屋根塗装と合わせて棟板金の交換や換気棟の取り付けをお求めのお客様が増えています。
屋根の構造への関心が高まり、「屋根塗装」と「棟板金交換」はセットでおこなう世の中に変容しつつあります。
「専門家はそのような考えで屋根塗装をするのか」。
是非、この記事をご覧いただき、屋根塗装で押さえておきたいこと、費用の相場を再確認してください。
きっと新しい気づきがあると思います。
屋根塗装の工事工程の確認
屋根塗装工事の手順
「一般的な工事」と「最新の工事」、2パターンの屋根塗装工事の工程をご紹介します。
なお、足場費用がかかるため、屋根塗装単体で工事をのぞまれるお客様は少ないです。
外壁塗装とあわせて屋根塗装をおこなうお客様がほとんどです。
一般的な屋根塗装の工事工程
一般的な屋根塗装工事の工程です。
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足場組立
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高圧洗浄
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板金塗装
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下塗り
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タスペーサー(縁切り)
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中塗り
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上塗り
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足場解体
最新の屋根塗装の工事工程
テイガクが推奨する屋根塗装工事の工程は以下の通りです。
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足場組立
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★棟板金交換
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★換気棟取り付け
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高圧洗浄
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下塗り
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タスペーサー(縁切り)
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中塗り
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上塗り
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足場解体
テイガクが推奨する工程には、「棟板金交換」と「換気棟取り付け」が入っています。
「去年、屋根と外壁の塗装をしたのに、台風がきて棟板金がはがれて再び足場を組むことに・・・」。
風が強まっている背景もあり、このような被害にあわる方が明らかに増えています。
屋根塗装をする場合は、「棟のケア」も一緒におこなうことが重要です。
棟板金(むねばんきん)とは?
棟板金とは屋根のてっぺんに取り付ける板金部材です。
棟板金内部の棟下地(貫板)は経年と共に腐食し、棟板金の釘が次第に浮き始めます。
釘を打ち直しても意味がありません。
釘を固定させる下地の問題だからです。
温暖化による強風の影響で、棟板金ががれる不具合が多発しています。
一般的な新築戸建て住宅の棟板金の場合、おおむね15年前後で棟板金の不具合が顕在化してきます。
屋根塗装と棟板金の交換は常識的におこなうべきものだというのが筆者の見解です。
テイガクでは木や樹脂ではなく、金属の下地を推奨しています。
換気棟(かんきむね)とは?
換気棟は屋根裏の温かい空気と湿気を放出させる換気部材です。
温かい空気は上にあがる性質があるため、屋根の頂部に温かい空気、そして湿気は集まります。
穴の開いた棟板金を取り付けるだけで屋根裏の熱と湿気は外に排出されます。
換気棟を取り付けるだけで屋根下の居室が過ごしやすくなります。
また、屋根の下地にあたる野地板を、湿気による結露の腐食から保護してくれます。
15年以上昔の戸建て住宅では、換気棟はほぼ取り付けられていません。
しかし、最近は小屋裏換気の重要性が見直され、新築戸建て住宅では換気棟は高い確率で取り付けられています。
当然、屋根塗装をおこなう際に換気棟の新設あるいは増設をおこなって欲しいです。
塗料別の屋根塗装単価表
2023年7月現在のテイガクの屋根塗装の単価表を示します。
1.足場組立
工事内容 | 価格 |
---|---|
