屋根修理の基礎知識|相場や費用・悪徳業者・修理時期について

屋根修理の基礎知識|相場や費用・悪徳業者・修理時期について 屋根修理の基礎知識|相場や費用・悪徳業者・修理時期について 屋根修理の基礎知識|相場や費用・悪徳業者・修理時期について

屋根修理の費用相場

テイガクでは、屋根の修理を「部分修理」と「全面修理(リフォーム)」に分けて考えています。
「部分修理」は、割れた屋根の接着補修や差し替え、外れた棟板金の交換、雨どいのテープ巻きなどが該当します。
「全面修理(リフォーム)」は、古い屋根の上に金属屋根を重ねて張る工事(屋根カバー工法)や、張り替えたりする工事です。

「部分修理」と「全面修理(リフォーム)」は、費用と工事に必要な技量が異なります。
屋根修理の費用相場は、10万円以内(足場費用を除く)で済むことが多く、全面修理(リフォーム)の費用相場は、100万円以上かかることが少なくありません。
また、部分修理は、全面修理ほど高度な知識や技術が必要ありません。

屋根修理と全面修理の違い

部分/全面 工事内容 価格相場 工数 専門性
部分修理 テープ補修など 10万円以内 1日
全面修理
(リフォーム)
葺き替えなど 100万円以上 1週間

「最小限の費用で屋根を直したい人」は部分修理、「1度の改修で長期の安心を得たい人」は全面修理(リフォーム)を検討しましょう。
テイガクのYouTube動画では、コロニアルの部分修理の費用相場について修理方法と一緒に解説しています。
部分修理を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

屋根修理の費用相場とおすすめの補修方法

屋根修理の費用相場とおすすめの補修方法

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Youtube撮影者 テイガク 代表 前川祐介

屋根修理の工事内容別の費用相場一覧

テイガクが実際に請け負う場合の屋根修理の参考相場です。
一部の工事は当社の専門外にあたりますが、市場の実勢価格をもとに目安として掲載しています。
全面改修(リフォーム)の費用については、用いる屋根材や資材によって費用が大きく変わるため、詳細は、テイガクの屋根工事単価表をご覧ください。

部分修理・応急処置

工事内容 相場
DIYで修理 3~5千円
コーキング補修 2~6万円
テープ補修 2~4万円
ブルーシート補修 2~8万円
屋根の差し替え 4~20万円
棟板金の交換 4~15万円
瓦の葺き直し 20~50万円
瓦の漆喰詰め 4~20万円
棟瓦の積み直し 4~15万円
谷樋板金の交換 5~20万円
雨どいの部分補修 2~8万円
雨どいの全部交換 18~30万円
軒天の部分交換 2~8万円
破風板板金巻き 15~30万円

全面修理リフォーム

工事内容 相場
屋根塗装 15~25万円
屋根カバー工法 90~110万円
屋根葺き替え 100~140万円
屋根葺き替え(石綿入り) 130~170万円
屋根葺き替え(土葺き) 160~200万円

その他

工事内容 相場
足場組立 20万円
太陽光脱着(鉄製金具) 25~35万円

工事単価が決められているから安心「定額料金」の屋根工事

屋根リフォーム費用

屋根の部分修理と全面修理(リフォーム)の選び方

屋根の部分修理と全面改修(リフォーム)では、工事内容だけではなく費用も異なります。
補修程度の場合は、「部分修理」、屋根カバー工法や葺き替えの場合は「全面修理(リフォーム)」を選択してください。
ただし、屋根の状態や素材によっては、選択できる工事方法が変わる場合があります。

各ボタンをクリックする該当項目へジャンプします

部分修理と全面修理どちらが適切?屋根修理のフローチャートを活用

自宅の屋根が、「部分修理」で対応可能なのか、それとも大掛かりな「全面修理(リフォーム)」が必要なのか、判断できない方も多いのではないでしょうか。
屋根工事業者に依頼する前のセルフチェックとして、テイガクは屋根修理のフローチャートを公開しています。
まずは、ご自宅の屋根がどの屋根修理に当てはまるのか確認してみましょう。

フローチャート
※こちらのチャートはあくまでも目安です。建物の状態と予算によって実際の工事の提案内容は変わります。

チャートの中で、「屋根の種類が分からない」「アスベスト有無不明」の場合は、下記の関連ページを確認してください。

屋根の部分修理の種類と費用

屋根の部分修理は、数万〜十数万円のものが多く、工事日数も比較的短いです。
雨樋や棟板金の交換や、屋根の一部補修などが含まれます。
また、強風や台風、地震など災害による屋根被害の応急処置も部分修理として該当します。

屋根の応急処置の工事例と価格

屋根は応急処置の工事例が多い部位でもあります。
剥がれた屋根の部位をブルーシートで覆ったり、雨漏りしないように防水シートを貼ったりします。
自然災害時のブルーシート掛けなどは、多くの場合1日で完了し、金額も数万円程度です。

例】 ブルーシート貼り

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
ブルーシート貼り 半日 2~8万
足場代は含まれません

例】 防水シート貼り

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
防水シート貼り スレート 1日 6万
足場代は含まれません

例】 棟板金の釘打ち

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
棟板金の釘打ち スレート 1日 6万
足場代は含まれません

屋根の部分修理の工事例と価格

屋根の部分修理の内容は不具合状況や屋根材によって異なります。
代表的な修理では、屋根材を数枚差し替えたり、接着剤で接着させたりする修理があげられます。

例】 屋根材の差し替え

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
瓦屋根の差し替え 瓦(10枚程) 1日 2~8万
足場代は含まれません

例】 テープ補修

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
テープ補修 スレート 1日 6万
足場代は含まれません

例】 金属屋根の部分張り

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
金属屋根の部分張り トタン 2日 18万円
足場代は含まれません

棟(むね)の修理

棟(むね)は、屋根のてっぺんのことです。
スレート屋根や金属屋根では棟板金とよばれる板金部材が取り付けられています。
瓦屋根の場合は棟瓦が取り付けられています。
どちらも風の影響を受けやすく、強風や台風ではがれ落ちるトラブルが多いです。
屋根で最も不具合が多い部位ともいえます。
自然災害で棟が被災した場合は、火災保険が適用されることがあります。

例】 棟板金の部分交換

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
棟板金の部分交換 スレート
(1本)
半日 5万
足場代は含まれません

例】 棟板金の全部交換

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
棟板金の全部交換 トタン 1~3日 5~20万円
足場代は含まれません

例】 棟瓦の積み直し

工事内容 屋根材 工期 金額(円)
棟瓦の積み直し 2日 15万円
足場代は含まれません

棟板金の交換は金属下地がおすすめ

棟板金が外れやすい原因の一つに棟板金の下地(貫板)の劣化が挙げられます。
下地が木・樹脂の場合は、劣化しやすく固定力が低下しやすいです。
テイガクは金属下地を開発・採用し、強風に強く長持ちする固定を実現しています。

木材貫板・樹脂貫板・金属貫板の違い

棟板金の工事手順

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足場工事

足場工事

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既存の棟板金撤去

既存の棟板金撤去

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既存の貫板を撤去

既存の貫板を撤去

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新しい貫板を設置

新しい貫板を設置

棟板金を設置

棟板金を設置

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足場工事

足場工事

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既存の棟板金撤去

既存の棟板金撤去

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既存の貫板を撤去

既存の貫板を撤去

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新しい貫板を設置

新しい貫板を設置

棟板金を設置

棟板金を設置

棟瓦のすき間にある 漆喰の交換


瓦の棟の場合は?

