太陽光発電に適した屋根材は?スレートではなくガルバリウム鋼板がおすすめである理由

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太陽光におすすめの屋根材 太陽光におすすめの屋根材 太陽光におすすめの屋根材

太陽光発電の導入は、発電量だけでなく屋根材選びも重要です。耐久性の低い屋根材では、将来的に高額な追加費用や雨漏りのリスクも。この記事では、「スレート屋根」よりも「ガルバリウム鋼板屋根」がおすすめな理由について、屋根の専門家であるテイガクが失敗事例を交えながら、太陽光発電に最適な屋根材選びのポイントを分かりやすく解説します。
》》テイガクは太陽光パネル新設や脱着を伴う屋根工事の実績があります。ぜひテイガクにご相談ください。

太陽光発電に適した屋根材

結論からのべると、太陽光発電に適した屋根材は「縦葺きの金属屋根」です。
金属素材は、ガルバリウム鋼板、もしくはガルバリウム鋼板より錆に強いエスジーエル鋼板がおすすめです。
太陽光発電を導入する際、屋根材が何であるかは、最も重要な要素のひとつです。

屋根工事の会社「テイガク」に務める筆者は、これまで数多くの太陽光発電の取り付けで失敗した事例を見てきました。
すべての屋根材が太陽光パネルに適しているとは限りません。
また、どのように太陽光発電を取り付けているかも、太陽光発電の安定性に影響を及ぼします。
しかし、消費者の多くは、発電量のみに関心が集中しがちです。

縦葺き金属屋根に太陽光パネルをのせるメリットがわかる動画
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縦葺き金属屋根に太陽光パネルをのせるメリットがわかる動画

太陽光パネルの設置に適した屋根

屋根材 屋根材の耐久性 おすすめ度
スレート屋根 15~35年 ★★
アスファルトシングル 15~25年
横葺き金属(断熱材付) 25~30年 ★★★★
横葺き金属(野地板留め)  25~30年 ★★★★
横葺き金属(断熱材なし) 25~30年 ★★
縦葺き金属 20~25年 ★★★★★
瓦屋根 40~50年 ★★★★

筆者は日頃から、屋根に関する人々の理解が不十分であると感じています。
屋根は永久に持つものではなく、20年から40年に一度は、本格的な改修が必要です。
つまり、人生で少なくとも一度は、屋根の全面改修を経験することになるでしょう。
全面改修とは部分的な修理ではなく、屋根の葺き替えカバー工法を指します。    

屋根材の種類について詳しくはこちら

屋根材 種類と特徴

屋根改修費用と太陽光発電の脱着費用

画像中央の アイコン アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます

工事前の屋根 工事後の屋根

言うまでもないことですが、もし雨漏りが生じたら、太陽光発電の脱着を含めた屋根改修費用が必要になります。
屋根カバー工法の費用は100万円以上、葺き替えになると200万円以上の費用がかかるでしょう。
そして、太陽光発電を外して元に戻す工事も多額の費用がかかります。
太陽光発電の脱着費用はおよそ20~30万円です。
どんな屋根材が使われているか、どのような取り付け方をしているか、どのような太陽光発電の商品かによって金額が変わります。
太陽光発電を投資目的で考えている人は、屋根の本格的な改修費用や太陽光発電を脱着する費用、あるいは最終的に太陽光発電を処分する費用を軽視しがちです。

屋根リフォーム費用

屋根リフォーム費用 費用の目安
屋根塗装 40万円前後
屋根カバー工法 100万円前後
屋根葺き替え(石綿無) 150万円前後
屋根葺き替え(石綿有) 190万円前後
太陽光発電脱着 +25万円前後
太陽光発電処分 +15万円前後 

太陽光発電を取り付けた失敗事例

太陽光発電取付の失敗例

画像の屋根は、ニチハの「パミール」とよばれるスレート屋根です。
10年程度で層間剝離などの不具合が生じることで知られています。
いわゆる第二世代のノンアスベストの屋根であり、屋根の長期維持が期待できない屋根です。
太陽光発電を新規に取り付けた数年後、屋根を葺き替えることになりました。
始めから屋根カバー工法や屋根葺き替えをした後に太陽光発電を取り付けていれば、25万円前後の費用がかからなかったことになります。
余談ですが、この屋根は塗装もNG(意味ない)ですが、屋根塗装もしてしまっています。
このように、太陽光発電の取扱会社、あるいは消費者が屋根に関する知識が乏しいことが多く、太陽光発電を取り付けてしまって失敗するといった事例が後を絶ちません。