壁面足場(メッシュ養生シート含む)※ | 750円/㎡(税込825円) |
※ 急勾配の屋根には屋根足場費用が別途計上されます
2.高圧洗浄
工事内容 | 価格 |
---|---|
屋根高圧洗浄※ | 400円/㎡(税込440円) |
※外壁塗装と同時におこなう場合は減額されます
3.棟板金塗装・棟板金交換・換気棟取付
棟板金塗装
工事内容 | 価格 |
---|---|
棟板金釘打ち及びコーキング※ | 400円/m(税込440円) |
ケレン及び錆止め塗装※ | 800円/m(税込880円) |
※棟板金の下地が腐食していることから、棟板金塗装は原則おすすめしません
棟板金工事
棟板金10mまで
工事内容 | 価格 |
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棟板金交換(木下地)※ | 5,000円/m(税込5,500円) |
棟板金交換(金属下地)※ | 6,000円/m(税込6,600円) |
棟板金10m以上
工事内容 | 価格 |
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棟板金交換(木下地)※ | 3,000円/m(税込3,300円) |
棟板金交換(金属下地)※ | 4,000円/m(税込4,400円) |
※棟板金の下地(貫板)は、木下地と樹脂下地、金属製の3つがあります
※テイガクでは腐食がなく長期に棟板金を固定できる金属製の下地を推奨しています
換気棟取付
工事内容 | 価格 |
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換気棟(内部鋼板製) | 29,000円/m(税込31,900円) |
換気棟(内部樹脂製/リッジベンツ) | 25,000円/m(税込27,500円) |
4.屋根塗装の費用
下塗り塗料
工事内容 | 価格 |
---|---|
スレート屋根用※ | 700円~1,000円/㎡(税込880円~1,100円) |
金属屋根用※ | 600円~1,200円/㎡(税込660円~1,320円) |
※下塗り塗料は用いる塗料(遮熱含む)によって変動します
中塗り塗料と上塗り塗料
塗料 | ㎡単価 | 期待耐候年数 |
---|---|---|
ウレタン | 900円/㎡ | 3~5年 |
シリコン | 1,000円/㎡ | 5~7年 |
遮熱シリコン | 1,100円/㎡ | 5~7年 |
ラジカル | 1,100円/㎡ | 6~8年 |
フッ素 | 1,600円/㎡ | 7~10年 |
遮熱フッ素 | 1,700円/㎡ | 7~10年 |
無機 | 1,800円/㎡ | 10~15年 |
タスペーサー(縁切り)
工事内容 | 価格 |
---|---|
タスペーサー取り付け※ | 300円/㎡(税込330円) |
※スレート屋根以外の屋根では不要な工事項目です
※縁切りは雨漏り防止のために必要な工事項目です。
諸経費
諸経費 | 価格 |
---|---|
諸経費(屋根塗装のみの場合) | 10,000円/一律(税込3,300円) |
諸経費(棟板金工事を伴う場合) | 30,000円/一律(税込3,300円) |
屋根塗装の見積書
テイガクの屋根塗装の見積書をご案内します。
【工事内容】
ラジカル系の塗料で棟板金全交換と換気棟取り付け |
【建物のモデル】
階層 | 2階建て |
屋根面積 | 80㎡ |
屋根面数 | 4面 |
工事前の屋根 | スレート屋根(アスベストなし) |
【工事内容詳細】
使用塗料 | 一液プレミアムルーフシリコン(エスケー化研) |
棟板金 | 交換(15m) |
棟下地 | 金属製 |
換気棟 | 取り付けあり(内部鋼板製) |
タスペーサー | あり |
内訳 | 長さ・個数 | 単価 | 価格 |
---|---|---|---|
足場工事 | 280㎡ | 750円 | 210,000円 |
高圧洗浄 | 80㎡ | 400円 | 32,000円 |
下塗り | 80㎡ | 800円 | 64,000円 |
中塗り | 80㎡ | 1,000円 | 80,000円 |
上塗り | 80㎡ | 1,000円 | 80,000円 |
タスペーサー | 80㎡ | 400円 | 32,000円 |
棟板金交換 | 12m | ー | 48,000円 |
換気棟取り付け | 1台 | ー | 29,000円 |
諸経費 | 1式 | ー | 30,000円 |
消費税 | ー | ー | 60,500円(10%) |
参考工事価格 | 665,500円(税込) |
他の屋根リフォーム方法の相場と比較
屋根カバー工法と屋根葺き替えの見積書も入手
屋根のリフォーム方法は屋根塗装だけではありません。
屋根は半永久的に持続するものではないため、屋根カバー工法あるいは屋根葺き替え工事も合わせて検討して欲しいです。
アスベストが含まれていない一部のスレート屋根など、屋根塗装をおこなう価値がない場合もあります。
屋根塗装だけではなく屋根カバー工法や屋根葺き替え工事の見積書も合わせて手に入れましょう。
各屋根材の耐用年数
