屋根材の人気メーカーを解説します
毎年、日経アーキテクチュアが2021年末に公開した「採用したい建材ランキング」を元に、各屋根材のトップ3のメーカーがどんな会社なのか、主力商品とともに解説します。
日経アーキテクチュアとは
日経アーキテクチュア(旧日経ホームビルダー)は、建築業界で最もよく知られている日経BP社系列の業界誌です。
毎年、各建材メーカーを分野別にランキング形式で紹介しています。
評価は「機能性」「耐久性」「省エネ」「デザイン」「コスト」「サポート」の6項目からで、総合計ポイント数でランキングを決定しています。
なお、分野は外壁材や室内ドア、トイレ、サッシなど49の分野に渡ります。
新築やリフォームで建材選びをするプロ向けのデータです。
採用したい 建材・設備メーカーランキング2021
出典: 日経アーキテクチュア
金属屋根のランキング
金属屋根メーカーTOP10
企業名 |
1位 元旦ビューティ工業 |
2位 三晃金属工業 |
3位 淀川製鋼所 |
4位 アイジー工業 |
5位 JFEスチール |
6位 セキノ興産 |
7位 LIXIL |
8位 タニタハウジングウェア |
9位 日本製鉄(旧新日鉄住金) |
10位 オリエンタルメタル |
金属屋根のランキングでは、「大型建築物の屋根材メーカー」と「戸建て住宅の屋根材メーカー」がごっちゃになっています。
この日経アーキテクチュアのランキングをテイガクなりに振り分けました。
戸建て住宅の金属屋根メーカー
ちなみに10社中、戸建て住宅の屋根材メーカーは3社しかありませんでした。
企業名 |
1位 アイジー工業 |
2位 LIXIL |
3位 タニタハウジングウェア |
1位 アイジー工業
アイジー工業は山形県の会社です。
戸建て住宅の金属サイディングと金属屋根を取り扱う会社としては日本で一番大きな会社です。
屋根の主要商品はスーパーガルテクト。
断熱材一体型のエスジーエル鋼板の屋根材として知られています。
屋根材の裏に16mm厚の断熱材が付着された断熱性に優れた金属屋根です。
役物(やくもの)とよばれる板金部材の数が他メーカーの屋根材と比べて倍近くあり、施工性と止水性は段違いに優れいる屋根材です。
現在、金属屋根といえば誰もがスーパーガルテクトを思い浮かべるほど認知されている商品です。
2位 LIXIL
2位は建材トップメーカーのLIXILでした。
主要商品はT・ルーフ。
屋根表面に石粒が付着した金属屋根です。
ニュージーランドからの輸入品です。
デザイン性が評価されています。
施工方法が他社の石粒付き鋼板屋根に比べ、丁寧かつ止水性が高いと筆者は評価しています。
3位 タニタハウジングウェア
タニタハウジングウェアは東京都板橋区にある会社です。
主要商品はタニマット。
業界関係者からは銅板屋根や金属雨どいのメーカーとしてよく知られています。
デザイン性に優れた屋根材を製造する会社として評価されています。
大型建築物の金属屋根メーカー
1位 元旦ビューティ工業
元旦ビューティ工業は神奈川県藤沢市にある会社です。
上場企業です。
大型建築物だけではなく、戸建て住宅の屋根材や雨どいも製造しています。
ホームページを見ると、知名度が高い施設の施工実績を確認できます。
日経アーキテクチュアのランキングでは7年連続1位の会社です。
元旦ビューティ工業のCM
2位 三晃金属工業
三晃金属工業は東京都港区にある会社です。
東証一部上場企業で、日本で一番大きな金属屋根メーカーであり、実は日本で一番大きな屋根材メーカーです。
三晃式という当時では画期的な金属屋根の施工方法を開発し、わが国の大型建築物の金属屋根の発展に貢献してきた企業です。
