アスファルトシングルのことが全部分かる！耐久性・工事価格・デメリットまで徹底解説

アメリカの戸建て住宅の80%以上で用いられているアスファルトシングル。
日本でもアスファルトシングルを用いた戸建て住宅が徐々に増えています。
増加傾向にある１番の理由は低価格だからです。
その一方で、耐久性やメンテナンスについては不安な声もあります。
この記事では、アスファルトシングルのデメリットとメリットについて詳しく説明します。

アスファルトシングルは、その名の通り、アスファルトを主成分とした屋根材です。
「シングル」や「シングル葺き」と略してよぶこともあります。
屋根の表面には石粒が付着しています。

屋根の防水シートであるルーフィングシートもアスファルト製です。
アスファルトシングルは組成がルーフィングシートに近く、シート状になっています。
そのため、折り曲げても屋根として用いることが可能です。
ルーフィングシートの表面に石粒を付着させた屋根材とも言い表せます。

アスファルトシングルを用いて、重ね葺き（屋根カバー工法）することも可能です。
スレート屋根やアスファルトシングルの上にアスファルトシングルを張る工事も可能です。

筆者は昔、アメリカのテキサスから日本へ在住されているお客様とお会いする機会があり、そのお客様がテキサスにいた頃、「アスファルトシングルの屋根をDIYで５枚重ねて張ったことがある」というお話をお聞きしました。

アスファルトシングルの寿命は、一般的には15年から30年です。
比較的寿命が短いのは昔の製品で、最近の製品は品質改良されています。
20年以上前のアスファルトシングルと、今のアスファルトシングルでは耐久性が異なります。
また、日本製品と海外製品でも特性が異なります。
保証内容も異なります。
したがって、アスファルトシングルは商品によって品質が変わる屋根材であり、わたしたちが期待している以上の耐用年数を備えた商品もあるということです。

現在のアスファルトシングルのコアとなる基材はガラス繊維です。（ファイバーグラスマット）
一方、昔のアスファルトシングルは今のような高耐久なファイバーグラスではないため、比較的短命です。
経年とともに膨れ上がり、風でちぎれやすくなっているアスファルトシングルを街中でみかけます。
特にアスファルトシングルはマンションなどの集合住宅でかつ玄関で使用されることが多いです。
不特定多数の人が出入りしたり、通ったりするため、危険な状態の場合は早期の改修工事を検討してください。

日本国内で入手ができるアスファルトシングルのメーカーと輸入販売元です。

世界でアスファルトシングルを製造している国は、韓国とアメリカ、そして日本です。
なかでも韓国はアスファルトシングルの生産輸出国として知られています。
韓国は屋根材に石粒を付着させる技術があり、石粒付金属屋根も含め、石粒付きの屋根の生産国です。

アスファルトシングルは商品によっても耐久性と価格が変わります。
田島ルーフィング株式会社が製造販売している「シングル」と「ロフティ」の違いを比較します。

天然石は石そのものの色が屋根の色になるため、色あせすることはありません。
シングルはロフティよりも1.8倍耐久性があり、25年の耐久性があるとデータで示されています。

オークリッジは保証期間が長く、ユニークな保証制度を設けています。
40年という数字が際立っており、とても耐久性が高い特殊なアスファルトシングルのように感じてしまいます。
オークリッジはアメリカで多く販売（生産は韓国やカナダ）されているアスファルトシングルで、アメリカ本国に近い保証制度が日本にも取り入れられているだけです。
工事後徐々に保証代金（製品代金）を低減させていく保証制度（ワランティ保証）です。
施工後10年を過ぎると、製品代金の一部を施主が負担するといった保証です。
41年目では、販売会社の負担は20％、施主の負担は80％になります。

アスファルトシングルの裏面には、シングルボンドとよばれる接着剤の塗布が必要です。
シングルボンドの塗布方法が商品によって全く違います。

なお、海外製のアスファルトシングルは、アスファルトシングルの裏側に熱で溶けるシーリング（セルフシーラント）が一列、付着しています。
セルフシーラントと点付けによる工事になります。

ボンドの量に屋根への固定力は比例すると、筆者は思っています。
耐風性能の点では一列にしっかりとシーリングを打ち込む日本製のアスファルトシングルが優れていると筆者は評価しています。

アスファルトシングルとアスファルトシングルの間にすき間が生じはじめたら、アスファルトシングルの劣化が進んでいると判断できます。
強風ではがれ落ちる可能性があるため、早期の改修工事を検討してください。