瓦は貫板の交換がないかわりに棟瓦のすき間にある
漆喰の交換をおこなう場合があります。

以下の動画は屋根塗装(他社が実施)をした1年後に、棟板金工事が必要になった現場です。
最初の屋根塗装時に、棟板金の交換を実施していれば、足場代などの余計な費用が不要でした。
棟は、築後7~10年頃に劣化が顕在化しやすいです。
部分修理も検討して、定期的に点検をおこないましょう。

屋根塗装後わずか1年で再び足場を組み立てることになったわけ

屋根塗装後わずか1年で再び足場を組み立てることになったわけ

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Youtube撮影者 テイガク 代表 前川祐介

棟板金とは?

部分修理の費用は1日に発生する人件費で把握

屋根修理の相場は、職人さん1人が1日働く労務対価からおおよそ把握できます。
職人の作業相場は、丸1日の作業で1人あたり約3万円です。
そして、会社経由であればこの金額に約1.5万円が加算されます。
この金額は、会社利益に加えて管理諸経費(現場管理費・ガソリン代・店舗運営費・保険代・車両や道具の償却 など)も含まれます。
ここに屋根修理の材料費(テープ・瓦 など)が加算されます。
部分修理であれば(※棟板金の交換を除き)おおむね材料費は5千円程度です。

部分修理の費用
部分修理の工事単価の計算例

(例)部分修理の工事単価の内訳

仕事日数 職人コスト 管理諸経費 材料コスト 屋根修理の相場
半日仕事 2万円 1.5万円 5千円 4万円
1日仕事 3万円 2万円 5千円 5万5千円
2日仕事 6万円 4万円 1万円 11万円
3日仕事 9万円 5万5千円 1万5千円 15万円

たとえば1日で完了する軽微な修理で請求総額が30万円を超える場合は、相場から大きく外れていると読み取れます。
また、10日を超えるような部分修理は、屋根カバー工法などの全面修理(リフォーム)と同水準の工事価格に近付きます。
したがって、屋根全体の修理を検討する方が合理的と判断できます。

屋根の全面修理(屋根リフォーム)の種類と費用

屋根の全面修理(リフォーム)の方法は、「屋根塗装」と「屋根カバー工法」、「葺き替え」の3つです。
工事を担う専門会社は、屋根塗装は塗装会社、屋根カバー工法と葺き替えは建築板金工事会社です。
専門会社に直接依頼した場合、屋根塗装は約30万円屋根カバー工法は90万円屋根葺き替えは130万円が相場です。
専門工事業者以外に発注をすると、同じ工事でも1.3~2倍程度に費用が膨らむケースがあります。

全面修理の費用相場

修理内容 費用相場
屋根塗装 30万
屋根カバー工法 90万
屋根葺き替え 石綿あり:160万
石綿なし:130万
足場代は含まれません

屋根塗装の概要と目的

屋根塗装

屋根塗装の目的は、主に屋根の美観維持で、屋根の機能自体を改善する工事ではありません。
色褪せた屋根を塗装することで、塗膜を形成し美しく色合いを保つことができます。
トタンの場合は塗装することで、美観維持に加え、錆の進行を抑える効果があるため耐久性の向上に繋がります。

屋根材別の屋根塗装の目的

屋根材
(陶器瓦)
スレート トタン
工事目的 塗装不可 美観維持 耐久性改善
費用 30万
足場代は含まれません

屋根カバー工法の概要と目的

屋根カバー工法

屋根カバー工法は、古い屋根のうえに軽い金属屋根を被せる屋根工事のことです。
古い屋根を処分することなく屋根工事ができるので、コストパフォーマンスに優れています
適切な工事をおこなえば、屋根の機能を改善することができるので、30年以上の耐久性が期待できます。

屋根材別の屋根塗装の目的

屋根材
(陶器瓦)
スレート トタン
工事目的 工事不可 耐久性改善 耐久性改善
費用 90万円
足場代は含まれません

屋根葺き替えの概要と目的

屋根葺き替え

葺き替え(ふきかえ)とは、古い屋根をはがして軽い金属屋根に張り替える工事です。
適切な工事をおこなえば、40年以上の耐久性が期待でき、新築時と同じあるいはよりそれ以上の屋根に仕上がります。
ただし、屋根を剥がしたり処分する費用が発生するため、工事価格は高額です。

屋根の葺き替え目的

屋根材
(陶器瓦)
スレート トタン
工事目的 耐久性改善
費用
(石綿なし)
130万
費用
(石綿あり)
160万
足場代は含まれません

金属屋根(ガルバリウム鋼板)を用いたリフォームが人気の理由

金属屋根(とくにガルバリウム鋼板)による屋根リフォームが人気です。
近年は金属屋根の出荷比率が高い傾向にあり、従来のトタンを改良したガルバリウム鋼板は、耐久・防錆性の面での高い評価が消費者へ広まり、普及が加速しています。
部分補修の繰り返しは、経年劣化による屋根の耐久性低下の問題を根本的に解決しにくいです。
そのため、長期の性能維持を望む場合は、金属屋根によるカバー工法や葺き替えの検討をおすすめします。

おすすめの金属屋根は?
スーパーガルテクト

屋根リフォームでおすすめの金属屋根が、断熱材一体型SGL鋼板である「スーパーガルテクト」です。
金属外装材トップメーカーのアイジー工業が販売する日本製の高耐久・高断熱金属屋根です。
ガルバリウム鋼板の性能を超えたSGL鋼板が用いられています。

屋根修理の時期と屋根材別の工事方法

屋根修理の方法と費用は、既存の屋根材によって大きく異なります。
また、屋根の部分修理または全面修理をおこなう時期も既存の屋根材によって変わります。
まずは現在の屋根の種類と特徴を把握しましょう。
そして、修理方法と修理時期を理解したうえで工事を検討しましょう。