日本製鉄が資本参加しています。
3位 淀川製鋼所
淀川製鋼所は大阪府中央区にある会社です。
東証一部上場企業です。
一般には「ヨドコウ」とよばれ、ヨド物置が有名ですが、主力事業は金属屋根の製造です。
京セラドーム大阪やさいたまスーパーアリーナの屋根は淀川製鋼所が手掛けています。
瓦屋根のランキング
瓦屋根メーカーTOP10
瓦屋根はトップ3全て三州瓦のメーカーがランクインしました。
「輸入瓦の丸鹿セラミックス」や「淡路瓦の昭和窯業」「石州瓦の木村窯業所」などもランクインしています。
1位 三州野安(さんしゅうのやす)
三州野安は愛知県にある三州瓦の製造会社です。
国内の粘土瓦の70%シェアを獲得しています。
人気商品は洋風M型瓦のセラマウント。
日経アーキテクチュアのランキングでは10年連続1位の会社です。
2位 鶴弥(つるや)
鶴弥は愛知県にある三州瓦の製造会社です。
上場企業です。
人気商品はF型瓦のスーパートライ。
2寸勾配という極めて緩い勾配でも用いることができる商品です。
3位 東洋瓦
東洋瓦は愛知県にある三州瓦の製造会社です。
人気商品は洋風M型瓦のトラッド Ⅲ。
積水ハウスや住友林業でも採用されている屋根材メーカーです。
スレート屋根のランキング
スレート屋根の人気屋根材メーカーTOP5
スレート屋根の中でも平板スレート(コロニアル)はケイミューが独占しています。
2位以下はセメントを主成分にした厚型スレートです。
1位 ケイミュー
ケイミューは大阪府中央区にある会社です。
スレート屋根は元々、クボタとパナソニックの2社が競合していましたが、2003年に統合し、ケイミュー株式会社となりました。
主力商品はコロニアルクァッド。
日本で1番大きなスレート屋根メーカーです。
2位 富士スレート
富士スレートは徳島県にある会社です。
主力商品はエアルーフ。
エアルーフは高分子繊維強化セメント瓦にあたり、瓦のような質感でありながら軽量で耐久性に優れた屋根材です。
ケイミューのROOGAという屋根材に似ています。
デザインが豊富で、洋風にも和風の家にも適した屋根材が見つかるはずです。
3位 アルプス
アルプスは和歌山県にある会社です。
主力商品はアルペン。
セメント瓦を製造している会社です。
筆者より読者の方へ
日経アーキテクチュアは建築のプロが最新情報を得るために閲覧している雑誌なので、ランキングにランクインした会社はどれも一流の会社であると評価です。
各屋根材メーカーにフォーカスすることで、屋根材メーカーはたくさん存在し、そして、ユニークな屋根材がたくさんあることもお分かりいただけたと思います。
屋根材は日進月歩、進化しています。
金属屋根では2016年にアイジー工業が「ガルバリウム鋼板のガルテクト」を改良した「エスジーエル鋼板のスーパーガルテクト」を販売し、現在、戸建て住宅の屋根材市場を席巻しています。
一方、瓦屋根は、地震や台風のマイナスイメージを払拭するため、従来の瓦より軽量かつ崩れにくいロック構造の軽量防災瓦を製造しています。
スレート屋根でも、瓦の半分の重さでかつ瓦よりも硬い高分子繊維セメント瓦が開発され、ケイミューのROOGAは販売から10年が経過しました。
防災や温暖化の視点を加えた屋根材や、太陽光パネルの設置に適した屋根材など、屋根材に求められる課題はまだまだたくさんあります。
これから新しい屋根材がどんどん登場するはずです。
そして、屋根材だけではなく、その他の建材も進化をしています。
日経アーキテクチュアが毎年発表している「おすすめしたい建材ランキング」。
是非、メーカーとそのメーカーの主力商品を欠かさずチェックをしてください。