太陽光発電を屋根に取り付ける方法

太陽光発電パネルを設置するには、パネルを支えるための金具を屋根に固定する必要があります。
その固定方法には、「屋根材に穴を開けて貫通させる方法」と「屋根材を掴み込んで固定する方法」の2種類があります。
より安全性が高く、屋根への負担が少ないとされるのは、「キャッチ工法」とよばれる、屋根材を掴み込んで固定する方法です。
この工法は、屋根材を傷つけることがなく、防水性や耐久性に優れた設置方法です。

屋根に金具を貫通させて設置

屋根に直接穴をあける

スレート屋根やアスファルトシングルの場合、ボルトを差し込み、太陽光発電の支持金具を取り付けます。
ボルトの数は意外と多く、1枚のパネルでボルトが4本必要で、ボルトを取り付けるためのプレートには10本程度のビスを屋根に直接、穴をあけるかたちで取り付けます。
スレート屋根が欠けたり割れたりしていることも少なくなく、決して適した取り付け方法であるとはいえません。

屋根に金具を掴み込ませて設置

キャッチ工法

金属屋根は他の屋根材とは異なり、屋根の継ぎ目部分に洗濯バサミのような形状の金具を挟み込んで太陽光発電の支持金具を固定します。(キャッチ工法
この方法は屋根に穴を開ける必要がなく防水性を損なわずに設置できるのが特徴です。
ただし、横葺きタイプの金属屋根の場合、支持金具を固定する際に屋根材を締め付けて凹ませてしまうことがあり、施工時には細心の注意が求められます。

縦葺き金属屋根のキャッチ工法

縦葺き金属屋根は横葺き金属屋根と異なり、屋根本体に掴むのではなく、屋根の凸部を利用して掴み込ませるため、屋根に負荷をかけることなく太陽光発電を取り付けることができます。

最低限知っておきたい屋根材の種類と特徴

はじめにも述べたように、太陽光パネルの設置に最も望ましい屋根材は、縦葺きの金属屋根です。
太陽光発電を取り付ける前に屋根材の種類と特徴について把握しておきましょう。

スレート屋根の特徴

スレート屋根

スレート屋根は、セメントと繊維材料を混合して作られた薄い板状の屋根材です。
建売りの戸建て住宅でよく採用されています。
国内屋根製造会社最大手であるケイミュー株式会社が販売している屋根材です。
1990年代半ばまでに製造されたスレート屋根には、アスベストが含まれていました。

スレート屋根のメリット

・価格が比較的安価である
・広く普及しており施工業者が多い

スレート屋根のデメリット

・耐久年数は15~25年程度で、経年劣化に伴うメンテナンスが必要
・昔の製品にはアスベストが含まれている
・太陽光パネルを取り付ける際、屋根に穴を空けて取り付ける

3つに分類されるスレート屋根

特徴 製造年 耐久性 商品名 太陽光発電取付
1世代 アスベスト入り ~1990年代半ば 35年前後 ニューコロニアル ×
2世代 ノンアスベスト 1990年代半ば~
2000年代半ば
15年前後 コロニアルNEO ×
3世代 ノンアスベスト
(第二世代改良)
2000年代半ば~ 25年前後 コロニアルクァッド
※第1世代のスレート屋根は経年劣化が進行しているため、太陽光パネル取り付けはおすすめしません。
第1世代(1990年代半ば以前)

この時期のスレート屋根はアスベスト(石綿)を含んでいます。アスベストは肺がんを引き起こす可能性があるため、現在は使用が禁止されていますが、屋根材としては非常に丈夫であり、30年以上経過しても耐久性が維持されているケースが多いです。すでに築後30年以上経過しているため、ガルバリウム鋼板の屋根などにしてから太陽光発電の取り付けをおすすめします。

