ディートレーディング社のジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板とは?
ジンカリウム鋼板とはガルバリウム鋼板(JIS G3321)のことです。
エコグラーニはそのジンカリウム鋼板の表面に石粒を付着させた石粒付き金属屋根です。
意匠性に優れた屋根材で、石粒付き金属屋根は世界では韓国やニュージーランド、中国などで製造されいます。
アスファルトシングルと同様、セラミックコーティングされた石粒で表面処理されています。
アスファルトシングルの金属屋根版ととらえてください。
屋根の仕上がりはどれも見た目が似ています。
しかし、石粒付き金属屋根は輸入販売元や商品ごとに、板金役物の構造や止水性能、色あせ具合、屋根の張り方などが全く異なります。
そのため、各屋根材の特徴やメリット・デメリットはあらかじめよく把握しておきましょう。
ディートレーディング社の商品一覧
ディートレーディング社で扱っている屋根材の一覧です。
ブランド名はディーズルーフです。
商品名 | 張り方(耐風性) | 空気層(断熱性) | 通気性(断熱性) | 価格 |
---|---|---|---|---|
エコグラーニ | オーバーラップ | 0-18mm | なし | 安い |
ディプロマットスター | かん合式 3mm | 0-10mm | なし | 安い |
クラシックタイル | オーバーラップ | 15-32mm | あり | 普通 |
ローマン | オーバーラップ | 20-40mm | あり | 高い |
エコグラーニのカタログと施工マニュアル
屋根材の総合カタログ | 資料ダウンロードページ |
エコグラーニのカタログ | カタログダウンロードページ |
エコグラーニの施工マニュアル | マニュアルダウンロードページ |
オーバーラップ式とかん合式の違い
エコグラーニは屋根の内側で屋根材をビスで固定し、加えて屋根の外側からも屋根材をビスで固定させます。
この屋根の張り方をオーバーラップ式(被せ式)とよびます。
一方で屋根材を引っかけ合わせて張るタイプの屋根をかん合式とよびます。
ディプロマットスターはかん合式のタイプです。
世界で最も普及している石粒付き鋼板の屋根はオーバーラップ式で、海外では、かん合式はほとんど普及していません。
日本の建材試験センターの試験(伊藤忠建材のデータ)でもオーバーラップ式の方が耐風性能が高い試験結果が得られています。
また、かん合式よりもオーバーラップ式の方が屋根下空気層が分厚く、断熱効果が高いです。
ただし、オーバーラップ式は屋根材正面に打つビスの位置がずれてしまうと、耐風性能が低下するおそれがあります。
工事に職人さんのていねいさが求められる屋根材です。
エコグラーニとディプロマットスターどっちがおすすめか?
エコグラーニを筆者はおすすめします。
耐風性と断熱性に優れているからです。
ディプロマットスターはかん合式でかつ通気層がかなり薄いです。
意匠性もエコグラーニの方が立体感があり、高級感があります。
断熱効果はほとんど期待できないと筆者は評価しています。
オーバーラップ式は屋根に不具合があった際の補修が比較的簡単な点もメリットとしてあげられます。
ただし、エコグラーニは棟板金の仕上がりなど、工事で注意をしたいポイントがあります。
エコグラーニの特徴とメリット
1.オーバーラップ式
オーバーラップ式で屋根を野地板に固定した後、さらに屋根と屋根をビスで固定します。
屋根材を釘打ちではなくビス打ちで固定する点も評価できます。
2.価格が安い
ディプロマットスターやエコグラーニ(生産国不明)は比較的価格競争力がある屋根材で、ニュージーランド産のデクラ屋根に比べると1割から2割程度価格が安いです。
デクラ屋根に比べると、石粒の大きさが小さいため、その点も価格の安さに関わっている可能性があります。
外壁塗装や太陽光パネル取り付けと一緒に工事をおこなうと、消費者の負担がかなり高くなるため、金属屋根の専門工事会社ではない外壁塗装会社や、太陽光パネル取り付け会社が提案することが多いと思います。
お手頃価格の金属屋根の工事をお求めの方におすすめの屋根材です。
工事価格の目安
商品名 | 費用感/相場 |
---|---|
ディプロマットスター | 80万円 |
エコグラーニ | 85万円 |
セネター | 100万円 |
スーパーガルテクト | 100万円 |
3.同質役物仕様で美しい仕上がりに
エコグラーニの棟板金は「石粒付き仕様」と石粒がない「GL鋼板仕様」の2パターン選べます。
もちろん、石粒付き仕様の方が美しい仕上がりになります。
屋根工事は費用がかかる工事です。
美しい建物を長くお楽しみいただくためにも、石粒付き仕様を選択してください。
4.ビスの斜面打ち
エコグラーニの釘打ち部は斜め(斜面)になっています。
そのため、釘打ち部(ビス回り)に雨が溜まりにくい設計です。
雨水がビス周りに溜まってしまうと、ビスが錆びてしまうおそれがあります。
石粒付き金属屋根は、ビスを斜面に打ち付ける商品と斜めではなく平面に打つ付ける商品、2種類あります。
筆者は斜面打ちの屋根を強くおすすめします。
エコグラーニのデメリット
1.棟板金の内部構造(捨て谷を用いない)
エコグラーニの棟板金
エコグラーニの棟の内部構造は、下記のとおりです。
下り棟の屋根材本体の処置に注目してください。
