目 次
閉じる外壁重ね張りの基礎知識
外壁の重ね張りとは、古い外壁材をそのままにして、その上から新しい外壁材(主にガルバリウム鋼板に代表される金属サイディング)を張り付ける外壁リフォーム方法のことです。
外壁カバー工法ともよばれます。
戸建て住宅だけではなく、工場や倉庫、マンションなどでも適用できます。
古い外壁をはがす手間と費用がかからないため、外壁塗装の次に多く採用されています。
外壁重ね張りの工事方法





古い外壁の上に「胴縁(どうぶち)」と呼ばれる下地材を取り付けて通気層を設け、その胴縁に新しい外壁材を固定していきます。
胴縁は樹脂製と木製があります。
テイガクでは、シロアリや水濡れに強いアルミ芯入りの樹脂胴縁を推奨しています。
新旧の外壁材の間には空気の通り道ができるため、万が一雨水が侵入しても、外部へと自然に排出される構造となっています。
外壁重ね張りで用いる材料
外壁重ね張りで用いる外壁材は主に「金属サイディング」が用いられます。
その他に「窯業サイディング」「樹脂サイディング」などがあげられます。
金属サイディング

金属の外壁材の素材として、ガルバリウム鋼板やエスジーエル鋼板、アルミなどがあげられます。軽量で建物への負担が少なく、耐久性や防水性に優れているのが特長です。さらに、金属特有のシャープでスタイリッシュな美しさも兼ね備えており、デザイン性の高さからも人気が高まっています。

基本的には断熱効果と防音効果の高い断熱材一体型の製品を用いることが多いです。
窯業サイディング
戸建て住宅で最も多く採用されている外壁材です。
重量があるため、テイガクではワンポイントで部分的に使用する場合を除き、重ね張りリフォームにはあまりおすすめしていません。
樹脂サイディング
樹脂系サイディングは、北米で主流の外壁材です。
軽量かつ耐候性に優れていることから一時期日本でも注目されました。
輸入材のため価格が高いことに加えて、断熱性が低い点や、熱による伸縮が起こりやすくシーリング材での防水処理が難しいことなどがデメリットとして挙げられます。
ガルバリウム鋼板外壁の特徴

ガルバリウム鋼板の外壁は、金属サイディングのなかで圧倒的なシェアを占めている外壁材です。
軽量で耐久性・耐食性に優れており、従来のトタンに比べて錆びにくく、デザイン性も高いため、リフォームや新築の外壁材として広く普及しています。
戸建て住宅では断熱材一体型の製品を用いることが多く、重ね張りをおこなうことで断熱性能や遮音性能も向上します。
ガルバリウム鋼板外壁のメーカー
アイジー工業株式会社
外壁材『ガルスパン』や屋根材『スーパーガルテクト』シリーズで知られる、金属系外装材の最大手メーカーです。
品質の高さにおいて他社を圧倒し、ガルバリウム鋼板外壁の分野で市場をリードしています。
ニチハ株式会社
外壁材分野の最大手メーカーです。
かつてアイジー工業のライバル企業だったチューオーと資本統合し、『センターサイディング』をはじめとする金属系外壁材を幅広く展開しています。
ケイミュー株式会社(KMEW)
屋根材分野の最大手メーカーです。
パナソニックとクボタの共同出資企業で、『はる・一番』シリーズなどのガルバリウム鋼板を使用した外壁材を提供しています。
旭トステム外装株式会社
LIXILグループの一員として、住宅の外装建材を専門に手がけるメーカーです。
旭硝子(現 AGC)とトステム(現 LIXIL)の外装部門が統合して設立され、『Danサイディング』などガルバリウム鋼板製品を取り扱っています。
外壁張り替えの基礎知識
外壁張り替えは、古い外壁材を撤去、処分してから新しい外壁材を取り付ける工法です。
撤去作業に手間や費用はかかりますが、外壁内部の状況を詳しく確認できるため、雨漏りの原因や結露発生箇所を特定しやすくなります。
また、外壁の重量が軽くなることで建物の負担を軽減させることができます。
外壁張り替えの工事方法