第2世代(1990年代後半~2000年代前半)

アスベストを含まない「ノンアスベスト」のスレート屋根材が登場しましたが、技術的な未熟さから耐久性に問題がありました。具体的には、築後10~15年ほどでひび割れや反り上がりが多く発生しています。当然、太陽光発電は取り付けることができません。代表的な商品にはパミール、コロニアルNEO、レサスなどが挙げられます。不良品とも呼ばれるこれらの屋根材に対し、無理に太陽光パネルの設置を推奨する業者も存在していたため注意が必要です。

第3世代(現在のスレート屋根)

第2世代の問題を受けて改良された現在販売中のスレート屋根材は、第3世代とされ、多くの新築住宅で使用されています。しかし、長期的な耐久性に関しては依然として不安があり、筆者としては基本的にスレート屋根への太陽光パネルの設置には慎重な姿勢を推奨しています。

アスファルトシングルの特徴

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させたシート状の屋根材で、軽量かつ柔軟性に優れています。
日本国内では、韓国製品が流通しています。
スレート屋根よりも更に価格が安く、施工性が良いため、近年、施工される機会が増加しています。

アスファルトシングルのメリット

・安価である
・施工がとても簡単

アスファルトシングルのデメリット

・耐久年数はスレート屋根よりも低く15~20年程度
・耐風性能が低い
・太陽光パネルを取り付ける際、屋根に穴を空けて取り付ける

金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)

金属屋根(横暖ルーフ)

ガルバリウム鋼板屋根は、アルミニウムと亜鉛合金で鋼板をコーティングした耐久性に優れた金属系屋根材です。
近年は、ガルバリウム鋼板を改良させた耐久性の高いエスジーエル鋼板の評価が高まっています。

金属屋根のメリット

・耐久性が高い
・コストパフォーマンスに優れている
・太陽光パネルを取り付ける際、屋根に穴が開かない

金属屋根のデメリット

・スレート屋根やアスファルトシングルよりも価格が高い
・断熱性能と遮音性能が低いため、対策が必要、もしくは対策された屋根の選定が必要

日本で普及している4つの金属屋根の素材

ジンカリウム鋼板屋根
トタン

低コストだが、錆びやすく耐久性は低い金属屋根です。
定期的な塗装が必要な素材であるため、太陽光発電の取り付けはおすすめできません。

ガルバリウム鋼板

耐久性・耐食性が高く、寿命の長い金属屋根です。
太陽光発電の取り付けに適した屋根材です。

エスジーエル鋼板

ガルバリウム鋼板を改良し、耐食性をさらに向上させた金属屋根材です。
近年、ガルバリウム鋼板に代わって主流になりつつある素材です。
沿岸地域などで発生する塩害による影響を効果的に抑えます。

ジンカリウム鋼板(石粒付き金属屋根)

ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板の表面に石粒を付着させた屋根材で、日本では主に韓国やニュージーランド製の製品が普及しています。
石粒付き金属屋根の横葺きタイプは、長さが約1.3mと短尺な製品が主流で、ジョイント部分の継ぎ目が多いです。
そのため、キャッチ工法ではなく野地留め工法による太陽光発電の取り付け方法が一部の商品で開発されています。
筆者も同様に、継ぎ目が多いことから、野地留め工法による太陽光発電の設置を推奨しています。

太陽光発電と縦葺き金属屋根の相性が良い理由

縦葺きの金属屋根は、「キャッチ工法」という専用の工法を用いることで、屋根に穴を開けることなく太陽光パネルを設置することが可能です。
この工法により、屋根の耐久性を損なわず、長期的な安定性が確保されます。

縦葺き屋根と横葺き屋根の違い

金属屋根の施工方法には、主に「縦葺き」と「横葺き」の2種類があります。

縦葺き金属屋根の特徴

縦葺き金属屋根(立平葺き)

屋根材を縦方向に取り付け、雨水がスムーズに流れやすく耐久性に優れています。
太陽光パネル設置に最も適している屋根材です。

横葺き金属屋根の特徴

横葺き金属屋根(スーパーガルテクト)