屋根材を切断して突き付ける形になります。
屋根材と屋根材の間にすき間が生じます。
すき間が不安なので、気休めですがテイガクは防水テープを貼ります。
棟板金の下地を直接、屋根材に打ち込みます。
棟の内部に雨水が入り込むと危険なので、止水性能を高めるために面戸を取り付けます。
棟板金を取り付けて完成です。
スカイメタルルーフ・ウッドの棟板金
エコグラーニの施工マニュアルでは捨て谷とよばれる板金部材を配置しません。
エコグラーニとほぼ同じ形状の商品のスカイメタルルーフ・ウッド(伊藤忠建材)は捨て谷を入れます。
(なお、同じディーズルーフのディプロマットスターでも捨て谷を取り付けます。同じ石粒付きの屋根材であるにもかかわらず、全く異なる施工方法となっています。)
木の「受け木」を2本取り付け、受け木に「捨て板」を2本取り付けます。
エコグラーニにはこの作業がありません。
棟板金の内部へ入り込む雨水は「捨て板」を通って軒先へと排水されます。
受け木に棟板金の下地にあたる「貫板(ぬきいた)」を取り付けます。
スカイメタルルーフウッドはエコグラーニと違い、屋根に直接、穴を空けずに貫板を取り付けることができます。
(画像の「貫板」はテイガクオリジナルの金属製の「エスヌキ」です。)
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)の強度について
テイガクが推奨する金属下地(エスヌキ)は「価格の安いガルバ」と「錆に強いアルミ」の2種類からお選び頂けます。
アルミは、異種金属接触の腐食を考慮した板厚(1.3mm)で設計し、表面にはアルマイト処理(絶縁処理)を施しています。
これまでの数多くの失敗と経験から生まれたテイガクのオリジナルの下地材です。
詳細はこちら
棟板金を固定させて完成です。
この方法をおこなえば、棟の内部に雨が入り込んでも屋根の内部に雨水が入り込む恐れが大幅に低減できます。
エコグラーニとスカイメタルルーフウッド、全く見た目が同じ屋根材です。
一方で施工方法が全く異なります。
エコグラーニの場合は、棟の内部に雨水が入り込まないよう、止水性能を高める面戸をしっかりと取り付ける必要があります。
捨て谷が必要であるかは、工事会社や職人さんによって意見が分かれると思います。
できれば捨て谷を取り付けたうえで屋根を完成させることをテイガクではおすすめしたいです。
(なお、スカイメタルルーフウッドは釘打ち部が平打ちで斜面打ちではありません。)
ルーフタイルジャパンの「セネター」
捨て谷を用いずに下り棟を仕上げる金属屋根はエコグラーニが例外ではなく、他の輸入販売元の商品でも
あります。
ルーフタイルジャパンの「セネター」やメタル建材の「オベロン」も捨て板を入れずに、屋根の切断面のすき間を空けたままの施工を許容している屋根材です。
また、スレート屋根やアスファルトシングルも捨て谷を用いずに棟を仕上げます。
このように輸入販売元や商品ごとに施工法が全く異なります。
2.板金役物の仕様
エコグラーニのケラバ板金の形状はスレート屋根やアスファルトシングルに近いです。
もちろん、販売会社が出している規格品なので問題はないはずです。
ただし、他の石粒付きの屋根材メーカーや日本のメーカーと形状が異なります。
ケラバ板金や棟板金、谷樋板金、軒先板金などの板金部材の形状も屋根材選びの参考にしてください。
画像中央の アイコンを左右に移動すると、画像の比較ができます
3.継ぎ目のすき間
エコグラーニは空気層が厚い反面、屋根と屋根の横側のジョイント部分に体重などの負荷をかけてしまうと簡単に屋根が凹みます。
そして、屋根と屋根の間にすき間が空きやすいです。
すき間から雨水が入り込む恐れがあるため、必ずすき間が空かないような施工をおこなってください。
石粒付き金属屋根について
ジンカリウム鋼板はラインナップが豊富
石粒付き鋼板屋根はこのページでご説明した通り、商品ごとに性能や施工方法、メンテナンスなどが異なります。
メンテナンスフリーと称されていますが、商品の中には色あせが認められるものもあり(一部商品を除く)、アスファルトシングルと同じく汚れや苔が付きやすいです。
最近、流通量が増えて、どのような屋根材であるか認知が拡がってきています。
街中でも見かける機会も増えているはずです。
是非、この屋根材の経過をチェックをされたうえで、どの屋根材を用いるのか検討してください。
石粒付き金属屋根の工事はテイガクで
これまで合計20,000棟を超える実績があるテイガクでは、エコグラーニを含めほぼ全ての石粒付き金属屋根の施工経験があります。
それぞれの屋根材の良い点や悪い点だけではなく、どのような点で施工の注意が必要かも把握しています。
これからエコグラーニの工事をご検討されている人は、是非、テイガクにご相談ください。
お見積書までは無料で承っております。
テイガクにおける金属屋根の品質評価基準
テイガクは金属屋根専門の板金工事会社です。
今回、取り上げた通り、金属屋根材はメーカーや商品ごとに全く性能が異なります。
板金役物の数や施工方法なども全く異なります。
とても難解な工事です。
テイガクでは、金属屋根の指標を独自に設け、公正に屋根材を評価しています。
今回取り上げた屋根材は、もちろん、全て施工実績がある屋根材です。
22年間20,000棟の工事実績がある評価基準です。
くわしくは執筆ポリシーを参考にしてください。