外壁張り替えでは、古い外壁材を撤去し、壁内部の状態を細かく点検します。
このタイミングで断熱材を新たに充填したり、耐震補強の金物を設置したりすることも可能です。
外壁の防水シートを全面的に新しく張り替えます。
古い住宅では外壁通気工法が施されていない場合が多いため、胴縁(どうぶち)を取り付けて通気層を確保した上で、新しい外壁材を施工します。
外壁張り替えで用いる材料
外壁張り替えで用いる外壁材は、「金属サイディング」もしくは「窯業サイディング」が多いです。
各外壁材の特徴は外壁重ね張りの項目を確認してください。

建築基準法はたびたび改正されており、特に耐震設計に関する基準が厳格化されています。
外壁材の重量を軽量化して耐震性能を高める目的で、金属サイディングを用いた外壁リフォームを筆者はおすすめします。
雨漏りが生じたら外壁張り替えを検討

外壁が原因の雨漏りは意外に多く、特に窓など開口部の周辺から雨水が侵入するケースがよく見られます。
じわじわと徐々に広がる雨漏りが多く、気付かないうちに壁の内部で結露が発生し、腐食やカビの繁殖が進んでいることも珍しくありません。
柱や下地の木材部分が腐朽している場合や、断熱材が濡れて断熱性能が低下していることも考えられます。
雨漏りが長期間続いているようなら、外壁の張り替えを積極的に検討しましょう。
重ね張りと張り替えのメリット・デメリット
外壁重ね張りと張り替えのメリットとデメリットは以下の通りです。
工法 | コスト | 工期 |
雨漏り 解消 |
耐震性 | 美観 | 断熱性 |
結露 抑制 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
塗り替え | ◎ | ◎ | × | 〇 | △ | △ | △ |
重ね張り | 〇 | 〇 | 〇 | △ | ◎ | 〇 | 〇 |
張り替え | × | × | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ |
重ね張りと張り替え、共通した魅力は、外観を一新できる点です。
筆者がこれまで施工してきた経験からも、塗り替え工事より重ね張り工事を選択したお客様の方が、はるかに満足度が高いと感じています。
重ね張りのメリットとデメリット

重ね張りの最大のメリットは、費用と工期を抑えられる点にあります。
張り替えの費用の約半分で外壁リフォームができます。
また、外壁が通気層を含む二重構造となるため、防水性だけでなく、断熱性や遮音性の向上にもつながります。
デメリットとして、古い外壁材がそのまま残るため、内部の劣化状況が確認できず、隠れた問題を見落とす可能性がある点があげられます。
また、外壁の重量が増え、耐震性能が悪化します。
ただし、外壁重量がもたらす耐震性能の影響は屋根の重量に比べると低いため、屋根カバー工法よりも比較的安心できると評価できる施工方法です。
張り替えのメリットとデメリット

張り替えの最大のメリットは、内部の劣化状態や雨漏りの原因を細かく確認し、根本的に解決できる点です。また、古い外壁材を取り除くことで建物の重量が軽減され、耐震性能が向上します。
たとえば、窯業サイディングから金属サイディングに張り替えると、建物の重量が1,650~2,400kg、軽量化できます。
防水シートや断熱材なども全面的に一新できるため、住宅の機能や快適性を大幅に高めることも可能です。
外壁張り替えの最大のデメリットは、撤去作業に伴う費用と工期が大きくなる点です。
重ね張りと張り替えどちらがいいのか?

金銭的に余裕がある場合は、外壁の張り替えがおすすめです。
ただし、費用対効果を考慮すると、張り替え工事は決して良いとは言えず、重ね張り工法の方がコストパフォーマンスに優れています。
また、張り替え工事には職人の労務面の課題もあり、高齢化が進む中で安心して任せられる業者は限られているのが現状です。
テイガクにおいても同様の状況であり、年間で対応できる張り替え工事は数件程度です。
そして、張り替え工事は重ね張りに比べて技術的な難易度が高い工事です。
技術力が不足している業者が安易に工事を受注すると、施工不良や手抜き工事など深刻な問題を引き起こすリスクがあります。
外壁張り替えは300万円以上はかかる高額な工事であるため、消費者は業者選びも含めて十分な注意を払う必要があります。
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テイガク公式 Youtube はこちらYoutube撮影者 テイガク 代表 前川祐介
費用面から比較する「重ね張り」と「張り替え」


