FRP屋根材によるセキスイかわらUの補修工事

ご自宅の屋根材が「セキスイかわらU」で困ってい方は多いのではないでしょうか。
今回は、セキスイかわらUのリフォームで取り上げられる「FRP屋根材」についてご説明します。
そもそもFRPって何?屋根によっては耐震強度が悪くなる場合も!
ぜひこの記事で「FPR屋根材」について詳しく知ってもらえればと思います。

記事内容を動画で確認したい方はこちらからどうぞ!!
FRP屋根材で補修された実際の現場も登場しますよ。


セキスイかわらUの正しいリフォーム方法については、関連記事をご覧ください。

セキスイかわらUの正しいリフォーム方法【実例】

セキスイかわらU

FRP素材の屋根を用いたセキスイかわらUの補修

割れたセキスイかわらU
割れたセキスイかわらU
アスベストが含まれていないセキスイかわらU
アスベストが含まれていないセキスイかわらUは摩耗して屋根が欠損する不具合が多い

アスベストが含まれていないセキスイかわらUでお困りの人が多いはずです。

現在、葺き替えよりも手軽に補修ができるという宣伝で、セキスイかわらUにFRPの屋根材を重ねて張る改修工事が普及しています。

セキスイかわらUのフォルムをそのままに成形させたFRPの屋根材を、そのままセキスイかわらUの上に張り付ける工事です。

FRP製屋根材の画像1
FRP製の屋根材
FRP製屋根材の画像2
古いセキスイかわらUに重ねて施工ができる

いわゆる屋根カバー工法による改修工事です。

FRPとは樹脂強化プラスチックのことで、平たく表現すると「強度の高いプラスチックでできた屋根材」と表現できます。

FRPはバルコニーの防水層でも用いられるため、屋根の美観を含め屋根の機能が元に戻ったように感じるはずです。

しかし、何も考えずに工事価格が安いという理由でセキスイかわらUに屋根カバー工法をおこなうと、大変な事態になる可能性があります。

結論を述べると、すでにセキスイかわらUを用いてカバー工法で屋根を仕上げている人は、FRP屋根を用いた屋根カバー工法による改修工事は避けてください。

屋根が3重になると屋根が瓦屋根よりも重くなり、耐震強度が悪くなります。

セキスイかわらUによる屋根カバー工法

屋根の重さが1㎡あたり43キロになる

古いスレート屋根の上にカバー工法で仕上げられたセキスイかわらU
古いスレート屋根の上にカバー工法で仕上げられたセキスイかわらU

セキスイかわらUは、1 ㎡あたりの重さが約14キロのという軽量さが売りの屋根材でした。

軽量なので古いスレート屋根(コロニアル)の上にセキスイかわらUを被せる改修工事が一時、流行しました。

言うまでもないことですが、セキスイかわらUの不具合事例が相次ぎ、セキスイかわらUの販売中止となっております。

2022年現在、屋根カバー工法といえばガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板などの金属屋根を被せることが一般的になっています。

軽量で断熱効果の高い断熱材一体型の横葺き金属屋根
軽量で断熱効果の高い断熱材一体型の横葺き金属屋根

しかし、今から20年近く前はガルバリウム鋼板の認知が低く、セキスイかわらUによるカバー工法の方が圧倒的多く施工されていました。

FRP素材の屋根は、1 ㎡あたりの重さが約9キロです。

1㎡あたり14キロの屋根の上に1 ㎡あたり9キロの屋根が重なることになります。

この条件で屋根を仕上げると、屋根の重さは合計で1㎡あたり43キロになります。

屋根材1㎡あたりの屋根の重さ
スレート屋根20キロ
セキスイかわらU14キロ
FRP屋根9キロ
合計43キロ
屋根の重さ

屋根の軒先部分からカバー工法されているか確かめることができる
屋根の軒先部分からカバー工法されているか確かめることができる

アイコン セキスイかわらUの下にスレート屋根があるかを確認する方法

筆者の経験上、アスベストが含まれていないセキスイかわらUの屋根の過半数は、セキスイかわらUを屋根カバー工法で仕上げている印象です。
屋根カバー工法で仕上げられているかどうかは、軒先のすき間に手を入れることで簡単に確認することができます。
古いスレート屋根があるかないか触れることて確かめられます。

瓦屋根よりも重くなる危険性

瓦屋根
瓦屋根は「重い屋根」の基準で耐震性能が計算される

瓦屋根の重さは1 ㎡あたり42キロです。

したがって、カバー工法で仕上げられたセキスイかわらUの上にFRPの屋根材を重ねてしまうと、屋根は瓦屋根よりも重くなります。

屋根の重さがスレート屋根の重さのステージから瓦屋根の重さのステージに変わることは、建築基準法の耐震強度の計算に関わる重大な事象です。

建築基準法では屋根の重さを屋根材(屋根の仕上げ方)によって3つに分類(非常に重い屋根・重い屋根・軽い屋根)させ、屋根の重さの分類によって耐震性能の計算をおこないます。

土葺き屋根約60キロ非常に重い屋根
瓦屋根約40キロ重い屋根
スレート屋根約20キロ軽い屋根
建築基準法による屋根の分類

元々はスレート屋根の建物であったため、耐震性能の計算も「軽い屋根の基準値」で建物が設計されているはずです。

当然、「重い(瓦の)屋根」を想定して建物は設計されていないはずです。

したがって、スレート屋根の上にセキスイかわらUとFRPの屋根を重ねることは、とても危険な行為と言い換えられます。

セキスイかわらUの補修について

FRPの屋根で部分的に補修されたセキスイかわらU
FRPの屋根で部分的に補修されたセキスイかわらU

アスベストが含まれていないセキスイかわらUをFRPの屋根材を用いて部分的に補修することも、おすすめいたしません。

アスベストが含まれていないセキスイかわらUは極めてぜい弱な屋根材です。

部分的に補修をしても、補修されていない他の箇所が数年で割れや欠けなどの同じような不具合が顕在化されるはずです。

補修を繰り返すいたちごっこになるので、セキスイかわらUの補修は意味がない行為だと思ってください。

筆者より読者の方へ

セキスイかわらUを剥がした屋根
セキスイかわらUだけを剥がし、古いスレート屋根をそのままにして屋根カバー工法をおこなうことも野地板の状況次第で工事は可能

セキスイかわらUにFRPの屋根を張るカバー工法も、それなりの費用がかかります。

お金をかけて改修した工事が耐震性を悪くさせるという、生命に関わる不幸を招く工事になってしまうことがあります。

セキスイかわらUの改修工事は、葺き替え工事しか選択肢は無いと思ってください。

本来、屋根の機能、つまり雨漏りさせない機能は、屋根材の下に敷かれているルーフィングの性能に依存します。

セキスイかわらUの下に敷かれているルーフィングを交換することが屋根改修工事の目的いえます。

残念ながら、葺き替え工事は大変な工事だからカバー工法で手軽に済ませようと工事を推し進める屋根リフォーム会社が少なくありません。

屋根がもたらす耐震性について正しく理解をしている屋根工事会社に屋根の改修工事は依頼して欲しいです。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

代表前川が本音で解説「板金工事会社とは?」

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