アスファルトシングルの屋根が徐々に増えています。
スレート屋根よりも安くかつメンテナンスがしやすい屋根であるため、アスファルトシングルを採用している建設会社が増えています。
使用される機会が広がったこともあり、アスファルトシングルの塗装を検討されている方も増えています。
この記事ではアスファルトシングルの塗装とその必要性について解説します。
日常的に屋根工事をおこなっている屋根リフォーム会社の独自の見解です。
アスファルトシングルのメンテナンス
アスファルトシングルの耐用年数
ひとことにアスファルトシングルといっても、アスファルトシングルの品質は、製造された年代やメーカー、商品によって様々です。
テイガクはその経験から、アスファルトシングルの種類を下記の3つに分けています。
アスファルトシングルの種類 | 耐用年数 |
---|---|
20年前の製品 | 15~20年 |
現在の汎用品 | 20~25年 |
現在の高耐久品 | 25~30年 |
20年前の普及したアスファルトシングルに比べて、最近のアスファルトシングルは技術レベルの向上により、質の高い製品が製造されています。
ただし、製造国は日本と韓国、アメリカに分けられ、それぞれ性能や保証内容、施工方法が異なります。
製造時期や商品によってアスファルトシングルの耐用年数は全く違います。
それでは、アスファルトシングルはどのようにして劣化が進むのでしょうか?
昔のアスファルトシングルは以下のような順番で劣化が進みます。
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色あせがはじまる
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浮きはじめる
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踏むとフカフカする
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風で破れ始める
上記のように、アスファルトシングルは色あせから劣化がはじまります。
なんとか塗装をしてアスファルトシングルを長持ちさせたくなる気持ち、とてもわかります。
しかし、アスファルトシングルに塗装をしても、屋根の耐用年数が長くなることはありません。
アスファルトシングルの塗装について
アスファルトシングルの塗装費用
シリコン系塗料でアスファルトシングルを塗装した場合の費用
建物のモデル |
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2階建て |
屋根面積80㎡ |
屋根面4面 |
工事項目 | 工事価格 |
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足場組立 | 160,000円 |
高圧洗浄 | 20,000円 |
板金部塗装 | 10,000円 |
下塗り | 50,000円 |
中塗り | 70,000円 |
上塗り | 70,000円 |
縁切り | 30,000円 |
消費税 | 41,000円 |
参考工事金額 | 441,000円 |
塗装の工程と費用は他の屋根材の塗装と大きく変わりません。
塗料の質によって屋根塗装の費用は変わります。
塗装をおすすめしない理由
テイガクでは、アスファルトシングルの塗装をおすすめしていません。
屋根機能の維持や改善を目的にする行為ではなく、屋根塗装は単なる美観維持が目的だからです。
屋根材そのものの寿命は必ず訪れます。
耐用年数に優れたアスファルトシングルが登場したといっても、アスファルトシングルは他の屋根材よりも短命です。
いずれ訪れる屋根の全面改修を考えると、アスファルトシングルの塗装は費用対効果が悪いといえます。
築後10年が過ぎた、アスファルトシングルに塗装をするくらいなら、将来必要になる屋根カバー工法などの屋根の全面改修工事のお金として大切に貯金をしておいたほうが賢明ではないでしょうか。
そして、アスファルトシングルの塗装は、正しい理解のもとにおこなわないと、期待していなかった結果を招くことになります。
雨水が排水されにくくなり雨漏りリスクが高まる
アスファルトシングルに塗装をすると、アスファルトシングルとアスファルトシングルが重なる部位のすき間を塗料で埋めてしまうことになります。
アスファルトシングルが重なるすき間は、屋根内部に入り込んだ雨水を排水させる役割があるため、すき間を新たに形成させる必要があります。
万が一、アスファルトシングルの中に雨水が入り込むと、雨水が出るすき間がないことから雨漏りが引き起こる可能性があります。
屋根塗装の際は、「縁切り」とよばれる作業でアスファルトシングルの重なる部に切り込みを入れます。
人がおこなう作業になるため、元々のすき間と同じような切り込みの再現が難しいです。
手抜きも含め縁切り作業が不十分であった場合、当然、屋根からの雨漏りリスクが高まります。
水性塗料しか用いることができない
屋根は外壁よりも悪環境であり、外壁の約2倍早く色あせが進むため、より耐候性の高い塗料の使用が求められます。
そのため、一般的に屋根塗装をおこなう際は、溶剤系(油性)の塗料を用います。
しかし、アスファルトシングルの場合は、溶剤系はアスファルトを溶かしてしまうため、水性の塗料を用います。
棟板金の交換が優先
アスファルトシングルに塗装の必要性を感じている場合、棟板金の交換工事が必要な状態でもあるはずです。
棟板金は屋根のてっぺんに取り付ける板金部材です。
経年や強風の影響により、はがれる不具合が高い屋根の部材です。
屋根塗装と棟板金交換をおこなうことは、現在、常識になりつつあります。
アスファルトシングルの塗装を検討するよりもアスファルトシングルの棟板金の交換をまずはじめに検討してほしいです。
また、屋根裏の熱を放出させて屋根下の居室を快適にさせて屋根の耐久性を向上させる換気棟の設置も棟板金の取付と同時におこないます。
屋根塗装と換気棟の交換を同時におこなうと、約500,000円程度の費用となります。
費用対効果を考慮すると、アスファルトシングルに屋根塗装をおこなう価値はあまり高くありません。
神奈川県鎌倉市-築8年のアスファルトシングルの棟板金交換
アスファルトシングルのリフォーム方法
屋根カバー工法とは
屋根カバー工法とは、古いアスファルトシングルの上に、軽い屋根材を重ねて張るリフォーム工事のことです。
重ねて張る屋根材は、同じアスファルトシングル、もしくは金属屋根を張ります。
屋根塗装では、屋根の耐久性や機能維持の改善が図れません。
また、断熱材一体型の金属屋根のように屋根下の居室が快適になる屋根材もあります。
そのため、屋根カバー工法による屋根リフォームをおこなう機会が多いです。
アメリカではDIYで重ね張りするのがスタンダード
アスファルトシングルはアメリカで主に用いられている屋根材です。
本場のアメリカでは、屋根塗装をおこなうことはほぼなく、同じアスファルトシングルを重ねて張るのが一般的です。
また、アスファルトシングルはDIYで張って仕上げることが多いです。
金属屋根で被せる屋根カバー工法がおすすめ
日本はアメリカと異なり、屋根のリフォームは屋根工事業者に依頼するのが一般的です。
もちろん、用いる屋根材はアスファルトシングルではなく、より付加価値の高い屋根材を選択することができます。
たとえば、断熱材一体型の金属屋根を重ねて張って仕上げることも可能です。
テイガクでは断熱材一体型エスジーエル鋼板の金属屋根で屋根を仕上げる機会が多いです。
夏の暑さの問題が解消され、過ごしやすくなったとお客様から高い評価をいただいています。
これからアスファルトシングルの屋根塗装を検討されている人は、屋根塗装だけではなく屋根カバー工法のリフォームも検討してください。