役物(やくもの)とは?
役物とは屋根と外壁で用いる板金部材のことです。
棟板金やケラバ板金、出隅板金など、屋根と外壁は本体以外に特殊な形状をした板金部材を用います。
屋根と外壁だけで10種類以上、本体以外の部材として役物がつかわれます。
同質役物(どうしつやくもの)と通し役物
同質役物は本体と同じ質感の役物
同質役物とは、屋根本体や外壁本体と「同じ質感の役物」のことです。
一方で、通し役物とは、「同じ質感ではない役物」です。
石粒付き鋼板の屋根であれば石粒が付いている役物、インクジェットの外壁であればインクジェットで模様が再現された役物が同質役物に当たります。
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同質役物は見た目に統一が得られ、屋根と外壁が美しく仕上がります。
通し役物とは耐久性能に大きな違いはないため、美観だけの違いがほとんどです。
通し役物
同質役物ではない役物はガルバリウム鋼板に塗装をした板金部材を示すことが多いです。
また、長さが長い役物であることが多いです。
一般的に長さが1mを超える役物のことを「通し役物」とよびます。
石粒付き鋼板の屋根は同質役物を検討
石粒付き鋼板の屋根は同質役物と通し役物では見た目が違います。
そのため、屋根が目立つ建物は同質役物の使用も検討してほしいです。
同質役物は思っている以上に高い
同質役物はお客様が思っている以上に値段が高いです。
筆者がお客様にお見積り書を提示する時、いつも驚かれてしまいます。
屋根だけで10万円前後、外壁では20万円前後、工事価格が高くなります。
材料代だけではなく、同質役物は通し役物と異なり取り付けが結構大変で、時間と手間がかかります。
クレームの原因になりやすい
基本は通し役物
石粒付き鋼板の屋根や金属サイディングの工事の場合、実際の工事では同質役物を用いることの方が少ないです。
しかし、メーカーのカタログは”映える”ので、同質役物で仕上げられた写真を頻繁にカタログで用います。
写真のイメージと違うことで、工事後にリフォーム会社とトラブル発展する可能性があります。
リフォーム会社からもらった見積書に同質役物の記載がなかったら、基本的に同質役物は取り付けない形で屋根と外壁は仕上げられると思ってよいでしょう。
あらかじめ工事が始まる前に見積書の内容を再点検し、工事前までに同質役物の使用の有無を判断してください。
相見積もりは要注意
相見積もりをおこなう時、リフォーム会社から提出された金額だけで業者を決定しがちです。
見積書の項目が同質役物なのか通し役物なのかも必ず点検しましょう。
リフォーム業者の選定をしっかりおこないましょう
同質役物を用いた工事の方がよい場合がある
基本は通し役物での工事ですが、”同質の通し役物”を用いた方がよい屋根材もあります。
次に紹介するスーパーガルテクトもその一つです。
石粒き鋼板の役物の違いは、石粒付き鋼板は外観に関わってきますが、スーパーガルテクトの場合は品質に関わってきます。
エスジーエル鋼板の例
こちらはの写真は一見、綺麗な屋根に見えると思います。
それは大きな間違いです。
こちらの屋根材はアイジー工業のスーパーガルテクトです。
しかし、棟板金はスーパーガルテクトではないスレート屋根の棟板金が用いられています。
スーパーガルテクトはエスジーエル鋼板であり、スレート屋根の棟板金はガルバリウム鋼板で材質が異なります。
この屋根も同質役物ではない役物が用いられていると言い換えられます。
スーパーガルテクトは、メーカー純正の”同質の通し役物”を用いた方がよい屋根材です。
屋根メーカーごとに専用役物は若干、サイズが汎用品と異なります。
したがって、雨仕舞(雨水が入り込まないようにする)にも影響が及びます。
メーカの保証にも関わります。
屋根の手抜き工事にご注意を!
スーパーガルテクトの純正品は値段が高いので、廉価のコロニアルの棟板金を用いたのかもしれません。
テイガクの工事ではないので、居住者様がメーカー純正品ではない役物の利用を承諾していたかもしれません。
したがって、良し悪しまでは判断できません。
ただし、高い位置で目が届かない屋根工事では、このようなことが日常茶飯事におこなわれていることを読者の方に知ってほしいです。
見積書をしっかり確認
見積書内に同質役物やメーカー純正品などの記載があるかどうかを確認してほしいです。
エンドユーザーのリテラシーが高まり、屋根リフォーム業界が正しい方向に進むことを切に願います。
これから屋根リフォーム業者から見積書を入手された人は、
「見積書の役物の項目が同質かどうか記入されていないけど同質役物を使うのかな?」と尋ねてください。
もちろん、テイガクは見積書の項目に必ず役物タイプを明記しています。