屋根材によって修理方法と修理費用が違う

屋根材を選択すると該当箇所へ遷移します

スレート屋根の修理時期と修理方法

スレート屋根について
スレート屋根

スレート屋根は平べったい薄い板のような屋根材で、主成分はセメントです。
コロニアルやカラーベストともよばれます。
軽量で施工性がよく、高度経済成長期以降の戸建住宅で急速に普及しました。
製造時期によってアスベストが含まれていたり、耐久性が低い場合があります。
スレート屋根でよく発生する不具合は割れです。
風で飛ばされたり、ずれ落ちたりする不具合も比較的多いです。

スレート屋根のメンテナンス表

スレート屋根は製造年代によって、修理方法が変わります。
年代別のスレート屋根を選択すると、工事詳細へ遷移します。
※表の年数は建築後年数です

屋根分類・名称 修理 リフォーム
旧スレート/アスベスト入り
旧スレート/アスベスト入り
(~90年半ばまで製造)
棟板金交換 差し替え 接着補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 必要時 必要時 15年に1回 25~35年 35年以上
旧スレート/アスベスト無し
旧スレート/アスベスト無し
(90年半ば~2000年半ばまで製造)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 不可 不可 不可 15〜20年 30年以上
パミール(旧スレート/アスベスト無し)
パミール/アスベスト無し
(1996~2008年まで製造)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 不可 不可 不可 10〜15年 25年以上
コロニアルNEO(旧スレート/アスベスト無し)
コロニアルNEO/アスベスト無し
(2001~2008年まで製造)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 不可 不可 不可 15〜20年 30年以上
セキスイかわらU(旧スレート/アスベスト無し)
セキスイかわらU/アスベスト無し
(1990~2007年まで製造)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 不可 不可 不可 非推奨 15年以上
新スレート/アスベスト無し
新スレート/アスベスト無し
(2008年~現在)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 必要時 必要時 15年に1回 15〜20年 30年以上
波型スレート
波型スレート/アスベスト入り
(~1990年まで製造)
棟板金交換 差し替え 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
30年 不可 必要時 不可 30年 40年以上
各スレート屋根の修理・リフォーム方法

旧スレート/アスベスト入り

旧スレート/アスベスト入り
修理
棟板金交換 差し替え 接着補修
15年 必要時 必要時
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年に1回 25~35年 35年以上

1990年代以前のスレート屋根が当てはまり、アスベストが含まれています。
アスベストが含まれている屋根は比較的長寿命で、35年前後の耐久性が期待できます。

修理・リフォーム方法

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【修理】
はがれたり割れたりしたスレート屋根の一部を部分的に差し替える修理、シーリング材や防水テープによる部分補修は有効です。

【屋根塗装】
屋根塗装は主に美観維持を目的におこないます。
屋根塗装の際は、棟板金の交換と換気棟の設置を合わせて検討してください。
屋根塗装について詳しくはこちらから

【カバー工法】
スレート屋根の上に、付加価値の高いエスジーエル鋼板製の断熱材一体型の金属屋根を重ねて張るリフォーム方法が多いです。
屋根カバー工法は屋根が傷みはじめる前の築後25年から30年の間に検討してください。

【葺き替え】
屋根をはがして野地板を張り直せば、
40年以上の屋根の耐久性維持が期待できます。
ただし、この時期に製造されたスレート屋根はアスベストが含まれているため、カバー工法の1.7倍近くの費用負担が見込まれます。

旧スレート/アスベスト無し

旧スレート/アスベスト無し
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
15年 不可 不可
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 15〜20年 25年以上

1990年代から2000年代初頭に、アスベストが含まれていない屋根として製造販売されたスレート屋根です。
しかし、当時の製造技術は未熟で、アスベストに代わるほどの耐久性が備わっていませんでした。

この屋根は、築後10年~15年程度でひび割れや反りなどの不具合が発現しやすいです。(ノンアスベスト問題)

代表商品

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旧スレート/アスベスト無し商品①
「パミール」
旧スレート/アスベスト無し商品 パミール
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
15年 不可 不可
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 10~15年 25年以上

パミールはニチハが販売していたスレート屋根で、不具合報告が多い屋根材としてテレビでも報道されました。

屋根を形成している層がミルフィーユのように層間剥離を起こし、めくりあがる症状が築後10年程度で発生します。

専用の釘が腐食して無くなることで屋根が落下する事故報告もあり、釘の問題は消費者センターからリコールが発表されています。
屋根がパミールであるとわかった時点でリフォームを計画してください

旧スレート/アスベスト無し商品②
「コロニアルNEO」
旧スレート/アスベスト無し商品 コロニアルNEO
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
15年 不可 不可
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 15〜20年 30年以上

コロニアルNEOは旧クボタがかつて販売していた、最も流通量が多い旧スレート(アスベスト無し)の商品です。

築後10年が経過すると、ひび割れや反り等の不具合が現れ始めます。
15年~20年を目安に葺き替えもしくは屋根カバー工法などの全面改修を計画してください

旧スレート/アスベスト無し商品③
「セキスイかわらU」
旧スレート/アスベスト無し商品 セキスイかわらU
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
不可 不可 不可
全面・修理リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 FRP非推奨 15年以上

セキスイかわらUはアスベストが「含まれている商品」と「含まれていない商品」があります。
1990年9月以降に製造された商品は、アスベストが含まれていません。
アスベストが含まれていない商品は、耐久性が低く、販売中止に至っています。

補修用の屋根材が普及していますが、屋根の性質そのものを改善させるものではないため、テイガクでは使用をおすすめしていません。
セキスイかわらUの改修工事は葺き替え工事を検討してください。

修理・リフォーム方法

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【修理】
旧スレート(アスベスト無し)の修理は屋根材そのものがぜい弱のため、部分修理の効果は限定的です。

【屋根塗装】
旧スレート(アスベスト無し)の屋根塗装は、意味がありません。

【カバー工法】
旧スレート(アスベスト無し)は築後15年前後でカバー工法を検討してください。
カバー工法では釘を用いない粘着式ルーフィングを用いてください。
カバー工法による屋根の期待耐久年数は20~30年程度です。
用いる屋根の品質によって耐久性能は変わります。
【葺き替え】
本来、旧スレートの屋根工事は、内部の劣化進行が懸念されるため、葺き替えが望ましいです。
葺き替えの場合は40年以上の屋根の耐久性維持が期待できます。