屋根塗装で屋根の寿命が延びることはありません。
耐用年数が過ぎた屋根に塗装をしても、お金の無駄遣いになる可能性があります。
一定期間以上、時間が経過している場合は、屋根カバー工法もしくは屋根葺き替えなどの屋根の機能を回復する工事を検討しください
屋根材 | 耐用年数 |
---|---|
スレート屋根(アスベストあり) | 30~40年 |
スレート屋根(アスベストなし) | 10~30年 |
セメント瓦 | 30~40年 |
トタン屋根 | 10~30年 |
ガルバリウム鋼板 | 20~35年 |
各屋根リフォームの費用
屋根塗装の費用が250,000円かかる場合の価格を目安とし、その他のリフォーム価格の差を示します。
工事内容 | 価格 | 差額 |
---|---|---|
屋根塗装(シリコン塗料) | 250,000円 | ー |
屋根カバー工法(アスファルトシングル) | 850,000円 | +600,000円 |
屋根カバー工法(石粒付き金属屋根) | 900,000円 | +650,000円 |
屋根カバー工法(断熱材一体型エスジーエル鋼板) | 1,150,000円 | +900,000円 |
屋根葺き替え(スレート屋根または瓦を石粒付き金属屋根に) | 1,350,000円 | +1,100,000円 |
屋根塗装の費用を抑える方法
市区町村の助成金を活用
市区町村で屋根塗装の助成金事業がおこなわれている場合があります。
たとえば、日射反射率50%の遮熱塗料を用いると、5万円の助成金を用意してくれるといった具合です。
条件は各市区村ごとに異なります。
詳しくは各市区町村の助成金関係の窓口の方に尋ねてください。
2社以上から見積書を入手する
2社以上の会社から見積書を入手することを相見積もり(あいみつもり)と言います。
屋根に詳しい業者を探し、現地調査をしてもらいましょう。
見積書の作成は原則、無料です。
火災保険の利用
屋根が風災で被災している場合、火災保険を利用して屋根を修理することができます。
最も多い被災が「棟板金の浮き」や「棟板金のはがれ」です。
足場の費用と棟板金交換の費用を、保険会社が負担してくれる可能性があります。
足場代の負担がなくなるだけでもかなりのコストダウンになります。
風災による被害が疑われる場合は、火災保険の活用も検討しましょう。
そもそも屋根塗装は必要なのか?
屋根塗装をしてはいけない屋根がある
1990年代後半以降に販売されたアスベストが含まれていないスレート屋根に塗装をすることは、傷みやすい屋根をさらに痛める結果を招くだけでお金の無駄遣いです。
そもそも、スレート屋根の塗装は美観維持が目的です。
塗装によって屋根の機能が回復したり、耐久性が高くなったりする根拠は示されていないです。
塗料メーカーのカタログを見ると、屋根の耐久性に関することは全く記載がないです。
屋根塗装を避けたほうがよい代表的な屋根(ノンアスベストのぜい弱な屋根)
コロニアルNEO
パミール
レサス
縁切りが困難で雨漏りが起きやすい屋根
アーバニー
屋根塗装の目的は美観の維持
金属屋根は錆びの拡大による穴あきリスクがあるため、定期的に屋根塗装を含むメンテナンスが必要です。
一方、金属屋根以外の屋根塗装は見た目を綺麗にすることが目的となります。
事実、スレート屋根の製造会社であるケイミューは、屋根塗装は「主に美観維持」を目的に塗装をおこなうと明記しています。
見た目を気にしなければ屋根塗装をしなくてもよいと言い換えられます。
屋根塗装の目的
屋根材 | 定期的な屋根塗装 |
---|---|
金属屋根 | 必要 |
スレート屋根 | 美観維持 |
セメント瓦 | 美観維持 |
アスファルトシングル | 美観維持 |
遮熱塗料の効果よりも注目してほしいこと
夏の暑さ改善を期待し、遮熱塗料を用いた屋根塗装を希望される人が多いです。
ただし、遮熱塗料よりも効果がある屋根工事はたくさんあります。
工事内容 | 暑さの改善効果 |
---|---|
遮熱塗料で屋根塗装 | ☆ |
屋根の色を明るい色にする | ☆☆ |
空気層のある金属屋根でカバー工法 | ☆☆ |
断熱材一体型の金属屋根でカバー工法 | ☆☆☆ |
屋根裏にグラスウールを敷く | ☆☆☆☆ |
換気棟取り付け | ☆☆☆☆ |
屋根通気工法を取り入れる | ☆☆☆☆☆ |
まとめ
屋根塗装の費用をテーマを中心に解説をしました。
いかがでしたでしょうか?
わたしたちがこのページで提案するような、屋根塗装に棟板金交換あるいは換気棟取り付けをおこなうことは、これからの屋根塗装のスタンダードになると確信をしています。
想像以上に棟板金は簡単に風ではがれてしまいます。
また、換気棟がもたらす快適さは絶大です。
穴に手をかざすと勢いよく温かい空気が放出されるのが体感できます。
棟板金の交換や換気棟の取り付けを積極的に提案できない塗装会社様も存在すると思われます。
「棟板金の交換と屋根塗装をやりたい」とリクエストするお客様が増えれば、社会はよりよい方向へ変容すると思います。
是非これから屋根塗装を検討されている人は、棟板金の交換や換気棟の取り付けを忘れずに見積り依頼をしてください。