日本でアスファルトシングルが普及している理由は初期コストが安いからです。
建材コスト高騰のより、建売住宅において従来のスレート（コロニアル）からアスファルトシングルへの転換が進んでいます。
それでは、他の屋根材と比べて、アスファルトシングルの工事金額の価格差はどのくらいでしょうか？

材工価格とは、材料と工事の合計金額のことです。
田島ルーフィングでは自社のウェブサイトで、おおよその材工価格を公開しています。
屋根の形状と勾配ごとにかなり細かく材工価格が表示されています。

2022年、アスファルトシングルの価格が大幅に値上がりました。
オークリッジやアルマは約30％、リッジウェイに至っては約2倍程度、大幅に値が上がりしました。
金属屋根やスレート屋根も同様に値上がりしているため、相対価格な差はほぼありません。

以下はテイガクが請け負う工事金額の目安です。
アスファルトシングルの工事金額を100万円とした場合の価格差です。（屋根本体工事だけの価格）

テイガクでアスファルトシングル（アルマ）の工事をお客様から請け負った場合の工事金額です。

※板金役物工事は、表では一式表示となっています。
板金役物工事は屋根の形状によって大きく内容が変わります。
実際の見積書の項目と価格は、より詳細な表記となります。

20年以上の屋根の維持を期待している人は、耐久性が高いガルバリウム鋼板をおすすめします。
中でも分厚い断熱材が一体化されたガルバリウム鋼板は、冷暖房の利きが良くなります。
快適性を期待している人もガルバリウム鋼板をおすすめします。

長く居住される予定がない人やコストを優先されたい人は、価格が安いアスファルトシングルがおすすめです。

アスファルトシングルの張り方は簡単です。
メーカーから用意されているボンドを塗った後、釘を打ち込んで張り上げます。

Youtube動画で検索をすると、アスファルトシングルの施工方法に関する動画をたくさん見つけることができます。

築後20年30年過ぎたアスファルトシングルの屋根をリフォームする機会が増えています。
アスファルトシングルのリフォーム方法について解説をします。

アスファルトシングルの着色された石には、色あせする石もあります。
筆者の経験上、グリーンやレッドのカラーは色あせしやすい印象です。
屋根塗装をしてもアスファルトシングルの機能が改善することはありません。
外観だけが綺麗になるだけです。
また、アスファルトシングルの石が高圧洗浄の影響ではがれ落ちる可能性もあります。
アスファルトシングルは屋根材で最も価格が安い屋根材であり、費用対効果を考慮するとアスファルトシングルの塗装をテイガクではおすすめしません。

アスファルトシングルも他の屋根材同様、屋根てっぺんの棟板金は風で飛ばされやすい部位です。
新築時の棟の下地は木下地であることが多く、10～20年に一度、経年劣化が原因で交換を要する場面が訪れる可能性があります。
テイガクでは、アスファルトシングルの棟板金の交換の際は、金属製の下地（エスヌキ）と屋根の熱の放出を促進させる換気棟の取り付け（増設）をおすすめいたしております。

古いアスファルトシングルの上に金属屋根あるいは新品のアスファルトシングルを重ねて張る工事方法です。
古いアスファルトシングルを処分する手間と費用が抑えられるので、最も人気がある工事方法です。
屋根の高さが高くなるため、雨樋への排水位置が適切か、工事前に事前確認をおこなう必要があります。
2023年には、田島ルーフィングから屋根カバー工法専用のアスファルトシングル「オーヴァン」が発売されました。

古いアスファルトシングルをはがして屋根を張り替えます。
スレート屋根や瓦と違い、アスファルトシングルは接着剤で張り付けられているので、はがすのがとても大変です。
テイガクでは雨漏りしている現場でのみ葺き替えをおこなっております。
屋根の下地にあたる野地板や屋根の構造材である垂木にまで腐食が進んでいることがあります。
屋根をはがして、野地板の交換もしくは重ね張りを検討のうえ、屋根の葺き替え工事を進めます。

日常的に屋根工事に携わっている板金工職人や瓦葺職人が主にアスファルトシングルの施工を担っています。
防水作業を伴うこともあるため、防水工職人もアスファルトシングルの施工をよくおこなっています。
比較的アスファルトシングルは簡単に施工ができる屋根材です。
手先が器用な人であれば素人の人でもDIYで施工や修理ができる可能性が高いです。
もちろん、DIYで屋根を張る場合は、安全確保に十分な注意を払ってください。