天窓カバー工法とは?ベルックスのFCMカバー工法で雨漏り対策と断熱を両立

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天窓カバー工法とは

天窓カバー工法

天窓カバー工法とは、古い天窓の上から新しい大きな天窓を取り付ける工事方法のことです。
世界最大の天窓メーカーであるベルックス社が生み出した、比較的新しい天窓の改修工事です。
天窓カバー工法は、今ある天窓を壊さずにそのまま使えるため、天窓の交換よりも工事が短く終わり、費用も抑えられます。
費用を抑えながら天窓の雨漏り対策をおこなうことができます。

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Youtube撮影者 テイガク 代表 前川祐介

FCMカバー工法とは?

FCMカバー工法とは、天窓カバー工法の中でも、ベルックス社の「FCM(フィックスタイプ)」の製品を用いたカバー工法のことを指します。
既存の天窓枠(立ち上がり)を残したまま、屋根上に「FCM」天窓を“被せる”リフォーム工法です。
基本的に室内の作業や内装復旧は不要です。
工期やコストを抑えることができ、廃番の天窓でも対応できることから施工機会が増えている天窓の新しいリフォーム方法です。

これまでの天窓の修理方法との違い

これまでの天窓の修理方法は 天窓板金の交換」「天窓の交換」「天窓を塞ぐの3つの方法がありました。

天窓板金の交換

天窓板金の交換

天窓板金の交換は、天窓のまわりに取り付けられた金属板(板金)だけを取り替える工事です。
メリットは他の工事に比べて費用を抑えられる点です。
今までの天窓本体はそのまま残るため、数年後にまた雨漏りが発生する可能性があります。

天窓の交換

天窓の交換

天窓の交換は、古い天窓を取り外し、新しい天窓を設置する工事方法です。
メリットは雨漏りを根本的に解決できることです。
内装工事や雨漏りがあると下地補強も必要になるため、工事費用は25万円以上と高額になりがちです。

天窓塞ぎ

天窓を塞ぐ

天窓塞ぎは、天窓を取り外して屋根材で塞ぐ方法です。
メリットは雨漏りしやすい天窓に悩まされることがなくなる点です。
デメリットは室内に光が入らなくなり、せっかくの天窓による開放感が失われてしまう点です。

新しい天窓の工事方法「天窓カバー工法」

天窓カバー工法

近年新しい選択肢として登場したのが天窓カバー工法です。
天窓カバー工法なら、古い天窓の撤去費用を払う必要がなく、20万円前後で新しい天窓に変えることができます。
また、「ベルックス」の最新の天窓は、断熱性や防水性の高い天窓にリフォームすることができます。
最長20年の保証もあります。
品質とコスト、付加価値の高い性能が備わった天窓です。

天窓工事方法とそれぞれの比較

工事方法 価格 雨漏りリスク 長期耐久性 内装工事
天窓カバー工法 古い天窓の上から
新しい天窓を覆う
天窓板金交換 天窓周りの板金のみ交換
天窓交換 古い天窓を撤去して
新しい天窓に交換
× ×
天窓塞ぎ 古い天窓を撤去して
屋根材で覆う

天窓カバー工法のメリット・デメリット

天窓カバー工法のメリット

室内はいじらない

天窓カバー工法は、古い天窓の撤去費が不要で交換工事より費用を抑えられ、解体や内装補修が要らないため最短1日で工事が完了することが多いです。
さらに高い防水性能の新しい天窓で覆うことで雨漏りリスクも低減できます。
天窓板金交換より長期耐久性が得られ、天窓交換より費用・工期を抑えられる理想的な選択肢です。

天窓カバー工法のデメリット

常に雨漏りリスクはある

既存の天窓の形状によっては施工ができない場合があります
既存屋根の劣化が進んでいる場合も、十分な耐久性確保が難しいため施工不可になることが多いです。
加えて、近年は「天窓からの直射日光を抑えたい」という要望が増えています。
地球温暖化に伴う猛暑・日射負荷の高まりから、天窓カバー工法や天窓交換ではなく、天窓を無くしたいというリクエストが増えています。
雨仕舞の観点からは当然、天窓を無くした方が長期的には有益です。

天窓カバー工法の費用

サイズ別の価格目安

天窓価格は約12万円

天窓カバー工法の費用は、天窓のサイズによって変わります。
ベルックスの公式価格表を見ると、小さなサイズから大きなサイズまで幅広くラインナップされており、本体価格は10万円台から20万円台が中心です。
一般的なサイズであれば、天窓本体代12万円前後です。