新スレート/アスベスト無し

新スレート/アスベスト無し
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
15年 必要時 必要時
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年に1回 25~35年 30年以上

ノンアスベスト問題を受けて、改良された新しいスレート屋根です。
商品では「コロニアルクァッド」が多く普及しています。

修理・リフォーム方法

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【修理】
はがれたり割れたりしたスレート屋根の一部を部分的に差し替える修理、シーリング材や防水テープによる部分補修は有効です。

【屋根塗装】
新スレートの塗装を検討されている人は、はじめて屋根塗装をおこなう人ではないでしょうか。
屋根の塗料は外壁よりも塗膜の劣化が2倍早く進みます。

そのため、屋根塗料は外壁塗料よりも質の良いフッ素塗料などをできれば選定してください。
夏場、2階の居室が過ごしにくい人は換気棟の増設もあわせて検討してください。

【カバー工法】
築浅のため、ステンレスビスで屋根を固定したり、エスジーエル鋼板(断熱材一体型)を用いたりなど、品質を重視した工事の実施をおすすめします。

【葺き替え】
築浅のため、新スレート(アスベスト無し)の葺き替えは経済的ではなく、テイガクではおすすめしていません。
築後30年近く経過したら検討してください。

波型スレート

波型スレート
修理
棟板金交換 差し替え 部分補修
30年 不可 必要時
リフォーム
屋根塗装 カバー工法 葺き替え
不可 30年 40年以上

波型スレートは主に工場や倉庫で用いられる屋根材です。
現存する波型スレートの多くはアスベストが含まれています。
経年劣化が進行している波型スレート屋根は、台風などの強風による不具合が生じやすく、特に「棟」と「ケラバ」がはがれ落ちることが多いです。

修理・リフォーム方法

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【修理】
部分修理として防水テープを貼る修理をおこなうことが多いです。

【屋根塗装】
波型スレートの塗装は美観を目的におこなうものです。
波型スレートは踏み抜き事故のリスクが高く、安易に波型スレートの上にのぼって作業をおこなうことは極めて危険です。
そのためテイガクでは屋根塗装はおすすめしません。

【カバー工法】
古い波型スレートの上に山型の断面形状をした金属製の折板屋根(せっぱんやね)を重ねて張ります。
原則、営業活動に支障がきたすことはありません。
屋根が大きい場合は屋根材を現場で成型加工して張ります。

【葺き替え】
アスベストの処分で多額の費用がかかることに加えて、工場や倉庫の営業中断を要する工事となることが多いです。
そのため、あまり実施することがありません。

瓦屋根の修理時期と修理方法

瓦屋根について
瓦屋根

は、戸建て住宅で最も普及していて、耐久性は50年近くあります
一方で、地震や台風の影響による不具合が多い屋根材です。
従来の瓦の留め方に見直しが入り、2022年に瓦の施工方法について建築基準法が約50年ぶりに改正されました。
瓦は大きく陶器瓦セメント瓦に分けられます。
陶器瓦よりも短命なセメント瓦は現在、流通していません。

瓦屋根のメンテナンス表

瓦屋根の種類をクリックすると、工事詳細へジャンプします。
※表の年数は建築後年数です

屋根分類・名称 修理 リフォーム
陶器瓦
陶器瓦
棟瓦補修 瓦差し替え 漆喰詰め替え 葺き替え 耐震目的の葺き替え
15年〜30年 20〜30年 15〜25年 40年以上 すぐに
セメント瓦
セメント瓦
(~1990年代まで製造)
棟瓦補修 瓦差し替え 漆喰詰め替え 葺き替え 耐震目的の葺き替え
15〜30年 入手不可 15〜25年 30〜40年 すぐに
各瓦屋根の修理・リフォーム方法

陶器瓦

陶器瓦
修理
棟瓦補修 瓦差し替え 漆喰詰め替え
15〜30年 20〜30年 15〜25年
リフォーム
葺き替え 耐震目的の葺き替え
40年以上 すぐに

陶器瓦は耐久性が高く、塗装の必要性もないため、ランニングコストとデザインに優れています
しかし、2000年に耐震基準が厳格化されたことに加え、2022年には耐風設計(ガイドライン工法)も厳格化されました。
その結果、現存する陶器瓦の建物の多くは、現行基準に適合していない可能性があります。

特に温暖化による風の強さが増しており、瓦屋根の台風被害が顕著です。
相当年数が経過している建物の場合は、耐震性と耐風性を備えた葺き替え工事の検討をしてほしいです。

修理・リフォーム方法

表示する

【修理】
漆喰詰替やずれた瓦や谷樋板金の交換などの部分修理は定期的におこなってください。
特に大きな地震や台風が訪れた際、棟瓦のずれは点検と必要に応じて積み直しをしてください。

【屋根塗装】
陶器瓦は、塗装をおこなう必要がありません。

【カバー工法】
瓦屋根にはカバー工法はおこなえません

【葺き替え】
自然災害で発生した不具合や経年劣化による雨漏りが生じた場合は、屋根の葺き替え工事を検討してください。
築後40年以上経過している建物は、耐震性能と耐風性能向上を目的にした屋根の葺き替え工事を検討してください。

【葺き直し】
陶器瓦そのものの耐久性は高いので、崩れた瓦を再利用して張り直すことが可能です。

セメント瓦

セメント瓦
修理
棟瓦補修 瓦差し替え 漆喰詰め替え
15年〜30年 入手不可 15〜25年
リフォーム
葺き替え 耐震目的の葺き替え
30〜40年以上 すぐに

セメントもしくはコンクリートを固めて瓦のフォルムに製造させた屋根材で、ヨーロッパやオーストラリアで広く普及しています。
陶器瓦と簡単に見分ける方法は、色あせです。

耐久性やメンテナンス性は陶器瓦に劣ること、「安い・軽い・施工が簡単」なスレート屋根が登場したことで、セメント瓦は販売(輸入)されなくなりました

修理・リフォーム方法

表示する

【修理】
漆喰詰替やずれた瓦や谷樋板金の交換などの部分修理は定期的におこなってください。
特に大きな地震や台風が訪れた際、棟瓦のずれは点検と必要に応じて積み直しをしてください。

【屋根塗装】
セメント瓦は色あせが進行するため、美観維持を目的に塗装を検討してください。

【カバー工法】
瓦屋根にはカバー工法はおこなえません

【葺き替え】
自然災害で発生した不具合や経年劣化による雨漏りが生じた場合は、屋根の葺き替え工事を検討してください。
築後40年以上経過している建物は、耐震性能と耐風性能向上を目的にした屋根の葺き替え工事を検討してください。

