波型スレート屋根のリフォームを検討する際、最も気になるのが“価格”ではないでしょうか。
本記事では、既存の波型スレートの「カバー工法」「撤去・解体」「補修」について、費用相場を中心にご紹介します。
すでに「波型スレートとは何か」を解説した記事があるため、ここでは主に価格面にフォーカスした情報をまとめました。
今後の屋根リフォーム計画の参考に、ぜひお役立てください。

波型スレートの価格
波型スレートは、大きなホームセンターで購入できます。
6尺(1820mm)7尺(2120mm)8尺(2420mm)の3種類あります。
幅はどれも同じ720mmです。
波型スレート(6尺サイズ)の1枚当たりの価格
種類 | 価格 | 耐久性 |
---|---|---|
小波スレート | 5,000円前後 | 25~30年 |
大波スレート | 6,000円前後 | 30~35年 |
波型スレートの工事価格
DIYで行えば、材料費のみで済み、施工費用は発生しません。
しかし、いずれは波型スレート全体を改修する必要が出てくるでしょう。
高度成長期に建てられた波型スレートの倉庫や工場は、2020年の後半に差し掛かり、改修時期を迎えています。
テイガクでも波型スレートの屋根や外壁をリフォームするケースが増えてきています。
波型スレート工事の種類と費用感
工事の種類 | 価格 |
---|---|
DIYで交換 | 材料代だけ |
プロに補修 | 数万円 |
屋根もしくは外壁を塗装 | 100万円 |
折板屋根で屋根カバー工法 | 250万円 |
角波ガルバで外壁カバー工法 | 250万円 |
屋根全部張り替え | 400万円 |
波型スレート屋根にカバー工法にかかる費用は?
屋根カバー工法について
波型スレートを全面改修する際、屋根カバー工法による改修工事がおすすめです。
既存の屋根を撤去せずに新しい金属屋根を張ります。
ガルバリウム鋼板製の折板屋根を被せて張るのが一般的です。
もちろん、倉庫や工場を稼働できる状態で屋根の改修工事をおこないます。
カバー工法で仕上げた屋根は30年以上の耐久性維持が期待できます。

最近はアスベストの粉塵が飛散しにくい施工法(ボトルレス屋根)なども確立しています。
ビス打ちせずに屋根を張り上げることができるため、室内側でのアスベスト飛散量を抑制することができます。
ここまでやりたい屋根カバー工法の手順
屋根カバー工法の費用
波型スレート屋根の改修費用の相場は、1㎡あたり約5,000円~8,000円です。
改修工事価格は、屋根の面積によって変わります。
波型スレートはシンプルな形状の屋根が多いため、小さい屋根でも大きな屋根でも工事に要する準備にかける時間は、そこまで大きく変わりません。
そのため、屋根が大きければ大きいほど工事価格が安くなります。
1㎡あたりの工事価格
工事工程 | 屋根面積200㎡ | 屋根面積1200㎡ |
---|---|---|
折板屋根 | 7,000円 | 5,000円 |
安全ネット | 1,000円 | 1,000円 |
ペフ貼付 | 1,000円 | 1,000円 |
板金部材 | 2,500円 | 2,000円 |
強風対策部材 | 1,500円 | 1,000円 |
1㎡当たりの屋根工事価格 | 14,000円前後 | 10,000円前後 |
しかし、折板屋根の工事は、本体だけではなく、安全ネットやペフ(断熱・遮音シート)、板金部材などの費用も発生します。
屋根工事の金額の総合計金額は、1㎡あたり10,000~14,000円程度です。
また、屋根の高さが変わるため、雨樋も全て交換が必要となります。
折板屋根の工事のポイント
折板屋根の工事は専門性が高く、工事内容については消費者認知が低いです。
下記にあげる4点は、改修工事前にポイントとして抑えてください。
1.転落事故対策

波型スレートの裏側には空間があるため、万が一踏み抜いてしまうと、そのまま地面に転落し、大けがを負うだけでなく、最悪の場合、命を落とす危険もあります。実際に、波型スレートの改修作業中に事故で亡くなる方は少なくありません。そのため、安全ネットの設置など、確実な安全対策を講じることが不可欠です。
2.ペフ付き商品

鋼板の裏側に断熱材(ペフ)が付着した商品の使用を強くおすすめします。
夏の暑さ対策だけでなく、結露の発生を抑えることができます。
特に、雨漏りが発生している波型スレートでは、結露水が雨漏りのように顕在化することがあり、対策が重要です。
3.軒先全数ビス打ち

軒先は屋根の強度に強くかかわるため、軒先の折板屋根は全数ビス打ちで固定する必要があります。
4.棟板金下地

棟の頂部に取り付ける棟板金は、厚さ0.8mmの下地を組んでそこに棟板金を打ち付けます。
屋根本体に直接、棟板金を打ち付けて固定する行為はNGです。
波型スレートに外壁カバー工法をおこなう費用は?
外壁カバー工法について
屋根カバー工法同様、古い波型スレートの上に金属外壁(金属サイディング)を被せて仕上げる改修方法です。
屋根とは違い外壁は建物で一番目立つところであるため、外壁カバー工法をおこなうと、外壁が見違えるほどきれいになります。
外壁カバー工法の手順
外壁カバー工法の費用
波型スレート外壁の改修費用の相場は、1㎡あたり約5,000円~8,000円です。
改修工事価格は、外壁の面積によって変わります。
外壁が大きければ大きいほど工事価格が安くなります。
1㎡あたりの工事価格
工事工程 | 屋根面積400㎡ | 屋根面積1200㎡ |
---|---|---|
折板屋根 | 7,000円 | 5,000円 |
金具下地 | 2,500円 | 2,500円 |
板金部材 | 2,500円 | 2,500円 |
1㎡当たりの屋根工事価格 | 13,000円前後 | 10,000円前後 |