屋根材を横方向に重ねて張るタイプの屋根は、複雑な形状の住宅でよく採用されます。
メーカーによっては、断熱材が一体となったタイプや、高度な排水・止水設計を施した付加価値の高い板金屋根材もラインナップされています。
ただし、この横葺きタイプの屋根は、縦葺きタイプの屋根に比べると、太陽光パネルの設置に適した専用金具の選定や施工が難しくなりやすい傾向があります。

キャッチ工法の工事手順

横葺き金属屋根に太陽光パネルを取り付ける工事工程を解説します。

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横暖ルーフαプレミアムS

既存の屋根は、横暖ルーフαプレミアムSです。

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ニイガタ製販のATスライド

アルミ製の支持金具を今回は採用しました。ニイガタ製販のATスライドです。

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屋根に掴み込ませるように金具を取り付け

屋根と屋根の継ぎ目を活かして、屋根に掴み込ませるように金具を取り付けます。この時、屋根が若干凹みます。

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金具の位置を一定距離離す

金具を取り付けました。
屋根の横の継ぎ目の位置と金具の位置を一定距離離す必要があります。

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金具の上に太陽光パネルを載せる

金具の上に太陽光パネルを載せます。

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固定金具を取り付

太陽光パネルを押さえつけて固定する金具を取り付けます。

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太陽光パネル設置

設置完了。太陽光パネル上部の納まりはこのようになります。

太陽光パネル

屋根工事会社だからこそ、太陽光パネルを安心して取り付けることができます。

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横暖ルーフαプレミアムS

既存の屋根は、横暖ルーフαプレミアムSです。

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ニイガタ製販のATスライド

アルミ製の支持金具を今回は採用しました。ニイガタ製販のATスライドです。

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屋根に掴み込ませるように金具を取り付け

屋根と屋根の継ぎ目を活かして、屋根に掴み込ませるように金具を取り付けます。この時、屋根が若干凹みます。

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金具の位置を一定距離離す

金具を取り付けました。
屋根の横の継ぎ目の位置と金具の位置を一定距離離す必要があります。

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金具の上に太陽光パネルを載せる

金具の上に太陽光パネルを載せます。

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固定金具を取り付

太陽光パネルを押さえつけて固定する金具を取り付けます。

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太陽光パネル設置

設置完了。太陽光パネル上部の納まりはこのようになります。

太陽光パネル

屋根工事会社だからこそ、太陽光パネルを安心して取り付けることができます。

縦葺きが望ましい理由

金具を掴み込む

縦葺き屋根は、屋根材が縦方向一直線に葺かれているため、雨水がスムーズに流れる構造となっています。
横葺き屋根と比較して水はけが良く、太陽光パネル設置後も屋根本来の防水性能を維持しやすいです。
また、縦葺き屋根では、横葺き屋根と違ってパネル設置の位置が継ぎ目に左右されず、屋根の上下どこでも自由に取り付けが可能です。
そのため、発電効率が最も高くなる位置にパネルを設置できます。
さらに、縦葺き屋根は屋根本体ではなく、出っ張り部分に左右から金具を掴み込ませる構造となっているため、屋根材が凹むことがありません。
屋根材への負担が少なく、メンテナンスやパネルの脱着が必要な際にも、工事費用や手間を抑えることができます。
結果として、屋根自体の寿命も延び、長期的に安定した運用が可能となります。

縦葺き金属屋根がおすすめの理由は以下の通りです。

  • 屋根本体を凹ませることなく、太陽光発電の設置が可能

  • 横方向のジョイント部分に隙間を生じさせずに、太陽光発電の取り付けが可能

  • 太陽光発電パネルを上下方向に自由に配置できる

  • 太陽光パネルの脱着やメンテナンス作業が容易

横葺き金属屋根のジョイント部のすき間の問題

横葺き金属屋根のキャッチ工法の問題点
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横葺き金属屋根のキャッチ工法の問題点

横葺き金属屋根のウィークポイントは、横同士のジョイント部分にあります。
屋根を伝って横方向に流れる雨水が、このジョイント部分のすき間から屋根内部に侵入する恐れがあります。特に、太陽光発電の設置金具をジョイント部分に近接して取り付けると、金具の締め付け圧力で屋根が凹み、すき間が広がることで漏水リスクが高まります。