【葺き直し】
セメント瓦は入手ができないため、葺き直しをすることはできません。

金属屋根の修理時期と修理方法

金属屋根について
金属屋根

新築でも改修において、金属屋根はスレートと瓦を抜いてシェアNo1の屋根材です。
背景には、耐久性の高いガルバリウム鋼板の登場があります。
金属屋根の既存住宅の9割以上がトタン屋根です。
トタン屋根はが発生しやすく、定期的に塗装や穴あきのメンテナンスをおこなう必要があります。

金属屋根のメンテナンス表

金属屋根の種類をクリックすると、工事詳細へジャンプします。
※表の年数は建築後年数です

屋根分類・名称 修理 リフォーム
瓦棒(トタン)
瓦棒(トタン屋根)
(~2000年位まで製造)
棟板金交換 部分張り 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 必要時 必要時 10年に1回 20年 25年以上
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板
(2000年代~主流)
棟板金交換 部分張り 部分補修 屋根塗装 カバー工法 葺き替え
15年 不可 必要時 15年に1回 不可 35年以上
金属屋根の修理・リフォーム方法

トタン

瓦棒(トタン)
修理
棟板金交換 部分張り 部分補修
15年 必要時 必要時
リフォーム
屋根塗装 屋根カバー工法 葺き替え
10年 20年 25年以上

トタン屋根は錆びの拡大がしやすいです。
築後25年以上経過しているトタン屋根は、内部の木下地の腐食が進んでいることが多いです。

修理・リフォーム方法

閉じる

【修理】
錆びが発生している場合は錆びを除去したうえでコーキング補修やテープ張りをしてください。
縦葺きの場合は部分張りによる修理も有効です。
差し替えは物理的に可能ですが、周囲の屋根を変形させるため原則おこなうことができません。
トタン屋根の補修について詳しくはこちら

【屋根塗装】
金属屋根は定期的な塗装を含めたメンテナンスをおこなってほしいです。
10年ごとの塗装が目安です。
中でもトタンは錆が発生しやすく、錆が一度発生すると瞬く間に錆が拡大します。
錆びは穴あきの原因なので、錆止め塗料とあわせて屋根塗装をおこなう必要があります。

【カバー工法】
基本的にカバー工法をおこなうことはできません。(例外あり)

【葺き替え】
トタンは30年が経過したら葺き替え工事を優先的に検討してください。

ガルバリウム鋼板(横葺き)

ガルバリウム鋼板
修理
棟板金交換 部分張り 部分補修
15年 不可 必要時
リフォーム
屋根塗装 屋根カバー工法 葺き替え
15年 不可 35年以上

横葺きのガルバリウム鋼板の屋根は主にリフォームで用いられています。
注文住宅などの分野で一部、新築住宅で採用されています。
横葺きの屋根は施工が複雑であるにもかかわらず、需要が高まっている背景があり、手抜き工事がまん延しています。

修理・リフォーム方法

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【修理】
トタンと同様で、錆びが発生している場合は錆びを除去したうえでコーキング補修やテープ張りをしてください。
縦葺きの場合は部分張りによる修理も有効です。

【屋根塗装】
金属屋根は定期的な塗装を含めたメンテナンスをおこなってほしいです。
10年ごとの塗装が目安です。
【カバー工法】
基本的にカバー工法をおこなうことはできません。(例外あり)

【葺き替え】
ガルバリウム鋼板は35年、エスジーエル鋼板は40年が経過したら葺き替え工事を検討してください。

アスファルトシングルの修理時期と修理方法

アスファルトシングルについて
アスファルトシングル

アスファルトシングルは、アスファルトが主成分のシート形状の屋根材で、略して「シングル」ともよばれています。
安価なため建売住宅で用いる機会が多いです。
デメリットは風によるはがれの不具合が比較的多いです。
アスファルトシングルはアメリカでシェア90%の屋根材です。
屋根の表面に石粒が付着しています。
施工が容易な屋根材なので、DIY製品として普及しています。
塗装はおこなわず、カバー工法がよくおこなわれています。
20年以上昔のアスファルトシングルと比べて現代のアスファルトシングルの品質は改良されています。

アスファルトシングルの修理・リフォーム方法

アスファルトシングル

アスファルトシングル
修理
棟板金交換 部分張り 部分補修
15年 必要時 必要時
リフォーム
屋根塗装 屋根カバー工法 葺き替え
不可 20年 30年以上

修理・リフォーム方法

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【修理】
はがれたり破れたりしたアスファルトシングルを防水テープや新しいアスファルトシングルで補修する修理は有効です。

【屋根塗装】
メーカーが推奨していないため、アスファルトシングルの塗装はおすすめしません。

【カバー工法】
築後25年以上経過した、膨れたり破れたりしたアスファルトシングルのリフォームで検討してほしい工事です。
新しいアスファルトシングルもしくは金属屋根を重ねてリフォームをします。

【葺き替え】
築後35年以上経過したアスファルトシングルは葺き替え工事を検討してください。
雨漏りなどによる屋根の野地板の痛みが進行している場合も同様です。

素人でもできる屋根の点検方法

屋根上での点検や作業は危険

よくお客様から「素人でもできる屋根の点検方法を教えて欲しい」と尋ねられることがあります。
屋根上での点検や作業は危険を伴うため、基本的に困難です。
実際にできることは、地上からの目視確認が中心ですが、可能であればバルコニーから脚立を用いた近接確認をおすすめします。
ただし、脚立を立てる場合も安全確保のうえで実施してください。
自分でできる屋根の点検について一覧でまとめました。
★マークが多いほど、オススメです。

点検方法 おすすめ度
屋根にのぼって確認 ★(危険)
地上からの目視
近隣の方や近隣施設からの確認 ★★
ロング自撮り棒を使ってスマホで確認 ★★
トイドローンを使って確認 ★★
赤外線カメラで雨漏り確認 ★★
風が強い日に板金のバタつき音の確認 ★★
地震直後の瓦のズレの確認 ★★★
天井のシミの目視 ★★★
屋根裏の点検 ★★★
バルコニーからの近接確認 ★★★
雨天直後に雨樋の排水確認 ★★★
屋根材の製造年の確認 ★★★

雨漏りの修理と費用について

雨漏り放置で修理費用が増える恐れが

雨漏りした屋根

雨漏りをきっかけに屋根修理を検討される方が多いです。
雨漏りは“じわじわ型”で進行しやすく、雨漏りを放置していると天井裏のカビ発生や断熱材の含水、野地板の腐朽など被害が拡大していることが少なくありません。
本来なら部分補修やカバー工法で済んだものが、葺き替えや構造材の補修まで必要になり、修理費用が高額になることも。
被害と費用を抑えるには、早期の専門診断適切な工法選定が不可欠です。

