ジンカリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板のこと
結論からお伝えすると、ジンカリウム鋼板とはガルバリウム鋼板のことです。
鋼板の名称は世界で異なります。
日本でジンカリウム鋼板として販売されている鋼板の組成を日本のJIS規格にあてはめると、ガルバリウム鋼板となります。
ガルバリウム鋼板とは「アルミニウム55%・亜鉛約43%・シリコン約2%」で構成されたガルバリウムでメッキされた鉄の板のことです。
ジンカリウム鋼板も同じ組成です。
したがって、鋼板そのものの耐久性は同じです。
なお、日本ではガルバリウム鋼板を「ガルバ」と略し、外国ではジンカリウム鋼板を「ZINC」と略しています。
日本では石粒付き金属屋根として認知
一方、外国の金属屋根は表面に石粒が付着しています。
「Stone Coated Roofing」として知られ、世界中で採用されています。
そのため、日本では石粒付き金属屋根のことをジンカリウム鋼板として認知されつつあります。
主な製造国は韓国とニュージーランド、そして中国です。
ジンカリウム鋼板の屋根として販売している商品は韓国製が多いです。
ジンカリウム鋼板の特徴
鋼板の耐久性
ジンカリウム鋼板の耐久性は25~35年程度です。
実際は取り扱う会社によって最長50年保証を設けている会社もありますが、基本的にはガルバリウム鋼板と同じ30年程度と理解してよいでしょう。
メンテナンス性
ジンカリウム鋼板の屋根材は商品や色によって退色性や石の接着性にバラつきがあります。
製造国や石の大きさ、接着剤の質、石のセラミックコーティングの有無、石の塗装(色)などが関係していると思われます。
その一方で石があるおかげで屋根に安定した状態でのぼることができます。
そのため、部分的な修理などは石がない屋根に比べて安全に対処ができます。
おすすめはオーバーラップ式
ジンカリウム鋼板の屋根はオーバーラップ式とかん合式の2種類の商品があります。
基本的には空気層が確保でき、かつ2点のビス留めで耐風性能が高いとされるオーバーラップ式の商品をおすすめします。
商品では「スカイメタルルーフ/ウッド」や「ディーズルーフ/クラシックタイル」などが当てはまります。
ジンカリウム鋼板のメリットとデメリット
メリット
価格が安い
輸入品の建材でかつ日本の金属屋根ほど設計が細かくありません。
特に一部の商品では、屋根の内部で用いる板金部材がほぼスレート屋根と同じ形状をしており、コストダウンを図っています。
そのため、日本の金属屋根に比べて1~3割程度、価格が安くなります。
工事が簡単
工事のマニュアルを見れば理解ができますが、日本製の金属屋根と施工方法が全くことなります。
どちらかというと、アスファルトシングルやスレート屋根に近い施工方法です。
温かみがある高級感
石粒の風合いに温かみがあり、そのデザインに惹かれてこの屋根材を選ぶ人が多いです。
板金部材を同質役物にすると、屋根全体が美し上がるのでおすすめです。
3つのデメリット
断熱性に劣る
現在、国内で一番人気がある屋根材は断熱材一体型の金属屋根です。
断熱材一体型の金属屋根は、金属サイディングと同等の断熱効果が認められています。
金属サイディングは窯業サイディングの5倍の断熱効果があり、断熱効果が高い外壁材として広く認知されています。
金属サイディング同等の断熱効果がある屋根材なので、夏と冬は過ごしやすくなります。
一方でジンカリウム鋼板の屋根は、アスファルトシングルと比べて15%程度しか熱流削減効果がないというデータが得られています。
石粒の遮熱効果や空気層の断熱効果はほとんど期待ができないです。
苔や汚れが付く
表面に付着している石粒はアスファルトシングルとほぼ同じ素材です。
なお、アスファルトシングルも石粒付き金属屋根も韓国製が多いです。
つまり、石粒付き金属屋根の劣化の様子はアスファルトシングルを見れば参考となります。
日当たりが悪い北側斜面は苔や汚れで変色しやすいです。
商品によって性能が全く異なる
ジンカリウム鋼板の屋根の大きな特徴は、輸入販売元や製造国、商品ごとに全く屋根の性能が異なる点です。
見た目は同じ石粒が付着した屋根に見えますが、屋根の内部構造と用いる板金部材が全く異なります。
現在販売されている屋根材の良い点と悪い点をしっかり把握している会社に石粒付き金属屋根の工事は依頼しましょう。
代表的なジンカリウム鋼板の屋根
伊藤忠建材・スカイメタルルーフ
商品 | 張り方 |
---|---|
スカイメタルルーフ/ウッド | オーバーラップ式 |
スカイメタルルーフ/スレート | かん合式 |
スカイメタルルーフ/フラット | かん合式 |
スカイメタルルーフは韓国の「Feroof」の代理店です。
鋼板はポスコ社の鋼板が採用されています。
スカイメタルルーフが評価できる点は棟板金の仕上げ方です。
日本製の金属屋根と同じような施工方法を求めています。
ディートレーディング・ディーズルーフ
商品 | 張り方 |
---|---|
ディプロマットスター | かん合式 |
エコグラーニ | オーバーラップ式 |
クラシックタイル | オーバーラップ式 |
ローマン | オーバーラップ式 |
ディートレーディングの生産国はカタログ未記載です。
ディートレーディングの屋根材は各屋根材ごとに施工方法が全く異なり、注意が必要です。
クラシックタイルやローマンは通気が確保できる屋根材で、ジンカリウム鋼板の屋根の中でも一定の断熱効果が期待できます。
意匠性にも優れています。
その他の石粒付き金属屋根
伊藤忠建材とディートレーディング以外の石粒付き金属屋根を販売している会社は、鋼板の名称をガルバリウム鋼板としています。
エスジーエル鋼板の時代に
現在日本では、ガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板)はエスジーエル鋼板に置き換わっています。
ガルバリウム鋼板にマグネシウムを加えたガルバリウム鋼板の3倍超の耐久性が認められた新しいメッキ鋼板です。
特に沿岸地域において、錆びにくさの耐錆性が認められています。
取り扱う会社によって、マグネシウムを含んだ鋼板の名称が変わりますが、鉄鋼関係の業種に従事している人は知らない人はない日本が独自開発して世界でも認められている超高耐久の鋼板です。
建築資材はもちろんガードレールや橋梁でもガルバリウム鋼板ではなくエスジーエル鋼板を用いる機会が増えています。
ちなみに、ガルバリウム鋼板ほど知名度がないため、2025年に完成される阪神タイガースの新しい2軍の球場名は「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」になりました。
これからの日本は金属屋根や金属外壁を含め、エスジーエル鋼板の製品がますます普及していくはずです。
ジンカリウム鋼板の屋根材とあわせて日本製のエスジーエル鋼板の屋根材も是非、ご検討ください。