重ね張りの相場は約200万円
一般的な戸建て住宅における重ね張りの費用は、足場費用を除くと、200万円前後です。
外壁の塗り替え工事の約2.5倍が相場です。
外壁塗装を2回、3回繰り返しておこなうことを考えると、一度の外壁リフォームで30年以上の外壁機能維持ができる重ね張りの工事は有益な工事といえます。
一方、張り替えの費用は、足場費用を除いて350万円前後です。
外壁をはがす手間と処分する費用が約100万円、防水シートを貼る費用が約20万円、その他諸経費が30万円程度かかります。
金属サイディングが毎年のように値上げ

金属サイディングの最大手メーカーであるアイジー工業は、ここ数年、毎年のように製品価格の値上げをおこなっています。
今後も外壁材価格にとどまらず、職人の労務費や廃材処分費など、リフォームに関わるコストはさらに上昇する見込みです。
そのため、工事を検討されている方は、なるべく早いタイミングで着手するのがおすすめです。「思い立ったが吉日」、早めの決断が費用面でもメリットを生むでしょう。
重ね張りの費用例
テイガクで実際に施行をした実例をもとに、重ね張りの費用例をご紹介します。
見積書例 – 築年数が約20年モルタルの外壁カバー工法の見積り
参考例の建物
階数 | 築年数 | 既存外壁 | 外壁面積 | 足場面積 |
---|---|---|---|---|
2階建 | 約20年 | モルタル | 140㎡ | 270㎡ |
見積り例
工事項目 | 単価 | 面積/長さ | 小計税抜 |
---|---|---|---|
仮説工事 | |||
足場工事 | 750円/㎡ | 270㎡ | 202,500円 |
外壁工事 | |||
下地胴縁 | 1,100円/㎡ | 140㎡ | 154,000円 |
金属サイディング (断熱材入りガルバリウム鋼板) |
7,500円/㎡ |
140㎡ |
1,050,000円 |
役物取り付け(シーリング共) | 1,500円/㎡ | 140㎡ | 210,000円 |
破風板・鼻隠し塗装(シリコン溶剤) | 1000円/m | 26m | 26,000円 |
軒天塗装(ケンエース) | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
戸袋・雨戸塗装(シリコン溶剤) | 3,000円/枚 | 16枚 | 48,000円 |
外壁付帯物脱着 | 400円/㎡ | 140㎡ | 56,000円 |
仕上げシーリング | 500円/㎡ | 140㎡ | 70,000円 |
雨どい交換(軒樋) | 3,400円/m | 20m | 68,000円 |
雨どい交換(縦樋) | 2,600円/m | 26m | 67,600円 |
搬入搬出費 | 30,000円 | 1式 | 30,000円 |
管理諸経費(廃材処分費) | 5% | – | 100,605円 |
消費税 | 211,271円 | ||
端数値引き | -976円 | ||
合計金額 | 2,323,000円(税込) |
今回の外壁重ね張りの施工例はこちら
外壁重ね張りの施工事例とお客様の声
テイガクで施工した重ね張りの工事例と、重ね張り工事をおこなったお客様の感想をご紹介します。
テイガクで施工した重ね張りの工事例
テイガクで重ね張り工事をしたお客様の声
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テイガク公式 Youtube はこちらYoutube撮影者 テイガク 代表 前川祐介
重ね張りや張り替えを選ぶ理由
テイガクのお客様がガルバリウム鋼板の外壁材で外壁リフォームをした理由をランキング形式で案内します。
1位:直張りサイディングだから

