屋根の高圧洗浄で必ず留意する【4つのポイント】

コロニアル屋根の塗装工事を行う際、高圧洗浄機で一度、屋根を綺麗にします。
屋根に付いた苔などの汚れや古い塗料を剥がすためです。
しかし、この高圧洗浄は必ずしも利点だけがあるとは言い切れません。

塗装屋さんや屋根屋さんが高圧洗浄後にコロニアルが割れていたと報告した時は注意してください。
高圧洗浄を法律で禁止している国もあります。
理由はのちほど記載いたします。

今回は屋根の高圧洗浄を行う際に留意したいことを中心に解説いたします。
尚、該当屋根材は「コロニアル」についての内容です。
日本(陶器)瓦のような耐久性の高い屋根は本記事では該当いたしません。

屋根の塗装には高圧洗浄は必ず必要

屋根塗装の高圧洗浄

コロニアルの塗装を行うケースでは、高圧洗浄で一度屋根を綺麗にします。
苔などの汚れ、古い塗料をそのままにした状態では、新しい塗料を付着させれません。
屋根塗装では高圧洗浄は必ず必要な作業です。

屋根カバー工法においても、既存コロニアルに大量の苔が発生しているケースでは高圧洗浄が必要です。
苔が大量に発生していると、新しい屋根材をしっかり既存の屋根の上に固定することができないからです。
もちろんカバー工法で苔を取り除く際は、苔が発生している面だけを対象にいたします。
テイガク屋根修理の経験では、屋根カバー工法で高圧洗浄を行うケースはほとんどありませんが、北側の湿った面だけなどを行うことが稀にあります。
屋根カバー工法全体の5%位の割合です。

このように工事に必要な高圧洗浄ですが、必ずしも利点だけがあるとは言い切れず、懸念すべき事項があります。

高圧洗浄は洗い落とすより削り落とす

高圧洗浄

屋根表面に付いた汚れや塗料を取り除くことは、本来、手洗いで丁寧に洗い流すのが理想です。
屋根瓦の表面を傷めることがないからです。
しかし、屋根表面に付いた汚れや、塗料は強力に屋根表面に付着しています。
また、屋根は面積もあり、高所の作業であるため、物理的にも無理があります。
したがって、屋根瓦を一枚一枚、洗剤などを利用して洗い流すことはありません。

現在、屋根表面の汚れや、塗料は高圧洗浄機で洗浄するのが一般的です。
高圧洗浄機は業務用と家庭用があります。
業務用の高圧洗浄機は吐出水量や水圧が家庭用のものとは全く異なります。
業務用の高圧洗浄機はとても大きなパワーを伴い屋根表面を洗浄をします。

この場合の洗浄とは洗い落とすより削り落とすイメージです。
結果、屋根の洗浄面には強い負荷(ダメージ)がかかります。

高圧洗浄を行う時に留意すべき4つのこと

・コロニアルの耐久性を劣化させる

高圧洗浄による屋根の洗浄は削り落とすことで、汚れや塗料を取り除きます。
是非お客様は高圧洗浄で汚れを取ったコロニアルの画像をインターネットでお調べください。
下記にgoogle画像検索のリンクを貼付いたします。
コロニアル高圧洗浄画像
洗浄後、白い基材が露出している画像がたくさん見つかると思います。
中の基材が露出するまで削り落とされたコロニアルは当然、ダメージを受けています。
結果、屋根本体の耐久性も劣化いたします。

・洗浄中にコロニアルを破損してしまう

経年劣化したコロニアルは高圧洗浄中に割ってしまうことがあります。
コロニアルは人が乗っただけでも割れることがあるため、高圧洗浄による強力な水圧でも割れることがあります。

もし、塗装屋さんや屋根屋さんが高圧洗浄後にコロニアルが割れていたと報告した時は注意してください。
割った犯人が職人さんである可能性はかなり高いです。
ただし、経年劣化が激しい場合や、一部流通している品質の悪いコロニアルは高圧洗浄でバキバキ割れてしまうので、必ずしも職人さんが悪いとは言い切れません。