雨漏りの原因ランキング5選
  • 手抜き工事

  • 谷樋板金

  • 棟板金

  • 天窓板金

  • 雨押え板金(屋根と外壁の取り合い部)

雨漏りの一因として、新築・リフォーム時の施工不備が少なくありません。
具体例としては、不適切な釘・ビス位置、重ね代の防水処理不足、ルーフィングの破損、板金の納まり不良などが挙げられます。
本来は推奨されない、シーリング頼みの応急的な納まりに偏る施工も見受けられます。
また近年は、太陽光発電設備の取り付けにおいて、屋根や防水構造への理解不足が原因で雨漏りを招く事例が増加傾向にあります。

雨漏りの入口と出口の特定が重要

雨漏りを正しく特定・修理するには、雨水の「入口」(浸入箇所)「出口」(漏出箇所)の両方を押さえる必要があります。
コーキングなどの簡易補修だけでは再発を防げない、あるいは望ましくない結果を招くことがあります。
たとえば、「出口」だけを塞ぐと、逃げ場を失った雨水が別の部位へ負荷をかけ続け、被害が広がるおそれがあります。

雨漏りの入口

雨漏りの原因はルーフィングの劣化

屋根の防水シート

ルーフィングは、屋根の防水シートのことです。
屋根材の下に敷いて、屋根内部に入った雨水の侵入を防ぎます。
ルーフィングは、雨漏り原因を最終的に守る防水の最後の砦とも言い換えられます。
経年劣化が進行することでルーフィング性能は低下します。そのため、ルーフィングを敷き直す工事をおこなわないと、根本的な雨漏りの解決策にならないことが多いです。

築後40年近く経過した屋根は野地板の腐食が進行

野地板の腐食

野地板は、屋根を固定する下地として機能する板材のことです。
ルーフィング同様、野地板にも寿命があります。
雨漏りが生じている屋根の場合、野地板の腐食は促進され、拡大します。
野地板は、屋根を固定する役割を担っているため、雨漏りを放置すると屋根の剥がれや更なる雨漏りの拡大を招いてしまいます。

火災保険と補助金

屋根修理で特に全面修理の場合は、高額になることも少なくありません。
火災保険や補助金を使用することで、工事金額を抑えることができる場合があります。
被災による屋根修理の場合は、火災保険が適用できる可能性が高いです。
また、お住まいの自治体や都道府県、または国から屋根修理に関する補助金事業が実施されていることがあります。
火災保険や補助金を活用して、お得に屋根修理を実施しましょう。

屋根修理と火災保険

風災の屋根

台風の強風や雹など自然災害による屋根被害は、火災保険(損害保険)の補償対象になり得ます。
ただし、経年劣化は対象外です。
申請には屋根修理業者の見積書が必要で、調査報告書を添付すると審査がスムーズです。
保険会社が修理業者を紹介する場合もありますが、対応が遅い・提案が期待外れといったこともあります。
また、見積り内容が適切であるか確認のために、保険鑑定の立ち合いを求められることがあります。
明らかに高額の見積もりや内容に疑義がある場合に実施されやすい傾向があります。
立ち合い時は被害箇所と因果関係を的確に示しましょう。

雹災の屋根

給付額は、最終的には保険会社の認定金額で決まります。
筆者の実感としては、同程度の被災でも会社・担当者によって判断がぶれることがあります。
近年、「保険で無料修理」をうたう不当な申請や詐欺が社会問題化しており、注意喚起が広く行われています。
保険会社側の不正対策も強化され、ネットワーク上で不適切業者の情報共有(いわゆるブラックリスト化)が進み、申請段階で不適切と判断された業者の見積りは、拒絶される事例が増えています。

火災保険を用いた屋根修理方法と申請方法

屋根修理と補助金

屋根修理の補助金は、国・都道府県・市区町村のどの制度かで対象や給付額が大きく変わります。
耐震改修や太陽光発電のエネルギーに関することは、国や都道府県が中心となって行う傾向があり、屋根葺き替えや雨樋交換に伴う10万円程度の補助金は市区町村が主体となって行う傾向があります。
大規模災害発生時には、屋根の補修やブルーシート掛け、被災した屋根材の処分などを全セクターの協力の元、支援をしてくれることがあります。
市区町村の補助金の内容は、各市区町村で全く異なり、補助金事業がない自治体の方が多いです。
予算上限に達すると終了するため、早い者勝ちであることがほとんどです。
補助金を目的にして、屋根修理業者の選定をおろそかにすることに注意をしてください。
たとえば、地元の業者に補助金を使って屋根修理をお願いするより、テイガクさんにお願いした方が20万円安く済んだといった話をよくいただきます。

補助金の種類 補助額 要件
国も支援する補助金 数十~数百万 かなり厳しい
市区町村が支援する補助金 10万円前後 市区町村によって変わる
自然災害の補助金 数万円・現物支給 比較的容易
補助金活用の問題
屋根リフォームの補助金制度

屋根修理業者の選び方

適正な価格と専門性の高い工事提案を重視するなら、建築板金工事会社または瓦工事会社へ直接依頼する方法がおすすめです。
以下の図は、国土交通省資料に基づくリフォーム工事の事業者マップです。
屋根工事を実際に担うのは、同マップの「専門工事業」に属する会社で、その中でも建築板金工事会社と瓦工事会社が中心的な担い手です。

国土交通省資料
参考資料:国土交通省「リフォームの特徴」より

これら以外の領域(例:工務店、ハウスメーカー、ホームセンター、不動産仲介等)が受注する屋根工事は、最終的に建築板金工事会社や瓦工事会社への外注となるのが一般的です。
結果として、中間マージンの発生や、一次窓口の体制に依存した提案の汎用化が起きやすく、実態としては「リフォームの営業会社」に近い運用形態となります。

業者によって2倍も変わる修理費用

ハウスメーカーや工務店に屋根修理を依頼しても、ハウスメーカーの正社員が作業着を着て自ら屋根に上がって修理をすることはほぼありません。
実際は、下請けの屋根工事会社(建築板金工事会社・瓦工事会社)が屋根の修理をおこないます。
そのため、ハウスメーカーの見積りには、施工費に加えて管理費や中間マージンが上乗せされることがあり、同じ内容の工事でも発注先によって費用感が大きく異なる場合があります(ケースによっては約2倍の差となることもあります)。
訪問販売や外壁塗装会社、不動産会社、ホームセンターを経由する場合も、基本的な利益構造はおおむね同様です。
一方で、実際に施工を担う屋根工事会社へ直接依頼すると、中間コストが削減され、費用を抑えられる可能性があります。