直張りサイディングとは、窯業(ようぎょう)サイディングの張り方です。
2000年以前に施工された窯業サイディングの外壁の多くは、一言で言い表すと「不適合品」です。
現在と「張り方」が全く違います。
当時の窯業サイディングの張り方の多くは、「直張り」です。
通気層を設けず外壁下地に直接、窯業サイディングを張って仕上げていました。
湿気の逃げ道がなく、外壁材にダイレクトにダメージを裏側から与えられ、窯業サイディングが割れたり、反り返ったりするようになります。
そして、直張りは、雨水が外壁内に入り込むと、雨漏りのリスクが格段に高くなります。
2位:デザインがかっこいいから

ガルバリウム鋼板のデザインが好きで、外壁リフォームをおこなう人が増えています。
最近は金属がもつメタリックを活かしたシンプルモダンなガルバリウム鋼板が人気です。
テイガクでは、アイジー工業の「ビレクト」や「ガルスパン」を用いて外壁リフォームする頻度が増えています。
車とガルバリウム鋼板の外壁の相性は抜群で、愛車のためにガルバリウム鋼板の外壁リフォームを選ぶお客様もいらっしゃいます。
その他、レンガや木目調のガルバリウム鋼板をお求めになるお客様もいます。
最近はインクジェットの技術も進んでおり、本物に近い華やかで美しいデザインが登場しています。
外壁塗装ではせっかくの柄が塗りつぶされてしまい、経年劣化の古めかしさは、外壁塗装で隠すには限界があります。
新築に近い外観が再現できる点もガルバリウム鋼板による外壁リフォームが支持される理由のひとつです。
3位:雨漏りしたから

雨漏りをきっかけに、ガルバリウム鋼板による外壁リフォームを実施されるお客様もいます。
これは第1位の直張り外壁にもつながります。
ガルバリウム鋼板の外壁材を張る際、胴縁(どうぶち)とよばれる下地材を取り付けて通気層を設けます。
雨漏りが酷い場合は、胴縁を取り付ける前に、透湿シートとよばれる防水シートを外壁に張ります。
通気層は外壁内部の湿気を外に逃がす役割だけではなく、外壁に侵入した雨水を外に排水させる役割があります。
胴縁と通気層の組み合わせによる外壁リフォームは、かなり高い確率で雨漏りを解消させてくれます。
もちろん、外壁塗装では得られない処置です。
4位:1度で済ませたいから

リフォーム業者の選定や見知らぬ職人の出入り、足場を含めた近隣居住者対策などにストレスを感じる人、意外と多くいるはずです。
また、1度で済ませられる外壁リフォームは、ランニングコストの点でも有利です。
生涯に外壁塗装を3回おこなうと、その時点でガルバリウム鋼板のカバー工法よりコストが高くなります。
高齢が原因で認知力が低下してしまうと、思うように外壁リフォームをおこなうことができなくなります。
悪徳リフォームの被害者の多くが高齢者です。
長期にわたるメンテナンスが不要で、人生で最後の外壁リフォームを期待される人は、ガルバリウム鋼板の外壁リフォーム工事を検討してください。
5位:快適に過ごしたいから

断熱材一体型のガルバリウム鋼板の外壁材は、外壁材のなかで最も断熱性能が高いです。
モルタル外壁はもちろん、窯業サイディングやALCよりも断熱性能にガルバリウム鋼板の外壁材は優れています。
言うまでもないことですが、外壁カバー工法でガルバリウム鋼板の外壁材を重ねて張ると、断熱性能が向上します。
外壁材が2倍の厚さになるので、当たり前と言えば当たり前の話ですね。
特に夏場は一定以上の断熱効果が期待できます。
外壁重ね張りや張り替えの見積りはテイガクで
テイガクは、今回ご紹介したような外壁の重ね張りや張り替え工事を専門とする建築板金工事会社です。
創業から25年、金属サイディングの工事を数多く手掛けています。
材料の仕入れから工事提供まで自社で完結しているため、余計な手数料は発生しません。
工事金額に自信があるため、外壁工事価格もWEBページで公開しています。
外壁の重ね張りや張り替えの工事価格は高額ですが、新築のように外装をリフォームすることができます。
適正価格か不安な方、外壁の重ね張りに興味がある方は、ぜひテイガクへご相談ください。
お客さまのご予算に合わせた、外壁工事をご提案いたします。