横葺き金属屋根に太陽光発電を取り付けるポイント

太陽光発電には縦葺き金属屋根が適しているとお伝えしましたが、実際の屋根リフォーム工事においては、横葺き金属屋根が多く用いられています。
その主な理由は、横葺き金属屋根が屋根の形状を問わず柔軟に対応でき、材料の搬入や施工がしやすいためです。
ただし、横葺き金属屋根を選ぶ際にも、適した施工方法あるいは屋根材があることを理解しておきましょう。

屋根材は「長尺の横葺き」

太陽光パネルの支持金具

横葺き金属屋根のウィークポイントは、横方向の継ぎ目にあります。
太陽光パネルの支持金具が継ぎ目付近(特に継ぎ目の左側)に近づくと、屋根材に負荷が集中し、ジョイント部分に隙間が生じる可能性があります。
そのため、横葺き金属屋根を採用する際は、屋根材の長さをできるだけ長く設定し、継ぎ目の数を減らすことで、太陽光パネル設置後のトラブルリスクを抑えることができます。
おすすめの屋根材としては、「スーパーガルテクト」や「横暖ルーフ」といった日本製の横葺き金属屋根があります。
これらの屋根材は1枚あたりの長さが約3mあり、屋根全体の継ぎ目が少なく、太陽光パネル設置時の施工性や防水性の向上が期待できます。
なお、石粒付き金属屋根などの長さが1.3mの短い横葺き金属屋根は、屋根のジョイントがかなり多くなり、ジョイントを避けて金具を取り付けることが難しいです。

屋根の張り方は「千鳥葺き」

千鳥葺き

横葺き金属屋根のウィークポイントである継ぎ目部分を太陽光パネルの金具と緩衝させないためには、屋根材の継ぎ目を整列させることが望ましいです。
千鳥葺き(交互にずらす施工)にすると、屋根材の継ぎ目が規則的になり、金具の位置決めが容易になります。

屋根カバー工法時におすすめの屋根材

太陽光発電取付

屋根カバー工法では、基本的に横葺きタイプの金属屋根を用います。
縦葺きタイプの金属屋根は、構造上、屋根カバー工法には適していません。
屋根カバー工法で金属屋根を施工する場合は、3mある日本製の横葺き金属屋根千鳥葺きで施工することをおすすめします。
屋根カバー工法の後に太陽光パネルを載せると、屋根の総重量が増えるため、建物の耐震性は低下します。
その点においても、日本製の横葺き金属屋根は、石粒付き金属屋根よりも軽量で、耐震性への影響を最小限に抑えられます。

葺き替え工事を検討

屋根の重さが増えること、さらに一部の屋根面に太陽光パネルを載せると、屋根の重量が偏ってしまいます。
耐震性の影響を受けるため、基本的には太陽光発電を取り付ける屋根には葺き替え工事を筆者はおすすめします。
シンプルな形状の屋根(切妻や片流れ)の葺き替えでは、縦葺き金属屋根も検討してください。

石粒付き金属屋根は野地留め工法がおすすめ

野地留め工法

石粒付き金属屋根では、キャッチ工法ではなく野地留め工法を推奨します。
野地留め工法とは、屋根材の裏側に金具を潜り込ませて設置する方法であり、雪止め金具の構造と同じく屋根材を凹ませずにパネルを取り付けることができます。
石粒付き金属屋根はアメリカを中心に世界各国で普及が進んでおり、LIXILの「T・ルーフ」やルーフタイルグループジャパンの「セネター」など、日本でも採用されている海外製品は野地留め工法を標準としています。

屋根に太陽光発電を取り付ける問題

スレート屋根への取り付けの問題

太陽光発電に適した屋根材を巡る議論が続く一方で、太陽光発電の義務化は着実に進んでいます。
屋根材の問題が周知されず、リテラシーが低い中、太陽光発電の取り付けの有用性だけがフォーカスされているように筆者は感じます。
スレート屋根に太陽光パネルを設置する問題点をまとめます。