基本的には、コスト重視で工事をおこなうため、断熱材が裏側に付着していない商品を採用します。
しかし、工場や倉庫の環境改善を目的や意匠性を目的に、断熱材付きの商品で改修をおこなうことも可能です。
金属サイディングの工事のポイント
下記の2点は、改修工事前にポイントとして抑えてください。
1.胴縁の受け金具を用いる

金属サイディングを張り上げる下地には、胴縁(どうぶち)とよばれる「バー」を取り付けます。
胴縁を受ける金具を取り付けて、歪んだ外壁面が平滑になるよう調整をします。
胴縁を直接外壁面に打ち付ける施工方法は手抜き工事です。
2.鉄骨内部の配線に注意

室内側の鉄骨(C型鋼)の中に配線が入り込んであることがあります。
鉄骨にビスを打ち付けると、断線してしまうことがあります。
倉庫や工場を稼働している状況で工事をおこなうため、断線の影響を考えたうえで計画的な工事準備が求められます。
波型スレートを解体・撤去する場合の費用
アスベスト含有のため費用負担増
経年劣化が著しい場合や耐震性に不安を覚える場合は、カバー工法ではなく撤去・解体が伴う張り替え工事を検討します。
しかし、20年以上昔の波型スレートは、アスベストが含有されている可能性が高いです。
アスベスト含有スレートを扱う場合は、通常の解体費より1.5倍以上、数百万円単位で工事費が高くなります。
年々、アスベストに対する問題意識が高まっています。
専門資格を持つ業者による解体と、適切な防塵・飛散防止対策が義務付けられています。
そのため、改修工事には、事前調査費や解体作業費、廃材処分費、安全対策費のコストが加算されます。
かなりの費用負担になることと労務負担も重なるため、ほとんどおこなうことはありません。
そして、安全と法令順守のため、実績がある専門業者へ依頼することが不可欠です。
波型スレート屋根の補修費用
波型スレートの差し替えや部分補修費用

一部のみの劣化や軽微な破損である場合は、部分補修をおこなうことも可能です。
屋根全体をリフォームするほどではないけれど、雨漏りが気になる、といった軽微な症状に対しては、補修費用が最小限で済む場合があります。
ただし、波型スレートの耐用年数を考慮したうえで、将来的にカバー工法や葺き替えを検討したほうが結果的に安くなるケースもあります。
まずはプロの専門家の診断を受けてください。
波型スレートの補修費用
工事内容 | 価格 |
---|---|
屋根数枚の差し替え(安全対策) | 50,000円~ |
外壁数枚の差し替え | 40,000円~ |
ボルトのシーリング補修 | 20,000円~ |
Youtube動画:波型スレートの補修工程
さいたま市にある工場のボロボロの波型スレートを部分的に張り替えました。
テイガクの代表である前川の解説動画です。

波型スレートの補修工事の様子
波型スレートの塗装費用

塗装によって紫外線や風雨から建材を保護して劣化を遅らせる効果が期待できます。
セメントを主成分とするスレートは吸水性が高いため、塗装によって防水性を高めることができます。
しかし、大幅な耐久性能回復は望めません。
そのため、波型スレート屋根や外壁の塗装は、主に美観の維持や防水性の向上を目的としています。
また、波型スレート屋根上の作業は極めて危険が伴うため、安全対策のことも考えると、筆者は波型スレートに塗装をおこなう必要性に疑問を感じています。
筆者は、カバー工法などの屋根機能が完全に回復する工事にお金をかける方が有益だと評価しています。
工事費用を抑えるためのポイント
建築板金工事会社に直接依頼

波型スレートのカバー工法や張り替え工事を検討されている人は、金属屋根や金属サイディングの工事を専門におこなう建築板金工事会社に依頼することをおすすめします。
建設業界は中間マージンで成り立っている側面がある業界でもあります。
そのため、中間マージンが発生しない商流で工事発注ができるかが大きなポイントにもなります。
波型スレートの改修工事はテイガクで

古くなった波型スレートの工場や倉庫の改修工事の専門工事会社をお探しの人は、テイガクにご相談ください。
テイガクは25年続く建築板金工事専門の工事会社です。
工場や倉庫などの大型建築物の改修工事を専任におこなう施工管理者や職人が在籍しています。
見積書の提出から施工、アフターフォローまで一貫したサービスをご提供いたします。
お見積りはもちろん、無料です。
工事価格だけではない!こんなとろもテイガクならでは!
・事前調査をしっかり行う
屋根材の状態やアスベスト含有の有無を正確に把握することで、不要な工事や法令違反を避けられます。
・設計図を作成!
大型倉庫の改修工事は事前準備が大切です。設計図を作成した上で工事をおこないます。