型の金属サイディングによる外壁カバー工法は、断熱改修の補助金対象になりますか?
残念ながら断熱改修の補助金対象にはなりません。
工事後のメンテナンスはどうすればいいでしょうか?
雨がかかりにくい箇所は錆びやすいです。
そのため、雨がかかりにくい箇所の状態を年に数回程、チェックしましょう。
ガルバリウム鋼板は錆が拡大しにくい特性があります。
しかし、錆が赤い錆びに変色していると、穴あきへと進行するおそれがあります。
外壁塗装を検討してください。
外壁が張れない部位はどうしますか?
金属サイディングが張れない部位は塗装仕上げとなります。
金属サイディングではなく窯業サイディングを張ることはできますか?
構造上、施工は可能です。
窯業サイディングを張ることは、基本的には耐震性低下の心配があるため、おすすめいたしません。
部分張り程度にとどめることをおすすめします。
凹んだ時の対処は?
リペアを得意とする職人さんがパテと塗装の技術を用いて修理します。
全く凹みが気にならない程度に仕上がります。
外壁機能にも影響は及びません。
DIYで外壁カバー工法はできる?
屋根カバー工法よりも外壁カバー工法の方が難しいです。
素人では基本的にできない工事です。