屋根に穴を開ける必要がある

屋根材を貫通

スレート屋根に太陽光パネルを固定する場合、支持金具を取り付けるため屋根材を貫通する形で穴を開ける必要があります。
これにより防水性が低下し、将来的な雨漏りのリスクが高まります。

屋根材の耐久性への懸念

ボロボロ

スレート屋根は、経年劣化によりひび割れや反りが発生しやすく、特にアスベストを含まないノンアスベストスレートは劣化が早い傾向があります。
パネル設置後に屋根のメンテナンスや葺き替えが必要になった場合、パネルの脱着を伴う多額の追加費用が発生します。

設置後のメンテナンスコスト増加

そもそも屋根には寿命があります。
スレート屋根の耐用年数は、ガルバリウム鋼板などの金属屋根と比べて短いため、将来的には太陽光パネルや支持金具の脱着を伴う屋根の全面改修が避けられません。
その際、太陽光パネルの脱着や処分にかかる費用、さらに屋根全面を葺き替える改修費用は、縦葺き金属屋根の改修費用に比べて高額になる傾向があります。

屋根について詳しくない設置業者が多い

安易な施工

太陽光発電の設置業者の多くは、太陽光パネル自体については詳しいものの、屋根についての知識が非常に乏しいのが現状です。
スレート屋根の耐久性に関する理解が不足していたり、経年劣化を考慮せず安易にビスを打ち込んだりするケースが見られます。
特に金属屋根では注意すべき点が多く、例えば横葺きの金属屋根では断熱材の有無で強度が異なり、断熱材がない箇所は凹みやすくなります。また、石粒付き金属屋根では継ぎ目が特に凹みやすく、商品ごとに特性や施工上の注意点が存在します。
しかし実際には、このような細かな特性を理解しないまま、安易な施工をしている業者が非常に多いと言わざるを得ません。
その結果、施工直後には問題がなくても、5年後、10年後に屋根や建物内部への負担が蓄積され、やがて大きな問題として表面化します。
また、施工店IDという仕組みもありますが、これが屋根に関する知識や施工品質を保証するものではありません。IDを持っている業者だから信頼できる、あるいは安心できる保証がつくという考えは、あくまで幻想にすぎないというのが筆者の意見です。

太陽光発電の取り付け業者の選び方

筆者はこれまでに、誤った施工方法で太陽光発電を設置、本来設置を避けるべきノンアスベストのスレート屋根にパネルを取り付けてしまった事例など、いくつも目にしてきました。
実際、太陽光発電の取り付けが原因で雨漏りが生じた事例も経験しています。
目先の利益だけを追い求めて、闇雲に太陽光発電を取り付けることを推し進める業者が本当に多いです。

何よりも重要なことは、業者に勧められるまま安易に太陽光発電を取り付けるのではなく、まずは屋根材の種類や屋根工事業者の技術力、施工実績までも確認してほしいということです。
当社のように、金属屋根を専門に扱う屋根工事会社の見地から、太陽光発電取付の方法や問題点を提起している会社が少ないことでしょう。
補助金を利用して太陽光発電を取り付けるならば、尚更、太陽光発電の取り付け業者は、屋根について詳しい業者、日常的に屋根工事をしている業者に取り付けてもらうことをおすすめします。

屋根専門の工事会社

テイガクは太陽光発電の設置・脱着を伴う金属屋根工事を得意とする屋根工事会社です。
太陽光発電に関する専門的な知識や施工技術を有しており、電気工事士の資格保有者も在籍しています。
これから太陽光発電の設置を伴う屋根工事をご検討の方は、ぜひテイガクにご相談ください。
屋根工事の専門会社だからこそ提供できる、高品質かつ適正価格の屋根工事と、安心できる太陽光発電の設置工事をお約束いたします。

テイガクは現地調査からお見積りまで無料です。
お気軽にご相談ください。

フリーダイヤル:0120-94-8807 年中無休(9:00-18:00)
この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。
千葉県立船橋東高校→法政大学経営学部→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する建築板金工事会社(昭和ルーフリモ株式会社)へ入社。
最終学歴、中央工学校夜間建築学科。
年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-5)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

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