天窓カバー工法と天窓交換の費用比較

屋根工事と同時に天窓の修理を行う場合の費用をご紹介します。
一般的な天窓カバー工法の工事費用は、本体代金(副資材を含む)が約12万円、施工費が約6万円で、合計18万円前後が目安です。
これに対し、天窓を完全に交換する場合には、本体代金12万円に加え、施工費約8万円、下地を補強するための大工工事が約6万円、古い天窓の処分費用が1万円ほどかかります。
合計は25万円前後です。
なお、クロスの貼替などの工事も別途かかります。

天窓工事の費用例(目安)

天窓カバー工法 天窓交換
天窓本体+副資材 120,000円 120,000円
施工費 60,000円 80,000円
下地補強工事 なし 40,000円
廃材処分費 なし 10,000円
合計 180,000円 250,000円

アイコン 天窓工事は屋根工事と同時がおすすめ

屋根工事を伴わずに天窓カバー工法や天窓のみの交換をおこなう場合は、足場代に加えて作業効率の低下分が上乗せされるため割高になりがちです。
対して、屋根工事と同時施工なら足場を共用でき、工事全体のコストを抑えられます。

ベルックス社について

日本の天窓メーカー事情

昔の大工さんの手作りの天窓

住宅建設が盛り上がっていた40年前、日本では天窓はメーカーの既製品ではなく、大工さんによる手作りでした。
その後、雨仕舞処理の問題から天窓を製造する会社が増えはじめます。
しかし、着工数の減少に伴う長期的なメンテナンスやアフターサービスが難しいことから、多くのメーカーが市場から撤退しました。
その結果、現在、天窓メーカーはベルックス社とLIXIL、YKK APしか残っていません。
現在、国内に出回っている天窓はほとんどがベルックス社のものです。
YKK APの天窓も実はベルックス社(OEM品)のものです。

世界的な天窓専門メーカー「ベルックス」

天窓を語るうえで欠かせない存在が、デンマーク発祥の天窓メーカー「ベルックス」です。
ベルックスは80年以上の歴史を持ち、世界40か国以上で天窓を提供しているメーカーです。
日本国内でも多くの住宅で採用されており、「天窓といえばベルックス」と言われるほどの信頼と実績を築いてきました。
ベルックスの天窓は防水性能で高く評価されています。
その背景から最大20年(新築)の製品保証が得られます。
さらに、Low-E複層ガラスにより夏は日射を抑えて涼しく、冬は断熱性を高めて暖かく保てるのも特長です。こうした総合力から、日本の住宅市場でも高い支持を獲得しています。

「FCMカバー工法」「フィックスオーバーサイズ工法」

ベルックスが提案する天窓のカバー工法は、主に「FCMカバー工法」と「フィックスオーバーサイズ工法」があります。
メインは手間がかからない「FCMカバー工法」です。
どの工法も、古い天窓の撤去やそれに伴う内装工事が不要なことから、天窓交換よりもコストと工期が抑えられます。
FCMカバー工法は、古い天窓本体枠をそのまま残し、その上から新しい天窓(FCMフィックスタイプ)をかぶせる工法です。

フィックスオーバーサイズ工法は、FCMカバー工法が採用できない場合に選択する工法です。
古い天窓枠を取り外す工程が加わります。
なお、開閉式の天窓から交換する場合は、開閉機能が失われます。

FCMカバー工法の手順

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古い天窓

工事前の古い天窓です。築後20年から30年が経っていました。

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ガラスユニット撤去

天窓のガラスユニットと天窓周りの屋根材を撤去します。

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ルーフィングとFCM枠キットを設置

この現場では、天窓修理と合わせて屋根カバー工法も行いました。古い屋根材の上にルーフィング(防水シート)を敷きます。また、古い天窓の周りにFCM枠キットを設置します。

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水返しアダプターと水切りを設置

新しい天窓の周りに水返しアダプターと水切りを設置します。新しい屋根材も設置します。

FCMを設置

最後にFCMを設置して、天窓カバー工法の完了です。

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古い天窓

工事前の古い天窓です。築後20年から30年が経っていました。

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ガラスユニット撤去

天窓のガラスユニットと天窓周りの屋根材を撤去します。

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ルーフィングとFCM枠キットを設置

この現場では、天窓修理と合わせて屋根カバー工法も行いました。古い屋根材の上にルーフィング(防水シート)を敷きます。また、古い天窓の周りにFCM枠キットを設置します。

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水返しアダプターと水切りを設置

新しい天窓の周りに水返しアダプターと水切りを設置します。新しい屋根材も設置します。

FCMを設置

最後にFCMを設置して、天窓カバー工法の完了です。

天窓カバー工法の事前診断

今ある天窓の採寸と状態確認

高さのある天窓はNG

天窓カバー工法を行う前には、既存の天窓の大きさと天窓枠のサイズを確認します。
天窓カバー工法のひとつ「FCMカバー工法」は、今ある天窓の枠が標準サイズより大きい場合、そのままカバー工法を行うことはできません。