瓦棒も同様です。
経年劣化が激しい場合、高圧洗浄中に穴を空けてしまうことがあります。

・雨漏りを発生させてしまう

コロニアルを水圧で割ると同時に下葺き材のルーフィングシートを破ってしまうと、雨が漏れます。
業務用の高圧洗浄機は大量の水を使用するため、大きな事故になる可能性があります。
つまり雨漏りです。
高圧洗浄の作業中に大量の水がコロニアルの隙間に浸水し、雨漏りが発生することもあります。

以前、他社の塗装店で高圧洗浄中に大きな雨漏りを発生してしまい、当社で屋根瓦を全面葺き替えさせていただく事例がありました。

また、屋根塗装工事後、1年後に屋根から雨漏りが起きる事例もあります。
これは塗装の塗膜により雨水の排出路が塞がれてしまい、屋根材の下部に水が溜まり、漏水するケースです。
いわゆる縁切りという作業を怠ったり、施工不良がある場合や、スペーサーと呼ばれる隙間を設ける部品を未使用の際に発生することが多くあります。

経年劣化は激しいコロニアルは屋根の葺き替え、もしくはカバー工法をご検討してください。
穴を開けてしまった瓦棒も同様です。

アスベストを飛散させる

戸建て住宅の屋根のほとんどが石綿(アスベスト)スレート屋根です。
平成18年時点で500万戸のうち400万戸が、石綿スレートを使った屋根が残されているといわれています。
株式会社クボタ、松下電工株式会社で販売されたアスベストを含む屋根材で、昭和61年まで販売されていたコロニアルは法律で規制されている含有量をオーバーしています。
基材が露出するほど洗浄をかけたコロニアルはアスベストを飛散させます。

環境問題に厳しく取り組んでいる国では、アスベストを含む建材に高圧洗浄を行うことを禁止しています。
オーストラリアでは石綿スレート屋根の高圧洗浄はアスベスト飛散の恐れがあるため一切禁止と法律で定めています。

残念ながら日本はアスベスト飛散による健康被害については、調査もされておらず、対策を講じていません。
これは、戸建て住宅の80%がコロニアルであることであり、健康被害が社会問題になることを避けるためであると考えられます。

テイガク屋根修理による高圧洗浄

テイガク屋根修理では、屋根・外壁の塗装工事や屋根カバー工の際に苔やゴミを取り除くために高圧洗浄を行います。
できる限り、屋根表面を削り落とさないよう圧力を調整して丁寧に洗浄いたします。

下記は屋根カバー工法時の高圧洗浄です。
苔が生えてる面だけを洗浄いたします。
テイガク屋根修理の屋根高圧洗浄でお客様からいただく費用は平米(㎡)単価は200円(税抜)の完全定額制です。
重ね葺きする屋根をしっかり固定させることが目的であるため、水圧を下げて屋根を傷つけないよう表面の苔やゴミだけを除去します。

まとめ

・コロニアルの高圧洗浄は削り落として洗浄します。結果、コロニアルを耐久性を劣化させます。
・コロニアルの多くはアスベストが含有されているので、高圧洗浄中にアスベストを飛散させます。高圧洗浄を法律で禁止している国もあります。
・水圧により、屋根瓦を割ったり、穴を開けたり、最悪の場合、雨漏りを発生させることがあります。
・経年劣化が激しい場合は屋根の葺き替えもしくはカバー工法をご検討ください。瓦棒屋根も同様です。
テイガク屋根修理は常にお客様の利益に適う正しい情報をご提供することをお約束いたします。

この記事を書いた人
著者 前川 祐介
前川 祐介 代表取締役社長
テイガク サイト制作責任者
宅地建物取引士
建築物石綿含有建材調査者
著者経歴

大阪府堺市生まれ。千葉県立船橋東高校→法政大学→サノフィ(旧アベンティスファーマ)株式会社を経て、父親が経営する板金工事会社である昭和ルーフリモ株式会社へ入社。
中央工学校夜間建築学科卒業。年間100棟以上の屋根と外壁工事に携わった経験を活かし、テイガク記事の執筆とユーチューブ動画撮影をおこなっています。趣味は日本史学。

運営会社

昭和ルーフリモ株式会社は2001年設立の板金工事会社です。
これまでの金属屋根と金属サイディング工事件数の合計は20,000棟を超えます。
板金工事は足場を組み立てるため、外壁塗装の工事事業にも注力しています。

国土交通大臣許可(般-25)第22950号
許可を受けた建設業:板金工事業/屋根工事業/塗装工事業 他

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