屋根工事会社へ直接依頼
ハウスメーカーへ依頼

ネット上の屋根修理業者

近年、ネット上には登録企業から成約手数料を受け取る「屋根修理業者紹介サイト」が増えています。
「優良業者」「地元密着」といった表現が多用されますが、見積金額に成約手数料が上乗せされる仕組みとなっており、必ずしも適正価格とは限りません
また、「おすすめ業者」を掲げて広告費を払った企業を優先表示し、同業他社との差を強調して集客するステルスマーケティング※に近い広告型サイトも増えています。
屋根修理は公的資格がなくても名乗れるため、ネット情報の当たり外れが大きいのが実情です。
最終判断は、実績・資格(建設業許可の業種区分など)・施工写真・保証を自分の目で確認して行ってください。
※企業(広告主)が関与しているにもかかわらず、それを隠して、あたかも第三者(一般の消費者やファン)による自発的で公平な評価や口コミであるかのように見せかけて宣伝する行為

紹介サイトによる工事依頼
ネットで屋根修理業者を判断するポイント10選
  • 資材倉庫や加工場の所在地・実在が確認できるか(写真や地図で)

  • 創業・設立年が明示され、10年以上の継続実績があるか

  • 施工事例が屋根工事中心(葺き替え・カバー・板金役物)で、工程写真が充実しているか

  • 本業が塗装や総合リフォームではなく、屋根専門の自社サイトだけを運営しているか

  • 建設業許可(業種・許可番号・取得年)が明記されているか

  • 口コミの量と内容が具体的で、評価の偏りがないか

  • 実績を裏付ける表彰・資格・所属団体(例:全板連・全瓦連等)の開示があるか

  • YouTubeやSNSで施工の様子や技術情報を継続発信しているか

  • 自社施工体制か、担当職人・施工管理者の顔と体制が見えるか(丸投げでないか)

  • 工事保証の年数・範囲と、賠償責任保険等の加入状況が明記されているか

屋根修理業者は誰でも名乗れる?

「屋根専門の修理業者」という国家資格や公的な業種区分は存在しません。
一方で、民間の「○○診断士」などは短期間の受講や費用負担で取得できるケースが多く、名称から専門性が高い印象を受けても、公的な資格制度とは位置づけが異なります。
極端に言えば、「屋根修理業者」とは誰でも名乗ることできます
そのため、「屋根が壊れています」などと不安をあおり高額契約へ誘導する、いわゆる点検商法を行う“自称屋根修理業者”が後を絶たないのが実情です。

自称屋根修理業者

建設業許可の有無と専門工事業者の確認

国土交通省(都道府県知事)の建設業許可には「屋根工事業」「板金工事業」などの明確な業種区分があります。
これらの許可を持つ会社は、屋根工事に関する体制や知見を備えた組織として、一定の評価指標になります。
ただし、許可の有無=即プロとは言い切れません。
真の「屋根工事のプロ」とは、日常的に屋根工事を自社で継続的に行っている工事会社を指します。
具体的には、建築板金工事会社や瓦工事会社が該当します。
業者選びの際は、建設業許可の有無・業種区分・施工体制(誰が実際に施工するのか)を必ず確認することをおすすめします。

金属屋根の新設・修理は建築板金工事会社

一般に建築板金工事会社は、建設業の許可(全29業種)のうち「板金工事業」の許可(=金属屋根・金属外壁の施工技術に関する業種)を有する工事会社を指します。

建設業の許可(全29業種)

実際に屋根に携わる屋根職人にも専業の区分があり、金属屋根を扱う「建築板金工」、瓦屋根を扱う「瓦葺き工」、スレート屋根・アスファルトシングルを扱う「スレート工」があります。

専業区分 主な内容
建築板金工 金属屋根の新設・改修・補修を担う専門職。高度な技能が求められ、国家資格も整備。
瓦葺き工 瓦屋根の新設・修理を担う専門職。こちらも高度技能で国家資格あり。
スレート工 新築で用いるスレート屋根やアスファルトシングルの施工が中心。改修・修理の現場での出番は相対的に少なめ。

工事の相談先は屋根材で選ぶのが基本です。
金属屋根の新設・修理は建築板金工事会社瓦屋根の修理は瓦工事会社が適任です。
医療でいえば、症状に応じて適切な診療科を受診するのと同じ発想で、「適切な専門にかかる」ことが品質と適正価格につながります。
なお、スレート屋根・アスファルトシングルは手順が比較的シンプルなため、経験のある建築板金工や瓦葺き工でも対応可能です。

金属屋根の新設・修理は建築板金工事会社
金属屋根の新設・修理は建築板金工事会社

このような「建築板金工」と「瓦葺き工」という当たり前の区分は、一般には十分に知られていません。
現在は金属屋根を用いた修理が一般的になっているため、屋根の修理は建築板金工事会社への相談をおすすめします。
また、板金工事業の建設業許可の有無は国土交通省の検索サイトで確認できます。

建築板金工事会社の見つけ方

建築板金工事会社

日本製の高品質な金属屋根材は長尺(3 m前後)の製品が多く、安定した保管・加工のためには天井高のある倉庫が望まれます。
このため、建築板金工事会社は一般に、材料を保管できる倉庫(材料置き場)や作業スペースを備えていることがほとんどです。
設備の有無は実力を見極める際の一つの目安になります。
小規模な個人事業でも、何らかの材料置き場は通常確保しています。

倉庫内の画像

見極めにはGoogle マップの活用も有効です。
所在地をGoogleマップのストリートビューで確認し、倉庫・工場棟の有無や作業車の出入りなどから、自社施工体制か、営業中心かを推し量れます。
一方で、幹線道路沿いや駅前のオフィスビルのみで活動し、材料保管施設を持たない場合は、実態が営業中心のリフォーム会社である可能性が高く、施工は外注となるケースが少なくありません。
結論として、日頃から屋根材を自社で管理し、自社施工を行う事業者を候補にするのが安心です。
最終判断は倉庫の有無だけでなく、実績・工事業の許可・工事技術・保証など総合的に確認してください。

塗装会社と屋根工事会社の違い

屋根カバー工法

近年、屋根カバー工法(=金属屋根の重ね葺き)を提案する塗装会社が増えています。
外壁塗装は足場を共用できるため、屋根と同時施工を望む消費者ニーズが高まっていることが背景としてあります。
塗装会社が、屋根専用サイトを立ち上げて「屋根のプロ」を標榜しながら、管理体制が不十分なまま金属屋根工事を扱うケースも見受けられます。
仕様決定や役物の納まり、施工管理の甘さから誤施工・不具合につながる事例も少なくありません。