天窓枠の高さは120mm以下

既存の天窓枠の高さが「120mm以下」である必要があります。
もちろん、ベルックス社の天窓サイズの規格よりも小さなサイズである必要もあります。

屋根の状態によっては施工不可

天窓カバー工法は非常に有効なリフォーム方法ですが、どんな屋根にも対応できるわけではありません。
屋根自体の劣化が進んでいる場合、天窓カバー工法を行っても十分な耐久性を確保できず、かえって雨漏りや構造不良の原因となる可能性があります。
特に、野地板(のじいた)や垂木(たるき)といった屋根の下地部分が腐食している場合には、天窓だけを新しくしても意味がなく、根本的な修繕が必要になります。

天窓の保証と点検について

ベルックスの保証について

ベルックスの天窓には、10年間の基本保証が付いています。
この保証は、製造上の不具合を対象としており、天窓本体はもちろん、水切り部材や電動部品などの幅広い部品が含まれています(一部対象外あり)。
また、設置から10年目にメーカーがおこなう「安心点検」を受けることで、保証期間を20年目まで延長することができます。
安心点検では、防水シールの交換や可動部の調整、金属部分のグリス補充、ガラス清掃などをおこないます。
さらに、20年目にも安心点検を受ければ、保証は25年目まで延長されます。
これらの保証は新築とリフォーム、両方で適用されます。

ベルックスの天窓保証期間
ベルックスの天窓保証期間(出典:日本ベルックス株式会社)

天窓の点検周期とチェック項目

天窓は屋根の一部であり、風雨や紫外線に常にさらされているため、定期的な点検が欠かせません。
目安としては5〜10年ごとに専門業者の点検を受けるのがおすすめです。

点検では以下の項目を確認します。
・ガラスまわりのシーリング材の劣化
・板金部分のサビや浮き
・防水シートの劣化具合
・内部に結露が発生していないか
・天窓周囲の木材が腐っていないか
・カビが発生していないか

小さな劣化を早めに発見して修繕することで、大きな雨漏りや木材腐食を未然に防ぐことができます。
定期的な点検を習慣化することで、天窓をより長く、安心して使い続けることができるのです。

天窓カバー工法はテイガクで

天窓付きの住宅はたくさんあります。
テイガクでも屋根リフォームとあわせて天窓板金や天窓交換を数多く手がけてきました。
今回ご紹介したベルックス社の「FCMカバー工法」は、室内側の解体を基本的に伴わない新しい改修手法として価値の高い選択肢です。
近年の天窓は水密性だけでなく、断熱・遮熱性能も大きく向上しており、採光の心地よさを保ちながら快適性と省エネ性の両立が期待できます。
一方、天窓は雨漏りが発生しやすい部位でもあるため、実績豊富でアフターサービスが整った業者への依頼が安心です。
テイガクは創業25年の屋根リフォーム専門会社として、金属屋根による改修とあわせ、天窓交換・天窓カバー工法の施工実績も多数ございます。
天窓の改修をご検討中の方は、ぜひテイガクへご相談ください。
お見積りまで無料で承ります

よくある質問(FAQ)

Q

天窓の雨漏りを放置するとどうなりますか?

A

放置すると屋根の下地や天窓まわりの木材が腐食し、室内に水が入り込みます。
またカビも発生しやすくなります。
天窓の雨漏りは早めの点検と修理が大切です。

Q

天窓カバー工法の費用はどれくらいですか?

A

一般的なサイズであれば、本体代約12万円+施工費約6万円で、合計18万円前後が目安です。
天窓交換に比べて7万円ほど費用を抑えられます。

Q

工事期間はどのくらいですか?

A

古い天窓を撤去せずに施工するため、最短1日で完了する場合もあります。
室内への影響も少なく済みます。

Q

ベルックスの天窓にはどんな特徴がありますか?

A

防水性・断熱性に優れており、天窓ガラスは複層の強化ガラスを採用しています。
最長20年の保証付きで、長く安心して暮らせます。

本記事の著者・監修者

著者 前川祐介
前川 祐介

昭和ルーフリモ株式会社 代表取締役社長
「屋根と外壁のリフォーム工事テイガク」Webメディア運営責任者

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学経営学部→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する建築板金工事会社(昭和ルーフリモ株式会社)へ入社。最終学歴、中央工学校夜間建築学科。2022年に代表取締役社長に就任。年間1,000棟以上ある現場での施工経験を活かし、Webメディア「テイガク」での記事執筆、YouTubeでの動画撮影をおこなう。趣味は日本史学。宅地建物取引士・建築物石綿含有建材調査者