外壁リフォームの方法に金属サイディングの重ね張りがあります。
外壁カバー工法とよぶこともあります。
古い外壁の上に金属サイディングを張って仕上げる方法です。
張り替えよりも手間と費用がかからない外壁リフォーム方法です。
このページでは外壁カバー工法の工事手順と工事にかかる日数について解説します。
外壁カバー工法の施工前後 写真比較
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
外壁カバー工法の日数
工事日数
金属サイディングのカバー工法にかかる工事日数は、25坪程度の建物の場合、2~3週間程度が目安になります。
ただし、屋根のカバー工法や葺き替えなどの屋根工事と一緒におこなうお客様が多いです。
屋根工事が加わった場合、工事期間は1ヶ月程度かかります。
職人さんについて
外壁カバー工法(屋根カバー工法も)は板金工とよばれる職人さんがおこないます。
金属サイディングは、サイディングの代表格である窯業サイディングとは全く異なる道具や技術を要する工事です。
専門工事会社があるからこそ、質の良い工事が確保できるともいえます。
実績のある板金工事業者に依頼することも工事を成功させるポイントのひとつです。
塗装工事もある
外壁カバー工法には、塗装工事が必要となる部位があります。
外回りすべてを金属サイディングで重ね張りできるわけではありません。
張れない部位があります。
張れない主な部位は、破風板(はふいた)や軒天(のきてん)、庇(ひさし)、戸袋などです。
これらの部位は板金工ではなく塗装工が別工程でおこないます。
外壁カバー工法(金属サイディング張り)の施工手順
工事前の外壁
築28年が経過した木造住宅です。
外壁は直張り工法で張られた窯業サイディングでした。
外壁からの雨漏りも発生していました。
1990年代に施工されたサイディングは、サイディングの裏側に通気層のない構造になっています。
そのため、サイディングが湿気による結露で傷みやすく、雨漏りも生じやすいです。
はじめは外壁塗装によるリフォーム方法をお客様は検討されていましたが、まだまだ長く元気に暮らしたいというご希望があり、外壁塗装ではなく金属サイディングによる外壁カバー工法を提案いたしました。
外壁カバー工法はすべての外壁でおこなえる工事ではありません。
雨どいや換気扇のカバー、給湯器など壁に取り付いている付帯物はすべて一度取り外して付け直す必要があります。
集合住宅などの付帯物が多い建物や狭小地などは外壁カバー工法に向いていない建物です。
経験豊富な板金工事会社でなければ適切な判断ができない工事です。
シーリングの劣化
外壁の目地であるシーリングが破断しています。
直張りサイディング最大の弱点です。
サイディングの裏側に通気層がないため、防水シートや防水テープに不良があると外壁内部に雨水が入り込んでしまいます。
また、このころのサイディングは厚みが12㎜でサイディングを外側から釘打ちしています。
そのため、大きな地震が発生すると簡単にひび割れが生じます。
特にひび割れは釘回りに生じることが多いです。
外壁塗装でシーリングを打ち替えたり、ひび割れを補修しても、100%安全とは限りません。
塗装後ふたたび雨漏りが生じてしまいイタチゴッコになることもあります。
金属サイディングによる外壁カバー工法が最も最適な工事方法です。
テイガクのシーリング剤について
テイガクでは2024年10月より、工事に使用するシーリング材に、耐候性・速乾性に優れた「SRシール H100」を採用いたします。(SRシール H100の詳細はこちら)
ご希望のシーリング材がございましたら変更は可能ですので、担当の施工管理士にご相談ください。
屋根の調査
外壁とあわせて屋根の調査もおこないました。
金属屋根と金属サイディングを同時にリフォームすると、外装全体がオールメタル素材になります。
同質素材の外装材なので、メンテナンスが一元管理できるようにます。
私たち板金工事会社が屋根と外壁すべてをしっかりとメンテナンスできるようにもなります。
また、足場を組み立てるので、屋根と外壁を同時にリフォームすることは経済的にお得です。
工事開始
お見積り書を提出し、ご契約が済み、工事開始です。
まずはじめに足場を組み立てます。
この日は朝一番で始まり、午後2時頃に終わりました。
塗装工事/軒天塗装
金属サイディングの工事をおこなう前に、塗装工事を先行しておこないます。
この工事は板金工ではなく塗装工がおこないます。
金属サイディングに塗装工事はつきものであり、なくてはならない工事す。
そのため、板金工事会社は塗装工の職人さんも抱えており、塗装工事にも詳しいです。
画像は軒天(のきてん)部分の塗装をおこなっている様子です。
塗装工事/庇板金塗装
庇(ひさし)板金の塗装が終わりました。
古い外壁に塗料がたくさんはみ出しています。
基本的に金属サイディングのカバー工法には養生をおこないません。
新しい金属サイディングを重ねて張れば、古い外壁は隠れて見えなくなるからです。
なお、板金の劣化が進行している場合は、「張り替え」や「増し張り」の提案もできます。
板金工事会社の強みです。
板金工乗り入れ 胴縁持ち運び
塗装工事が完了したら、いよいよ板金工による金属サイディングのカバー工法開始です。
まずは工事に必要な資材を搬入します。
この写真は、外壁通気工法に用いる胴縁(どうぶち)の搬入です。
職人さんが抱えている黒い棒が胴縁です。
胴縁は外壁材の中で最も重要な建材といってよいでしょう。
アルミ芯入り樹脂胴縁の取り付け