屋根塗装の様子

塗装会社が屋根工事を受注した場合、実際は、建築板金工事会社への外注(丸投げ)がほとんどです。
塗装と金属屋根は本来まったくの異業種だからです。
結局、一番大事なのは、屋根材メーカーや商品ではなく、屋根工事そのものの品質と、それを支える専門体制(建築板金の設計・施工管理・実装力)です。
技術力を伴わない屋根工事会社による施工は、屋根の漏水・下地腐朽などの重大損失へ直結し、再工事が必要になれば修理費用がさらにかかる可能性があります。

気をつけたい屋根点検商法と詐欺業者

突然自宅を訪問して「無料点検」を持ちかけ、点検後に屋根修理の契約を迫る「屋根点検商法」と呼ばれる訪問販売業者による屋根工事被害が多く報告されています。
よくある営業トークが、「近くで屋根工事をしており、足場からお宅の屋根の傷みが見えたので気になって伺いました」といった親切な工事会社を装った提案です。
実在しない不具合を指摘したり、わざと屋根を壊して工事へ誘導するケースもあります。
本来は10万円程度で済む工事内容を、100万円といった法外な価格で契約させます。
特に、大規模な地震や台風の直後には、被災地での点検商法が活発化し、社会問題として取り上げられる機会が増えています。

年々増加する屋根修理詐欺

国民生活センターの報告では、屋根工事の「点検商法」に関する相談件数が年々増加傾向にあります。
警視庁や各自治体も相次いで注意喚起を行っています。

国民生活センター
出典:国民生活センターHPより引用

詐欺業者の特徴

点検商法の他にも、消費者の不安をあおったり、メリットがあるような言葉で工事契約を迫ったりと、悪質業者営業パターンは様々です。
次に挙げる項目は、詐欺業者のよくある行動・言動パターンです。
一つでも当てはまる屋根修理業者は、悪質な勧誘である可能性があります。
少しでも不安を感じたら、契約前に最寄りの消費生活センターへ早めにご相談ください。

詐欺業者の特徴
  • 「火災保険で実質0円」を強調する

  • 不自然に高額な見積

  • 即決を迫る

  • 相見積もりを拒否する

  • 名刺を渡さない

  • 所在地が不明瞭(住宅地の一室など)

  • 提示写真が過度に拡大され、自宅の屋根か判別できない

  • 点検者と見積提示者が別人

適切な工事会社か判断するには“相見積り”

適切な方法で適正価格の屋根修理を実現するには、相見積りが不可欠です。
1社だけで判断せず、最低でも2〜3社に現地調査を依頼し、同じ条件(工法・材料・数量・保証・工期など)で見積書を比較検討しましょう。

屋根修理についてよくある質問

DIYで補修しても大丈夫?

A

ホームセンターでもDIYの屋根修理の道具が販売されています。
しかし、転落・転倒リスクが高いため、基本的にはプロに任せることをおすすめします。

屋根の点検は無料?どこまで見てくれる?

A

基本的には調査は無料です。
外観や屋根上での確認、写真撮影の実施が一般的です。
ただし、目的が屋根全体の改修ではなく、点検だけの場合は、費用が発生します。
必要に応じて、屋根裏のもぐりこみ、簡易含水チェック、ドローン併用で危険箇所の把握も行います。

雨漏りの応急処置はどうすればいい?

A

室内側では、バケツやお皿で雨水を受け、ブルーシートで養生をします。
屋外は無理に上がらず、屋根修理業者にブルーシート養生を依頼してください。

屋根修理に足場は必要?

A

基本的には、屋根修理の際には、安全と品質確保、近隣保護のため、足場は原則必要です。

棟板金が浮く・飛ぶのはなぜ?対策は?

A

釘の緩みや貫板の劣化が主因。ビス打ち直し固定も有効ですが、基本的には交換をおすすめします。樹脂下地ではなく金属下地にすると長期にわたる再発を抑えることができます。

カバー工法と葺き替えの違いは?

A

カバー工法は古い屋根の上に新しく軽い屋根を重ねる方法です。
屋根を支える野地板の劣化が進行している場合や30年40年といった長期の屋根の耐久性維持を期待している場合は、野地板を張り直す葺き替えが適切です。

工期の目安は?

A

屋根の部分修理は1~3日、カバー工法は約1週間、葺き替えは1~2週間が目安です。
面積や勾配、屋根面の数、天候、周囲の環境で工期は前後します。

点検商法・悪質業者の見分け方は?

A

突然の無料点検→不安を煽り即決要求もしくは保険で“0円”を強調→会社情報を調べても不明点が多い→相見積もり拒否、これらが該当すれば危険信号です。

火災保険は使える?

A

屋根の破損や不具合が明らかに強風のものであれば、火災保険の対象となります。屋根の経年劣化や屋根材自体に問題がある場合は対象外です。

屋根の保証はどうなっている?

A

材料のメーカー保証と、工事会社の工事保証(雨漏り等)の2本立てが基本です。
工事会社の工事保証の方が重要です。
保証範囲や年数・免責条項を契約前に確認しましょう。

屋根修理と一緒にやると良い工事は?

A

足場を組むため、外壁塗装や金属サイディングによるカバー工法を検討してください。
その他、雨樋交換や破風・鼻隠し板金巻、換気棟の追加、雪止めの追加設置もおすすめです。

スレート屋根のアスベスト含有かどうかを見分けるには?

A

製造年や製品名で含有の確認ができます。
築後20年前後で屋根の痛みが明らかに激しい場合は、ぜい弱な第2世代のスレート屋根の可能性が高いです。
その場合は、屋根修理の処置だけでは全く意味がなく、屋根全体の改修(カバー工法か葺き替え)が必要です。

どんな会社に依頼すべき?

A

日常的に屋根材を扱う建築板金・瓦の専門会社。この2社が屋根工事のプロ集団です。自社(または専属)職人の施工体制、施工写真・実績、資格・保険、所在地の明確さを確認してください。

本記事の著者・監修者

著者 前川祐介
前川 祐介

昭和ルーフリモ株式会社 代表取締役社長
「屋根と外壁のリフォーム工事テイガク」Webメディア運営責任者

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学経営学部→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する建築板金工事会社(昭和ルーフリモ株式会社)へ入社。最終学歴、中央工学校夜間建築学科。2022年に代表取締役社長に就任。年間1,000棟以上ある現場での施工経験を活かし、Webメディア「テイガク」での記事執筆、YouTubeでの動画撮影をおこなう。趣味は日本史学。宅地建物取引士・建築物石綿含有建材調査者