テイガクでは外壁カバー工法でつかう胴縁はアルミ芯入り樹脂胴縁をつかうことが多いです。
アルミ芯入りと樹脂製がポイントです。
アルミがビスをしっかりと固定させるのでサイディングの歪みを抑えてくれます。
胴縁は安い木を使うことが多いですが、樹脂は水分を含むことで生じる腐食や伸縮が生じないのでおすすめです。
胴縁取り付け(空気層の確保)
外壁面に胴縁を取り付けます。
胴縁と胴縁の間に空気層ができます。
金属サイディングの裏側に水分が入り込んだとしても空気層があるため、外壁ないに雨水が入っても雨水が排出される構造になります。
既存外壁からの雨漏りが深刻な場合は、防水シートを外壁に貼ってから胴縁を取り付けることも可能です。
空気層の効果は雨漏り改善だけではありません。
たくさんのメリットがある工事です。
もちろん、外壁通気工法がすでに採用されている外壁にも有効なメリットです。
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雨漏り防止になる
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断熱効果が高まる
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遮音効果が高まる
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壁内結露防止になる(建物が傷みにくくなる)
胴縁取り付け完成
すべての胴縁の取付けが完了しました。
外壁にある黒い縦のラインが胴縁です。
胴縁があるかないかで住まいの快適性能が大きく変わります。
見切縁取り付け
金属サイディングは窯業サイディングと違い、窓回りや外壁のつなぎ目には見切縁(みきりぶち)とよばれる金物を取り付けます。
この金物に金属サイディングを差し込んで、金属サイディングを固定させます。
見切縁は役物(やくもの)とよぶこともあります。
写真はサッシの下端に取り付けた見切縁です。
コの字型の形状をしている見切縁に下から金属サイディングを差し込みます。
見切縁は役物(やくもの)とよぶこともあります。
金属サイディングの持ち運び
金属サイディングが搬入されました。
大きさは長さ約4メートルあります。
置き場には車一台分のスペースが必要です。
今回施工するのは、アイジー工業のナチュラルシリーズから「NF-シャドーライン」のカラーはブロッサムピンクになります。
遮熱性フッ素塗装を施したガルバニウム鋼板の金属サイディングです。
金属サイディングの断熱材
今回使用した金属サイディングの内部には断熱材が充てんされています。
空気層の断熱効果に加えて金属サイディング自体の断熱効果も得られます。
実は断熱材付き金属サイディングは窯業サイディングよりも断熱効果が高い外壁材です。
金属サイディング張り
胴縁に金属サイディングを打ち付けて張っていきます。
今回の張り方向は横方向です。
横張りサイディングともよびます。
その他、縦方向にはる縦張りサイディングがあります。
外壁の歪みを調整
築後10年以上が経過した建物は多少なりとも歪みが生じます。
阪神大震災や東日本大震災クラスの地震を受けても何も建物に影響がないことは絶対にありません。
歪みや反りなどがあると、きれいに金属サイディングを張れません。
不陸調整(ふりくちょうせい)と呼ばれる外壁の歪みを正す必要があります。
必要に応じて調整材を取り付け、不陸を解消します。
出隅(でずみ)部分
外壁と外壁の角を出隅(でずみ)とよびます。
この部分には出隅役物とよばれる仕上げ部材(キャップ)を取り付けます。
シーリング打ち
仕上げキャップを取り付ける前に、シーリングを打ちます。
金属サイディングの場合、シーリングは仕上げ部材で覆われる(一部を除く)ため、紫外線や雨風の影響を受けにくいです。
メンテナンスが不要といえます。
ケイミューの「はる・一番」のようにシーリングレスタイプの金属サイディングも販売されています。
窓まわりの役物
窓まわりも仕上げキャップ(役物)を取り付けました。
外壁カバー工法の仕上げ面は窓サッシ部分が外側よりも3mmほど飛び出します。
色とガラが同じ仕上げキャップを使うと、違和感のない納まりとなります。
外壁と外壁のジョイント部分
金属サイディング同士が結合する部分にも仕上げキャップを取り付けます。
ジョイナー役物とよびます。
窯業サイディングではこの部分はシーリングになりますが、金属サイディングでは金属製の部材を取り付けます。
雨どい取り付け
雨どいを取り付けます。
塗装で仕上げた鼻隠しに軒どいを取り付けます。
工事点検
工事後点検をおこないます。
写真では雨どいと集水器、雨どい金具の間隔、鼻隠しの塗装、軒天の塗装、出隅役物の状態を確認できます。
確認後、足場を解体してすべての工事が終了です。
金属サイディングのカバー工法 完成
足場を撤去し、金属サイディングのカバー工法の完成です。
外壁と屋根共に美しい外観に生まれ変わりました。
もちろん見た目だけではなく、住宅の断熱材性と気密性も改善しました。
外壁と屋根そのものが新しくなったので、これが最初で最後のリフォーム工事になります。
快適になったお住いで、安心安全にお過ごしください。
テイガクの施工例
まとめ
このページでは金属サイディングのカバー工法による施工手順をご紹介いたしました。
金属サイディングは軽くて建物への負担が少ない工事です。
私たち板金工事会社に直接依頼をしていただければ、より適切な工事と費用の提案ができます。
これから外壁リフォームを検討中のかたは、金属サイディングのカバー工法をぜひご検討ください。